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書籍詳細

こういうことだったのか!!CHDF・ECUM・PEトータルマネジメント

こういうことだったのか!!CHDF・ECUM・PEトータルマネジメント

小尾口邦彦 著

A5判 198頁

定価2,750円(本体2,500円 + 税)

ISBN978-4-498-16662-2

2023年11月発行

在庫あり

「どうすれば急性期血液浄化を安定的に運転できるのか?」そのコツと知識を詰め込んだ.

血液浄化は威力のある治療方法である.一方で侵襲的であり,一見するとその複雑さに苦手意識を持つ者も多い.だからこそ,表面上の知識ではなく仕組みからしっかり学び,強みと弱みを理解する必要がある.本書は,「どうすれば急性期血液浄化を安定的に運転できるのか?」をテーマに,読者が思うだろう疑問にも丁寧に答えている.正しく,かつ大元の知識を身に付け,最大限のパフォーマンスを発揮するのに役立つ1冊である.

はじめに

 筆者が医師となった時期と,CHDFなど急性期血液浄化療法が爆発的に全国に普及した時期はほぼ同じでした(歳がばれます).筆者は,急性期血液浄化療法と同時代を伴走した意識があります.
 筆者はどの分野の診療であっても,それの仕組みを知らずに,あるいは関心を持たずに実践するのと,それの仕組みを知って実践するのでは診療のレベルに天と地の差が生じると考えています.
若き日の筆者は残念ながら前者でした.急性期血液浄化療法への関心はそれなりにあったのですが,仕組みを全く理解しておらず,筆者の今の感覚からすると当時の患者に申し訳ないレベルでした.
 筆者に特性があるとすれば,分からないことを周囲に尋ねることが苦ではないことです.質問相手の職種を問わず疑問を伝えて答えを得たいです.
 血液浄化療法に関しては,周囲の臨床工学技士がうんざりした顔をするまで質問責めにしました.血液浄化療法関連会社の担当者には,医師とは違う視点から多くを教えて頂きました.あまりに多くの質問をするうちに,おそらく会社のエースと思われる社員が筆者の担当者となり,教えて頂いたこともあります.この場をお借りして,多くの血液浄化療法の師にお礼を言いたいです.ありがとうございました.
そうして得た知識を,ICUで実践し自分なりに考えをまとめると,血液浄化療法への苦手意識がなくなりました.
 「なぜ,急性期血液浄化療法のテキストといえば,DAMPSがどうのこうのとか,必ずしも診療に直結しないことを話題の中心とするのだろう.どうすれば急性期血液浄化療法を安定的に運転できるのか?といった本があっても良いのではないか」と思いました.そもそも急性期血液浄化療法のテキストの数は多くありません.
 それが動機となり2015年に中外医学社から急性期血液浄化療法をテーマとした本を出版しました.幸い「はじめてCHDFの仕組みが分かった」といった評価を頂きました.血液浄化療法に詳しい(オタク)と思われるようになったのか,多くの質問を受けるようになりました.筆者の視点とは違う疑問が多く,それも学びとなりました.
本書は,「どうすれば急性期血液浄化療法を安定的に運転できるのか?」をテーマとしました.頂いた多くの質問も反映されています.歴史的背景を知った方が今の血液浄化療法の理解につながると考え盛り込みました.
 血液浄化療法はパワーのある補助治療です.限界も含めて理解し使いこなせば,必ずやICUの診療レベルが上がります.
若手読者にはぜひ,血液浄化療法の次の伴走者となって頂きたいです.

2023年11月
小尾口邦彦

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目 次

CHAPTER 01 本書を読み進める前に
 
CHAPTER 02 良好な脱血にとことんこだわる
 ●筆者の急性期血液浄化療法オタクの原点
 ●中心静脈カテーテルと血液浄化用カテーテルの役割は全く違う
 ●良好な脱血こそが最重要ファクター
 ●血液浄化用カテーテルは右内頸静脈経由留置が原則
 ●右内頸静脈に血液浄化用カテーテル留置を導くために
 
CHAPTER 03 血液流量QBにこだわる
 読者施設のCRRT血液流量は?
 ●かつてCHDF as No.1とされた理由
 ●CRRTのスタートはCHF  ●当時のCHFの限界
 ●日本における今日の血液流量  ●ヘモフィルターのlifetime
 ●安定的なCRRT運転になぜ高血液流量が必要なのか??通過時間
 ●安定的なCRRT運転になぜ高血液流量が必要なのか??中空糸1本あたりの圧力
 ●今や世界は血液流量200mL/分が標準
 ●もちろん脱血良好であることが大前提
 ●無凝固薬CRRTにおいても…
 
CHAPTER 04 CRRTと抗凝固薬
 ●CRRTに使用する抗凝固薬
 ●未分画ヘパリン  ●ナファモスタット
 ●CRRTの抗凝固薬 未分画ヘパリン or ナファモスタット?
 ●アルガトロバン
 ●APTT・ACT測定のための採血部位
 ●ナファモスタットを吸着するヘモフィルター
 
CHAPTER 05 中心静脈カテーテル・
 血液浄化用カテーテルに関するtips
 ●ガイドワイヤー先端形状
 ●J型がポピュラーである理由  ●J型の最大の欠点
 ●J型とストレート型の特性を理解し使いこなす‼
 ●血管留置針 or 金属針
 ●親水性コーティングガイドワイヤーは特に注意が必要
 ●細い血管留置針,特に細い金属針が好まれる理由
 ●Push & Stickテクニック  
 ●22G推奨? 22Gの金属針推奨?
 ●細い血管留置針・金属針の問題点(細いガイドワイヤーの問題点)
 ●総合的なリスクマネジメントを目指して
 ●ガイドワイヤーの折れ目の発見
 ●中心静脈カテーテル先端位置推奨が変わった???
 ●最後に
 
