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書籍詳細

慢性肝炎

最新の治療

慢性肝炎

飯野四郎 編著

B5判 252頁

定価5,500円(本体5,000円 + 税)

ISBN978-4-498-04284-1

2001年11月発行

在庫なし

B型肝炎に対するラミブジン,C型肝炎に対するIFNとリバビリンの併用など,慢性肝炎の治療は近年大きく進展している.本書は肝炎の診療にあたる内科臨床医のためにその最新の治療の実際と意義・問題点を具体的に解説したものである.慢性肝炎の診断・疫学・自然経過・無症候性キャリアへの対応・自己免疫性肝炎の治療・ウイルス肝炎の予防・慢性肝疾患での肝細胞癌の早期発見法等についても最新の知見により解説した.この領域の第一人者が執筆にあたった最新の慢性肝炎診療を理解し,実践するための最良の手引き書である.


 C型肝炎のインターフェロン療法の話題が一段落したところで,厚生労働省はC型肝炎対策に乗り出すことになった.
 まずは効率的な検診によってHCVキャリアを拾い出すことから始まるが,発見されたキャリアにどのような医療が行われるかは今後の問題である.
 この時期に長い間,忘れ去られた観があったB型肝炎に対する治療薬,ラミブジンが登場し,注目されている.しかし,ラミブジンはよい薬である反面,B型肝炎に関する深い知識が要求されるものでもある.深い知識が必要であるということで改めて,B型肝炎について考えてみると,近年のB型肝炎ウイルス遺伝子と病態にかかわるいくつかの進歩がみられたものの,それですべてが解明されたわけではなく.未解決な点も多く,研究を進めながら,ラミブジンをよい薬として活かしていかなければならないという新しい課題が提起されたと思われる.
 また,C型肝炎に関しても,リバビリンが登場し,インターフェロン併用でウイルス排除率は向上すると期待されてはいるが,それにかかわる詳細は不明のままであり,長期追跡調査をもとに考えなければならないような微妙な問題の解決は日本で行わなければできないものであると考えられる.
 このようなウイルス肝炎治療の変換点を迎えて,どうウイルス肝炎の治療を行っていけばよいか,これまでの知識を整理して示すとともに,新しい薬についてこれまでに知られたこと,これから明らかにしなければならないことを示したのが本書であると考える.
 これからの治療の基本を示した必携の本と信じる.

2001年9月
編 者

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目 次

§1 慢性肝疾患の病型診断--原因と各種マーカーの定義:その利用法--
  I.慢性肝疾患の原因診断〈飯野四郎〉
    1.C型慢性肝疾患(慢性肝炎,肝硬変,肝細胞癌)
    2.B型慢性肝疾患
    3.栄養障害に伴う脂肪肝
    4.アルコール性肝障害
    5.薬物性肝障害
    6.自己免疫性肝疾患
    7.代謝異常に伴う肝障害
  II.肝炎ウイルスマーカーとその意義〈飯野四郎〉
    1.B型肝炎ウイルスマーカー
    2.C型肝炎ウイルスマーカー

§2 慢性肝疾患の重症度診断
  I.血液を用いた検査〈村脇義和,川崎寛中〉
    1.肝硬変の診断
    2.肝硬変の重症度
    3.慢性肝炎の組織分類
    4.慢性肝炎stagingおよびgradingの判定
  II.画像検査--慢性肝炎・肝硬変の超音波画像〈飯島尋子,宮原健夫,森安史典〉
    1.検査の手順
    2.肝の大きさ
    3.肝表面,肝辺縁,肝実質

§3 慢性肝炎の疫学と自然経過
  I.B型慢性肝炎〈八橋 弘,矢野右人〉
    1.HBVキャリアの感染経路
    2.HBVキャリア数の推定
    3.B型慢性肝炎の自然経過
    4.B型慢性肝炎の診断の進め方
  II.C型慢性肝炎〈田中栄司,清澤研道〉
    1.HCVの感染経路
    2.HCV感染者の現状
    3.C型慢性肝炎の自然経過
    4.肝線維化と肝細胞癌発生
  III.自己免疫性肝疾患〈銭谷幹男〉
    1.自己免疫性肝炎(AIH)
    2.原発性胆汁性肝硬変(PBC)
    3.原発性硬化性胆管炎(PSC)

