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書籍詳細

ICUグリーンノート

ICUグリーンノート

志馬伸朗 編集 / 石井潤貴 編集協力

B6変型判 536頁

定価7,480円(本体6,800円 + 税)

ISBN978-4-498-16626-4

2021年06月発行

在庫あり

本書が制作された2020〜2021年は多くの医療機関がCOVID-19の対応に追われたが,そのような非常事態でも集中治療の本質は変わらず,基本的な治療や対策,管理を確実に提供することが肝要であった.特別な状況に気を取られず,集中治療の常識や基本を漏らさず習得できるよう,可能な限り最新の情報やエビデンスを元にまとめた.ベッドサイドやカンファレンスでもすぐに紐解けるポケットサイズ.

序文

 すっかりと葉を落とした雑木林の隙間から差し込む光が心なしか勢いを増したように思える.風が光っている.そしてよく見ると,枝先には小さな蕾が膨らみかけている.漸く春が来そうだ.そして気づいてみれば,コロナに振り回されて1年が過ぎた.
 新型コロナウイルスの流行は近代社会,近代医療における未曾有の負荷であった.我々が形作ってきた社会や医療が,いかに脆く危険なものであるかを,この感染症はあらためて教えてくれた.
 流行の間,日本の多くの集中治療室(ICU)で,新型コロナウイルス病(COVID-19)を受け入れた.COVID-19への対応の良否が,ICUという診療場所,そこで働くスタッフ,運用など,集中治療システムとその供給体制が如何によく確立されているかにより左右される事も明らかになった.
 その様な中で本書は書き上げられた.執筆者の多くが臨床現場におけるCOVID-19対応に追われる中,構想,原稿作成,そして校正に時間を割いて頂いた.甚大なる協力を頂けたことに,あらためて感謝したい.
 一方で,制作工程の多少の遅延や,それに関連する記事の陳腐化もあった.そして残念ながら,COVID-19に関する特異的記載はほとんど出来ていない.しかし一方,実際にCOVID-19の診療を踏まえて改めて感じることは,集中治療は変わらない,ということだ.特別なことは余りないのだ.
 COVID-19であれ他の感染症であれなんであれ,感染対策,呼吸管理,循環管理など基本的なものを漏らさず確実に提供することが重要である.特別なことばかりに気をとられてはいけない.特別なことは,些細のなものに過ぎないからである.本書はそういった,集中治療の常識や基本を可能な限りのエビデンスや最新情報を元にまとめてある.カンファレンスの最中に分からないことがあれば,スマホではなく本書を紐解いて頂ければ有り難い.
 一方で,初版にありがちな,“こなれていない感”,が残っている.読者からのフィードバックや著者自身の振りかえりを重ね,可能であればより良い第2版につなげられることを願っている.

2021年3月 春光の河畔にてカワセミの姿を追いながら
広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学
志馬伸朗

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目 次

略語

I ICU 管理総論
   1 集中治療室オペレーション 〈小倉崇以〉
   2 集中治療のシステム 〈細川康二〉
   3 by system by problem について 〈舩越 拓〉
   4 プレゼンテーションとカルテの書き方 〈牧野 淳〉
   5 ICU 回診 〈細川康二〉
   6 チーム医療とコミュニケーション 〈牧野 淳〉
   7 申し送り 〈牧野 淳〉
   8 ICU スタッフ教育と診療改善 〈安宅一晃〉
   9 Rapid Response System(RRS) 〈安宅一晃〉

II 緩和ケア,終末期,医療倫理
   1 疼痛・緩和ケア 〈天谷文昌〉
   2 終末期ケアとDNAR 〈則末泰博〉

III 救急蘇生
   1 一次救命処置(BLS) 〈秦 昌子〉
   2 二次救命処置(ACLS) 〈秦 昌子〉
   3 PBLS/PALS 〈中野 諭〉
   4 心拍再開後の治療: PCAS(post cardiac arrest syndrome) 〈堀口真仁〉

IV 呼吸
   1 基礎 〈木田佳子〉
   2 両側びまん性すりガラス状陰影の鑑別 〈京 道人〉
   3 ARDS 〈佐々木 賢〉
   4 閉塞性肺障害,IP 〈江角 亮〉
   5 心原性肺水腫 〈三角香世〉
   6 酸素療法 〈緒方嘉隆〉
   7 気道確保1 〈佐藤仁信〉
   8 気道確保2 〈衛藤由佳〉
   9 人工呼吸 〈木田佳子〉
   10 人工呼吸中のモニタ: 呼吸器グラフィックス〈土手 尚〉
   11 V-V ECMO 〈大下慎一郎〉
   12 呼吸器離脱 〈木田佳子〉
   13 呼吸理学療法 〈對東俊介〉
   14 気管支内視鏡とBAL 〈京 道人〉
   15 肺炎 〈大下慎一郎〉

