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書籍詳細

図解 経絡と解剖学

図解 経絡と解剖学

吉田 啓 著

B5判 260頁

定価3,960円(本体3,600円 + 税)

ISBN978-4-498-06934-3

2023年03月発行

在庫あり

ツボがわかる! 伝統中国医学の経絡をわかりやすいイラストで解説する“超”実践書

伝統中国医学の経絡を現代医学との共通言語で解説.著者自身が描いたイラストで,日常的によく使われる経穴(ツボ)の位置と経絡の流れを解剖学的にわかりやすく解説.鍼灸師,あん摩マッサージ指圧師はもちろん,医師やメディカルスタッフ, ヨガやスポーツ,マッサージなど,身体ケアに携わる人にも役立つボディケア・マニュアル.臨床や施術などの実践はもちろん.これから伝統中国医学を学ぼうとする学生のテキストとしても有用な実践書.

はじめに

 皆さんは東洋医学にどんな印象をお持ちだろうか? 怪しい民間医療? 鍼を刺したり、お灸を燃やしたり、なんだか怖そう? 確かにその通り。私もこの世界に入る前はそう思っていた。
 しかし現在、東洋医学に対する世間の関心は年々高まっている。医学はすさまじいスピードで進歩し、大抵の人は昔よりもはるかに長生きし、以前は不治の病とされていたさまざまな病気に対しても、新たな薬や治療法が誕生し…ついには再生医療までもが現実のものとなりつつある。しかしそれでもなお、日々体調不良を感じ、ストレスや不眠、正体不明の痛みや不快感に悩まされ、なのに病院の検査では異常はなく、漫然と薬の量ばかりが増えていく─そんな人々が増加の一途を辿っているからだ。こんな矛盾した時代にあって、伝統的な医学や生活習慣の見直しによるセルフケアに注目が集まるのは、ある意味で必然だろう。実際、漢方薬を積極的に用いる医師も随分と増え、看護師や理学療法士といった西洋医学に携わる方々、ヨガインストラクターやスポーツトレーナーなど人の身体に携わる人々の間でも、東洋医学を取り入れたい、学びたいというニーズは増えてきている。
 一般に「東洋医学」といわれるものは、東アジアに普及している伝統中国医学(以下、中医学と呼ぶ)、南アジアのアーユルヴェーダ、ヒマラヤ山岳地帯のチベット医学、そしてイスラムのユナニ医学がその範疇に入る。これらは「4大伝統医学」と呼ばれ、それぞれの地域で今も現役の“活きた医学”だ。このうち日本で国家資格として認められているのは、中医学の一分野である鍼灸となる。はり・きゅう師は、その資格取得の過程で現代医学を一通り学び、加えて伝統医学に基づいた理論と手法も学ぶ。日本の中では東洋医学に最も精通した者たちが「はり師・きゅう師」ということだ。
 しかし、はり・きゅう師が皆、西洋と東洋、両方の医学を十分に活かして患者と向き合っているか? というと、なかなかに難しい。伝統医学はいずれも古代の哲学や思想を基礎に成り立つ医学体系であるため、そちらを重んじれば現代医学からかけ離れ、ともすれば施術者の独りよがりに陥りやすい。さりとて西洋医学に偏れば、伝統医学本来の持ち味である「現代医療とは別の角度から病と人を診る」という意義が失われてしまうからだ。
 私もこのジレンマに悩まされながら、長年臨床に立ってきた。その中で私自身が必要と感じるテキスト、その都度のヒラメキ、その根拠となる医学知識を、自分自身のレポートとして書き溜めてきた。それが本書の原点となる。本書の中では特に、中医学を「現代医学との共通言語で」どう説明するかに焦点を置いているが、どうにも説明がつきにくい難題に対しては、個人的な推論が挟まるのはどうかご容赦願いたい。

 私はこの書を、私自身が欲しいと思えるようなテキストにしたいと思って書き進めた。
 私と同じジレンマを抱える同業者の皆さん、新たに東洋医学を学びたいと思っている多くの方に、この書がお役に立つことを願っている。

