図解 薬理学
高木博司 他著
B5判 383頁
定価6,380円(本体5,800円 + 税)
ISBN978-4-498-00307-1
1992年発行
在庫なし
図解 薬理学
高木博司 他著
B5判 383頁
定価6,380円(本体5,800円 + 税)
ISBN978-4-498-00307-1
1992年発行
在庫なし
薬理学の講義に際しては,化学構造式,薬物の作用点や作用機序の図表をノートに写すことが多いが,書き違いの恐れもあり,かつ煩雑なことでもある.本書はこうした図表をまとめたサブノート“目でみる薬理学”として好評を博してきたが,この度改訂し,最新の内容とした.より正確な,能率のよい学習のためにおすすめする.
序
旧版「図解薬理学」の刊行以来,すでに9年余りの歳月が経過したので,旧版作製時の精神を生かしながら,内容を全く一新することを計画した.
とかく,無味乾燥になりがちな薬理学講義を,少しでも理解し易くするために,また学生諸君の薬理学への興味を少しでも呼び起こすことができるようにとの意図を,旧版以上に盛り込むために,元の執筆者3人(岩田,植木,高木)の他に,新執筆者として瀬川,田坂,宮田の3人が加わり,6人が互いにそれぞれの分担原稿を持ち寄って,全員が1頁から最終頁まで目を通し,何回も,長時間検討を加え,練り上げた結果でき上がったのが本書である.
新版では,その後に登場した新薬を加えるとともに,旧い薬は削除し,新しい章や図表を追加し,ほとんどの表を書き直し,できるだけオリジナルな形のものにするよう努力を重ねた.また旧版では図表の背景となる基礎的な説明が不十分な箇所もあったので,新版ではそれらの点も改善したつもりである.
したがって本書は全く新しい著書といってもよい程,内容を一新した.
本書が教材として,また参考書としてお役に立てば誠に幸いである.
なお本書執筆にあたり,下記の3氏の多大の御協力を得た.ここに厚く感謝する次第である.
佐藤公道(京都大学薬学部薬理学助教授)
野村靖幸(富山医科薬科大学和漢研究所教授)
藤井俊志(九州大学医学部附属病院薬剤部薬品情報室掛長)
1985年1月
高木博司
植木昭和
岩田平太郎
瀬川富朗
田坂賢二
宮田健
初版の序
薬理学の講義の際に,私達は薬物の化学構造式の一覧表や,薬理作用に関する図などを各自がプリントして学生諸君に配布したり,あるいは黒板上に書いたりすることを長年やってきた.しかし各講義の前にプリントを準備することは実際上なかなか手間もかかり,また黒板に書いた構造式や図をノートに写す場合,書き間違いのおそれもある.そこで化学構造式や図表を印刷した簡単な本があれば便利であろうと常々考えていた.たまたま同じようなことをドイツでも考えたらしく,LEMBECKとSEWINGによりほぼ上記の趣旨に沿った小冊子(Pharmacological facts and figures)が出版された.これが刺激になって,わが国でもこのような本が欲しいということになり,岩田の呼びかけに高木と植木が賛同し,3人がそれぞれ図表類を持ちより,検討を加えた結果まとまったのが本書である.しかしながら,本書はLEMBECKとSEWINGの本の単なる模倣ではなく,更に充実し,体系化したものを狙ったつもりである.
一枚の良い図が薬物の作用点や作用機序の理解にどんなに有用であるかは多言を要しないであろう.しかし明解な図を作るためにはためには可成りの単純化が必要であり,一方単純化が行きすぎると真実がゆがめられるおそれも出てくる.図の作製や選択に当り,この辺のバランスをどうとるかという点に苦心をはらった.図は出来るだけ本書独自のものを作るよう努力したが,それでも他の成書や論文から借用したり作図上のヒントを得たりしたことも少なくない.借用した図については原著者名を記して敬意を表した次第である. 化学構造式については出来るだけ新薬のそれを採用するように配慮したが,臨床評価の定まっていないものや古い薬で使用されていないものは歴史的に必要なもの以外は省いた.なお化学構造式の表示法については,神戸女子薬科大学の二宮一弥教授(薬化学)にお願いして,原稿に目を通していただき,内容の統一や訂正をしていただいた.ここに二宮教授の御助力に対し厚く御礼申し上げる次第である.
著者らはこの本が完璧なものとは思っていないが,一応講義の教材用として必要最少限を満たすよう努力したつもりである.万一本文中に間違いや,脱落などがあれば講義者や読者から御注意いただければ幸いである.
最後に,本書の企画から出版までの長い間,終始御助力頂いた中外医学社の青木三千雄,鴨志田和夫両氏に感謝する.