§4 B型肝炎の治療
  I.B型慢性肝炎治療総論--どんなときにどんな治療を選択するのか,今後の展望は?--〈坪田昭人,熊田博光〉
    1.B型慢性肝炎の治療時期
    2.B型慢性肝炎における治療目標
    3.抗ウイルス療法
      a)インターフェロン(IFN)療法
      b)ラミブジン療法
    4.免疫賦活療法,免疫調整療法
      a)ステロイド離脱リバウンド療法
      b)プロパゲルマニウム
      c)HBvaccine療法
      d)サイモシン-a1
    5.肝庇護療法
  II.ラミブジン〈茶山一彰〉
    1.ラミブジンとは
    2.ラミブジンの効果
    3.ラミブジンの対象
    4.劇症肝炎,重症急性肝炎に対するラミブジンの投与
    5.薬剤耐性の変異株の出現
    6.慢性活動性肝炎に対するラミブジン投与の考え方
    7.ラミブジン耐性株の病原性に関する考え方
    8.ラミブジン耐性株出現後の対策
    9.ラミブジンの投与をいつやめるか?
    10.ラミブジンの副作用・禁忌
  III.インターフェロン(IFN)療法〈池田健次〉
    1.B型肝炎に対する治療ガイドライン
    2.IFNの治療適応
    3.IFNかラミブジンか
    4.B型慢性肝炎に対するIFNの投与方法
    5.B型慢性肝炎に対するIFNの治療成績
    6.B型肝硬変に対するIFN治療
    7.B型慢性肝炎に対するIFNの問題点
  IV.ステロイド離脱療法〈鈴木義之,熊田博光〉
    1.B型慢性肝炎における肝細胞障害
    2.ステロイド離脱療法と免疫応答
    3.ステロイド離脱療法の理論的背景
    4.ステロイド離脱療法の適応
    5.ステロイド離脱療法の具体的な投与法
    6.予後
    7.ステロイド離脱療法の副作用
    8.ステロイド離脱療法後の重症化
    9.著効例における肝組織像の変化
    10.今後の展望

§5 C型肝炎の治療
  I.インターフェロン(IFN)〈笠原彰紀〉
    1.治療の目標
    2.病態把握の重要性
    3.IFN治療の適応と禁忌
    4.IFN治療の効果予測因子
    5.IFN投与スケジュールと治療成績
      a)HCV RNA量,HCVの遺伝子型,線維化の程度とIFN治療成績
      b)2a・2b型に対する短期間のIFN治療の有用性
      c)1b型に対する治療成績改善の試み
      d)IFN再投与
    6.IFN治療後の肝細胞癌発生よりみた長期予後
      a)IFN治療例および未治療例における肝細胞癌発生
      b)IFN治療効果と肝細胞癌発生
      c)IFN治療後のALT値と肝細胞癌発生との関係
    7.生存率,死亡原因よりみた長期予後
    8.IFN治療の副作用
      a)副反応
      b)副作用と対策
  II.インターフェロン(IFN)とリバビリン併用〈大川和良,林 紀夫〉
    1.リバビリンの薬理作用
    2.IFN・リバビリン併用療法の治療成績
    3.IFN・リバビリン併用療法の臨床薬理
    4.IFN・リバビリン併用療法の副作用
    5.IFN・リバビリン併用療法のさらなる発展
  III.対症療法--インターフェロン(IFN)対象外・無効例の治療〈安田清美〉
    1.対症療法とは
    2.強力ネオミノファーゲンC(SNMC)
    3.ウルソデオキシコール酸(UDCA)
    4.小柴胡湯
    5.その他

§6 無症候性キャリアへの対応
  I.B型肝炎--フォローアップの仕方から,その長期予後まで〈榎本 大,西口修平〉
    1.疫学
    2.自然経過
    3.長期予後
    4.指導および管理の実際
      a)ASC本人の管理
      b)HBV感染の予防
  II.無症候性HCVキャリア--フォローアップの実際と長期追跡結果〈岡上 武〉
    1.無症候性HCVキャリアの定義
    2.ウイルス量,遺伝子型と肝組織所見
    3.肝機能検査のフォロー
    4.肝組織のフォロー
    5.血中ウイルス量の変化
    6.フォローの実際と治療の適応

§7 自己免疫性疾患の治療--AIH,PBCなどの治療の実際と今後--
  I.自己免疫性肝炎(AIH)〈井上恭一,廣原淳子,高須雅史〉
    1.病因と病態
    2.AIHの治療の実際
      a)病態の把握
      b)CS剤の投与法と効果
      c)CS剤に対する不応性あるいはCS投与中の再燃の際の対策
      d)その他の治療法
    3.今後の展開
  II.原発性胆汁性肝硬変(PBC)〈井上恭一,廣原淳子,高須雅史〉
    1.病因,病態,臨床像
    2.PBC治療の実際
      a)ウルソデオキシコール酸(UDCA)の投与
      b)肝移植療法(OLT)
      c)その他の治療法
    3.今後の展開

§8 ウイルス肝炎(B,C)の予防
  I.HBワクチン〈藤山重俊〉
    1.HBワクチン接種の対象者
    2.投与方法,投与スケジュール
  II.院内感染・医療従事者対策〈藤山重俊〉
    1.一般的注意事項
    2.感染源・感染経路対策
    3.汚染事故発生時の対応
    4.消毒法
  III.母子感染防止対策〈藤山重俊〉
    1.B型肝炎
    2.C型肝炎

§9 B型およびC型慢性肝疾患での肝細胞癌早期発見
  I.B型およびC型慢性肝疾患の発癌の差異〈山崎隆弘,沖田 極〉
  II.B型肝炎関連肝癌合併肝硬変とC型肝炎関連肝癌合併肝硬変との病理学的形態の差異〈山崎隆弘,沖田 極〉
  III.B型肝炎関連肝癌とC型肝炎関連肝癌との差異〈山崎隆弘,沖田 極〉
  IV.肝癌早期発見のための努力〈山崎隆弘,沖田 極〉
    1.腫瘍マーカー
    2.画像診断
    3.その他
    4.肝癌早期発見のためのプロセス

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