2023年2月1日
吉田 啓

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目 次

Introduction:中医学の基礎
 01:陰陽論― 一つではありえないもの─
 02:気―恒常性を支える力─
 03:血―生命の水─
 04:津液―流れる水は腐らない─
 05:臓腑―体内の陰陽─
 06:経絡―気血が巡る路─
 07:経筋―筋肉に刻まれた動き─
 08:私見―鍼灸は何にアプローチしているのか?─

Chapter 01 肺
 01:肺―自律神経の操者─
 02:手の太陰肺経(Lung meridian)
  LU01 中府
  LU07 列缺
  LU09 太淵
 03:手の太陰経筋

Chapter 02 大腸
 01:大腸―アタマとハラの会話、その1─
 02:手の陽明大腸経(Large intestine meridian)
  LI04 合谷
  LI11 曲池
  LI20 迎香
 03:手の陽明経筋

Chapter 03 胃
 01:胃―五臓六腑の海─
 02:足の陽明胃経(Stomach meridian)
  ST04 地倉
  ST08 頭維
  ST12 缺盆
  ST25 天枢
  ST30 気衝
  ST34 梁丘
  ST36 足三里
  ST40 豊隆
  ST44 内庭
 03:足の陽明経筋
  ST07 下関

Chapter 04 脾
 01:脾―虚実一体の臓腑─
 02:足の太陰脾経(Spleen meridian)
  SP04 公孫
  SP06 三陰交
  SP09 陰陵泉
 03:足の太陰経筋
  SP21 大包

Chapter 05 心
 01:心―こころはどこにあるのか─
 02:手の少陰心経(Heart meridian)
  HT05 通里
  HT07 神門
 03:手の少陰経筋

Chapter 06 小腸
 01:小腸―アタマとハラの会話、その2─
 02:手の太陽小腸経(Small intestine meridian)
  SI03 後渓
  SI06 養老
  SI09 肩貞
  SI11 天宗
  SI16 天窗
 03:手の太陽経筋

Chapter 07 膀胱
 01:膀胱―成長の道筋─
 02:足の太陽膀胱経(Bladder meridian)
  BL01 睛明
  BL02 攅竹
  BL10 天柱
  BL12 風門
  BL13〜28背兪穴
  BL13 肺兪
  BL15 心兪
  BL18 肝兪
  BL20 脾兪
  BL23 腎兪
  BL43 膏肓
  BL51 肓門
  BL53 胞肓
  BL40 委中
  BL58 飛揚
  BL60 崑崙
  BL62 申脈
  BL67 至陰
 03:足の太陽経筋

Chapter 08 腎
 01:腎―生命の根、生身の本─
 02:足の少陰腎経(Kidney meridian)
  KI01 湧泉
  KI06 照海
  KI16 肓兪
 03:足の少陰経筋

Chapter 09 心包
 01:心包―喜びが育む臓器─
 02:手の厥陰心包経(Pericardium meridian)
  PC06 内関
  PC08 労宮
 03:手の心主(厥陰)経筋

Chapter 10 三焦
 01:三焦―境界にあるもの─
 02:手の少陽三焦経(Triple Energizer meridian)
  TE03 中渚
  TE05 外関
  TE15 天髎
  TE17 翳風
  TE21 耳門
 03:手の少陽経筋

Chapter 11 胆
 01:胆―中正の火─
 02:足の少陽胆経(Gallbladder meridian)
  GB03 上関
  GB12 完骨
  GB20 風池
  GB26 帯脈
  GB29 居髎
  GB30 環跳
  GB34 陽陵泉
  GB39 懸鐘
  GB41 足臨泣
 03:足の少陽経筋

Chapter 12 肝
 01:肝―智将のロジスティクス─
 02:足の厥陰肝経(Liver meridian)
  LR03 太衝
  LR08 曲泉
  LR09 陰包
 03:足の厥陰経筋

Chapter 13 奇経八脈
 01:奇経八脈―経絡の発生学─
 02:任脈(Conception Vessel)
  CV04 関元
  CV12 中脘
  CV17 膻中
 03:督脈(Governor Vessel)
  GV09 至陽
  GV14 大椎
  GV20 百会

  参考文献
  東洋医学系索引
  西洋医学系索引

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執筆者一覧

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