血液学
小川哲平 他編著
B5判 400頁
定価9,570円(本体8,700円 + 税)
ISBN978-4-498-02544-8
1991年08月発行
在庫なし
血液学
小川哲平 他編著
B5判 400頁
定価9,570円(本体8,700円 + 税)
ISBN978-4-498-02544-8
1991年08月発行
在庫なし
進展著しい血液学を確実に理解し,臨床に役立つ知識を修得するため,血液学の基本をなす理論的な事柄については新しい概念,用語などの説明を織り込みわかり易く解説するとともに,疾患の病態生理を診断・治療に結びつけ述べた.また治療法も最新の方法をできるだけ具体的に記し,「トピックス」として最近の進歩,話題も紹介した.第一線の気鋭の執筆陣が,新しい知見も充分に盛り込み,今日あるべき血液学の新しいテキストとして図解的な性格も取り入れ完成したものである.
序
近年の血液学の進歩は誠に著しい。免疫学による表面マーカー,分子生物学の応用,遺伝子診断など,関連領域の導入に伴う新しい用語の登場が血液学の進歩と相俟ってその理解をやや困難にしているともいえる。
そこで本書では,できる限り新しい概念や用語の説明を織り込むとともに,図表を用いて病態を中心として解説し,病態から病因,診断,治療へと理解を容易にするようにまとめた。また略語表をつけたのもそのためである。
執筆者は現在血液病学の第一線で活躍されている方々で,それぞれの方面の第一人者である。本書によって最新の血液病に関する必要かつ十分な知識が得られることができる。
またトピックスを囲み欄に設け,興味ある事項を付け加えた。
本書が医学生,研修医,検査技師,血液臨床医家のみならず,血液学に興味を持たれる方々に幾分なりともお役に立てば望外の喜びである。
1991年5月
編者
目 次
1 造血機構,免疫担当細胞の機構,止血の機構
A.骨髄,リンパ節,脾の組織の構造と機能 〈小川哲平〉
a.胎生期造血
b.骨髄
c.髄外造血
d.リンパ節
e.脾臓の構造と機能
1)脾臓の構造
2)脾臓の機能
f.血液の成分
B.血球の産生 〈浅野茂隆〉
総論
a.産生部位
b.多能性幹細胞と前駆細胞
c.造血支持細胞
d.造血調節因子
各論:各血球系の産生機構
a.多能性幹細胞
b.骨髄系細胞
1)赤血球
2)好中球/単球マクロファージ
3)好酸球ならびに好塩基球
4)巨核球/血小板
c.リンパ系細胞
1)Bリンパ球
2)Tリンパ球
C.血球の形態と機能 〈古沢新平〉
1.血球の形態
1)血球の基本構造
2)血球の成熟に伴う共通な変化
3)赤血球系
4)白血球系
5)巨核球-血小板系
6)肥満細胞
7)血球の細胞化学
2.血球の回転
1)赤血球
2)好中球
3)血小板
3.血球の機能
1)赤血球
2)好中球
3)好酸球
4)好塩基球・肥満細胞
5)単球・マクロファージ
6)リンパ球
7)血小板
D.生体防御,免疫応答と免疫担当細胞 〈森 晶夫,奥平博一〉
a.生体防御機構
b.自然免疫と獲得免疫
c.免疫担当細胞
d.クローン選択説
e.リンパ球の表面マーカー
f.Tリンパ球の抗原認識機構
g.免疫グロブリン
h.補体
E.止血機構 〈白井達男〉
a.定義・概念
b.分類
c.止血機序
1)一次止血
2)恒久的止血
d.止血の生理
1)血管内皮細胞の形態,機能
2)血小板
3)血液凝固
4)血液凝固阻止物質
5)線維素溶解現象
2 病因論からの血液疾患のとらえ方
A.先天性疾患 〈藤井寿一〉
a.遺伝子発現
b.先天性疾患の病因解明
1)蛋白質からの病因解明
2)遺伝子からの病因解明
c.遺伝子診断
B.腫瘍性疾患 〈澤田博義〉
a.病因
1)ウイルス
2)放射線
3)化学薬品
4)遺伝因子
b.癌化のメカニズム
C.ウイルス感染 〈小川哲平〉
a.パルボウイルス
b.ヘルペスウイルス
1)ヒトのヘルペスウイルス
2)EBウイルス
c.レトロウイルス
D.自己免疫性血液疾患 〈中原一彦〉
a.血液における自己免疫性疾患
