はじめに
近年,特に21世紀以後において,医学は目覚ましく進歩しました.中でもリウマチ・膠原病領域では様々な因子の解明にとどまらず,生物学的製剤や分子標的治療薬などのあらたな治療ツールも登場し,診療方針も抜本的に変化するようになりました.もはや,数十年前の学生時代に学んだ知識とは激変している分野といっても過言でないかもしれません.
そんな中で,「ここが知りたい!」シリーズの姉妹書として「膠原病診療」の執筆編集の機会を頂きました.すでに「リウマチ・膠原病」を対象としたマニュアル本は,各社からたくさん出版されております.しかし,リウマチ・膠原病を専門としないかかりつけ医・総合診療医,研修医,コメディカルの方にとって幅広い内容をコンパクトに理解するのは容易でなさそうです.可能な限り実践に即した内容を理解し,主要な疾患・病態を調べられるべく本書を構成しました.そして,姉妹書同様に症例呈示を原則的にくわえるとともに,最近のガイドラインもふまえた知識・診療ノウハウの理解を可能とさせるべき構成としました
特に,膠原病領域は多彩な臓器障害を併発し,多くの診療科との連携を必要とする分野です.そこで,従来のマニュアル本では取り上げられにくい「膠原病と関連しやすい各科との連携ポイント」の項目をつくるとともに,リウマチ専門医以外の多様なエキスパートの先生にも執筆を依頼させて頂きました.本書がリウマチ専門医にとっても有益になっていただけることを願っております.そして,読者のみならず,全ての膠原病患者さんにより良い結果につながることを心から願っております.
さて,人生100年時代を念頭にいっそうの医学・医療の発展が期待された令和時代が到来しましたが,新型コロナウイルスも到来し皆の生活は劇変させられました.様々な考えも出現し,医療人にとっても辛抱を重ねる日々が続いております.この問題の解決とともに,新たな明るい未来が到来することを心から願っております.
最後になりますが,岩岡秀明先生には中外医学社を通じて今回の執筆編集の機会を頂けるとともに分担執筆に関わって頂きました.そして多くの先生方には分担執筆を頂くとともに,岸本暢將先生には監修を頂きました.さらに中外医学社の皆様には企画から刊行まで関わって頂きました.皆様方に厚く御礼申し上げたいと思います.
2021年2月
船橋市立医療センター腎臓内科・リウマチ膠原病内科
清水英樹