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書籍詳細

Dr.前島の膠原病論

Dr.前島の膠原病論

前島圭佑 著

A5判 172頁

定価3,520円(本体3,200円 + 税)

ISBN978-4-498-02716-9

2022年01月発行

在庫あり

噛めば噛むほど味が出る,けれど医学生や研修医にはとっつきにくい……そんな膠原病学の魅力や学び方を伝えるため,Dr.前島が独自のツール「膠原病マップ」を用いながら教科書的ではない考え抜かれた持論を展開します.学生・研修医はもちろん,膠原病学の指導にあたる先生方にも大いに役立つ一冊です.

著者からのコメント

医学生、研修医、内科系医師、そして膠原病専門医の皆様へ

 多くの医学領域において臨床免疫学の重要度は高まる一方ですが、その土台とも言える膠原病学は残念ながら多くの先生方から「難しい」と嫌われているのが実状です。その理由は様々あり本書でも触れていますが、「(学び手が求める内容の)総論が存在しない」ことも大きな要因だと考えています。本書はいわば「活きた総論」を目指して執筆した書籍です。全15章(約160頁)ですが、各論はそのうちの5章(約80頁)という構成です。また各論パートでも、「膠原病疾患は一連のものである(第3章より)」という視点で他疾患との類似点や相違点も交えることで、総論の考え方を補強できるように意識しています。本書の考え方をインプットしていただければ、これまで膠原病学に抱いていた負のイメージが一変することと信じています。

 本書は医学生をメインターゲットにしていますが、研修医や専門医の先生方に向けた内容も盛り込んでいます(欲が出てしまいました)。でもご安心ください。医学生向きではない内容には注釈をつけていますので、難しい内容は飛ばしながら読み進められるようになっています。また理解を促すための図表や、学習効率向上のための参照ページ注釈も多用しています。是非とも一度手に取っていただき、本書の雰囲気に触れていただければ幸いです。

2022年1月
前島圭佑

推薦文

医学部学生と研修医の皆さんへ.

来週からの実習,研修は膠原病…だけどわからない事が多すぎる,成書を前に頑張って予習しようと意気込んでいるけど通読は無理,と諦めかけているあなた.医学的基礎知識を詰め込む事は大変大切な事ですが,臨床の現場で医師が何を考え,どの様に判断しているかの予習ができれば,あなたの実習,研修の意義は飛躍的に向上するでしょう.しかし,疾患別の縦割り各論に終始する本が多く,独特な判断や理解を言葉に表して多くの初学者の方々に理解,納得出来る様に説明することは決して簡単な事ではありません.その様なニーズを満たそうとする,痒いところに手が届きそうなのが本書です.Dr.前島流膠原病持論ですが,我々が学生さんや若いDr.になかなか伝えづらい考え方や判断方法が分かりやすく解説してあります.著者は立ち読みでもChapter 2まで読んで頂きたいようですが,私は後半の各論部分を読んだ上で前半の総論部分を読む方がDr.前島から見えている風景を理解しやすいのではないかと思います.何事も俯瞰してみる能力は重要ですが,各論が理解できてこそ可能となることです.
 丸暗記ではない膠原病の理解を目指した本書で各論と総論を行ったり来たりしながら読むことで,明日病棟で周囲が驚くような質問ができるのではないかと思います.
 免疫学は日本が世界をリードしてきた分野です.それも,基礎研究の成果を治療応用する事に成功しており,古くは関節リウマチに対するIL-6阻害薬,新しいところではチェックポイント阻害薬はその最たるものです.免疫調整を目的とした薬剤は,様々な科で様々な疾患を対象に投与されているため,免疫は膠原病内科医だけでなく診療科横断的に重要な知識となっています.免疫を専門とする現場の臨床医がどのように考えているのかを本書で感じ取っていただき,少しでも興味を持ってもらえるとDr.前島共々嬉しく思います.