V 循環
   1 循環生理 〈石井潤貴〉
   2 酸素運搬 〈石井潤貴〉
   3 循環モニタ 〈衛藤由佳〉
   4 ショックの診断と管理 〈菊池 忠〉
   5 循環作動薬の種類と使い分け 〈菊池 忠〉
   6 心不全 〈脇田真希〉
   7 心不全の管理 〈松田淳也〉
   8 急性冠症候群 〈塩村玲子〉
   9 不整脈 〈小林典之〉
   10 V-A ECMO 〈三角香世〉
   11 IABP 〈村田哲平〉
   12 Impella Ⓡ 〈村田哲平〉
   13 心臓外科術後管理 〈佐藤仁信〉
   14 急性大動脈解離 〈佐藤仁信〉
   15 急性肺塞栓症・深部静脈血栓症 〈村田哲平〉
   16 先天性心疾患術後管理 〈川崎達也〉

VI 中枢神経
   1 基礎 〈狩野謙一〉
   2 意識障害 〈林 実〉
   3 中枢神経モニタリング 〈細川康二〉
   4 頭蓋内圧亢進 〈藤本佳久〉
   5 脳血管障害 〈櫻谷正明〉
   6 脳炎/ 脳症 〈藤本佳久〉
   7 頭部外傷 〈狩野謙一〉
   8 てんかん重積発作 〈石原唯史〉
   9 せん妄 〈天谷文昌〉
   10 鎮静・鎮痛 〈御室総一郎〉
   11 脳死 〈大杉浩一〉

VII 腎
   1 基礎 〈岡田和也〉
   2 急性腎障害(AKI) 〈岡田和也〉
   3 利尿薬 〈大木伸吾〉
   4 血液浄化法 〈嶋岡英輝〉

VIII 消化器・栄養
   1 肝硬変 〈嶋岡英輝〉
   2 急性肝不全 〈春日井大介〉
   3 急性膵炎 〈御室総一郎〉
   4 消化管障害 〈春日井大介〉
   5 腹部コンパートメント症候群 〈畠山淳司〉
   6 栄養療法 〈畠山淳司〉

IX 血液凝固線溶系
   1 基礎 〈上野太輔〉
   2 抗凝固療法 〈藤田健亮〉
   3 止血剤 〈藤田健亮〉
   4 血小板減少の鑑別フローチャート 〈神尾 直〉
   5 播種性血管内凝固症候群(DIC) 〈上野太輔〉
   6 その他の血小板減少性疾患 〈神尾 直〉
   7 造血幹細胞移植に伴う重症合併症 〈神尾 直〉

X 代謝・内分泌系
   1 糖代謝異常 〈石井潤貴〉
   2 甲状腺機能異常 〈石井潤貴〉
   3 副腎機能異常 〈石井潤貴〉
   4 水溶性ビタミン 〈石井潤貴〉

XI 感染
   1 基礎 〈佐藤哲哉〉
   2 ICU 患者の発熱 〈佐藤哲哉〉
   3 抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬 〈橋本英樹〉
   4 敗血症 - 総論と初期蘇生 〈堀口真仁〉
   5 敗血症 - 各種補助的治療 〈堀口真仁〉
   6 院内感染の感染制御 〈太田啓介〉
   7 重症感染症 〈太田啓介〉

XII 外傷・熱傷・中毒
   1 Primary, Secondary survey 〈岡田遥平〉
   2 多発外傷の集中治療管理 〈岡田遥平〉
   3 外傷患者の初期管理 〈岡田遥平〉
   4 熱傷患者の評価 〈清水敬樹〉
   5 熱傷患者の管理 〈清水敬樹〉
   6 急性中毒の診断と分析 〈吉田拓也〉
   7 中毒起因物質に対する安全確保 〈吉田拓也〉
   8 急性中毒の標準治療 〈舩越 拓〉

XIII 体温異常
   1 体温 〈清水敬樹〉
   2 発熱および体温異常 〈江木盛時〉
   3 ICU での解熱処置 〈江木盛時〉

XIV 小児・妊産婦
   1 妊産婦の緊急病態 〈岡田麻美〉
   2 新生児・乳児・幼児・学童の生理学的特徴〈神薗淳司〉
   3 PARDS(pediatric acute respiratory distress syndrome) 〈大杉浩一〉
   4 小児敗血症/ 敗血症性ショック 〈川崎達也〉
   5 急性細気管支炎(RSV) 〈中野 諭〉
   6 脳炎・脳症 〈石原唯史〉

XV 輸液・輸血,水・電解質
   1 輸液管理 〈土手 尚〉
   2 輸血 〈土手 尚〉
   3 酸塩基平衡 〈三好博実〉
   4 電解質異常 〈石井潤貴〉

XVI 免疫
   1 アナフィラキシー 〈山賀聡之〉
   2 代表的免疫不全病態と関連感染症 〈吉田雄介〉
   3 自己免疫疾患 〈吉田雄介〉

XVII 画像検査
   1 心エコー 〈山賀聡之〉
   2 肺エコー 〈山賀聡之〉
   3 ショックアセスメント 〈山賀聡之〉
   4 頭蓋内エコー 〈林 実〉
   5 腹部エコー 〈林 実〉
   6 胸部画像の読み方 〈緒方嘉隆〉
   7 頭部・腹部CT 〈舩越 拓〉

