臨床医のための診療手技
出月康夫 編
A5判 708頁
定価6,050円(本体5,500円 + 税)
ISBN978-4-498-01604-0
1993年発行
在庫なし
臨床医のための診療手技
出月康夫 編
A5判 708頁
定価6,050円(本体5,500円 + 税)
ISBN978-4-498-01604-0
1993年発行
在庫なし
好評裡に迎えられた月刊誌「臨床医」16巻増刊号をその後の進歩を取り入れ改訂し,ハンディな縮刷版にした.外来,病棟等の実地診療に必要な知識と器具や手技のコツなどを各分野の第一人者が図や写真により具体的に解説し,この1冊で日常診療に必要な項目を網羅している.心肺蘇生法・注射法・採血法・輸血法・栄養法・診察法・一般処置法・穿刺法・生検法・外来的治療法など,内科,外科の研修医の方々に最適の内容となっている.
序
この度,「臨床医のための診療手技」が単行本として改訂出版されることになった.本書のひな型は1990年月刊誌「臨床医」の増刊号として出版されたものであるが,それをさらに充実し,新しく必要と思われる項目を追加したものが本書である.ここに取り上げられた診療手技は,いずれも臨床に携わる医師がその専門のいかんを問わず身につけていなければならない基本的な診療手技である.臨床医であるかぎり,これだけは自分で出来なければならないものばかりである.これは本来,卒前の臨床教育,卒直後の臨床初期研修の期間中に体得すべきものであるが,わが国の卒前の医学教育,あるいは研修医制度の現状では専門科目によっては自ら努力をしない限り実現できないものも少なからずあろう.さきに厚生省の医療関係者審議会臨床研修部会は,すべての医師が臨床初期研修期間中に身につけるべき基本的な診察法,検査法,診療手技,救急処置法,診療態度などについての項目を具体的に示し,“卒後臨床研修目標”としてまとめて公表したが,本書にはここに挙げられているすべての基本的手技を網羅してある.さらに新しいテクノロジーの医療への導入によって日常診療に不可欠となった新しい知識や手技,さらには新たに医療現場で問題となっている事項への対応などについても取り上げてある.「ペースメーカーとその使用法」「院内感染の予防」「リハビリテーション」などの各項は,今回新たに取り上げたものである.
「基本的診療手技」は先人たちが工夫と改良とを重ねて完成させたものであり,すべての診療の基礎となる手技である.医学,医療の進歩,医療機器の進歩とともにさらに改良が加えられ,これらも変化していくものではあろうが,新しい改良や工夫は基礎的な手技の習熟の上に積み重ねられてこそ実現されていくものである.臨床医としての実地修練をはじめられた研修医,レジデントの方々ばかりでなく,卒前の臨床実習にも本書が広く活用されることを期待している.
1993年4月
出月康夫
目 次
A心肺蘇生法
1 心マッサージ 〈針宮豊城〉
A.心停止の原因
B.心停止の確認
C.閉胸式心マッサージ
D.開胸式心マッサージ
2 徐細動 〈安井 豊〉
A.徐細動器
B.徐細動の適応と禁忌
C.徐細動の実際
D.合併症
3 気道確保・人工呼吸 〈永納和子,山中郁男〉
A.気道確保
B.人工呼吸
4 人工呼吸の原理と人工呼吸器使用のこつ 〈美馬正彦〉
A.なぜ,O2吸入だけでなくて人工呼吸が必要か?