1974年11月22日
著者
目次
§1.総論
薬理学の基礎となる領域および関連領域
薬理学の内容
各種投与ルートによる薬物の吸収,分布,代謝,排泄
薬物の作用点
作用点からみた薬物の分類
レセプターモデルの1例
薬物とレセプター結合後におこる細胞膜および細胞内における物質の動き
マグヌス装置による摘出小腸の運動記録法の1例
用量-反応曲線
graded response
quantal response
bell-shape dose-respons curve
時間-反応曲線
薬効に影響を及ぼす諸因子
薬物代謝の生化学的反応の型
肝ミクロゾームの電子伝達系と薬物代謝
新医薬品の開発
医薬品副作用情報収集および伝達機構
プラセボ効果
薬物乱用
§2.中枢神経に作用する薬
中枢神経の区分
中枢神経作用薬研究法
薬物による一般症状および行動変化の観察
電気生理学的研究
薬物の脳内投与法
生化学的研究
形態学的研究
神経伝達物質
アミン系
アミノ酸系
ペプチド系
シナプスにおける薬物の作用点の可能性
血液-脳関門
全身麻酔薬
吸入麻酔薬
静脈麻酔薬
催眠薬
benzodiazepine
barbiturates
その他
エタノールの体内における代謝
エタノール血中濃度と中毒症状
鎮痛薬
鎮痛効力試験法
各種痛み刺激の知覚神経への作用と疼痛反応
痛覚求心路と鎮痛薬の作用部位
アヘンアルカロイドおよびその関連鎮痛薬
合成麻薬性鎮痛薬
拮抗性鎮痛薬
付)麻薬拮抗薬
解熱性鎮痛薬(消炎鎮痛薬)
特殊な疼痛に用いられる薬物
諸種鎮痛薬の薬理学的特徴
抗けいれん薬(抗てんかん薬)
てんかんの分類
barbiturates
deoxybarbiturates
hydantoins
oxazolidinediones
succinimides
acetylureas
iminostilbenes
benzodiazepines
valpronic acid
その他
向精神薬
主な精神障害
向精神薬の行動薬理学的作用評価
向精神薬の分類
抗精神病薬
抗うつ薬
抗不安薬
抗精神病薬,抗うつ薬,抗不安薬の作用の一般的比較
精神異常誘発物質
抗パーキンソン病薬
パーキンソン病
錐体外路系の主要な線維連絡と伝達物質
付)パーキンソン病発症関連物質
中枢性骨格筋弛緩薬
中枢興奮薬
おもな脳内作用部位による分類
strychnineのシナプス後抑制作用
§3.局所麻酔薬
哺乳類の神経線維の分類
局所麻酔の方法
局所麻酔薬の作用機序
エステル型
アミド型
キノリン系
その他
寒冷麻酔薬
代表的局所麻酔薬の適用濃度と作用持続
§4.自律神経薬
自律神経系模式図
自律神経系および運動神経系の神経伝達物質による分類
自律神経線維の解剖学的特徴
交感,副交感神経の主要器官に対する効果
自律神経薬の分類
コリン作動薬
コリン作動神経におけるAChの合成,貯蔵,遊離と薬物の作用部位
AChおよびその類似薬物
各種cholinesterの作用比較
acetylcholineレセプター(サブタイプ)の種類
コリン作動性レセプターの分類
AChによる血圧下降とatropine投与後のACh大量による血圧上昇
ACh以外のコリン作動薬
アセチルコリン レセプターを介する生化学的反応
可逆的抗コリンエステラーゼ薬
有機リン化合物
コリンエステラーゼ再賦活薬
アセチルコリンエステラーゼの活性中心モデルと基質および阻害薬との結合様式
抗コリン作動薬
ベラドンナアルカロイドおよびその関連薬物
合成抗ムスカリン薬
アドレナリン作動薬
アドレナリン作動ニューロンの構造
noradrenaline含有ニューロン終末におけるNAの生合成,貯蔵,遊離
noradrenalineおよびadrenalineの生合成
noradrenalineおよびadrenalineの主要な代謝経路
アドレナリンレセプターの種類と機能
αおよびβレセプターのサブタイプの分類,局在,機能と作用メカニズム
おもなアドレナリン作動薬
3種のcatecholaminesの循環器効果比較
アドレナリンαレセプター遮断薬
アドレナリンβレセプター遮断薬
3種のcatecholaminesの血圧作用と遮断薬の効果
adrenalineのβ効果の発現機構
