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書籍詳細

実践で学ぶ内科の作法―看護と診療をつなぐ知と技術―

実践で学ぶ内科の作法―看護と診療をつなぐ知と技術―

越田全彦 著

A5判 262頁

定価4,950円(本体4,500円 + 税)

ISBN978-4-498-12030-3

2026年05月発行

予約受付


今夜からの夜勤、もう怖くない!
内科診療は広く,そして奥深く,限られた情報から適切な判断を下す実践的な力が求められます.本書は,洛和会音羽リハビリテーション病院での勉強会を基に,看護師や若手医師が「内科の勘所」を根本から理解できるようまとめたられました.診断推論の基礎や症例提示の作法に加え,救急疾患からよくみる内科疾患、医療倫理の話題まで幅広く網羅しました.看護師や若手医師が臨床現場で自信を持って判断・報告できるようになるための実践的ガイドとして活用ください.




 内科診療は広く奥深い領域です.日常診療では,限られた情報の中から患者さんの状態を理解し,適切な判断を下さなければなりません.そのためには単なる知識の集積だけではなく,診断推論の考え方,臨床現場での着眼点,適切なプレゼンテーション(報告)の方法など,実践的な力が求められます.
 私は2020年10月,京都の山科地区の救急医療を支える洛和会音羽病院から,慢性期医療を担う洛和会音羽リハビリテーション病院に異動しました.慢性期病院の看護師たちはケアに非常に熱心ですが,内科的知識の習得や緊急時の対応,医学的な報告に苦労している場面が少なくないように思われました.何か自分にできることはないかと考え,教育担当の看護師に相談したところ,2023年1月から病棟看護師を対象に内科勉強会をさせていただくことになりました.
 勉強会を続ける中で,看護師たちから
「看護師にこんなに熱心に教えてくれるドクターは珍しいです」
「根本から理解している人の話は,やはりわかりやすい」
といった嬉しい言葉をいただくことがありました.特に,報告の仕方を詳しく説明した点は高く評価されたようです.
 勉強会のスライドが次第に貯まってきた頃,いっそのこと,この内容を書籍にしてしまえば良いのではないか,と考えるようになりました.看護師に熱心に教える医師がそれほど多くないのであれば,私の書く本にも一定の需要があるのではないかと思ったのです.

 この本がどのような本なのか.その内容,対象,効能,特色を簡潔に説明すると,次のようになると思います.

【内容】
 内科診療のエッセンスを濃縮して詰め込んであります.診断推論のプロセス,よく遭遇する疾患の概要と注意点,上手なプレゼンテーション(報告)の仕方,知識と技術の磨き方,果ては医療倫理までを,一応網羅しています.
【対象】
・意欲的な看護学生
・新人からベテラン,教育的立場にある看護師を含むすべての看護師
・医学生,研修医
・内科ではない領域で研鑽を積んだ後,内科への転向を考えているベテラン医師
【効能】
・内科の診断推論がどのようなものかを理解できるようになります.
・プレゼンテーション(報告)が上手くなります.
・よく遭遇する内科疾患の知識が増え,看る・診るべきポイントがわかるようになります.
・自分を磨く技術が向上する(かもしれません).
・医療倫理についてより深く考えられるようになる(かもしれません).
【特色】
・エビデンスの嵐ではなく,筆者の実践経験から紡ぎ出された言葉によって書かれています.
・読みやすい文章で平易に書いていますが,レベルは決して低くないと自負しています.
・解剖生理から説き起こし,新しいエビデンスによって簡単には上書きされない,基本的で実践的な事柄を中心にまとめました.
・『実践で学ぶ内科の作法』という書名にある通り,各論の章末に「実践演習」を設けています.学習者が例示された症例を,自分の頭で整理し,自分の言葉で医師に報告する練習を行うことで,効率的に知識と技術を身につけられるように工夫しました.

