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書籍詳細

ただいま登壇中! Dr.'s Prime Academia すべての主訴に使える! 問診フローチャート―PODCAST法

ただいま登壇中! Dr.'s Prime Academia すべての主訴に使える! 問診フローチャート―PODCAST法

小林尭広 著

A5判 220頁

定価4,290円(本体3,900円 + 税)

ISBN978-4-498-01030-7

2023年10月発行

在庫あり

人気セミナーを書籍化.全主訴に対応する病歴聴取の新メソッド「PODCAST法」を解説.

医師のオンライン勉強会で日本一の件数を誇る「Dr’s Prime Academia」の人気セミナー
を書籍化.第一段では全主訴に対応できる新しい問診メソッド「PODCAST法」を紹介.
従来のOPQRSTだけでは不十分であったTime Courseを具体化し,診断に至るまで過不
足ない病歴聴取が出来上がった.考案した著者自らが行う分かりやすい講義を紙面上に再現し,書籍ならではの丁寧で細やかな解説加えた.容易に型が身に付くまさに実践書だ.

著者略歴

小林尭広

防衛医科大学校病院 総合臨床部 所属
2016年 防衛医科大学校 卒業
2016〜2018年 防衛医科大学校病院 初期研修医
2018年〜現在 防衛医科大学校病院 総合臨床部
2022年〜 Dr.’s Prime Academiaに講師として登壇開始
2020〜2023年 The University of Edinburgh家庭医療学修士課程

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はじめに
 
 
 「OPQRSTだけじゃ,病歴聴取なんて全然できないじゃないか!」
 医学部4年生の共用試験(通称OSCE)を受験したときに私が感じたことです.OSCEの試験対策症例の模範解答をみたときに驚きました.たしか片頭痛の症例だったと記憶していますが,採点項目に頭痛の持続時間や過去の類似のエピソードの有無などが含まれていたのです.しかし,これらはOPQRSTには明記されておらず,Time Course(時間経過)に含まれているとだけ教わりました.「こんな抽象的な説明じゃ,本番で再現できない!」と焦ったことを覚えています.
 その後,「もっと効率よく網羅的に病歴を取りたい」,「大学の定期試験や国家試験対策だけで満足するのは何か違う」と思い,大学から飛び出して,医学生向けの勉強会に出席するようになりました.そこでは,臨床推論をいかに適切に行うかのセミナーが多数開催されており,疑う疾患の可能性を上下させる特異的な所見を理解することの重要性を学びました.そしてそこでも「Time Courseがとにかく大事」という言葉に何度も出会いました.しかし「Time Courseって何を聞けばいいの?」という疑問の解決には至りませんでした.
 それから,臨床推論に関する書籍を読み漁り,主訴ごとに型を作ればよいと考えて,自分なりに大量の型を作りました.しかし,型を作って覚える方法は,脳に対する負担がとても大きく,作った直後や試験前には有効であるものの,気がつくとどんどん忘れていってしまうことに気付きました.
 そして,「全ての主訴に使える病歴聴取の型はないのだろうか」と漠然と考えながら,医師になりました.外来診療を続ける過程で,時間経過の把握に経過図を使うようになり,患者さんと一緒に図を書くことで,より正確なTime Courseの描写が可能になることに気づきました.そしてTime Courseの構成成分を書き出して,図式化に必要な因子を抽出し,全ての主訴に使える網羅的な病歴聴取の型を作り出し,それをアルファベットの頭文字にして覚えていました.
 その頃,ドクターズプライムという会社がオンライン勉強会の講師を募集しており,「病歴聴取の講演なら自分にもできる」と思い立って,卒後6年目に過ぎない私が立候補したところ,無事に講演の機会をいただきました.自信を持って講演に臨んだものの,優しいオーディエンスのコメントの中に,「このゴロじゃ覚えにくい」という大変貴重な意見が含まれていることに気づきました.「覚えやすくなければゴロとは呼べない」と,ハッとさせられたのを鮮明に覚えています.
 誰もが覚えやすいゴロはないかと考えながら数ヶ月が過ぎましたが,なかなかよいものが浮かびません.そんな最中にポッドキャストで医学論文のアップデート情報を流し聞きしていたとき,「ポッドキャスト? PODCAST? これは!」とひらめいて並べてみたところ,「PODCAST」というゴロでTime Courseが網羅できることに気づいたのです.
 こうして,自分の長年の悩みと,ドクターズプライムのオンライン講演会,オーディエンスからの貴重な意見が合わさって,「PODCAST法」は誕生しました.
 「PODCAST法」は,従来のOPQRSTや,疾患ごとに病歴の型を覚えるアプローチとは異なり,痛みの主訴だけでなく,全ての主訴でTime Courseを具体化することができます.さらに,アルファベットから単語を想起するのも容易なので,医師のみならず,医学生や,医師以外の医療従事者の方にも簡単に使えるゴロになっています.
 本書では,この「PODCAST法」に基づいて,頻繁に遭遇する主訴をどのように問診で紐解いていくか,どのような流れで問診すればスムーズに診断に至るかを,フローチャートでまとめました.そして,みやすいように図表をふんだんに取り入れています.各章の冒頭をみるだけで,フローチャートと病歴聴取での重要点がわかるように構成しました.最初はフローチャートと図表をみて,興味があるところを読むだけでも十分な学習効果が得られます.
 本書はプライマリケア(総合診療・家庭医療)に関わる医師,若手医師,研修医,医学生,病歴聴取をすることがある全ての医療従事者の皆さんを対象としています.「PODCAST法」を使った網羅的な病歴聴取をぜひ体験してみてください!
 最後に,私に成長のきっかけを与えてくださった全ての先生方,職場の皆さん,そして,いつも私を支え,フローチャート化のアドバイスをくれた妻と,執筆を応援してくれた2人の息子たちに感謝したいと思います.
 
