序
整形外科疾患に対する補助診断として,X線検査の果す役割は特に大きく,日常診療ではX線像から,適切な治療方針の決定や予後の推測がしばしばなされる.この際には,過去に発表された優れたX線分類が役に立つことは今さら言及するまでもない.また,学会発表や論文においても,よく使用される分類法を用いることにより,共通の土俵の上での議論が可能となる.このためには,原著者の意を大切にして,その分類を正しく理解する必要がある.
そこで,日常よく使用される分類法を次の方針でまとめ,その便に供することにした.
1.必ず原著にあたった.
2.原著者の使用している分類名,たとえば,Type,Group,Stage,Gradeはそのまま用いた(たとえば,大腿骨頸部骨折のGARDEN分類はType分類として誤用されることが少くないが,原著ではStage分類となっているので,これを用いた).
3.原図に忠実なイラストを書いた.ただし,原著では図が省略されている場合でも,必要なものは著者が本文から原著者の意を汲んでイラストを追加した.
4.原著名を同時に記載した.
主要な分類を集めたもので,すべての分類を網羅していない.また,単純X線像の分類を主体にしたので,造影による分類,CTによる分類などはほとんど含まれていない.今後,追加していきたい.一方,核磁気共鳴画像(MRI)の分析が進み,この分野での分類が確立されれば,追加していく必要があろう.なお,X線以外の分類で,主要なものは記載した.また,成績評価のためによく用いられる基準の原著名を巻末に付し,参考に供した.
本著は優れた先人達の業績から生まれた,各種のX線分類を一つの本にまとめたものである.日常診療や学会発表,論文作成に際して,本著が役立てば幸甚である.
最後に,本著の出版に対し,御理解を示された中外医学社社長 青木三千雄氏,編集の労をとられた高橋衛氏,高橋洋一氏に深甚の謝意を表したい.
1988年4月
二ノ宮節夫