は じ め に
“リハビリって何? リハビリ科って何してるの?”
こうした質問をコメディカルの学生、医学生や研修医に振ってみても、何やら難しい答えが返ってはくるものの、イマイチ要領を得ません。良い事前学習資料はないものかと医学書コーナーを見渡してみても、疾患や障害ごとのリハビリテーションの切り口で説明しようして膨大な量になり、各論の集合体の辞書と化してしまったものばかりでした。リハビリテーション医学、リハビリ科の人々とその仕事。自分たちのことをわかりやすく説明し、みんなに理解してもらえなければ、興味を持ってもらえません。他の科のイメージはそもそも正しく定着していることが多いのですが、リハビリ科の授業や実習ではいつも自分たちの解説から始める必要があります。
ただ、僕の授業を受けてくれる人は年間で百数十人程度です。ある時、学生から言われました。
―これ復習したいんですけど、教科書ありますか? え、ないんですか? じゃあ先生書いたらいいんじゃないんですか?
―そうだ、授業のことを本にしてみよう。そうしたらもっと色んな人にリハビリをアピールできるぞ……。こうして教育と臨床と研究の傍ら、僕はポチポチと原稿を書き始めました。
この本は、学生の講義や研修医の小講義でいつも最初に話しているリハビリテーション医学総論を整理して膨らませたものです。小難しい専門用語を排し、学生から大ベテランまで誰でもすんなり読むことが可能な、中堅のリハ医が語る(ある程度理想の)リハビリテーション医学。コメディカルの学生には将来を考える冒険の書として、医学生・研修医・他科の先生方にはリハビリ科を知る入り口として、コメディカルには自分の立ち位置を俯瞰するマイルストーンとして、療法士・リハ科医には自分たちの仕事を改めて言語化し、再確認し、布教 する用の教科書としても使えるように書きました。
本文はリハ科医目線で語られているように読めてしまうかもしれません。でもリハスタッフ=患者さんに関わるすべての人に向けて書いているつもりですので、どの職種の人も主語を自分に置き換えて読んでみてください。また、難しい医学用語はなるべく使わずに脚注で追加で解説するようにしましたが、もしわからない単語が出てきても一周目は気にせず読み進めてください。
さぁ、明るく楽しいリハビリの世界へ!
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令和二年十一月
須田 万豊