 特に筆者が願っているのは,内科を勉強したいと思いながらも,何から始めて良いのかわからない新人看護師の助けとなることです.
 そして,それと同じくらいに願うのは,内科以外の専門領域から内科領域へ,特に慢性期医療や訪問診療の分野へ転向することを考えている先生方の助けになることです.
 私自身,血液内科を6年間経験した後,洛和会音羽病院の総合診療科で内科を学び直しましたが,その時は大変苦労したものです.というのは,一度血液内科の型が出来上がってしまうと,新しい流儀を学ぶために,せっかく覚えた「血液内科の型」をいったん捨てなければならないからです.いや,ある技術を身につけたときに,知らず知らずのうちに体に染みついた癖は,新しい技術を身につけるためには邪魔になるので,その癖を矯正していく必要があった,と言ったほうが正確かもしれません.しかも若い頃とは違い,物覚えもだんだん悪くなってきます.別の専門領域を持ちながら新たに内科を学ぼうとされるベテラン医師の苦労を,この本が少しでも和らげることができたなら本望です.
 現在の日本は高齢社会であり,2035年には高齢化のピークを迎えるとされています.疾病構造は変化し,慢性期医療や在宅診療のニーズは今後さらに高まるでしょう.総合内科の力は,この領域において非常に強力な武器になります.しかし,だからといって内科一筋で来た医師だけが慢性期医療や在宅診療を担うべきだとは思いません.薬疹や褥瘡などの皮膚疾患,せん妄や認知症などの精神・神経疾患,圧迫骨折などの整形外科疾患は高齢者に非常に多く,内科以外の領域の医師が活躍できる場面は少なくありません.
 卒後15年以上を経た非内科の医師が第二のキャリアを考えるとき,慢性期医療や在宅診療という選択肢に目を向け,それぞれの専門性を活かして活躍していただけたら私たちにとって大変心強いことです.そのとき本書が,内科診療を学ぶための小さなナビゲーターとなれるでしょう.

 本書は,新人看護師の最初の一歩を支え,非内科の医師が内科へ踏み出す際の負担を軽くすることを強く意識して書きました.しかし同時に,日々の臨床の中で「もう一度内科を基礎から見直したい」と感じているすべての看護師,医学生,研修医にとっても,何らかの気づきや手がかりを与える一冊であってほしいと願っています.忙しい臨床の合間に,必要なところから読み進めていただき,自分なりの理解を少しずつ積み重ねていってください.
 本書が,皆さまの診療やケアの現場で静かに寄り添い,長く使われる一冊となれば,著者としてこれ以上の喜びはありません.

  2026年初春
越田全彦


本書の構成と利用方法
 本書の第1章から第4章および第21章は総論,第5章から第20章は各論として構成されています.
 まずは第1章から第4章までを順にお読みください.これらは本書の核となる内容です.
 第5章から第20章は各章が独立しているため,総論を読んだ後は関心のある章から読み進めることができます.
 第21章は医の倫理を扱う総論的内容ですが,必ずしも最初に読む必要はありません.
 各章の冒頭には内容の要点をまとめているので,知識の整理にご活用ください.
 各論は概ね,概念,解剖生理,疫学,症状,検査,治療,看護師がすべきこと,実践演習の順で構成されています.
 実践演習の舞台は洛和会音羽リハビリテーション病院です.そのため急性期病院に勤務する読者には違和感を覚える記述が含まれる場合がありますが,扱うテーマはどの医療現場にも通用する普遍的な内容を意図しています.

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目 次
 
第1部 総論

第1章 内科の症候学と診断学の初歩
 1.看護とは
 2.総論と各論
 3.症候=主訴(自覚症状)+他覚所見
 4.現病歴
 5.患者背景,特に併存疾患
 6.ケースカンファレンス
第2章 もう困らない!  上手な症例提示の仕方
 1.何のための症例提示か
 2.症例提示の型
 3.症例提示の具体例
  1)医師への報告
  2)看護師同士の申し送り
第3章 臨床的疑問:EBM/EBNの出発点
 1.EBM/EBNとは
 2.臨床的疑問:背景疑問と前景疑問
 3.何が知りたいのかを明確にする
 4.前景疑問をPICOで構造化する
 5.情報源の階層:6Sモデル
第4章 業務改善:EBM/EBNの一つの帰結〜PDCAサイクルの活用〜
 1.PDCAサイクルとは何か
 2.PDAサイクルの実践例
 3.患者の価値観