2021年12月
北里大学医学部膠原病・感染内科学主任教授
山岡邦宏

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序文

 なによりもまず,「Dr.前島って一体誰だ?」と疑問に感じておられることでしょう.
 ごもっともです.私は長くアカデミア(学究的環境)に身を置いていたものの,現在は地域医療に従事する一臨床医に過ぎません.なんの肩書きもない私の名を冠した奇妙なネーミングの本書をお手にとってくださり,誠にありがとうございます.私は「『膠原病学を面白いと思う気持ち』と『その面白さを広く若者(医学生や研修医)に伝えてこの業界をさらに盛り上げていきたいという気持ち』が人一倍強い膠原病内科医」です.つまり本書「Dr.前島の膠原病論」は,「膠原病学をこよなく愛する一専門医の頭の中」を書籍としてエクスポートしたものといえます.膠原病を学ぼうとするすべての若者に,その魅力を伝えたい一心で本書を執筆しました.
 これまで大学で多くの若者に指導をしてきましたが,幾度となく「もったいない…」とため息を漏らしてきました.せっかく「膠原病学に親和性が高い(膠原病を専攻することで最大限の能力を発揮できる)」と思われる若者であるにもかかわらず,他科を専攻した先生方が数多くおられたのです.これらの先生方はそれぞれの専門領域で活躍されているのですが,膠原病を専攻していたらもっともっと活躍できていただろうに,と思ってしまうわけです(負け惜しみによる私の勝手な思い込みなのでしょうが…).
大学の講義や臨床実習/研修の限られた時間では基本事項を教えることで手一杯であるため,「噛めば噛むほど味が出る医学領域」の代表格である膠原病学の本質的な面白さを若者に伝えるのは至難の業です.しかもコロナ禍になり,今まで以上にその魅力をアピールすることが難しくなっています.そもそも,私自身が大学から離れ,直接指導をする機会もなくなってしまいました.
 そこで,これまで長年にわたり講義や指導に試行錯誤してきた経験を活かして,膠原病学の指導にあたる全国の先生方の強力な武器になるような一冊を作ることを決意しました.結果,内容の濃いものに仕上がったと自負しています.が,一方で「手の内を明かし過ぎた」と後悔もしています(笑).本書はもしかしたら医師の卵であるあなたの人生を変える力を有しているかもしれませんので,(立ち読みでも良いので)少なくとも第2章までは是非とも読んでみていただきたいと思っています.
 本書により,指導医が「もったいない…」「魅力を伝えきれなかった…」などと残念な思いをすることがなくなり,ひいては膠原病領域がますます発展するようになればと心から願っております.

2021年9月
医療法人慈恵会 西田病院リウマチ・膠原病内科部長
前島圭佑

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目 次

Chapter 1 はじめに

Chapter 2 「膠原病論」のダイジェスト版
   1 自己免疫と自己炎症
   2 浅部臓器と深部臓器
   3 自己免疫/自己炎症の病態イメージ
   4 治療の考え方
   5 まとめ

Chapter 3 本書で学ぶ上での心得
   1 わかりにくい疾患領域であることを知る
   2 膠原病疾患は一連のものである
   3 浅部臓器と深部臓器に区別する
   4 膠原病マップA・Bを活用する
   5 本書での「自己免疫」と「自己炎症」の定義
   6 暗記の際には優先順位を意識する
   7 詳しい解説は教科書を参照して下さい

Chapter 4 膠原病総論〜自己免疫と自己炎症の違い〜
   1 免疫疾患は「自己免疫」「自己炎症」「免疫不全」の3つで構成される
   2 自己免疫(自己免疫疾患)とは
   3 膠原病でみられる症状の考え方
   4 自己炎症(自己炎症性疾患)とは
   5 臨床像から免疫異常の位置付けを見定める
   6 臓器特異的自己免疫疾患の考え方

Chapter 5 膠原病治療薬の考え方
   1 膠原病病態のイメージ
   2 膠原病治療薬の考え方

Chapter 6 膠原病治療の考え方
   1 深部病変ありの場合
   2 深部病変なしの場合
   3 治癒に至る場合
   4 病勢マーカーを理解する

Chapter 7 関節リウマチ治療の考え方(研修医向け)
   1 薬剤の有効性から関節リウマチ病態をイメージする
   2 JAK阻害薬とは
   3 関節リウマチにおける各分子標的薬の位置付け
   4 分子標的薬使用時のメトトレキサート併用について
   5 有効性vs安全性
   6 図7-1の注意点

Chapter 8 各論1:抗核抗体関連症候群
   1 全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)
   2 多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis:PM/DM)
   3 全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)
   4 混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD)
   5 シェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome:SjS)

Chapter 9 各論2:関節炎症候群
   1 関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)
   2 脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA)
   3 リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)

Chapter 10 各論3:血管炎症候群
   1-1 ANCA関連血管炎総論
   1-2 顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)
   1-3 多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)
   1-4 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)
   2 高安動脈炎(Takayasu arteritis:TAK)
   3 巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)
   4 結節性多発動脈炎(periarteritis nodosa:PAN)

Chapter 11 自己炎症性疾患
   1 家族性地中海熱(familial mediterranean fever:FMF)
   2 原発性免疫不全症(primary immunodeficiency disease:PID)(専門医向け)

Chapter 12 各論4:自己免疫─自己炎症の境界領域疾患群
   1 ベーチェット病(Behçet’s disease:BD)
   2 成人スティル病(adult Still’s disease:ASD)

Chapter 13 各論5:その他の膠原病
   1 再発性多発軟骨炎(relapsing polychondritis:RP)
   2 抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome:APS)
   3 IgG4関連疾患(IgG4-related disease:IgG4RD)
   4 (番外編)線維筋痛症(fibromyalgia:FM)(研修医向け)

Chapter 14 膠原病マップBを極める
   1 深部病変の有無で分ける
   2 高炎症の有無で分ける
   3 その他の絞り込み方
   4 疫学の傾向を知る

Chapter 15 おわりに〜膠原病診療の魅力〜
   1 モチベーションが尽きない
   2 治療が楽しい
   3 診断が楽しい
   4 発展途上(伸び代が無限大)だから楽しい
   5 研究が楽しい

   参考文献
   謝辞
   索引

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前島圭佑 医療法人慈恵会西田病院リウマチ・膠原病内科部長 著

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