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書籍詳細

脳卒中―専門医にきく最新の臨床

脳卒中―専門医にきく最新の臨床

天野隆弘 他編

B5判 274頁

定価8,030円(本体7,300円 + 税)

ISBN978-4-498-02932-3

1998年04月発行

在庫なし

本書は脳卒中の診療に必須の知識,臨床の場で遭遇しうる疑問点,問題についてを,教科書的でなく,Q&Aによりプラクティカルに解説したものである.夫々の質問に対して各専門医が自身の考え,診療方針をもとに簡潔かつ具体的に述べた,生きた知識が得られる臨床書である.近年,脳卒中の臨床は進歩し,変わってきているが,その最新の知識,診断,治療のポイントを理解し実践できる書である.とりあげた83項目はいずれも夫々読み切り形式でまとめられているので要に応じひもといて役立てることができる.



 脳卒中は高血圧などの危険因子のコントロールによって,その発症率は大きく減少した.その結果,脳血管障害による死亡率は1981(昭和56)年についに第1位の座を悪性新生物に譲り,1985(昭和60)年には心疾患についで第3位となった.しかし死亡診断書の書き方が変わり,1995(平成7)年度以降の脳血管障害の死亡順位は依然第2位であることが判明し,死亡率低下のさらなる努力が必要であることが改めて専門家の間で話題になっている.
 さらにやっかいなことに,脳血管障害は生命予後が改善しても,機能予後に依然問題が山積みになっており,国民の生活,医療に及ぼす影響は最も大きい疾患と考えられる.この意味で第一線の医療従事者にとっても絶えずup-to-dateな知識を身につけ臨床にあたることが重要であろう.
 今回25年ぶりに「専門医にきく脳血管障害の臨床」を「脳卒中-専門医にきく最新の臨床」として新たに出版することになった.前書の出版以後,臨床面では,CTスキャンは日常臨床で当たり前の診療機器となり,またMRIも主な医療機関にはほとんど普及するようになってきた.SPECT,Xe CT-CBF,さらには一部の施設ではあるがPETさえも普及し,脳血流,代謝の情報も画像化して容易に把握できるようになってきた.脳血管撮影に代わり,頸部超音波エコーやMRアンギオグラフィーで無侵襲に脳血管系の一応の評価が可能になってきた.このように,この10数年間での脳卒中診療に使用される医療機器の開発,改良には目を見張るものがある.
 研究面では,特に脳梗塞の病態生理に関して各種細胞内伝達物質,細胞内Ca濃度,興奮性アミノ酸の研究が進み,さらには分子生物学の導入でこの10年足らずに飛躍的に新しい知識が増加してきた.
 これらの知識を背景に,全く新しい急性期治療を始めるべく次々と新しい薬剤が臨床の場で評価検討されているのが現状である.
 以上のように,ここ10年あまりの脳卒中学の発展,変化はめざましく,膨大な知識をコンパクトにかつ要領よく整理して理解することが要求されているのが現状であろう.そこで本書では,実際に臨床の第一線の現場で活躍中の先生方に,具体的かつ平易に,日常診療にすぐさま役立つかたちで,簡明に解説をお願いした次第である.
 この内容的にも欲張った一冊が,現場の先生方の日常診療に役立ち,また脳卒中全体の最新の知識を手っ取り早く得たい研修医の方々にも役立つことを願ってやまない.
 終わりに,発行までこぎつけるにあたり,忍耐強く我々の進行状況をお待ちいただいた中外医学社の関係者の方々に深謝いたします.

1998年2月
編者しるす

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目 次

§1.ベッドサイド診断―画像診断を行うまでの診断法
1.脳血管障害と診断する根拠
2.脳血管障害の分類
3.意識障害の評価法
4.脳血栓と脳塞栓の鑑別
5.脳出血と脳梗塞の鑑別
6.くも膜下出血の診断のポイント

§2.さてどうするか―救急処置の実際
1.救急処置を必要とする徴候は
2.救急処置の方法は
3.移送の判定

§3.超急性期,急性期のCT・MRI診断
1.CT診断のための正常像と解剖図
2.脳出血のCT診断
3.くも膜下出血のCT診断
4.脳梗塞のCT・MRI診断
5.ラクナ梗塞のCT・MRI診断

§4.障害部位と症候
1.脳出血の障害部位と症候
2.脳梗塞の障害部位と症候
3.くも膜下出血の障害部位と症候

§5.原因と診断
1.脳血管障害の肉眼病理
2.一過性脳虚血発作(TIA)とは
3.アテローム血栓性脳梗塞とは
4.ラクナ梗塞とは
5.RINDとは
6.動脈-動脈性塞栓とは
7.脳塞栓の原因
8.脳静脈・静脈洞血栓症とは
9.くも膜下出血の原因と診断
10.脳血管攣縮とは
11.Willis動脈輪閉塞症とは
12.高血圧性脳症とは
13.慢性硬膜下血腫とは
14.脳血管奇形
15.全身疾患に伴う脳血管障害
16.妊娠と脳血管障害

§6.急性期,亜急性期の治療
1.頭蓋内脳出血の治療方針
2.くも膜下出血の治療方針
3.アテローム血栓性脳梗塞の治療
4.ラクナ梗塞(LI)の治療
5.脳塞栓の治療
6.脳塞栓症の選択的動脈内線溶療法
7.TIAの治療法
8.線溶療法の考え方
9.脳静脈・静脈洞血栓症の治療
10.Willis動脈輪閉塞症の治療
11.高血圧性脳症の治療
12.慢性硬膜下血腫の治療
13.てんかん発作の治療

§7.急性期から慢性期への脳血管障害の画像診断
1.脳出血
2.脳血栓(CT,MRI)
3.脳塞栓(CT,MRI)
4.水頭症

§8.慢性の脳血管障害
1.脳血管性痴呆とは
2.Binswanger病
3.脳血管性パーキンソニズム
4.慢性脳循環不全症とは
5.脳血管性痴呆のPET所見は

§9.治療の問題点
1.脳循環改善薬の種類と適応
2.脳代謝賦活薬の種類と使い方
3.抗血小板薬の適応と使用法
4.抗凝血薬の適応と使用法
5.EC-ICバイパスの適応
6.内頸動脈内膜摘除術とは
7.脳血管奇形(AVM,angioma)の治療法
8.ラクナ梗塞の治療
9.リハビリテーション

§10.脳血管障害をめぐるトピックス
1.脳血管障害と脳循環動態
2.脳血管障害を理解するためのSPECT所見とは
3.Delayed neuronal deathとは
4.虚血耐性現象とは
5.興奮性アミノ酸とは
6.脳浮腫の成因は
7.細胞接着分子とは
8.Lupus anticoagulantとは
9.Lp(a)とは? 脳血管障害での意味は
10.アミロイドアンギオパチーとは
11.ガンマナイフの適応は? 手術にまさる点は
12.血管内手術の現況は
13.NOと脳虚血
14.Functional MRI とは
15.脳磁図による診断とは
16.超音波法による診断の現況は
17.ゼノンCT(XeCT)とは
18.無症候性脳梗塞とは
19.未破裂動脈瘤

索 引

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