2023年9月
小林尭広

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もくじ
 
本書の使い方 
巻頭まとめ
第1章 総論
 1▶現病歴の構成成分 OPQRSTで本当に十分か
  1.OPQRSTとその限界
  2.痛み以外の症状はOPQRSTでは表現しにくい
 2▶新しい病歴聴取の型 PODCAST法 
  1.PODCAST法
  2.PODCAST法で経過をイメージする
 3▶尤度比 病歴と所見の診断性能の理解のために 
  1.尤度比の前に,感度と特異度を考える
  2.尤度比の定義と臨床応用

第2章 各論 A―疼痛編
 1▶胸痛 chest pain 
  1.「胸痛」の病歴聴取とred flag signを考える
  2.診療セッティングで有病率は変化する
  3.初期対応では致死的胸痛を念頭に置く
  4.PODCAST法で胸痛を分解する
  5.PODCAST法による病歴聴取の有用性
  6.PODCAST法で致死的疾患でなさそうと思ったら解剖アプローチへ
 2▶頭痛 headache 
  1.まずは2次性頭痛を除外する
  2.頭痛の疫学
  3.各疾患の解説
 3▶腹痛 abdominal pain 
  1.腹痛診療は難しい
  2.腹痛の疫学
  3.腹痛をきたす緊急疾患
  4.発症様式と痛みの程度から考える
  5.バイタルサインの異常があるときも急ぐ
  6.病歴聴取で鑑別を絞る
  7.PODCAST法で得られた情報を図式化する
 4▶関節痛 joint pain   
  1.本当に関節が痛いのかを考える
  2.外傷歴の有無を確認する
  3.関節穿刺をするかどうか,それが大事だ
  4.関節穿刺をしないと決めてからゆっくり考える
 5▶腰痛 low back pain   
  1.頻度の高い腰痛〜疫学を考える
  2.「腰痛」の病歴聴取〜red flag signを考える
  3.病歴聴取の構成成分〜PODCASTを考える
  4.Red flagの一環〜炎症性腰痛を考える
  5.非緊急性の整形外科的腰痛を最後に考える
  6.腰痛の典型的な経過を考える

第2章 各論 B―疼痛以外の主訴編
 1▶急性上気道炎 acute upper respiratory infection 
  1.急性上気道炎(「かぜ」)の定義
  2.重症疾患らしさを評価する
  3.緊急疾患っぽくなければ,咽頭痛,咳嗽,鼻症状の3つの軸で 抗菌薬の必要性を考え
 2▶咳嗽 cough 
  1.「咳嗽」の病歴聴取とred flag signを考える
  2.細菌性肺炎を疑わせる所見
  3.咳嗽の病歴聴取を考える
  4.頻繁に出会う疾患の経過を考える
 3▶失神 syncope 
  1.失神という言葉を定義する
  2.まずは失神とてんかん発作のどちらかを考える
  3.失神を疑ったら,病歴聴取と心電図を行う
 4▶めまい vertigo, dizziness 
  1.「めまい」としてアプローチしてよいかどうかを考える
  2.めまいの病歴聴取を考える
  3.めまいの鑑別の手前で立ち止まる
  4.めまいのアプローチをすると決めた後〜疫学と画像検査の限界を知
  5.病歴聴取のQualityにこだわらない
  6.PODCASTの構成成分にこだわる
  7.HINTSは急性前庭症候群を疑うときに使用する
  8.PODCAST法を活用してめまい疾患を整理する
索引   

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