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間違いだらけの緩和薬選び Ver.3
費用対緩和を考える
大津秀一 著
A5判 250頁
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
ISBN978-4-498-11710-5
2018年01月発行
在庫なし
第2版刊行から約2年半あまり,満を持して送る改訂版.新たな強オピオイド薬であるヒドロモルフォン,オピオイド由来の便秘を新たな作用機序によって緩和するナルデメジンなどの新薬に関する情報も追加.今回の改訂から,処方の参考にして頂くために代表的な薬価を記載しました.初版以来の伝統, Dr.大津の本音トークはもちろん健在!
著者略歴 大津秀一 茨城県出身.岐阜大学医学部卒業.緩和医療医. 日本緩和医療学会 緩和医療専門医,総合内科専門医,がん治療認定医,日本老年医学会専門医,日本消化器病学会専門医,2006年度笹川医学医療研究財団(現・笹川記念保健協力財団)ホスピス緩和ケアドクター養成コース修了.内科専門研修後,平成17年より3年間京都市左京区の日本バプテスト病院ホスピスに勤務したのち,平成20年より東京都世田谷区の入院設備のある往診クリニック(在宅療養支援診療所)に勤務し,入院・在宅(往診)双方でがん患者・非がん患者を問わない終末期医療・緩和医療を実践,2010年6月から東邦大学医療センター大森病院緩和ケアセンターに所属し,現在緩和ケアセンター長. 著書に『間違いだらけの緩和薬選び』(中外医学社),『世界イチ簡単な緩和医療の本』(総合医学社),『誰でもわかる医療用麻薬』(医学書院)などがある.
第3版の序 皆さまからの継続的な温かい支持のおかげさまで,初版から5年で3版まで版を重ねさせて頂くこととなりました.ありがとうございます. 緩和医療の世界に激震が走るほどのブレイクスルーは起きておりませんが,第2版からのこの2年半でも様々な薬剤が使用可能となりました. メサドン,タペンタドールに続く,新たな強オピオイドとしてヒドロモルフォンがラインナップに加わりました. また,オピオイド由来の便秘を,末梢性の(消化管の)μオピオイド受容体拮抗作用を介して緩和する本邦初の薬剤であるナルデメジンも使用可能となりました. 他国と比較した際に,相対的には手厚い医療保険制度があるとは言え,患者さんが窓口で支払う薬剤の金額はばかにはならないものです. 第3版においては,初版の正常進化型であり,キープコンセプトでもあった第2版よりも,新たな価値を投入しようと思い,コストの点にも着目することとしました.例えば,同じく苦痛が緩和される薬剤があったとしても,安ければそれに越したことはないでしょう.少なくとも,お金を払う側としては. 以前受け持った,大腸がんの皮膚転移のある寿司職人の患者さんがいて,最期まで働きたいという希望がありました.ある時,彼はできるだけオピオイド薬の値段を安くできないか,とおっしゃいました.高額療養費制度には引っかからないが薬剤費が十分に苦しいとのことでした.しかし公的扶助の世話になることは彼の考え方では許容できないものであり,生きがいとしての仕事も重要なものでした.そこで金銭的負担を可能な限り軽減したうえで,職人であり続けたかったのです.また,レスキューも1回あたりの値段が安ければ,同じ金銭的負担でも使う回数は増やせます.医薬品集をめくりながら調べ,最安の処方を出した時,彼はとても喜んでくれました.一つの痛みを緩和するために,どれくらいのお金をかけるのか,そういう視点があまりなかったことに私自身が教えられた思いでした. 本書は『間違いだらけの車選び』へのオマージュから名づけられた書籍です. 『間違いだらけの車選び』においては,決してメーカーにおもねることなく,また「個人の意見」になることを厭わず,自身の感性に照らして判断したものを伝える書籍であったと感じております. おかげさまで第3版となった本書においても,同様に,建前論は極力排し,また申告すべき利益相反がないという立場から,症状緩和に適している薬剤を紹介していきたいと存じます. 