第2部 各論・救急疾患編

第5章 急性冠症候群
 1.概念と解剖
 2.危険因子
 3.症状
 4.検査
  1)心電図
  2)血液検査
  3)心臓超音波検査
  4)さらなる検査と治療
 5.看護師がすべきこと
 6.実践演習
第6章 急性大動脈解離
 1.概念と解剖
 2.危険因子
 3.症状
  1)突然発症の胸部痛・背部痛
  2)急性大動脈解離の合併症
 4.検査
  1)確定診断
  2)補助的検査
 5.看護師がすべきこと
 6.実践演習
第7章 気胸
 1.概念と解剖
 2.危険因子
  1)ブラ・ブレブの存在
  2)若年・やせ型男性
  3)喫煙
  4)家族歴・遺伝的背景
 3.症状
 4.身体所見と検査
 5.看護師がすべきこと
 6.実践演習
第8章 腸閉塞・イレウス
 1.概念と解剖
  1)腸閉塞
  2)イレウス(従来の機能的イレウス)
 2.危険因子
 3.症状
  1)腹部膨満
  2)腹痛
  3)食欲不振
  4)嘔気・嘔吐
  5)排便・排ガスの停止
 4.身体所見と検査
 5.治療
  1)水・電解質の補正
  2)腸管減圧
  3)抗菌薬投与
  4)手術
 6.看護師がすべきこと
 7.実践演習
第9章 消化管出血
 1.概念と解剖
 2.危険因子
  1)食道出血
  2)胃出血
  3)十二指腸出血
  4)空腸・回腸出血
  5)大腸出血
  6)直腸出血
  7)肛門出血
 3.症状
  1)吐血
  2)下血・血便
  3)腹痛
  4)咳,低酸素
 4.身体所見と検査
  1)身体所見と観察のポイント
  2)検査
 5.治療
 6.看護師がすべきこと
 7.実践演習
第10章 脳卒中
 1.概念と解剖
 2.脳卒中の危険因子
  1)脳梗塞の病型と危険因子
  2)脳出血・くも膜下出血
 3.症状
  1)麻痺
  2)感覚障害
  3)意識障害
  4)頭痛
  5)嘔吐
 4.身体所見と検査
  1)身体所見と観察のポイント
  2)検査
 5.治療
  1)脳梗塞の治療
  2)脳出血の治療
  3)くも膜下出血の治療
  4)リハビリテーション
 6.看護師がすべきこと
 7.実践演習
第11章 高血糖緊急症と低血糖
 1.概念
  1)糖尿病ケトアシドーシス(DKA)
  2)高浸透圧高血糖症候群(HHS)
 2.危険因子
 3.症状
  1)高血糖の症状
  2)低血糖の症状
 4.身体所見と検査
  1)身体所見
  2)検査
 5.治療
 6.看護師がすべきこと
 7.実践演習
第12章 敗血症・敗血症性ショック
 1.概念
 2.危険因子
 3.症状
 4.身体所見と検査
  1)身体所見
  2)検査
 5.治療
 6.看護師がすべきこと
 7.実践演習

