鍼灸のことが気になったらまず読む本 Q&A 89
寺澤佳洋 編著
A5判 146頁
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
ISBN978-4-498-06932-9
2022年08月発行
在庫あり
鍼灸のことが気になったらまず読む本 Q&A 89
寺澤佳洋 編著
A5判 146頁
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
ISBN978-4-498-06932-9
2022年08月発行
在庫あり
医学と鍼灸の架け橋を目指す寺澤佳洋先生(医はき師てらぽん)と豪華執筆陣が,鍼灸を学ぶための超入門書をまとめ上げました.「鍼灸治療にエビデンスはあるんですか?」「鍼灸院は,整骨院や整体院とは違うんですか?」など,誰もが抱く疑問に簡潔に回答していきます.多くの方にとっては「鍼灸を学ぶ最初の一冊」に,医師にとっては「臨床の引き出しのひとつ」に,そして鍼灸師にとっては「地域医療との連携の秘密兵器」に,本書をぜひご活用ください.
出版社からのコメント
お寄せいただきました書評をご紹介
福島県立医科大学 会津医療センター
総合内科
山中克郎先生より
編著者の寺澤佳洋先生は、前職の藤田医科大学救急総合内科で一緒に学んだ仲間である。当時は救急室で働くことが多かった。救急患者がひっきりなしに運ばれてくる忙しい病院であった。そんな状況でも寺澤先生は若き指導医として、とても熱心に優しく医学生や研修医を教えてくれた。教育に対して、ほとばしる情熱を持つ人である。その頃の研修医と後に結婚したとの便りがあった。
本書を読むと、寺澤先生の日本中に鍼灸を広く普及させたいという想いが伝わってくる。鍼灸という言葉を知っていても、一般の方はなかなかそのメリットを享受できていないのではなかろうか。医師も同じである。医学教育で鍼灸を学ぶことはほとんどなく、鍼灸師との交流もないために、共通の言語で患者や疾患を語ることが少ない。
しかしながら、4年前に福島県立医科大学会津医療センターで働くようになってからは、鍼灸師との交流が増えている。当院には鍼灸研修というプログラムがある。一年次の鍼灸研修生は初期研修医と同じプログラムで研修を行う。医学部で6年間勉強をした初期研修医と比べると、ベースとなる医学知識の量に差があるので、カリキュラムをこなすことは非常に大変だと思う。遅くまで図書館に残って必死に勉強を続けている鍼灸研修生の姿をよく見かける。
本書を読めば、「鍼灸師とはどのような人か」「東洋医学で重要とされる経絡と経穴」「多様な鍼灸の応用」「鍼灸師が活躍する場」「鍼や灸の仕組み」「鍼灸のメリットとデメリット」を知ることができる。
私たちは65歳以上の住民が人口の50%以上という高齢化が進んだ山間部で訪問診療を行っている。そこでは鍼灸師が週に1日治療に加わってくれる。本書の著者の1人である鈴木雅雄先生の門下生である津田恭輔先生である。
腰や肩の痛みやしびれはもちろんのこと、COPD(慢性閉塞性肺疾患)に伴う呼吸苦の改善、便秘の治療まで行ってくれる。しかも効果はかなり大きく、患者さんは鍼灸師の訪問を待ち焦がれている。また、週末に当院の鍼灸師数名が病院から車で30分ほど離れた医療資源が乏しい地域に出かけ、健康教室での運動の後に希望者に鍼灸を施行している。こちらも体の不調が改善したと大評判になっている。
高齢化社会においては、様々な面で非薬物療法である鍼灸が活躍する機会がある。高齢者はいくつかの併存疾患を持つことが普通である。西洋医学だけで、全ての症状を緩和しようとすると、薬の数がどんどん増えてしまう。薬の相互作用や副作用が心配だ。鍼灸療法はこれからの日本において積極的に取り入れられるべき治療法である。
この本は鍼灸になじみのない人への優しい手ほどき書となっている。ポイントが短くまとめられているので、ちょっと気になったところを拾い読みするのに便利である。鍼灸に深い関心がある人は、最初から通読するのも面白い。鍼灸のことが気になったらまず読む本なのである。鍼灸師が日本全国で活躍し大輪の花を咲かせる、そんな未来はすぐそこに来ている。