CHAPTER 06 CRRTにおいて逆接続はタブーなのか?
 ●シャントを用いた維持血液透析において逆接続は悪でありタブーでもある
 ●維持血液透析とCRRTは違う  
 ●血液浄化用カテーテルの構造
 ●CRRTにおける逆接続を考えよう
 ●維持血液透析とCRRTは目指す世界が違う
 ●かつての血液浄化用カテーテルの構造
 ●血液浄化用カテーテルは進化し対称形が主流になりつつある
 ●筆者は脱血不良時,迷わず逆接続をトライする
 
CHAPTER 07 意外に知られていない血液浄化用カテーテル固定具の扱い―血液浄化用カテーテルは大切に扱おう
 ●血液浄化用カテーテル長  
 ●血液浄化用カテーテルの固定具
 ●回転翼 or 固定具  
 ●カテーテルは大切に扱おう
 ●血液浄化用カテーテルのメンテナンスの実際
 
CHAPTER 08 透析液・ろ過液の組成を意識しよう
 ●維持血液透析・HDにおいては水道水を使用する
 ●HFはバッグ製剤を使用する
 ●HFはHDと融合しHDFに進化した
 ●血液ろ過用補充液
 
CHAPTER 09 透析トラウマ・CRRTトラウマを意識する
 ●良くも悪くも一律に物質除去
 ●良くも悪くも透析液・ろ過液組成に近づく
 ●熱損失  
 ●維持血液透析HDで血圧が不安定となる理由
 ●CRRTによる循環動態不安定
 
CHAPTER 10 CRRTと抗菌薬投与計画とTDM
 ●CRRT中抗菌薬投与量設定の難しさを知ろう
 ●バンコマイシン 攻めの姿勢と守りの姿勢
 ●AUC-guided dosingへの移行
 ●残念ながらTDMはおおざっぱである
 ●症例ごとに守るのか攻めるのか判断せざるを得ない
 ●薬剤師におまかせするのがTDMではなく共同作業がTDM
 
CHAPTER 11 CRRTと栄養―急性期医療の栄養計画は
 タンパク質源・量を軸に考える
 ●アミノ酸とタンパク質の復習
 ●ペプチドとは  ●ペプチドの吸収がアミノ酸より優れる理由
 ●日本の保険制度における栄養療法の仕組み
 ●経腸栄養剤(医薬品)をどこで使うのか?
 ●タンパク質は筋肉になる前に熱になる
 ●急性期医療重症患者に対してのタンパク質の重要性
 ●日本版敗血症診療ガイドライン2020
 ●タンパク質(源)を軸に栄養製剤の選択を考えなければならない
 ●重症患者管理に求められる経腸栄養製剤スペック
 ●濃厚流動食の「濃厚」の定義  ●静脈栄養併用も考慮する
 ●経腸栄養の開始は排便コントロールの開始  ●栄養の師を作ろう
 
CHAPTER 12 健康保険制限と言うけれど
 ●DPCとは  
 ●DPCと血液浄化療法
 ●「15L/日を超えると保険で切られます」
 ●ナファモスタットにおいても同様
 ●「保険償還価格が設定される」≠「保険償還される」
 
CHAPTER 13 実際,日本の血液浄化液保険制限量では
 足りないのか?
 
CHAPTER 14 小児CRRT
 ●小児CRRTは循環動態を不安定とするのか?
 ●initial drop(イニシャルドロップ)  
 ●血液流量QB
 ●脱血良好は必要条件  ●抗凝固薬
 ●CRRT回路への抗凝固薬注入部位
 ●CRRTのどのモードを使うべきか?
 ●CHD・CHF・CHDFのパフォーマンスの復習
 ●小児CRRT・究極のクリアランスを目指して
 ●小児の急性期血液浄化療法の3大合併症
 ●血液浄化用カテーテル・ヘモフィルター膜面積の選択
 
CHAPTER 15 ECUM
 ●筆者がよく受ける質問  
 ●ECUMとは
 ●なぜ,「ECUMは除水だけをする」と誤解されるのか??
 ●なぜ,「ECUMは除水だけをする」と誤解されるのか??
 ●ECUMのパフォーマンス
 
CHAPTER 16 PE
 ●PEとは  ●PEとHF・CHFの比較
 ●PEの実際・置換量の設定  ●二重ろ過血漿交換(DFPP)
 ●PEについて調べたいとき
 
CHAPTER 17 PEのエビデンスや健康保険適用がある =PE施行ではない
 ●4種の免疫調整療法  
 ●PEの推奨度が高い疾患
 ●ギラン・バレー症候群の治療  
 ●血球貪食症候群へPE?
 ●TTPとは  
 ●患者ごとのPEの位置づけを理解しなければならない
 ●PEと保険適用
 ●結局,筆者がPEの施行を視野に入れる急性期疾患
 
CHAPTER 18 血液浄化療法にみる医療安全の進歩
 ●CRRT用血液ろ過補充液包装の改良
 ●血液浄化回路接続外れ事故の防止
 ●万が一,大量の空気が体内に注入されたら…
 ●PE用カラムの規格が変更された‼
 ●犠牲者が出ないと社会は変わらない
 ●相場観がないことには慎重になろう

索 引

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小尾口邦彦 京都府立医科大学麻酔科学教室・集中治療部 著

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