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書籍詳細

イベント心電図

モバイル心電図・伝送心電図の臨床

イベント心電図

小沢友紀雄 著

B5判 200頁

定価5,060円(本体4,600円 + 税)

ISBN978-4-498-03764-9

2004年04月発行

在庫なし

イベント心電図(発作時心電図)とはどのようなもので,どのように臨床でもちいたらよいかについて具体的に述べた我が国初の解説書.
要に応じて12誘導心電図の波形と対比させてイベント心電図の波形の解釈を多数の実例により解説した.
不整脈や心筋虚血の診断に今後広く普及する本心電計の有用性と実際を分かり易く示した.

序文
 イベント心電図(Event ECG)は主としていつどこで起こるかわからない発作時(症状のあるとき)の心電図を検討するものである.そして一般的には小型のモバイル心電図(mobile ECG)ともいうべき携帯用心電計が用いられ,電話伝送心電図(Transtelephonic ECG)としての機能を有するものが多いが,電話以外のネットワークを利用したものもある.通常ホルター心電図が連続した24時間の心電図のモニターであるのに対して,イベント心電図はあくまでも症状をターゲットとした長期間にわたる非連続心電図モニターである.欧米ではすでに一般化してホルター心電図に匹敵する頻度で使用され,診療報酬もホルター心電図より高い請求がなされている.本邦でもイベント心電図がようやく保険点数を請求できるようになり,一般に普及しつつある.
 一方では,イベント心電図の伝送機能を利用して,患者以外の一般人を対照とした心臓の健康管理に役立たせようとの試みがある.この場合の心電計は家庭用心電計とでも言うべきものであり,中には携帯用でなく家庭内に固定設置して利用するものもある.
 突然死の大部分が心臓に起因し,その救命率を如何に向上させるかが現在大きな問題になっている.欧米では一般市民への救命処置の教育や,自動電気的除細動器を広域に設置し,医師でなくてもそれを使用できる方向での展開がみられ,アメリカ心臓協会(American Heart Association)から,心肺蘇生と救急心血管治療のための国際ガイドライン2000が発表されている.これらの目的は,救命が必要な心臓発作を起こしたときの速やかな対処法の進展と一般化であり,そのような場合には心電図記録より救命処置を先行すべきなのは言うまでもない.
 しかし,致命的な結果をまねく前の対処法はもっと重要な課題であり,心電図はより広い領域での利用や判読に対する理解が求められる時代になった.そしてイベント心電図は家庭用心電図としても簡単に利用できるよい方法の一つであり,臨床のみならず,予防医学の面からも心臓病の早期発見・早期治療のために有効な方法である.
 私どもは本邦で早くから,イベント心電計の一つである小型携帯用電話伝送心電図の開発に関与してきたので,その経験をもとに臨床応用から,心臓健康管理での利用など,イベント心電図の利用法を解説し,その有用性と注意点などを本書にまとめてみた.
 本書が広く臨床にたずさわる医師・検査技師・看護師・学生をはじめ,救急救命士などの救急現場や心電図に興味を持つ多くの方々のお役に立てば幸いである.
 本書の出版にあたり,イベント心電図の発展に協力して下さった日本大学医学部付属板橋病院循環器科,循環機能検査室の皆さん,およびカードガードジャパン解析センターの和田さんに感謝します.
 また,本書の出版を実現して下さった中外医学社の青木三千雄社長および企画頂いた荻野邦義氏,編集の秀島悟氏に感謝します.

2004年春
小沢 友紀雄

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目 次

第1章イベント心電図
A.イベント心電図とは? その歴史
B.イベント心電図の臨床的有用性
C.ホルター心電図との違い
D.イベント心電図と伝送心電図
E.イベント心電図にはどのような種類があるか
F.イベント心電図の誘導と診断
G.イベント心電図の波形
 1.12誘導心電図との比較
 2.誘導部位と得られる波形
 3.誘導部位のズレの影響
H.イベント心電図の記録不良と対応
 1.電極の極性(プラスとマイナス)の間違い
 2.誘導位置のズレ
 3.基線の動揺
 4.筋電図の混入
 5.交流障害あるいは交流様ノイズ
 6.電極と皮膚との接触不良
I.ノイズの多い記録からでもなるべく多くの情報を収集する
 1.波形を頭(目)でスムージングして判読する
 2.かなりひどいノイズであっても,R波から不整脈を診断できる
 3.不整脈以外の心電図診断は,全体の記録中から最低連続3心拍安定した
   記録部分があれば可能である
 4.QRSにはT波が連動している
 5.P波が不明瞭なときは,数心拍のP波らしいものの再現性で判断する
 6.ノイズが不整脈にみえたときの判定
J.不整脈以外の異常心電図診断

第2章イベント心電図の使われかた
A.イベント心電図の伝送システム,いわゆるモバイル心電図
B.伝送されたイベント心電図の解析と報告
C.家庭用伝送心電計
D.病院や医院での使われ方と保険点数
 1.病医院がイベント心電計の受信システムを購入した場合
 2.病医院が受信センターを利用する場合
E.健康管理としての使われ方
F.運動負荷心電図としての使い方
G.一般人を対象としたスクリーニング
H.スポーツクラブを対象とした成績
I.保健活動や農村や離島などの遠隔地での利用
J.多忙な都会人を対象とした利用(都会型)
K.イベント心電図の緊急度判定マニュアルの例
L.臨床治験での使用
M.患者の精神安定に対する効果
N.ペースメーカーのチェックとしての利用
O.海外からの送信

第3章イベント心電図の臨床実例
A.心臓突然死と心電図所見
 1.死に連結する心電図所見
 2.心室細動に直結する心電図所見
 3.心室静止に直結する心電図所見
 4.危険な不整脈の心電図所見
 5.不整脈以外の危険な心電図
B.イベント心電図の実例
 1.イベント心電計Card Guard CG-6106による検討
 2.イベント心電計Card Guard CG-2100による検討
 3.症例の解析
  1.失神,ふらつき感でのイベント心電図
  2.動悸,心悸亢進,息切れなどでのイベント心電図
  3.胸痛,胸部圧迫感,胸部不快感でのイベント心電図
  4.その他の種々な症状時のイベント心電図
  5.症状のないときのイベント心電図の利用
  6.日常生活の行動とイベント心電図
  7.Brugada症候群のイベント心電図
  8.ペースメーカー植え込み患者のイベント心電図
  9.抗不整脈薬投与中のイベント心電図

おわりに
参考文献
索引

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執筆者一覧

小沢友紀雄  著

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