付)中枢神経系のアドレナリンレセプターに作用する薬物
アドレナリン作動ニューロン抑制薬
神経節遮断薬
各種臓器における自律神経の優位性と節遮断薬の効果
神経節遮断薬
神経節刺激薬
交感神経節に作用する薬物の作用部位
ドーパミンレセプターの分類
§5.環状ヌクレオチド
cyclic-AMP 生成と分解
筋肉内グリコーゲンホスホリラーゼのアドレナリンによる活性化
cyclic-AMPを介して効果をあらわすホルモン
§6.運動神経骨格筋接合部遮断薬
運動神経骨格筋接合部
運動神経興奮から骨格筋収縮まで
興奮-収縮連関
運動神経筋接合部遮断をおこす条件
運動神経骨格筋接合部遮断薬
競合的遮断薬
脱分極性遮断薬
二相性作用型
競合的遮断薬と脱分極性遮断薬の比較
§7.呼吸器に作用する薬
呼吸運動調節機構
呼吸興奮薬
呼吸鎮静薬
鎮咳薬
咳の原因
咳の受容器の分布状態
咳反射の経路
中枢性鎮咳薬
末梢性鎮咳薬
気道の清浄化機構
去痰薬
気道分泌促進剤
気道粘液溶解剤
防腐性去痰剤
その他
§8.循環器に作用する薬
心臓のポンプ作用
心臓の刺激伝導系
心臓反射
心臓神経
心臓神経の作用
心電図
うっ血性心不全
強心薬
強心配糖体
強心配糖体以外の強心薬
狭心症治療薬
亜硝酸化合物
平滑筋弛緩薬
カルシウム拮抗薬
アドレナリンβレセプター遮断薬
不整脈治療薬
不整脈
不整脈治療薬の分類
不整脈治療薬の作用機序による分類
高血圧症治療薬
血圧
高血圧症
高血圧症治薬の分類
高血圧症に用いる薬物の作用点
ショックとその治療薬
ショック
ショックの種類と治療薬
末梢血管拡張薬
末梢血行障害
末梢血行障害に用いる血管拡張薬
動脈硬化症に用いる薬物
動脈硬化症
動脈硬化症治療の原則
§9.利尿薬
尿の生成
ネフロン 171 尿生成の機構
尿細管における水-電解質の再吸収
クリアランス
尿細管における酸塩基平衡の調節
重炭酸塩の再吸収
酸性尿の生成
アンモニアの排泄・K+の排泄
浮腫
浮腫の原因
心臓性ならびにネフローゼ性浮腫の発生機序
利尿薬
浸透圧性利尿薬
炭酸脱水酵素阻害薬
benzothiadiazidesおよびその類似化合物
HENLE上行脚に作用する利尿薬
カリウム保持性利尿薬
xanthine誘導体
§10.血液および造血臓器に作用する薬
貧血治療薬
人体内における鉄
鉄の体内における動態
鉄吸収機序
ヘモグロビンの構造と酸素と炭酸ガス結合
骨髄での赤血球新生
erythropoietine
貧血
貧血に対して用いる薬物
血液凝固に影響を与える薬物
血液凝固
線維素溶解
フィブリンの形成とその溶解
抗凝血薬
血液凝固促進薬
抗プラスミン薬
血液代用薬
§11.オータコイドおよびその関連薬物
ヒスタミンおよび抗ヒスタミン薬物
ヒスタミンのおもな作用
ヒスタミンの生合成,分解経路
組織ヒスタミンの遊離要因
compound 48/80によるヒスタミン遊離機序
ヒスタミン遊離抑制作用をもつ薬物
H1-receptor agonist
H1-blockerの薬理作用
おもなH1-blocker
H1-blockerの構造活性相関
H2-receptor agonist
H2-blockerのおもな薬理作用と副作用
おもなH2-blocker
セロトニンおよび抗セロトニン薬
セロトニン生合成とおもな代謝経路
セロトニンの体内分布
セロトニンの作用
セロトニンと疾患
抗セロトニン薬
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系
アンジオテンシンIIの生成
アンジオテンシンIIの薬理作用
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の循環器ホメオスタシスにおける役割
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系抑制薬
血漿キニン類
キニンの生成と分解
カリクレイン-キニン系
キニンの整理作用
カリクレイン-キニン抑制薬
プロスタグランジンおよび関連物質
プロスタグランジンおよび関連化合物の分類
PGおよび関連化合物の生合成
PGおよび関連化合物の代謝
PGおよびLTの生理作用
