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書籍詳細

麻酔科研修 実況中継! 第5巻 

麻酔科研修 実況中継! 第5巻 

術後・ペインクリニック・緩和医療での痛み治療編

駒澤伸泰 著 / 荻野祐一 監修

A5判 158頁

定価3,080円(本体2,800円 + 税)

ISBN978-4-498-05552-0

2023年11月発行

在庫あり

術後鎮痛・ペインクリニック・緩和医療での痛み治療の基本がわかる好評シリーズの最終巻.

研修での指導医のレクチャーをその場で受けているかのように麻酔科領域の基本がわかる好評シリーズの最終巻.本書ではまず術後鎮痛を研修医にもなじみ深い術中管理との対比を通じて理解し,さらにそれらと痛み治療の考え方が共通する部分も多いペインクリニック・緩和医療のイメージを促進させる.様々な病態の痛みのメカニズムとその治療法を解説し,それぞれの痛み治療に対するアプローチを積み上げる助けとなる一冊.

監修の言葉
―麻酔科医が扱う「痛み」を理解する―

 われわれ麻酔科医が患者さんに麻酔をするのは,患者さんの生体恒常性を維持しつつ,手術侵襲から守るためと言われる.しかし,もっと直感的な理由として,メスを身体に加えられたら痛くて耐えられない,痛みが恐ろしいので意識をなくして欲しいといった,万人が抱く,痛みに対する根源的な恐れがあるのではないだろうか.痛みが怖いから麻酔してほしいと願うわけである.つまり麻酔とは,古来,人類が待ち望んでいた“痛みからの解放”を実現した知識体系と技術であり,“痛みからの解放”とは医の原点と言っても良い.
 そのような“痛みからの解放”を,日々実現している我々麻酔科医が培ってきた経験,知識,技術を体系的に,しかも(ここが最も重要だが)分かりやすく,麻酔科レジデントに習得してもらうための書が本書である.オーベン(医師上司)とレジデント(麻酔科研修医)の会話形式で進む本書は,レジデントからの様々な素朴な疑問にオーベンが応えながら,痛みの解剖や生理,薬理など,基礎医学的な理解をイラストレーションとともに進めてゆく.
 さらに,本書の特筆すべき点は,麻酔科医が手術室で培ってきた痛みに対する知識体系と技術が,集中治療,ペインクリニック,緩和医療へと様々に拡がり応用されていったことが,まるで山から谷へ海へと水が流れるよう,自然に理解できるようになっている点である.私の知る限り,このように分かりやすく呈示した本は他に存在しない.
痛みを理解し,適切な鎮痛を求めることは人間の根源的な欲求であり,科学的な探求もまた止む事はない.例えば,痛みの三要因である神経障害性,侵害受容性,心因性のうち最後の心因性の痛みに関して,実は2021年秋に「痛覚変調性」へと概念が変わったことが挙げられる.もし本書を読み終わり「痛み」への理解と興味が深まったら,是非,麻酔科医として,医師として,そして一人の人間として,我々自らの人生を豊かにするために「痛み」への探求を共に深められたらと思う.

2023年秋
香川大学医学部麻酔学講座 教授
荻野祐一(OGINO Yuichi)

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目次

1 手術からイメージする痛み治療
 手術から考える「痛み」
 全身麻酔導入時の痛みと鎮痛
 気管挿管と「痛み」
 手術操作と痛み
 手術操作と神経障害痛
 
2 術後鎮痛のさまざまな方法と合併症
 術後鎮痛がもしなかったら?
 理想的な術後鎮痛とは?
 バランス鎮痛(Multimodal analgesia)
 それぞれの鎮痛薬の副作用を理解しよう
 硬膜外麻酔は最高の術後鎮痛法?
 局所麻酔は安全性の高い術後鎮痛?
 それぞれの術式や患者さんに最良の術後鎮痛を
 
3 痛み治療の薬剤と痛みのメカニズム
 術後鎮痛に使用される薬剤の作用機序
 神経障害痛に使用される薬剤
 さまざまな神経線維と局所麻酔
 
4 ペインクリニック治療の考え方
 ペインクリニックとは何か
 神経障害痛の診断と治療
 神経障害痛の治療
 神経障害痛薬物療法アルゴリズムを理解しよう
 
5 有痛性糖尿病性神経障害の治療を学ぼう
 有痛性糖尿病性神経障害の病態を理解しよう
 有痛性糖尿病性神経障害の治療
 
6 三叉神経痛の診断と治療
 三叉神経痛とは何か
 三叉神経痛の治療
 
7 帯状疱疹後神経痛の治療を学ぼう
 帯状疱疹とは何か
 PHNとは何か
 
8 頭痛の鑑別を学ぼう
 頭痛の鑑別 まずは一次性か二次性かを鑑別しよう
 片頭痛
 群発頭痛
 緊張性頭痛
 
9 複合性局所疼痛症候群(CRPS)の概念と治療を学ぼう
 CRPSとは何か
 CRPSの診断と治療
 
10 緩和医療の考え方
 「麻酔科的」緩和ケアの定義と考え方
 ペインクリニックと緩和医療の痛み治療の共通点
 ペインクリニックと緩和ケアの痛み治療のアプローチの違い
 がん疼痛の評価と治療
 がん疼痛に対するオピオイドと副作用
 
11 緩和医療におけるオピオイドの使い方
 緩和ケアの痛みの評価
 緩和ケアの鎮痛の主体はオピオイド
 緩和ケアにおけるオピオイド治療調整の意義
 オピオイドの合併症とその対策
 
12 緩和医療における鎮痛補助薬と神経ブロック
 緩和医療における鎮痛薬と鎮痛補助薬
 緩和医療における神経ブロック
 
13 緩和医療での痛み以外の症状緩和を学ぼう
 呼吸困難症状への対応
 輸液治療や消化器症状への対応
 倦怠感への対応と鎮静について
 
14 痛み治療の緊急トラブルと対応
 星状神経節ブロックの合併症
 頸部硬膜外ブロックの合併症〜偶発的くも膜下投与時には最大の注意を〜
 局所麻酔薬中毒の予防と早期発見
 痛みの内服薬による合併症
 緩和領域の痛み治療における合併症
 オピオイド離脱症候群
 痛み治療の合併症対応の知識を手術室麻酔に
 
エピローグ
 
 
参考文献
 
あとがき

索引
 

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執筆者一覧

駒澤伸泰 香川大学医学部地域医療共育推進オフィス特命教授 著
荻野祐一 香川大学医学部麻酔学講座 教授 監修

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