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書籍詳細

現場の疑問に答える もの忘れ診療Q&A

現場の疑問に答える もの忘れ診療Q&A

羽生春夫   

A5判 206頁

定価4,180円(本体3,800円 + 税)

ISBN978-4-498-32856-3

2020年07月発行

在庫あり

日常携わる高齢者診療における,もの忘れ・認知症を診療する上でのさまざまな疑問点,注意点をQ&A形式で実践的に解説!
アルツハイマー型・レビー小体型・血管性認知症の違いといった基本から,糖尿病など生活習慣病と連関した「合わせ技認知症」など話題のトピックまで含め,高齢者を診るすべての医療従事者にとって役立つ内容

序文

 認知症は高齢者の要介護となる原因の第1位にあげられ,健康寿命の延伸には認知症への対策が最も大きな課題となります.2012年に本邦で行われた大規模疫学調査によれば,認知症高齢者数は約462万人と推定され,2020年の現在では約600万人,そして2025年には700万人を超えるであろうと推測されております.これは65歳以上の高齢者の5人のうち1人に相当します.さらに,前段階の軽度認知障害もほぼ同数いるものと推定されるため,3人中1人が認知症またはその前段階ということになります.したがって,認知症は誰でもが関わりをもつ最もcommonな疾患ということになり,医療従事者としては避けてとおることができません.
 認知症の中で,最も多いのがAlzheimer型認知症ですが,その他にも様々な原因疾患が知られており,それぞれ症状や経過に違いがみられます.したがって,治療やケアもそれぞれ異なってまいりますので,正しく認知症を理解し,早期に診断,鑑別を行い,適切な対応が求められます.
 本書は,認知症の総論につづき,各論では認知症をきたす代表的な疾患(Alzheimer型認知症,血管性認知症,Lewy小体型認知症,前頭側頭型認知症,その他の認知症),そして最後に認知症の政策,制度,に分けられて構成されております.臨床の現場で疑問に答える形式で,最新のトピックスも加えられ,図表を多く用いてコンパクトにまとめられております.はじめて認知症を学ぶ医学生や看護学生から,実際に認知症者の診療や看護,介護にたずさわる臨床医,研修医,看護師,薬剤師,その他の医療スタッフなど多くの方々にご活用いただけるものと思います.
 本書を通じて,認知症診療のスキルアップにつながることを切に願い,多くの患者さんの診療に役立つことができれば幸いです.
2020年7月
東京医科大学高齢総合医学分野特任教授
南東北グループ総合東京病院認知症研究センター長
羽 生 春 夫

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目次
Chapter 1 総論 〈羽生春夫〉
 Q1 認知症の定義と診断基準について教えて下さい  
 Q2 わが国の認知症の有病率と病型について教えて下さい  
 Q3 認知症ではどのような症状がみられますか?  
 Q4 軽度認知障害(MCI)の概念と対応について教えて下さい  
 Q5 もの忘れ外来の診療手順を教えて下さい  
 Q6 生理的健忘との鑑別について教えて下さい  
 Q7 うつやせん妄との鑑別について教えて下さい  
 Q8 認知症を引き起こす原因について教えて下さい  
 Q9 治りうる認知症にはどのようなものがありますか?  
 Q10 神経心理検査にはどのようなものがありますか?  
 Q11 画像検査にはどのようなものがありますか?  
 Q12 血液,脳脊髄液検査にはどのようなものがありますか?  
 Q13 抗認知症薬について教えて下さい  
 Q14 BPSDにはどのようなものがありますか?  
 Q15 BPSDの治療薬にはどのようなものがありますか?  
 Q16 易怒性や攻撃性にはどのように対処すべきですか?  
 Q17 妄想や幻覚にはどのように対応すべきですか?  
 Q18 うつやアパシーにはどのように対処すべきですか?  
 Q19 合併症(転倒・骨折,誤嚥・肺炎,摂食障害・低栄養)への
    対応と予防について教えて下さい  
 Q20 フレイルやサルコペニアとの関連について教えて下さい  
 Q21 認知症の危険因子と防御因子について教えて下さい  
 Q22 運動や食事による認知症予防について教えて下さい  
 Q23 糖尿病との関連について教えて下さい  

