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書籍詳細

まずはここから! 多職種連携

まずはここから! 多職種連携

横平政直 監修 / 駒澤伸泰 著

A5判 86頁

定価2,200円(本体2,000円 + 税)

ISBN978-4-498-10920-9

2023年09月発行

在庫あり

医療・福祉における多職種連携を知るための最初の一冊!

初めて医療における多職種連携を学ぼうとする医療系学生,新人医療者のための入門書.医療職の役割と多職種の意義を学ぶ一章,身近な連携事例から視野を広げ,医療・福祉全体の地域連携を考える二章,多職種連携科目の実践と未来医療における連携スキルを意識する三章の三部構成.多職種連携を学ぶ学生と教員の対話を通じ,現場での経験がまだ無い,あるいは乏しい学生・新人の理解の一助となる一冊.

著者略歴

横平政直(よこひら まさなお)

経歴
1999年香川医科大学医学部修了.香川大学医学部附属病院,坂出市立病院などで研修,2006年香川大学大学院医学系研究科修了.2006年香川大学医学部腫瘍病理学助手(のち助教に改称),2009年ネブラスカ大学メディカルセンター病理微生物学 留学,2014年香川大学医学部腫瘍病理学准教授,2021年より現職(香川大学医学部医学教育学講座教授/医学部教育センター長)

資格・学会活動・役職等
日本医学教育学会会員,日本病理学会評議員・指導医・専門医,日本臨床細胞学会指導医・専門医,日本毒性病理学会評議員,日本癌学会評議員,Society of Toxicology full membership(USA),日本外科学会認定医,内閣府食品安全委員会添加物専門調査会委員,医学博士

研究テーマ
医学教育,カリキュラム編成,発癌病理学,毒性病理学

駒澤伸泰(こまざわ のぶやす)

経歴
2006年大阪大学医学部卒業.宝塚市立病院,兵庫医科大学,兵庫県立がんセンターなどで研修.2013年兵庫医科大学大学院卒業.2013年より大阪医科大学附属病院医療技術シミュレーション室副室長(同・麻酔科学教室助教).2015年ハワイ大学医学部シミュレーションセンター(SimTiki)留学.2019年大阪医科大学医学教育センター講師.2023年より現職(香川大学医学部地域医療共育推進オフィス特命教授).

資格・学会活動・役職等
日本麻酔科学会指導医,日本専門医機構認定麻酔科専門医,日本緩和医療学会専門医,日本ペインクリニック学会専門医,日本蘇生学会指導医,医学博士,日本医学シミュレーション学会理事・教育開発部会長,日本シミュレーション医療教育学会理事,The Certified Healthcare Simulation EducatorⓇ(Society for Simulation in Healthcare公認),日本医学教育学会認定医学教育専門家.

研究テーマ
臨床技能教育,多職種連携教育,地域医療教育,学修支援,医療安全教育,データサイエンス・AI教育.

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監修の言葉

 この本を手に取る方は,学生さんや様々な医療関連領域のプロフェッショナルが中心となるかと思います.それぞれの職領域において,「私は1人であらゆることに対応できるスーパー◯◯師になる!」とこれまでに意気込んだことのある方は多いのでしょうか.しかし,現実は,自分1人のみの力で完遂できる医療はごくわずかであることに,これから気付く(or 徐々に気付いた)と思います.患者さんの病を含めた人生そのものを救うためには多数のプロフェッショナル集団が連携して取り組むことが必要不可欠であるからです.
 小学校時代に「社会」について,「社会の最小単位は家族である」と学びました.家族は個人の集まりですが,家族の中では個人それぞれが役割を担っています.「お父さんなんかいらない!」という子供がいた場合,お父さんがいなくなると家族は平和になるでしょうか.お父さんの害の大きさにもよりますが,お父さんがいなくなった場合は,少なからず残った家族で,お父さんの役割を分担しあわなければなりません.その時に初めてお父さんが担っていた役割に気付いても遅く,理解不足だったことを感じるわけです.他者の理解は家族内のみではなく,社会のスケールが大きくなるほど重要ですが,現代の世界では,残念ながらうまく行っているとは言えません.
 多職種連携の難しさはここにあります.現代は専門性の進んだ専門細分化時代ですが,細分化するほど「自分の領域」を意識するようになり,領域外の仕事は適した部署・担当に「パス」して,その後は開放された気分になりがちです.これは他者理解とは相反する態度となります.自分以外の職種(他職種)を本当に理解できているでしょうか.「本当に理解」とはなんだ?という疑問がでるかもしれませんが,その答えは他職種の活動に対して,完全に共感できるかどうかにあると考えます.共感があれば,「パス」ではなく,一緒に取り組む姿勢があらわれます.他職種への共感は多職種連携活動の基本精神であり,すべての連携活動の始まりとも言えます.そのため,現在の学生医学教育においても多職種連携に関して非常に重要視され全国的に導入が進んでいます.
 本書は多職種が医療社会においてどの様に機能し,共働して大きな問題に立ち向かい,解決するのか,などについて読みやすく書かれています.本書を通じて多職種連携の効果とその力の持つ将来への希望を理解していただき,人々の人生すべてを救う医療を担うことのできるスーパー◯◯師が多く誕生することを祈ります.