b.液性免疫異常による自己免疫性血液疾患
1)赤血球系
2)血小板系
3)白血球系
c.細胞性免疫異常による自己免疫性血液疾患
1)再生不良性貧血
d.自己免疫成立の機序
E.欠乏性疾患 〈若林芳久
a.幹細胞の分化,増殖に関する造血因子の欠乏による疾患
b.血球の成熟過程で造血因子の欠乏によって起こる疾患
c.赤血球の糖代謝,膜の還元機構の欠損によって起こる疾患
d.凝固因子の欠乏による疾患
3 血液疾患各論
I.赤血球系疾患
A.貧血
総論 〈鶴岡延熹〉
a.概念
b.正常値
c.赤血球指数
d.原因
1)血液の喪失
2)血球生成の低下
3)溶血
e.症状
f.病態,検査
g.診断と治療
1.赤血球産生低下による貧血 〈厨信一郎〉
a.再生不良性貧血
b.赤芽球癆
2.ヘム合成異常による貧血 〈内田立身〉
a.鉄欠乏性貧血
b.巨赤芽球性貧血
c.鉄芽球性貧血
3.破壊亢進による貧血 溶血性貧血 〈藤井寿一〉
a.溶血性貧血-総論
b.遺伝性溶血性貧血
1)赤血球膜異常
2)赤血球酵素異常
3)ヘモグロビン異常
c.後天性溶血性貧血
1)免疫性溶血性貧血
2)発作性夜間ヘモグロビン尿症
3)赤血球破砕症候群
4.各種疾患に随伴する貧血 〈若林芳久〉
a.肝疾患による貧血
b.腎疾患による貧血
c.感染症に合併する貧血
d.悪性腫瘍に合併する貧血
e.膠原病,自己免疫疾患に合併する貧血
f.内分泌疾患に合併する貧血
B.赤血球増加症 〈青木 功〉
1.相対的多血症
2.絶対的多血症
a.真性多血症
b.続発性多血症
II.白血球系疾患
A.白血病
総論 〈小川哲平〉
1)定義
2)病因
3)白血病性幹細胞と増殖
4)モノクロナール抗体による白血病の分類
5)白血病と染色体異常
6)白血病遺伝子
7)白血病細胞回転
8)細胞化学
9)分類
10)疫学
1.急性白血病 〈大島年照〉
2.慢性白血病 〈小川哲平〉
a.慢性骨髄性白血病
b.慢性リンパ性白血病
3.骨髄異形成症候群 〈小川哲平〉
4.骨髄増殖性疾患・骨髄増殖性症候群 〈小川哲平〉
骨髄線維症
B.悪性リンパ腫 〈小川哲平〉
総論
1)定義・概念
2)疫学
3)病因と分類
4)症状
5)診断・鑑別診断
6)検査計画
7)治療
1.HODGKIN病
2.非HODGKINリンパ腫
C.悪性リンパ腫類縁疾患 〈小川哲平〉
1)成人T細胞性白血病
2)組織球性髄様細網症
3)hairy cell leukemia
4)菌状息肉腫
5)SEZARY症候群
6)immunoblastic lymphadenopathy
7)いわゆる組織球増殖症
8)脾機能亢進症
D.非腫瘍性疾患 〈浅野茂隆〉
1.類白血病反応
2.hypereosinophilic syndrome
3.伝染性単核球症
4.無顆粒球症
5.好中球機能異常症
1)先天性好中球機能異常症
2)続発性好中球機能異常症
III.血漿蛋白の異常
総論〈今井浩三,谷内 昭〉
1)定義・概念
2)分類
1.骨髄腫 〈今井浩三,日野田裕治,谷内 昭〉
2.原発性マクログロブリン血症 〈今井浩三,佐々木泰史,辻崎正幸〉
3.H鎖病・免疫グロブリンフラグメント病・アミロイドーシスなど 〈今井浩三,杉山敏郎,谷内 昭〉
1)H鎖病
2)免疫グロブリンフラグメント病
3)アミロイドーシス
4)多発性神経炎と内分泌症状を伴うplasma cell dyscrasia症候群
IV.免疫不全症候群 〈中原一彦〉
総論
1)定義・概念
2)分類
3)頻度
4)診断
5)検査のすすめ方
6)治療
1.原発性免疫不全症候群
a.リンパ球異常症
1)主としてBリンパ球系に障害のある原発性免疫不全
2)主としてTリンパ球系に障害のある原発性免疫不全症候群
3)Bリンパ球系,Tリンパ球系複合免疫不全症
b.好中球,単球異常症
c.補体異常症
2.続発正免疫不全症候群
a.薬物
b.感染症
c.悪性腫瘍
1)血液腫瘍
2)非血液腫瘍
d.自己免疫疾患