PGの合成阻害薬
ロイコトリエン拮抗薬
PGの臨床的応用
血小板活性化因子
PAFの主な生理作用
PAF拮抗薬
§12.ホルモンおよびホルモン拮抗薬
下垂体ホルモン
下垂体前葉ホルモン
下垂体中葉ホルモン
下垂体後葉ホルモン
下垂体ホルモンの分泌と生理作用
副腎皮質ホルモン
副腎皮質ホルモンの作用比較
副腎皮質ホルモンの生合成
糖質コルチコイド
鉱質コルチコイド
合成副腎皮質ホルモン
構造活性相関
副腎皮質ホルモン生合成阻害薬
男性ホルモン
合成男性ホルモン
女性ホルモン
卵胞ホルモン
黄体形成ホルモン
蛋白同化ステロイド
甲状腺ホルモン
thyroxine・triiodothyronine
カルシトニン
上皮小体ホルモン
膵臓ホルモン
付)唾液腺ホルモン
§13.抗炎症薬
炎症
抗炎症薬
抗炎症薬のスクリーニング法
抗炎症薬の分類とその作用時期
ステロイド性抗炎症薬
非ステロイド性抗炎症薬
§14.痛風治療薬
痛風
プリン代謝
§15.免疫薬理
免疫の成立とアレルギー反応
アレルギー反応の分類と特徴
I型アレルギー
II型アレルギー
III型アレルギー
IV型アレルギー
薬物アレルギー
免疫グロブリンの物理的および生物学的性状
IgGのサブクラス
免疫抑制薬
アルキル化物質
代謝拮抗薬
副腎皮質ステロイド
cyclosporine A
抗リンパ球血清および抗リンパ球グロブリン
付)免疫抑制薬の副作用
免疫調節薬
合成薬
生物学的物質
抗アレルギー薬 気管支喘息治療薬を中心として
気管支喘息の病態生理と治療対策
β2レセプター興奮薬
気管支平滑筋弛緩薬
抗アレルギー薬
糖質コルチコイド
抗コリン作動薬
補助療法
§16.消化器に作用する薬
消化管壁の構造
胃腺の分布と構造
消化薬
健胃薬
消化管ホルモンの生理作用
消化性潰瘍の成因と治療薬の作用機序
消化性潰瘍治療薬
制酸薬
抗コリン作動薬
ヒスタミンH2遮断薬
抗不安薬
抗ガストリン薬
抗ペプシン薬
粘膜保護薬
組織修復薬その他
催吐薬と制吐薬
嘔吐発現の機序
催吐薬
制吐薬
胃腸管における吸収と内容物の状態
止瀉薬
下剤
塩類下剤
刺激性下剤
膨張性下剤
浸潤性下剤
各種下剤の効果発現時間と便の性状
利胆薬
胆汁生成および分泌亢進薬
排胆薬
胆石溶解薬
§17.子宮収縮
子宮収縮ホルモン(オキシトシン)の分泌と作用
子宮収縮薬の臨床的応用
オキシトシン
バッカクアルカロイド
sparteine
quinine
gravitol
hydrocotarnine
prostaglandinおよびその誘導体
§18.糖尿病治療薬
膵内分泌の相互調節
インシュリンの主な生理作用
インシュリン作用の欠乏をおこしうる要因
インシュリン作用の欠乏時の病態生理
インシュリン製剤の作用比較
経口糖尿病治療薬
sulfonylurea系
sulfonamide系
biguanide系
その他
§19.化学療法薬と抗生物質
作用様式による分類
主な作用機序による分類
対象疾患または病原微生物による分類
主要抗生物質の有効菌種
スルファミン類
抗生物質
βラクタム系
クロラムフェニコール類
テトラサイクリン類
アミノグリコシド系
マクロライド系
ペプチド系
ナリジク酸系
その他の抗生物質
抗結核薬
抗らい薬
抗真菌薬
抗生物質
flucytosine
イミダゾール系化合物
その他の抗真菌薬
抗ウイルス薬
抗寄生虫薬
抗蠕虫薬
抗原虫薬
抗腫瘍薬
アルキル化剤
代謝拮抗物質
抗腫瘍性抗生物質
ホルモン
植物成分
免疫賦活物質
その他
§20.駆虫薬
santonin剤
カイニン草剤
chenopodium oil剤
piperazines
phenolsとその誘導体
ハロゲン化合物
色素類
antimony化合物
その他
§21.消毒薬
用途による分類
化学的分類
フェノール類
アルコールおよびアルデヒド
ハロゲンおよびハロゲン化合物
酸
酸化剤
重金属化合物
界面活性剤
色素剤
その他
§22.重金属中毒治療薬
重金属の侵入経路と中毒症状
中毒症状発現機序
中毒症状
重金属中毒解毒薬
索引
執筆者一覧
高木博司 他著
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