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書籍詳細

乳癌診療Controversy

乳癌診療Controversy

高野利実 編著 / 伏見淳 編著 / 尾崎由記範 編著 / 渡邉諭美 編著 / 青山陽亮 編著 / 田根香織 編著

B5判 258頁

定価7,480円(本体6,800円 + 税)

ISBN978-4-498-12202-4

2026年06月発行

在庫あり


ガイドラインだけでは見えない景色がある
乳癌診療の現場では,エビデンスに基づいていてもなお意見が分かれる「Controversy」なテーマが数多く存在する.本書では,WJOG乳腺グループ若手会「BRIGHT」メンバーが45のテーマについてControversyをひも解き,エビデンスとエキスパートオピニオンを踏まえた明快な回答を提示する.ガイドラインでは語りきれない個人的見解や微妙なニュアンスも開示した,乳癌診療に関わるすべての医師必携の実践書.

序 文

 本書が発刊される頃,サッカーワールドカップ2026年大会が盛り上がっているはずであるが,前回2022年のサッカーワールドカップカタール大会で,話題になった言葉は,「新しい景色」であった.日本代表が目標とした「ベスト8以上」で見えてくるはずのもので,ベスト16で敗退したあと,森保一監督は,「新しい景色を見ることはできなかったが,選手たちは新しい時代を見せてくれた」と語った.
サッカー日本代表が2026年に「新しい景色」に到達できているかどうかを,この序文執筆中の私は知らないが,本書では,それにさきがけて,乳癌診療領域の「新しい時代」を担う若き日本代表メンバーが,「新しい景色」を見せてくれている.
本書のタイトルは,「乳癌診療Controversy」.薬物療法や支持療法の進歩もあり,乳癌診療の現場では,意思決定に迷う場面が増えてきた.エビデンスや患者さんの価値観に基づいて議論するわけだが,意見が分かれることも多い.世界中でControversyとなっているようなものもあり,日本代表として意見を求められることも多い.
 本書では,日本を代表する臨床試験グループである,西日本がん研究機構(WJOG)の乳腺グループ所属メンバー,特に,乳腺グループ若手会「BRIGHT」のメンバーが中心となって執筆を担当し,45のテーマについて,それぞれの切り口で,Controversyをさばいている.各執筆者が,まずは,Controversyの本質をひも解き,それに対する回答を示し,今後の展望へとつなげており,どれも読みごたえがある.
診療ガイドラインでは,客観的な記載を徹底しなければならない制約があるが,本書では,あえて,各執筆者の個人的見解も許容し,それを熱く論じてもらっている.ガイドラインでは語りつくせないような想いや,微妙なニュアンスも,ここには書かれている.ガイドラインの補足資料として本書を活用していただくというのもよいだろう.
 本書を読んでいて,「それは違うんじゃないのか」と突っ込みたくなったら,ぜひ,身の回りで,あるいは,BRIGHTメンバーと議論していただきたい.医療現場で議論を重ね,そこから生まれるClinical Questionsを臨床研究につなげ,新たなエビデンスを創出していく,というのが「新しい景色」の日常である.
「新しい景色」の先には,本書の読者やBRIGHTメンバーが,世界をリードする臨床研究を行い,ガイドラインを書き換え,世界中の乳癌患者さんに恩恵をもたらすような「新しい世界」が待っている.そのような時代を切り拓いてくれるようなスター選手の登場を待望している.