B.機能的人工呼吸の分け方
C.人工呼吸器・FRC・換気/血流比
D.人工呼吸器の主なモニターの理解ポイント
5 ペースメーカーとその使用法 〈山本 豊〉
A.体外式ペースメーカー
B.一時的心臓ペーシングの適応
C.手技
D.術後管理
6 蘇生時の薬の使い方 〈野見山〉
A.心停止時
B.昇圧薬
C.抗不整脈薬
D.蘇生後に使用する薬物
E.血管拡張薬
7 酸素療法 〈諏訪邦夫〉
A.低酸素と酸素負担
B.酸素療法のやりかた
C.酸素療法の手技
D.数時間から1日以上経過した状態での酸素療法
8 重症患者のモニタリング 〈田中啓治〉
A.監視システム
B.心電図モニタリング
C.循環動態モニタリング
D.呼吸モニタリング
E.その他のモニタリング
B注射法
1 皮下,皮内,筋肉内注射法 〈小林尚日出〉
A.皮下注射
B.皮内注射
C.筋肉内注射
2 静脈内注射,点滴法 〈鈴木幸一郎〉
A.静脈内注射法
B.点滴法
C.大量輸液,輸血法
3 静脈確保 〈豊岡秀訓〉
A.経皮的静脈確保
B.観血的静脈確保
4 動脈内注射法・門脈内注射法 〈山田龍作,溝端敏晴,塩山靖和〉
A.動脈内注入法
B.門脈内注入法
C採決法
1 静脈血採血法 〈高木淳彦〉
A.方法
2 動脈血採血法 〈青木 彰〉
A.方法
3 小児の採血法 〈鴨田知博〉
A.新生児
B.乳幼児
C.学童
4 検査血液の取扱い方 〈松本佶也,折田登志子〉
A.血液採取時の注意
B.血液検体と測定影響因子
5 血液成分分離採血法 〈沢村守夫〉
A.血液成分の製法と特色,適応
B.血液成分分離装置による成分採血
D輸血法
1 輸血に際して必要な検査 〈南 陸彦〉
A.供血者の保護のための検査
B.受血者の保護のための検査
2 輸血の種類・成分輸血・輸血法 〈武藤良知〉
A.輸血の目的
B.成分輸血
C.血液製剤の種類と適応
D.輸血法
3 輸血による感染症 〈山口一成〉
A.ウイルス以外の病原体による輸血感染症
B.ウイルスによる輸血感染症
4 輸血後GVHDに対する予防法 〈高橋孝喜,十字猛夫〉
A.免疫不全での発症
B.術後紅皮症
C.輸血後GVHDの確証
D.免疫不全でない症例での発生機序
E.頻度
F.予防法
G.放射線照射の有効性
H.放射線照射の安全性
I.放射線照射の実施体制
E栄養法
1 経腸栄養法 〈高木洋治,岡田 正〉
A.栄養法の種類
B.経腸栄養法の適応
C.経腸栄養剤の種類と特徴およびその選択
D.投与手順
E.症例呈示
F.副作用・合併症
2 経静脈栄養法 〈三條健昌〉
A.侵襲と生体反応
B.侵襲とエネルギー必要量の変化
C.栄養学的パラメーター
D.経静脈栄養法に必要とされる栄養素類
E.水分バランスと各栄養素の投与量
F.経静脈輸液に用いられる製剤
G.投与経路とカテーテル留置法
H.高カロリー輸液の実際
I.完全静脈栄養法の管理
J.合併症について
K.在宅静脈栄養法
F診察法
1 バイタルサイン 〈濱田潤一,相川直樹,堀 進悟〉
A.体温
B.脈拍
C.呼吸
D.血圧
E.意識
2 頭頸部の診察法
a.眼底検査法 〈松井瑞夫〉
A.直像眼底検査法の原理
B.直像検眼鏡の構造
C.直像検眼鏡の使い方
b.視野,眼圧検査法 〈赤羽信雄〉
A.視野検査法
B.眼圧検査法
c.外耳道,鼓膜検査法 〈高山幹子,石井哲夫〉
A.意義と目的
B.原理
C.器具・薬品
D.方法
E.適応
F.禁忌
d.聴力検査法 〈大西信治郎〉
A.意義と目的
B.検査機器
C.閾値測定法
D.気道聴力測定法
E.マスキング法
F.骨導聴力測定法
G.オージオグラムの書き方,聴力図
e.鼻腔,喉頭検査法 〈斎藤洋三,渋沢三伸〉
A.鼻腔検査
B.喉頭検査
f.口腔の診察法 〈西原克成〉
A.口腔の構造と機能
B.口腔疾患とその特徴
C.口腔の診察の実際
g.甲状腺,頸部リンパ節の触診 〈小原孝男〉
A.甲状腺触診
B.頸部リンパ節の触診
3 乳房の診察法 〈遠藤敬一〉
A.視診
B.触診
C.dimpling,えくぼ症状
D.大胸筋緊張位の触診
E.乳頭異常分泌例の触診
