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書籍詳細

まずはここから 鎮静管理 実況中継!

まずはここから 鎮静管理 実況中継!

荻野祐一 監修 / 駒澤伸泰 著

A5判 128頁

定価3,080円(本体2,800円 + 税)

ISBN978-4-498-05618-3

2024年06月発行

在庫あり

鎮静医療の安全性向上のための必携の一冊!


1,500名以上が受講した医学シミュレーション学会の鎮静トレーニングコースを書籍化.鎮静は患者の苦痛を緩和し,診療科や職種を問わずほとんどの医療従事者が関わる一方,一歩間違えれば事故にもつながりかねない危険を伴う医療行為である.本書では鎮静前〜後の評価や薬剤投与,退院時といった場面での危険性とその予防・対応などについて解説.さらに緊急対応システムの整備やシミュレーション講習の開催,トレーニングコースで学修すべきポイントを押さえている.診療科や職種の垣根を超えて鎮静医療の問題点を共有し,安全性の向上させるための第一歩として必読の一冊.

監修の言葉

 「中途半端な鎮静は全身麻酔より危険だから気をつけた方が良い」
これは,私が麻酔科研修医の時に上級医に言われた言葉であり,さらに続けて「中途半端な鎮静をするくらいだったら全身麻酔した方が余程安全」と言われた事を良く憶えている.今でも他科医師から「先生,患者さんをちょっと眠らせてもらえませんか」などと言われてしまうのだが,その「ちょっと眠らせる」が一番危ない.そのことを理解していない医療従事者はまだまだ多い.
この鎮静に対する危機感の薄さは,先ず医療従事者が「鎮静の連続性」という概念をしっかりと理解していないことに端を発している.本書では,現場のカンファレンスを模した“実況中継”という形を取りながら,「鎮静の連続性」(図1−4,p.9)の理解に始まり,実際の事故例から鎮静の危険性,鎮静前・中・後の評価,鎮静薬投与の原則,危機対応と,読み進めて行くほどに理解が深まるよう構成されている.さらに本書が単なる鎮静マニュアルと一線を画すのは,終盤において過鎮静事故を最小化するために重要かつ必要な事として「多職種連携の重要性と病院全体のシステム化の必要性」を挙げ,病院全体の安全管理システム構築にまで踏み込んでいる点だ.
 鎮静に対する理解に乏しい状態は,全国的な医療機関の問題と言っても過言ではない.当院(香川大学医学部附属病院)においても“鎮静ワーキンググループ”が組織され,私自身もそのグループ長として,この「多職種連携の重要性と病院全体のシステム化の必要性」を痛感している.実際,各科で運用している鎮静ガイドラインは驚くほどバラバラで,例えば鎮静度スコアに関して,ある科はラムゼイ・スコアだが,他の科はリッチモンド・スコアを用いていたり,また退室基準に関しても曖昧だったり…とにかく鎮静に対するグランドデザイン(大枠の方向性)が無い状態なのだ.これでは,いざ鎮静事故に対応する際,医療従事者同士の意思疎通が取りづらい「対立・無責任」モデル(図8−5,p.94)の典型例になりかねない.そういった差し迫った危機感から,先ずは鎮静度スコアと退室基準を院内で統一し,普段からのシミュレーション学習により「共有・協調」モデル(図8−5)へと近づけ,より安全で快適な鎮静を実現するシステム構築が必要と感じている.
 本邦の鎮静に対する安全管理システム構築はまだ途上にある.本書は研修医だけでなく,専攻医・指導医・看護師・臨床工学技士・放射線技師と,医療に関わる全ての職種に読んでいただきたい.そして共に鎮静に対するコンセンサス(共通認識)を作り上げ,われわれ医療従事者自身も安全で快適な鎮静の恩恵を享受しようではないか.

2024年 初夏
香川大学医学部麻酔学講座 教授
荻野祐一(OGINO Yuichi)

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1.鎮静の危険性
 鎮静の危険性
 鎮静の危険性
 鎮静の医療安全向上のための教育の必要性
 非麻酔科医のための鎮静鎮痛ガイドライン
 鎮静・鎮痛の深度による定義〜鎮静の連続性を理解しよう〜
 
2.鎮静と全身麻酔の連続性
 鎮静と全身麻酔の連続性
 鎮静と全身麻酔の連続性を理解しよう
 米国麻酔科学会の非麻酔科医のための鎮静ガイドライン
 全身麻酔と鎮静の違い
 鎮静ガイドラインの概要(ASA-SED)
 
3.鎮静と呼吸気道管理
 鎮静薬の呼吸・気道系の影響
 鎮静時の気道管理
 ASA-SEDにおける鎮静深度と呼吸状態
 緊急気道確保の方法 マスク換気と換気補助器具
 鎮静中の呼吸モニタリング
 用手的に可能な2つの気道確保法
 
4.鎮静前の評価
 鎮静前の患者評価の重要性
 鎮静前評価の重要性
 鎮静計画の立案
 ASA-SEDにおける鎮静前計画の重要点
 
5.鎮静中の評価と薬剤投与の原則
 鎮静中の評価
 鎮静担当者の必要性
 鎮静担当者の仕事
 鎮静薬投与の際に注意すべきこと
 鎮静中評価の1例
 薬剤投与方法の原則
 
6.鎮静後評価と退室および退院基準
 鎮静終了後の患者さんの状態
 鎮静後の注意点
 ASA-SEDの鎮静後の注意点の推奨
 退室および退院基準策定の重要性
 退室および退院基準の判断の1例
 
7.鎮静時のさまざまなトラブルと危機対応
 鎮静時のトラブルで最も多いのは呼吸抑制
 鎮静中の緊急対応体制
 鎮静中もABCDアプローチで患者さんの状態を継続的に評価しましょう
 鎮静中のトラブルシューティングの例
 
8.各領域における鎮静医療安全の向上のために
 各診療科の鎮静医療安全管理で共通すること
 鎮静の医療安全管理向上のための多職種連携
 各領域での鎮静の医療安全向上のために
 各診療科での鎮静の安全性の議論が必要
 各領域における鎮静の安全性向上のために
 迅速対応システム(Rapid Response System:RRS)とは
 鎮静の安全性は国際認証でも重要
 
9.鎮静トレーニングコースの意義
 鎮静トレーニングコースの院内開催
 鎮静トレーニングコースの総合的学修目標
 講義
 講義パートの学修目標
 基本的気道管理のセッション
 基本気道管理の学修目標
 カードシミュレーション
 消化器内科・内視鏡室の医師,看護師,臨床検査技士が集まったブース
 カードを用いたグループディスカッションの目標
 シナリオトレーニング
 シナリオを用いた統合的トレーニングの学修目標
 鎮静トレーニングコースの工夫
 
エピローグ

あとがき
 
COLUMN
 1 ベンゾジアゼピン系薬剤の特徴
 2 フルマゼニルとナロキソン
 3 半減期の考え方
 4 回復室で用いられる評価スケール
 5 小児鎮静の注意点
 6 歯科鎮静の注意点
 7 局所麻酔薬中毒
 8 緊急時気道管理器具としての声門上器具
 9 シミュレーショントレーニングの有効性
 
日本の鎮静・鎮痛ガイドラインの例

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執筆者一覧

荻野祐一 香川大学医学部麻酔学講座 教授 監修
駒澤伸泰 香川大学医学部地域医療共育推進オフィス特命教授 著

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