XVIII デバイス
   1 カテーテル留置 〈衛藤由佳〉
   2 ドレーン 〈木村拓哉〉

XIX 予防
   1 ICU での予防策 〈大杉浩一〉
   2 フレイル 〈對東俊介〉
   3 ABCDEFGH バンドル 〈畠山淳司〉

XX ICU お役立ち早見表
   1 単位換算 〈三好博実〉
   2 予測体重表,PEEP/FIO₂ 表 〈京 道人〉
   3 スコアリング 〈京 道人〉
   4 輸液組成 〈狩野謙一〉
   5 循環作動薬 〈京 道人〉
   6 小児の発達曲線,バイタルサイン,必要栄養投与量,薬剤投与量 〈神薗淳司〉
   7 ステロイドの種類と使い分け 〈吉田雄介〉
   8 主な栄養剤 〈三好博実〉

索引

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執筆者一覧

志馬伸朗 広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学教授 編集
石井潤貴 広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学 編集協力
小倉崇以 済生会宇都宮病院救急・集中治療科 救命救急センター長 
細川康二 広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学 講師 
舩越 拓 東京ベイ・浦安市川医療センター救急集中治療科救急外来部門 部長 
牧野 淳 横須賀市立うわまち病院集中治療部 部長 
安宅一晃 奈良県立病院機構医療専門職研修センター 所長/奈良県総合医療センター集中治療部 部長 
天谷文昌 京都府立医科大学大学院医学研究科疼痛・緩和医療学教室教授 
則末泰博 東京ベイ・浦安市川医療センター救急集中治療科集中治療部門 部長 
秦 昌子 広島市立広島市民病院救急科 副部長 
中野 諭 埼玉県立小児医療センター救急診療科 医長 
堀口真仁 京都第一赤十字病院救急科 副部長 
木田佳子 広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学 助教 
京 道人 広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学 助教 
佐々木 賢 三重大学医学部附属病院救命救急・総合集中治療センター診療助教 
江角 亮 三重大学医学部附属病院救命救急・総合集中治療センター助教 
三角香世 済生会宇都宮病院救急・集中治療科 集中治療室副室長 
緒方嘉隆 八尾徳州会総合病院集中治療部 部長 
佐藤仁信 国立循環器病研究センター集中治療科 
衛藤由佳 旭川医科大学病院集中治療部 助教 
土手 尚 聖隷浜松病院救急科 医長 
大下慎一郎 広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学 准教授 
對東俊介 広島大学病院診療支援部リハビリテーション部門主任理学療法士 
菊池 忠 国立病院機構熊本医療センター麻酔科 医長 
脇田真希 日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科 助教 
松田淳也 日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科 助教 
塩村玲子 日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科 
小林典之 日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科 助教 
村田哲平 東京都健康長寿医療センター循環器内科 専門医長 
川崎達也 静岡県立こども病院集中治療センター センター長 
狩野謙一 福井県立病院救命救急センター 医長 
林 実 福井県立病院救命救急センター 医長 
藤本佳久 TMG あさか医療センター神経集中治療部/東京ベイ・浦安市川医療センター救急集中治療科集中治療部門 
櫻谷正明 JA 広島総合病院救急・集中治療科 主任部長 
石原唯史 順天堂大学医学部附属浦安病院救急診療科 助教 
御室総一郎 浜松医科大学医学部附属病院集中治療部 副部長 
大杉浩一 聖隷浜松病院救急科(現 昭和大学病院集中治療科) 
岡田和也 横須賀市立うわまち病院集中治療部 
大木伸吾 広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学 
嶋岡英輝 尼崎総合医療センター集中治療センター集中治療センター長 
春日井大介 名古屋大学医学部附属病院救急科 病院助教 
畠山淳司 国立病院機構東京医療センター救命救急センター 
上野太輔 川崎医科大学附属病院救急医学 臨床助教 
藤田健亮 済生会宇都宮病院救急・集中治療科 
神尾 直 湘南鎌倉総合病院集中治療部 部長 
佐藤哲哉 東北大学病院救急科・高度救命救急センター 助教 
橋本英樹 日立総合病院救急集中治療科・感染症科 医長 
太田啓介 静岡県立総合病院集中治療センター集中治療科/急変対応科 センター長/医長 
岡田遥平 京都大学大学院医学研究科初期診療救急医学分野 
清水敬樹 多摩総合医療センター救命救急センター 部長 /救命救急センター長 
吉田拓也 小牧市民病院救急集中治療科 
江木盛時 神戸大学大学院医学研究科外科系講座麻酔科学分野准教授/医局長 
岡田麻美 京都第二赤十字病院救命救急センター救急科 
神薗淳司 北九州市立八幡病院 総括部長・小児総合医療センター長 
三好博実 広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学 
山賀聡之 広島大学原爆放射線医科学研究所放射線災害医療開発研究分野 助教 
吉田雄介 広島大学病院リウマチ・膠原病科 助教 
木村拓哉 済生会宇都宮病院救急・集中治療科 救命救急センター副センター長 

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   定価7,480円(本体6,800円 + 税)
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