2023年7月吉日
香川大学医学部医学教育学講座教授/医学部教育センター長
横平政直(Masanao Yokohira)

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目 次

プロローグ

序 未来に対応できる「連携」教育のために
〜学修者目線で「連携」とは何かを問い直す〜

  将来の医療現場で活用できる多職種連携とは?

第1話 様々な医療職はいかにして生まれたのか?
何が専門職を認定しているのか? という基本を考える

  多職種連携教育の課題
  職種分業化の原因,そして我々は何をもって免許を与えられているか?
  法律により資格免許が与えられ,それぞれの免許でできることが示されます
  専門職分化は社会のニーズから生まれました

第2話 専門職分化の意義を理解した上で,「連携」の必要性を考える
〜専門職分化により医学医療は発展してきた.次は,他の専門職といかにして協働・連携をするかがポイント〜

  「専門職分化・診療科分化により医学医療は進歩してきた」のは否定できない事実
  多職種連携の前に自職種内での連携を意識することが大切ではないか
  専門職分化・診療科分化の欠点を考えよう
  同一職種内でも「連携」スキルがないと,学びのプロセスが阻害され,成長できません

第3話 患者安全・医療安全から生まれた「チーム医療」
〜患者・社会のための医療は全職種共通〜

  最初に多職種連携教育を導入したのは英国―ブリストル王立小児病院事件―
  チーム医療(多職種協働)の概念から活性化した多職種連携教育
  多職種連携教育の歴史と展開

第4話 STEP1: まずは同一職種内・診療科間の連携を考えてみよう
〜まずは同職種同学部の仲間,指導者との連携を考えよう〜

  まずは同級生・同僚内のチーム育成を考えてみよう
  職種内(診療科内・病棟内)での連携を考えてみよう
  多職種連携教育‘意識’の前に自職種内の「連携スキル」を修得することが大切

第5話 STEP2: 次に,職種間連携を考えてみよう〜身近な「部署内」の他職種との連携を考える〜
  職種間の齟齬を生む原因(多職種連携を阻害する要因)を考える
  その「医療チームの目標は何か」を共有する
  職種間トラブルが発生したら,それを多職種連携に活かす姿勢が大切
  「仲良く」しているのが「多職種連携」か? プロの連携を考える

第6話 STEP3: そして,部署間連携を考えてみよう〜少し距離のある他部署との連携を考える〜
  部署同士のつなぎ目が最も危険―手術患者を例に―
  部署間連携を高めるために必要なこと〜小さなことからコツコツと〜
  「部署内の多職種連携」から「部署間連携」へ拡大していく

第7話 STEP4: その上で,地域包括ケアシステム(保健・医療・福祉)の連携を考えると全体が見える
  「患者さんが,どのような治療・回復・社会復帰のステージを進んでいくのか」を把握していくことが大切
  病診連携レベル・地域包括ケアシステムレベルの多職種連携はまさに生涯教育
  地域包括ケアシステムにおける連携を実践することが最終目標?

第8話 多職種連携教育の一例〜共に患者さんメリットを考える〜
  グループワークのシナリオ
  他学部合同での多職種連携グループワークの後に「自分は今後どうすべきかを深く考える」
  多職種連携教育科目はどのような態度で受講すればいいのか?

第9話 多職種連携教育の実践〜医療安全を考える〜
  グループワークのシナリオ
  2週間前の歯科医院において
  1週間前の循環器内科受診日
  循環器内科受診後の保険薬局において
  患者安全,医療安全は多職種連携,部署間連携で構築していくもの
  多職種連携教育の評価〜レポートは考え抜いて自分の考えを書こう〜
  多職種連携教育の目標は『将来の医療界で質の高い「多職種協働」を実現するため』

第10話 2040の「多職種連携」を考える
  むにゃむにゃ……今から先は黒澤先生の夢のお話です
  黒澤先生は夢のお話を次の多職種連携教育の現場で皆さんに共有しました
  予測しきれない未来医療における多職種連携教育のために

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執筆者一覧

横平政直 香川大学医学部医学教育学講座教授/医学部教育センター長 監修
駒澤伸泰 香川大学医学部地域医療共育推進オフィス特命教授 著

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