Chapter 2 Alzheimer型認知症(AD) 〈羽生春夫〉
 Q1 病理・病態について教えて下さい  
 Q2 臨床像と診断基準について教えて下さい  
 Q3 画像所見の特徴について教えて下さい  
 Q4 アミロイド,タウPETについて教えて下さい  
 Q5 抗認知症薬による治療アルゴリズムについて教えて下さい  
 Q6 高齢者タウオパチーとの鑑別について教えて下さい  

Chapter 3 血管性認知症(VaD) 〈金高秀和〉
 Q1 診断基準について教えて下さい  
 Q2 画像所見と病型分類について教えて下さい  
 Q3 神経症状や身体症状への対応について教えて下さい  
 Q4 危険因子の管理,治療について教えて下さい  
 Q5 抗血栓療法について教えて下さい  
 Q6 脳アミロイドアンギオパチーについて教えて下さい  

Chapter 4 Lewy小体型認知症(DLB) 〈清水聰一郎〉
 Q1 診断基準と早期診断のポイントについて教えて下さい  
 Q2 DLBとPDDとの相違について教えて下さい  
 Q3 画像所見の特徴について教えて下さい  
 Q4 経過と予後について教えて下さい  
 Q5 レム期睡眠行動異常症(RBD)との関連について教えて下さい  
 Q6 パーキンソニズムの治療について教えて下さい  

Chapter 5 前頭側頭型認知症(FTD) 〈清水聰一郎〉
 Q1 診断のポイントについて教えて下さい
 Q2 画像所見の特徴について教えて下さい
 Q3 薬物療法と非薬物療法について教えて下さい
 Q4 介護者への指導について教えて下さい

Chapter 6 その他の認知症 〈羽生春夫〉
 Q1 プリオン病について教えて下さい
 Q2 進行性核上性麻痺と大脳皮質基底核変性症について教えて下さい

Chapter 7 政策,制度 〈櫻井博文〉
 Q1 家族(介護者)教室について教えて下さい
 Q2 認知症疾患医療センターとはどのようなところでしょうか?
 Q3 介護保険制度について教えて下さい
 Q4 認知症サポート医の役割について教えて下さい
 Q5 認知症施策推進大綱について教えて下さい
 Q6 認知症カフェについて教えて下さい

COLUMN 若年性認知症  
 高齢者の定義  
 認知症とてんかん  
 薬剤による認知機能障害  
 慢性外傷性脳症(chronic traumatic encephalopathy:CTE)  
 運転免許更新時の認知機能検査  
 疾患修飾薬  
 向精神薬処方の適正化に関わる平成30年度診療報酬改定について
 パーソンセンタードケア  
 BPSDに対する薬物治療  
 高齢者総合機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment:CGA)
 コグニティブ・フレイルとは  
 アミロイドβ(Aβ)  
 大脳辺縁系優位型老年期TDP—43脳症
(Limbic—predominant age—related TDP—43 encephalopathy:LATE)  
 CADASILとCARASIL  
 CAA—RI(cerebral amyloid angiopathy related inflammation)白質脳症  
 DLB診断におけるDATイメージングとMIBG心筋シンチの使いわけ
 原発性進行性失語(primary progressive aphasia:PP  
 前頭側頭葉変性症の公的支援  
 成年後見制  

索 引  

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執筆者一覧

羽生春夫  東京医科大学高齢総合医学分野特任教授/  
      南東北グループ総合東京病院認知症疾患研究センター長 編著
金高秀和  東京医科大学高齢総合医学分野講師 
清水聰一郎 東京医科大学高齢総合医学分野主任教授 
櫻井博文  東京医科大学高齢総合医学分野教授 

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