e.栄養障害・加齢,その他
付)後天性免疫不全症候群
V.出血傾向
総論 〈白井達男〉
1)定義
2)概念
3)分類
4)病態生理
5)出血症状
6)診断と検査計画
A.血小板異常 〈藤村欣吾〉
1.血小板機能異常症
a.先天正血小板機能異常症
1)血小板放出異常症
2)血小板粘着異常症
3)血小板凝集異常症
b.後天性血小板機能異常症
2.血小板血症
3.VON WILLEBRAND病
4.血小板減少症
B.凝固異常 〈小林 勲〉
総論
a.定義・概念
b.疫学
c.病態生理
1)病因
2)機能変化
3)病理学
d.症状
e.診断
1)問診
2)身体所見
3)検査所見
4)鑑別診断
5)検査法
6)検査計画
f.治療
1)凝固異常症
2)線溶異常症
g.予後
1)凝固異常症
2)線溶異常症
各論
1.先天性凝固異常
1)血友病
a)血友病A
b)血友病B
2)その他の先天性凝固異常
a)先天性第XII因子欠乏症
b)FLETCHER因子欠乏症
c)高分子キニノーゲン欠乏症
d)先天性第XI因子欠乏症
e)先天性第X因子欠乏症
f)先天性第VII因子欠乏症
g)先天性プロトロンビン複合体欠乏症
h)先天性第V因子欠乏症
i)先天性第V,第VIII因子欠乏症
j)先天性第II因子欠乏症
k)先天性フィブリノーゲン異常
l)先天性第XIII因子欠乏症
2.後天性凝固異常
1)凝固阻止物質による凝固異常
a)lupus anticoagulant
b)第VIII因子阻止物質
c)第V因子阻止物質
d)II,VII,IX,X因子に対する阻止物質
e)XI,XII因子に対する阻止物質
f)第13因子に対する阻止物質
g)フィブリノーゲン,フィブリンに対する阻止物質
2)播種性血管内凝固症
3)線溶亢進による凝固異常
a)血管内凝固症候群
b)血栓溶解薬
c)肝疾患
d)外科的手術
e)白血病他
C.血管性 〈塚原敏弘〉
1)遺伝性出血性末端血管拡張症
2)SCHONLEIN-HENOCH紫斑病
3)その他
a)自己赤血球感作性紫斑病
b)DNA感作性紫斑病
c)壊血病
d)老人性紫斑病
e)単純性紫斑病
f)EHLERS-DANLOS症候群
4 輸血と移植
A.血液型 〈雨宮洋一〉
a.ABO(ABH)式血液型
1)H物質
2)分泌型ABH抗原
3)ABO式血液型の亜型
4)ABH抗体
b.Rh式血液型
1)DuおよびRh式血液型の亜型
2)Rh抗体
c.Lewis式血液型
d.その他の血液型
e.polyagglutination(汎血球凝集反応)
f.新生児溶血性疾患
B.HLA 〈幸道秀樹〉
1)HLAの位置と命名
2)ハプロタイプ
3)HLAの検査
4)HLAと移植
5)HLAと輸血
6)HLAと疾患
7)HLA研究の最近の進歩
C.成分輸血 〈雨宮洋一〉
a.赤血球輸血
1)赤血球濃厚液
2)白血球除去赤血球
3)洗浄赤血球
b.アフェレーシス
1)血小板輸血
2)顆粒球輸血
3)連続血液成分採血装置による顆粒球および血小板採取時の安全基準
c.自己血輸血
D.輸血副作用 〈雨宮洋一〉
a.免疫性副作用
1)赤血球抗体の検索
2)赤血球抗体による輸血副作用
3)抗血小板同種抗体によるもの
4)抗白血球同種抗体によるもの
5)輸血後移植片対宿主反応
6)血清型抗体による輸血副作用
b.非免疫性溶血性輸血副作用
E.骨髄移植 〈幸道秀樹〉
a.骨髄移植とその現況
b.骨髄移植の実際
c.移植後の経過と合併症
d.感染症とその予防
1)無菌室療法
2)顆粒球減少症
3)ウイルス感染症
4)間質性肺炎
5)GVHD
e.in vivoでの免疫能
1)細胞性免疫能
2)液性免疫
f.成績
1)急性白血病
2)慢性骨髄性白血病
3)再生不良性貧血
4)先天性免疫不全などの先天性疾患
g.問題点と対策
附.血液検査に関する正常値 〈米満 博〉
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