F.リンパ節の触診
4 腹部の診察法 〈万代恭嗣〉
A.視診法
B.打診法
C.触診法
D.聴診法
E.各疾患における診察法の要点
5 直腸,肛門の診察法 〈沢田俊夫,武藤徹一郎〉
A.直腸,肛門部検査法
B.直腸,肛門疾患
6 泌尿,生殖器の診察法 〈大原裕彦,岩動孝一郎〉
A.症状によりみた疾患と検査の進め方
B.具体的診察法と疾患
7 神経学的診察法 〈中村重信,三森康世〉
A.意識障害
B.痴呆
C.痙攣
D.深部反射
E.病的反射
F.知覚検査
8 筋肉,関節運動の診察法 〈鈴木堅二,中村隆一〉
A.関節の診察法
B.筋の診察法
C.上肢関節の診察法
D.下肢関節の診察法
E.脊柱の診察法
9 末梢循環障害の診察法 〈多田祐輔,佐藤 紀〉
A.症状の問疹
B.診察法
C.主要動脈疾患の鑑別点
10 皮膚病変の診察法 〈堀 嘉昭,本房昭三〉
A.問疹
B.皮膚病変の観察
C.自覚症状
D.皮(発)診の症状
E.皮(発)診
F.検査法
G一般処置法
1 胃管挿入法 〈萩原 優,高橋克之介〉
A.胃管挿入の目的
B.胃管の種類
C.胃管挿入法
D.胃管留置中の患者の管理
E.合併症
2 胃洗浄法 〈萩原 優〉
A.胃洗浄の目的
B.胃洗浄の器具
C.胃洗浄チューブの挿入法
D.胃洗浄液
E.胃洗浄法
F.合併症
3 浣腸,注射,高圧浣腸法 〈奥村邦彦,鈴木伸明,上原喜夫,小川正純〉
A.目的と適応
B.方法と器具
C.合併症とその予防のために
D.禁忌
E.注腸,高圧浣腸の実際
4 気管内吸引法 〈石部裕一〉
A.器具と方法
B.適応と注意事項
C.合併症と予防
5 導尿法 〈鈴木 明〉
A.適応
B.カテーテルの種類と特徴
C.カテーテル挿入法
D.救急導尿法
E.特殊カテーテル留置法
F.導尿と尿路感染
G.器具の交換と膀胱洗浄
6 体位ドレナージ 〈長岡 滋〉
A.去痰的処置
B.体位ドレナージの適応と付随的処置
C.体位ドレナージの禁忌
D.体位ドレナージの実施法
7 陰圧持続吸引法 〈稗方富蔵〉
A.胸腔持続吸引法
8 ドレーンチューブと管理法 〈窪田敬一〉
A.ドレナージの目的
B.ドレナージの適応
C.ドレーンの種類
D.挿入部位
E.ドレーン管理
F.ドレーンチューブによる合併症
9 動脈カテーテル法 〈荒木 威〉
A.目的と意義
B.適応
C.器具
D.薬剤
E.手技
F.合併症
10 人工透析法 〈浅野 泰,武田茂幸〉
A.血液浄化法
B.腹膜透析
C.血液透析
D.血液灌流
11 中心静脈圧測定法 〈緒方健一,勝屋弘忠〉
A.準備
B.穿刺部位
C.穿刺の実際
D.カテーテル先端の位置確認
E.測定
F.CVPの正常値と評価
G.合併症
12 SWAN-GANZカテーテル挿入法 〈前田 肇〉
A.意義と目的
B.構造と原理
C.挿入準備
D.挿入部位
E.経皮的穿刺挿入法
F.挿入のこつ
G.適応
H.禁忌
I.合併症と注意事項
13 バルーンタンポナーデ法 〈佐藤泰治〉
A.適応
B.必要な器材と薬品など
C.バルーンタンポナーデチューブによる食道静脈瘤出血の圧迫止血法
D.バルーンタンポナーデチューブ使用中の注意と抜管の時期
E.合併症
14 異物の除去(気道・食道など) 〈日野原正〉
A.意義と目的
B.原理・器具・準備
C.気道異物の概要,摘出法,注意事項
D.総括的注意事項
15 薬物中毒の処置 〈田中淳介,山下 衛〉
A.患者の評価と救命処置
B.胃洗浄
C.下剤・吸着剤・腸洗浄
D.強制利尿
E.DHP
F.薬理学的に中毒症状に拮抗するもの
H穿刺法
1 腰椎および脳槽穿刺法 〈足立憲昭,松本隆一,井上 敦〉
A.意義
B.器具
C.準備
D.方法
E.血性髄液の判断について
F.適応
G.禁忌
H.合併症
2 胸膜腔穿刺法 〈平井三郎〉
A.意義・目的
B.器具
C.穿刺部位の選択
D.麻酔
E.穿刺手技
F.穿刺上の注意・合併症
G.胸膜生検法
3 心膜腔穿刺法 〈松永 仁〉
A.診断と適応
B.穿刺の準備
C.穿刺手技
D.穿刺後の処置
E.合併症
4 腹腔穿刺法 〈木村恒人〉