第3部 各論・よくある内科疾患編

第13章 心不全
 1.循環器系のメカニズム
  1)概観
  2)血圧を表す式
  3)末梢血管抵抗について
  4)心拍出量について
  5)もう一つの要素,循環血液量
  6)後負荷と前負荷,左心不全と右心不全
 2.心不全
  1)定義
  2)病態
  3)症状と身体所見
  4)検査
  5)治療
  6)看護のポイント
 3.実践演習
第14章 心房細動
 1.定義
 2.病態
 3.疫学
 4.原因
 5.症状
 6.身体所見
 7.検査
  1)心電図
  2)心臓超音波検査
 8.治療
  1)抗凝固療法
  2)心拍数調節療法(レートコントロール)
  3)除細動
  4)カテーテルアブレーション
 9.看護のポイント
 10.実践演習
第15章 深部静脈血栓症
 1.定義
 2.病態
  1)血流うっ滞
  2)静脈壁障害
  3)凝固能亢進
 3.症状
 4.検査
 5.治療
 6.看護のポイント
 7.実践演習
第16章 糖尿病
 1.定義
 2.病態
  1)急性期の病態
  2)慢性期の病態
 3.原因・危険因子
 4.症状
  1)急性期の症状
  2)慢性期の症状
 5.身体所見と検査
  1)身体所見
  2)検査
 6.治療
 7.看護のポイント
 8.実践演習
第17章 感染症
 1.感染症総論
  1)感染症を成立させる3つの要素
  2)病原体の種類
  3)宿主
  4)感染経路
  5)感染症の種類
  6)感染症の検査
  7)感染症の治療
 2.感染症各論
  1)肺炎
  2)尿路感染症
  3)蜂窩織炎
 3.看護のポイント
 4.実践演習
第18章 気管支喘息,COPD(慢性閉塞性肺疾患)
 1.呼吸器系の解剖
  1)気道と肺胞
  2)胸郭
  3)胸腔
  4)呼吸筋
  5)神経
 2.呼吸生理
  1)換気とガス交換
  2)肺胞換気のメカニズム
  3)酸塩基平衡
 3.主な慢性呼吸器疾患各論
  1)気管支喘息
  2)慢性閉塞性肺疾患(COPD)
 4.看護のポイント
 5.実践演習
第19章 血液・免疫・アレルギー疾患
 1.血液細胞と血球計算
  1)血球計算
  2)正常値
 2.造血器系の概観
  1)概論
  2)血液細胞各論(末梢血)
  3)造血因子
 3.血球数の異常に起因する症候
  1)血球減少に伴う症候
  2)血球増加に伴う症候
 4.造血器腫瘍
  1)造血器腫瘍概論
  2)造血器腫瘍の症候
  3)造血器腫瘍各論
 5.免疫システムの概要
  1)自己と非自己
  2)自然免疫と獲得免疫
  3)抗原と抗体
  4)アレルギー
 6.アナフィラキシーショック
  1)概念と病態
  2)疫学・原因
  3)症状
  4)検査と診断
  5)治療
 7.看護のポイント
 8.実践演習
第20章 腎泌尿器疾患
 1.腎泌尿器系の概観
  1)解剖と生理
  2)恒常性の維持
 2.腎泌尿器系の症候
  1)尿量の異常
  2)排尿に関する症候
  3)尿の色調・性状の変化
 3.腎泌尿器疾患各論
  1)腎不全
  2)尿路結石
  3)神経因性膀胱
 4.看護のポイント
 5.実践演習

第4部 医の倫理

第21章 DNARを超えてACPへ向かう医療
 1.何のための医療か
 2.医療の選択
 3.DNARという言葉の呪い
  1)DNAR=何もしない,という誤解
  2)Codeを早急に決めなければいけない,という誤解ないしは強迫観念
  3)DNARは金科玉条である,という誤解
 4.患者さんの言う「自然な最期」とは?
  1)実は曖昧な「自然」という言葉
  2)あるケース
  3)例えば窒息は自然死か?
  4)「自然な最期」を求める患者・家族の真意
 5.医療倫理の四原則
 6.看取りに向けたケアのフェーズ分類
 7.ACPという言葉の意味を正確に理解し適切に使う
 
あとがき
索引
 
 
Column
 1 痛みのOPQRST
 2 記憶より記録
 3 タイプA行動パターン
 4 5 killer chest pain
 5 NSAIDs潰瘍
 6 中枢性顔面神経麻痺と末梢性顔面神経麻痺
 7 心不全のさまざまな分類
 8 急性動脈閉塞と急性静脈閉塞
 9 偽膜性腸炎
 10 抗がん薬の副作用
 

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執筆者一覧

越田全彦 洛和会音羽リハビリテーション病院在宅医療支援センター副部長 著

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