目次
1章 心房細動の疫学と病因論【奥山裕司】
1.一般人口における心房細動の有病率
A. 米国のコホート研究
B. 日本のコホート研究
2.医療機関受診者における心房細動患者の頻度と特徴
3.有病率の経年変化
4.新規発症率
5.心房細動の自然経過
6.無症候性心房細動の疫学
7.基礎疾患
A. 高血圧
B. 肥満
C. 心不全
D. 糖尿病
E. アルコール
F. 生活習慣
2章 心房細動治療に関わる心房・肺静脈の解剖【井川 修】
1.心房内で問題となる構造
A. 左房前壁における憩室
B. 左房前壁のtranslucent area
C. 右房の分界稜と左房のtransverse myocardial bundleを連絡するBuchmann束
D. 左房前壁を走行する洞房結節動脈
E. 左心耳の特殊性
F. 左房天井でのアブレーション
G. 肺静脈に伸展する心房筋
2.アブレーションに関連する周辺構造物
A. 食道と左下肺静脈基部の解剖
B. 右肺損傷の危険性
C. 気管支障害の可能性
D. 右横隔神経障害の危険性
E. 左横隔神経障害の危険性
3章 心房細動の機序【原田将英,渡邉英一】
1.基礎研究の観点
A. 心房細動の発生機序を理解する上で必要な知識
B. 心房細動を理解する上で必要な不整脈の発生様式
C. 心房細動を引き起こす細胞・組織の機能的・構造的変化(リモデリング)
D. 心房細動の発生と維持
2.臨床研究の観点
A. 心房細動と関連するリスク因子
B. 非侵襲的検査法にみる心房細動発生機序
3.薬物作用機序
A. レートコントロール薬
B. リズムコントロール薬
C. アップストリーム治療薬
D. 新しい抗心房細動薬
4章 心原性脳塞栓予防【奥山裕司】
1.心房細動に伴う心原性塞栓の機序
2.心原性塞栓の予防の考え方
3.心原性塞栓のリスク評価
4.出血のリスク評価
5.梗塞予測と出血予測の統合が今後必須
6.抗凝固薬の作用機序
7.抗凝固強度の評価
8.ワルファリンによる心原性塞栓予防
9.目標とすべきワルファリン治療の質
10.抗凝固療法導入の実際
11.心房細動における抗凝固療法の落とし穴
12.ワルファリン治療の質を上げるために
13.抗凝固療法の適応についての考え方
14.持続性心房細動のcardioversion時の対応
15.一度でも心房細動が確認されたら抗凝固療法をするのか?
16.出血合併症の頻度と対処法
17.手術時などの対処法,内視鏡検査などに関連して
18.抗凝固療法中の頭蓋内出血に対する対処
19.Sick day ruleについて
20.ダビガトラン(プラザキサ)による心原性塞栓予防
21.リバロキサバン,アピキサバン論文の紹介:活性化血液凝固第X因子(FXa)阻害薬
A. リバロキサバン
B. アピキサバン
C. エドキサバン
22.経皮的左心耳閉塞デバイスの可能性
23.抗凝固療法の将来展望
5章 リズムコントロール治療とレートコントロール治療【草野研吾】
1.発生機序に基づいたリズムコントロール治療
A. 抗不整脈薬の分類
B. Vaughan Williams分類
C. Sicilian Gambit分類
2.リズムコントロール治療とレートコントロール治療の方針の選択
A. 症状の有無(QOL)
B. 年齢と性差
C. 基礎心疾患・心不全の有無
D. 左房径
3.大規模試験のまとめ
A. AFFIRM試験
B. RACE試験
C. RACE II試験
D. J-RHYTHM試験
E. AF-CHF試験
4.欧米のガイドラインと日本のガイドラインからみた実際の治療法
A. レートコントロール治療
B. リズムコントロール治療
5.アップストリーム治療
A. RA系阻害薬
B. アルドステロン拮抗薬
C. スタチン
D. ω3脂肪酸
6章 心房細動のカテーテルアブレーション【井上耕一】
1.心房細動アブレーションの歴史と治療法の変遷
A. カテーテルアブレーションによる不整脈治療
B. 心房細動アブレーションの萌芽
C. 肺静脈隔離(PVI)の登場
D. 肺静脈隔離法の変遷
E. 肺静脈以外へのアブレーションの試み
2.心房細動アブレーションの適応と必要とされる術前検査
A. 心房細動アブレーションの目的
B. アブレーションの適応
C. 心房細動アブレーションの術前検査
3.心房細動アブレーションの実際
A. Brockenbrough法による左房への経中隔アプローチ
B. 肺静脈造影
C. カテーテルの留置
D. 電気生理学的検査
E. 鎮静薬・鎮痛薬の使用
F. 肺静脈隔離
G. 肺静脈以外への通電
H. 心房細動アブレーションに有用なnew technology
I. 心房細動アブレーションの成績
J. 心房細動アブレーションの術後管理
4.カテーテルアブレーションの合併症とその予防
A. 脳梗塞等の血栓塞栓症
B. 空気塞栓症
C. 心タンポナーデ・心液貯留
D. 食道障害(左房食道瘻と迷走神経叢障害)
E. 肝動脈閉塞
F. 肺動脈狭窄
G. 横隔神経麻痺
5.最後に
7章 心房細動の非薬物治療
(1)直流通電治療,ペーシング,左心耳閉塞デバイス 【水野裕八】
1.直流通電治療
A. 原理
B. 電気的除細動と予後
C. 適応
D. 具体的な方法
E. 除細動の合併法
2.ペーシングによる心房細動抑制
A. ペーシング治療の原理と目的
B. 心房ペーシングによる心房細動抑制の試み
C. 心室ペーシングによる心房細動発生のリスク
3.左心耳閉塞デバイス
A. 左心耳閉塞デバイスの概要
B. PLAATO
C. WATCHMAN: PROTECT AF
D. The Amplatzer Devices
(2)Maze手術など 【光野正孝】
1.Maze手術開発の歴史
A. 1980年代までの心房細動に対する隔離手術
B. 隔離手術ではない新たな心房細動手術の開発
C. Maze手術の開発
D. Cox自身のmaze手術の臨床成績
2.1990年代の数々の改良手術
A. 小坂井式冷凍凝固多用maze手術
B. Radial手術
C. 両心耳温存maze手術
D. 左房maze手術
3.2000年以降の各種デバイスの開発と手術の低侵襲化
A. 各種アブレーションデバイスの開発
B. 双極RF(高周波)クランプを用いたmaze手術
C. 各種デバイスを用いた縮小術式
D. 付加手術としてのGP(自律神経叢)アブレーション
E. 心房細動手術の現状
4.心房細動手術の成績
A. 成績を評価する上での留意点
B. (両側)maze手術の成績
C. (両側)maze手術と他の縮小手術との成績の比較
D. Maze手術の成績に関与する因子
E. Maze手術とカテーテルアブレーション
5.Maze手術の適応と心臓外科への紹介のタイミング
索引