A.腹腔穿刺と腹腔洗浄
B.準備する器材
C.方法
D.合併症
E.禁忌
5 DOUGLAS窩穿刺法 〈木村恒人〉
A.適応
B.準備する器材
C.方法・手技
D.穿刺部位および穿刺の実際
E.穿刺の際の注意点
F.穿刺液からの診断
G.合併症
H.禁忌
6 骨髄穿刺法 〈宮尾誠一〉
A.穿刺に必要な器具類
B.穿刺部位
C.穿刺方法
D.穿刺上の問題点
7 関節腔穿刺法 〈伊勢亀冨士朗〉
A.肩関節
B.肘関節
C.手関節
D.股関節
E.膝関節
F.足関節
8 嚢胞(腔),膿瘍穿刺法 〈白日高歩〉
A.穿刺に関する注意
B.表在性嚢胞の穿刺法
C.表在性膿瘍の穿刺法
D.その他の穿刺
9 エコーガイドによる穿刺法 〈万代恭嗣,伊藤 徹 出月康夫〉
A.意義
B.超音波穿刺のレベル
C.器具
D.探触子の消毒
E.準備
F.方法
I生検法
1 穿刺生検法 〈篠崎 登,桜井健司〉
A.穿刺生検とは
B.特徴
C.針生検の選択と施行上の要点
D.準備器具と手技
2 切除生検法 〈久保琢自〉
A.意義
B.対象
C.各論
D.切除生検時の注意
3 摘出生検法 〈久保琢自〉
A.意義
B.対象
C.方法
D.各論
4 生検組織の取扱い方 〈毛利 昇,齋藤生朗〉
A.生検の目的
B.生検の方法
C.生検に際して注意すべきこと
D.生検材料の処理
E.生検材料を病理検査室に提出するに当たって
J外科的治療法
1 滅菌法・消毒法 〈小林寛伊〉
A.滅菌法
B.消毒法
2 院内感染の予防と対処方法 〈炭山嘉伸〉
A.MRSA感染
B.肝炎
3 局所浸潤麻酔法 〈鈴木健三〉
A.意義・目的
B.局所麻酔薬
C.器械・器具
D.救急薬品
E.方法(手技)
F.適応
G.禁忌
H.注意事項
I.合併症
4 止血法 〈藤井千穂〉
A.創からの外出血に対する止血操作
B.内腔からの出血に対する止血操作
5 包帯,副木法 〈寒川昌明〉
A.包帯法
B.副木法
6 創傷の応急処置 〈梶原哲郎,清水忠夫,芳賀俊介〉
A.創傷の評価
B.創傷の分類
C.準備
D.麻酔
E.洗浄・消毒
F.止血
G.デブリーマン
H.創縫合
I.ドレッシング
7 熱傷の応急処置 〈木所昭夫,八木義弘〉
A.目的と意義
B.熱傷治療とプランニングとその根拠
8 捻挫,骨折の応急処置 〈長野 昭〉
A.捻挫の応急処置
B.骨折の応急処置
C.開放骨折の処置
D.応急処置後の注意点
9 脱臼整復法 〈榊原 壤〉
A.顎関節脱臼
B.肩関節脱臼
C.肘関節脱臼
D.肘内障
E.手関節および手指の脱臼
F.股関節脱臼
G.膝蓋骨脱臼
H.膝関節脱臼
I.足関節脱臼
J.頸椎脱臼
10 切開・縫合 〈渡辺 寛〉
A.皮膚切開法
B.縫合(皮膚縫合)
11 破傷風予防 〈岡田芳明〉
A.意義と目的
B.原理
C.適応と実施
Kその他
1 放射線治療(末期癌対策など) 〈青木幸昌,赤沼篤夫〉
A.総論
B.各論
2 リハビリテーション 〈三宅直之,江藤文夫〉
A.なぜ,脳卒中の急性期よりリハビリテーションアプローチを行うのか?
B.廃用症候群とは?
C.脳卒中急性期のベッドサイドにおけるリハビリテーションプログラム
3 末期癌患者のケア 〈岡崎伸生〉
A.末期の診断
B.informed consent
C.癌の告知
D.症状の緩和対策
E.疼痛対策
4 インフォームドコンセント 〈橋本信也〉
A.インフォームドコンセントとは
B.インフォームドコンセントの歴史と発祥の背景
C.日常診療のおけるインフォームドコンセントの実際
5 処方せんの書き方 〈日高正人〉
A.処方せんの形式
B.処方せんへの記載事項
C.処方の記載
6 麻酔および向精神薬の取扱いについて 〈田島千恵子〉
A.麻薬
B.向精神薬
7 プライマリケアにおける医療関連法規 〈笠貫 宏〉
A.診療行為の法的意義
B.医師の権利義務と医療法規
C.プライマリケアにおける医療紛争
執筆者一覧
出月康夫 編
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