2026年5月
がん研究会有明病院乳腺内科
西日本がん研究機構(WJOG)乳腺委員長
高野利実

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目 次

治療開発マップをめぐるControversy
  1 周術期HR陽性HER2陰性乳癌の治療開発状況は? 〈藤本祐未〉
  2 周術期トリプルネガティブ乳癌と周術期HER2陽性乳癌の治療開発状況は? 〈北澤 舞〉
  3 転移・再発HR陽性HER2陰性乳癌の治療開発状況は? 〈木澤莉香〉
  4 HER2陽性転移再発乳癌の治療開発状況は? 〈横江隆道〉
EBCをめぐるControversy
  1 Neoadjuvant chemotherapy(NAC)を行う対象は? 〈大西 舞〉
  2 ロボット支援下または鏡視下での乳頭温存乳房切除術(NSM)は,早期乳癌患者にとって本当に有用か? 〈伏見 淳〉
  3 周術期の特殊型TNBCに対してICIは勧められるか? 〈奥村祐太〉
  4 TASによるリンパ節郭清省略は,腋窩リンパ節転移個数によらず推奨されるか? 〈坂井威彦,上野貴之〉
  5 KEYNOTE-522レジメンでpCRが得られた早期TNBCに,術後ペムブロリズマブは本当に必要か? 〈木村優里〉
  6 HR陽性HER2陰性早期乳癌におけるOncotype DX Ⓡの対象の範囲は? 〈山口祐平〉
  7 乳癌診断の診断マーカーで有用なものはあるか? 〈中山裕子〉
  8 BRCA病的バリアントを有する乳癌患者に対する周術期治療は? 〈高橋侑子〉
  9 BRCA陰性トリプルネガティブ乳癌の術前化学療法でnon-pCRとなった症例で最適な術後補助化学療法は何か? 〈船坂知華子〉
 10 HER2陽性EBC Stage Iの最適な周術期治療 〈鶴谷純司〉
 11 HR陽性HER2陰性乳癌pT1bN0M0に内分泌療法は必要か? 〈大川 舞,二村 学〉
MBCをめぐるControversy
  1 局所領域再発切除後に化学療法は必要か? 〈尾崎由記範〉
  2 脳転移に対する薬物療法は有効なのか? 有効な場合はどのような薬剤が有効か? 〈能澤一樹〉
  3 転移再発ホルモン陽性乳癌のCDK4/6阻害薬耐性後の最適な治療は何か? 〈西村明子〉
  4 HER2のheterogeneityは治療効果予測因子となり得るか? 〈成澤瑛理子,黒住 献〉
  5 HER2陽性転移再発乳癌に対して,トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の次治療は何を投与すべきか? 〈中山智裕,渡邉諭美,岩朝 勤〉
  6 免疫関連有害事象出現後に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の再投与は奨められるか? 〈須藤洋崇,松本光史〉
  7 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与を避けるべき対象は? 〈森田充紀〉
  8 転移再発乳癌患者に対する薬物療法においてペグフィルグラスチムによる予防投与は行うべきか? 〈中神 光〉
  9 再発巣の再生検は全例すべきか? あるいは,どのような場合にすべきか? 〈馬場 基〉
 10 ADC(抗体薬物複合体)のシーケンスは有効か? 〈徳永伸也〉
支持療法をめぐるControversy
  1 化学療法に伴う脱毛への対処法は? 〈青山陽亮〉
  2 アンスラサイクリンに対する心機能評価はいつ,何を行うか? 〈足立未央〉
  3 乳癌関連上肢リンパ浮腫(BCRAL)の発症予防と早期診断・早期介入は有用か? 〈田根香織〉
  4 アロマターゼ阻害薬投与中の関節痛の対策は? 〈寺田かおり〉
  5 アベマシクリブに伴う下痢の予防と対策は? 〈増田紘子〉
  6 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)投与時の悪心・嘔吐の適切な対策は? 〈酒井 瞳〉
  7 Cancer related cognitive impairmentに対する対策は? 〈綿貫瑠璃奈〉
  8 ICI使用中・使用後のirAEの適切なフォローアップは? 〈渡邉諭美〉
  9 化学療法誘発末梢神経障害の対処法は? 〈田辺裕子〉
 10 周術期治療におけるAC→TおよびTC療法の適切な使い分けは? 〈向原 徹〉
その他をめぐるControversy
  1 マンモグラフィ検診は費用対効果に優れているのか? 〈飯田雅史,大貫幸二〉
  2 低用量タモキシフェンは乳癌の予防に有用か? 〈若木暢々子〉
  3 高齢乳癌患者において,若年者と同様に癌薬物療法を行ってよいか? 〈山中太郎〉
  4 男性乳癌患者において女性乳癌と同様に癌薬物療法を行ってよいか? 〈三村緋梨,下村昭彦〉
  5 全ての乳癌患者は治験に登録することができるか? 〈古川孝広〉
  6 遺伝子パネル検査実施のタイミングと提出に適切な検体について 〈須藤一起〉
  7 生活習慣・環境因子のコントロールで乳癌の予後が良くなるか? 〈後藤 航〉
  8 治療方針決定,SDMにおける多職種介入や多職種カンファレンスの重要性は? 〈青儀健二郎〉
  9 臨床研究において患者市民参画(PPI)をどのように進めていくべきか? 〈谷野裕一〉
COLUMN
 世界にインパクトのある臨床試験を行うためには? 〈高野利実〉

索引

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執筆者一覧

高野利実 がん研究会有明病院乳腺内科 西日本がん研究機構(WJOG)乳腺委員長 編著
伏見淳 東京慈恵会医科大学外科学講座 乳腺・内分泌外科 編著
尾崎由記範 がん研究会有明病院乳腺内科 編著
渡邉諭美 近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門 編著
青山陽亮 がん研究会有明病院乳腺内科 編著
田根香織 兵庫県立がんセンター乳腺外科 神戸大学大学院医学研究科乳腺内分泌外科学 編著

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