執筆者一覧
寺澤佳洋 口之津病院 医はき師 編著
坂部昌明 明治国際医療大学鍼灸学部 非常勤講師,NPO 法人ミライディア 理事
吉田行宏 明治国際医療大学鍼灸学部鍼灸学科 講師
木村研一 関西医療大学保健医療学部はり灸・スポーツトレーナー学科 准教授
山下 仁 森ノ宮医療大学大学院保健医療学研究科長・教授,同大学鍼灸情報センター長
伊藤和憲 明治国際医療大学鍼灸学部 学部長,兼大学院研究科長 教授
新原寿志 常葉大学健康プロデュース学部健康鍼灸学科 教授
長崎絵美 RISA鍼灸院
木津正義 明生鍼灸院
岡本真理 美容鍼灸サロン麻布ハリーク 代表
川畑充弘 美容鍼灸サロン麻布ハリーク
増山祥子 森ノ宮医療大学医療技術学部鍼灸学科, 同大学鍼灸情報センター
松浦悠人 東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科 助教
渡部芳徳 医療法人社団慈泉会 市ヶ谷ひもろぎクリニック 理事長, 精神科医
粕谷大智 新潟医療福祉大学鍼灸健康学科 開設準備室長 教授
冨田祥史 一般社団法人山元式新頭鍼療法YNSA学会理事,康祐堂あけぼの漢方鍼灸院
栗本夏帆 グラン 統括院長
小内 愛 埼玉医科大学東洋医学科
山口 智 埼玉医科大学東洋医学科 准教授
金子聡一郎 東北大学大学院医学系研究科 地域総合診療医育成寄附講座 助教,登米市立登米市民病院鍼灸外来
長瀬眞彦 吉祥寺中医クリニック 院長,日本東方医学会 会長,順天堂大学医学部医学教育研究室
森下大亮 NODOKA RELIFE株式会社 代表取締役,のどか治療院 院長,明治国際医療大学保健医療学部 非常勤講師
古田大河 鍼灸MARU
建部陽嗣 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 研究員
鈴木雅雄 福島県立医科大学会津医療センター附属研究所 教授
今井賢治 帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科 教授,全日本鍼灸学会 常務理事(学術部長)
西村直也 セイリン株式会社 国内営業部医療・企画推進課 係長
船水隆広 学校法人呉竹学園臨床教育研究センター マネージャー
小泉洋一 セネファ株式会社 せんねん灸お灸ルーム 所長
三村直巳 東京医療専門学校鍼灸科・鍼灸マッサージ科
樫尾明彦 給田ファミリークリニック 副院長
鈴村水鳥 名鉄病院小児漢方内科/小児科,かけはし糖尿病・甲状腺クリニック漢方内科
寺澤すみれ 医療法人いその産婦人科
姜 ●鎬(●は王に其) 医療法人みどり訪問クリニック 理事長
大村健久 函館おおむら整形外科病院 理事長
藤沼康樹 医療福祉生協連家庭医療学開発センター長
岡光一成 鷲羽鍼灸院,一般社団法人全国鍼灸マッサージ協会 組織局
齋藤剛康 剛鍼灸治療院 総院長,一般社団法人全国鍼灸マッサージ協会 会長
古賀慶之助 公益社団法人 福岡県鍼灸マッサージ師会 会長
若山育郎 関西医療大学 名誉教授,公益社団法人全日本鍼灸学会 会長
田中一行 公益社団法人群馬県鍼灸師会 会長
山岡傳一郎 愛媛県立中央病院漢方内科 主任部長,一般社団法人日本東洋医学会鍼灸学術委員会 担当理事
矢野 忠 明治国際医療大学 学長,同大学鍼灸学部鍼灸学科 教授
横山 奨 アイム鍼灸院 総院長,YI’N YANG GINZA 院長
出版社からのコメント
お寄せいただきました書評をご紹介
福島県立医科大学 会津医療センター
総合内科
山中克郎先生より
編著者の寺澤佳洋先生は、前職の藤田医科大学救急総合内科で一緒に学んだ仲間である。当時は救急室で働くことが多かった。救急患者がひっきりなしに運ばれてくる忙しい病院であった。そんな状況でも寺澤先生は若き指導医として、とても熱心に優しく医学生や研修医を教えてくれた。教育に対して、ほとばしる情熱を持つ人である。その頃の研修医と後に結婚したとの便りがあった。
本書を読むと、寺澤先生の日本中に鍼灸を広く普及させたいという想いが伝わってくる。鍼灸という言葉を知っていても、一般の方はなかなかそのメリットを享受できていないのではなかろうか。医師も同じである。医学教育で鍼灸を学ぶことはほとんどなく、鍼灸師との交流もないために、共通の言語で患者や疾患を語ることが少ない。
しかしながら、4年前に福島県立医科大学会津医療センターで働くようになってからは、鍼灸師との交流が増えている。当院には鍼灸研修というプログラムがある。一年次の鍼灸研修生は初期研修医と同じプログラムで研修を行う。医学部で6年間勉強をした初期研修医と比べると、ベースとなる医学知識の量に差があるので、カリキュラムをこなすことは非常に大変だと思う。遅くまで図書館に残って必死に勉強を続けている鍼灸研修生の姿をよく見かける。
本書を読めば、「鍼灸師とはどのような人か」「東洋医学で重要とされる経絡と経穴」「多様な鍼灸の応用」「鍼灸師が活躍する場」「鍼や灸の仕組み」「鍼灸のメリットとデメリット」を知ることができる。
私たちは65歳以上の住民が人口の50%以上という高齢化が進んだ山間部で訪問診療を行っている。そこでは鍼灸師が週に1日治療に加わってくれる。本書の著者の1人である鈴木雅雄先生の門下生である津田恭輔先生である。
腰や肩の痛みやしびれはもちろんのこと、COPD(慢性閉塞性肺疾患)に伴う呼吸苦の改善、便秘の治療まで行ってくれる。しかも効果はかなり大きく、患者さんは鍼灸師の訪問を待ち焦がれている。また、週末に当院の鍼灸師数名が病院から車で30分ほど離れた医療資源が乏しい地域に出かけ、健康教室での運動の後に希望者に鍼灸を施行している。こちらも体の不調が改善したと大評判になっている。
高齢化社会においては、様々な面で非薬物療法である鍼灸が活躍する機会がある。高齢者はいくつかの併存疾患を持つことが普通である。西洋医学だけで、全ての症状を緩和しようとすると、薬の数がどんどん増えてしまう。薬の相互作用や副作用が心配だ。鍼灸療法はこれからの日本において積極的に取り入れられるべき治療法である。
この本は鍼灸になじみのない人への優しい手ほどき書となっている。ポイントが短くまとめられているので、ちょっと気になったところを拾い読みするのに便利である。鍼灸に深い関心がある人は、最初から通読するのも面白い。鍼灸のことが気になったらまず読む本なのである。鍼灸師が日本全国で活躍し大輪の花を咲かせる、そんな未来はすぐそこに来ている。