最後に,第2版が完売となり,第3版執筆のお勧めを頂いた時,緩和医療の世界の大研究者でもなく,学会で頻繁に壇上にあがる存在でもない一介の臨床家である筆者の綴った拙著を皆さまが変わらぬご支持を下さっていることに深く感謝申し上げた次第です. 臨床経験のみは豊富と言え,直近5年でも新規入院患者診療数1984名,新規外来患者診療数705名で,医師一名で,入院患者も毎日回診しレポートを書いております.また,一般病院,大学病院のみならず,在宅療養支援診療所,ホスピスで常勤勤務歴があることも,多様な診療形態に則した緩和診療計画の立案に寄与しているものと考えます. 皆さまが明日からより緩和の薬剤を理解して使用する一助となれば,この上ない喜びです. 第3版,どうぞよろしくお願い申し上げます. 2018年1月 大津秀一
目 次 はじめに 使用上の注意 緩和スペクトルの見方 序章 がんの患者さんの苦痛を取る時のポイント 薬を適切に使用するための(薬以外の)基礎知識 がん終末期予後判断指針(大津版) ❶ベタメタゾン,デキサメタゾン,プレドニゾロン 1 概略 ▶処方例 2 疼痛に対して 3 全身倦怠感に対して 4 食欲不振に対して 5 呼吸困難に対して 6 嘔気・嘔吐に対して 7 胸水・腹水に対して 8 腸閉塞(下部消化管閉塞)に対して 9 下肢浮腫に対して 10 その他に対して Column 最後に一口コラム,及び在宅にて Column ステロイドとコスト ❷ミダゾラム,フルニトラゼパム 1 概略 ▶処方例 2 疼痛に対して 3 全身倦怠感に対して 4 呼吸困難に対して 5 嘔気に対して 6 不眠に対して 7 せん妄に対して 8 その他 Column 最後に一口コラム,及び在宅にて Column 鎮静薬とコスト ❸疼痛の治療法 ■処方の前に…… 1 侵害受容性疼痛の内臓痛 2 侵害受容性疼痛の体性痛 3 神経障害性疼痛 4 その他(腸蠕動痛や筋肉の痛みなど) A アセトアミノフェン Column アセトアミノフェンとコスト B NSAIDs ▶処方例 Column NSAIDsとコスト C オピオイド Column トラマドールとコスト D モルヒネ Column モルヒネとコスト E オキシコドン Column オキシコドンとコスト F フェンタニル Column フェンタニルとコスト G ヒドロモルフォン Column ヒドロモルフォンとコスト ▶ピコスルファート液の使い方の1例 Column 便秘薬とコスト Column 嘔気対策薬とコスト ▶オピオイド副作用対策処方例 ▶オピオイドレスキュー設定法 ■フェンタニル口腔粘膜吸収剤について Column レスキューとコスト ■オピオイドの開始処方 ▶オピオイドの増量法 ▶オピオイド開始処方例 Column オピオイドの注射薬とコスト 1)持続痛がメインのパターン 2)突出痛がメインのパターン Column ゾレドロン酸とデノスマブのコスト ▶骨転移痛の処方例 【鎮痛補助薬のすべて】 1 プレガバリン 2 デュロキセチン 3 ミルタザピン ▶処方例 ▶鎮痛補助薬の処方例 Column 神経障害性疼痛の鎮痛補助薬とコスト ▶神経障害性疼痛の処方例 ■痛みの分類 〜事例と画像で考える〜 ❹ブロマゼパム坐剤 ▶ブロマゼパム坐剤の処方例 Column ブロマゼパム坐剤のコスト ❺呼吸困難の治療法 ▶呼吸困難緩和の頓用薬 ▶呼吸困難緩和の定時薬 Column 呼吸困難薬とコスト ❻フェノバルビタール(注射と坐剤) ▶ミダゾラム等で鎮静不良の場合に Column フェノバールとコスト 精神症状の治療薬 ❼せん妄の治療薬 A クエチアピン B ペロスピロン C ハロペリドール ▶せん妄緩和の定時薬 Column せん妄対策薬とコスト ❽不安の治療薬 ◆抗不安薬 ▶不安緩和の治療薬 Column 抗不安薬とコスト ❾睡眠障害の治療薬 ▶不眠の治療薬 Column 睡眠系薬剤のコスト ❿抑うつの治療薬 ▶抑うつの治療薬 Column 抗うつ薬とコスト 消化器症状の治療薬 ⓫消化管閉塞の治療薬 ◆オクトレオチド ▶消化管閉塞の治療薬 Column オクトレオチドとコスト ⓬腸蠕動痛の治療薬 ◆ブチルスコポラミン Column ブスコパンとコスト ▶ブチルスコポラミンの処方例 ⓭嘔気・嘔吐の治療薬 ▶嘔気・嘔吐の治療薬 Column 制吐薬とコスト ⓮便秘の治療薬 ▶下剤の処方例 Column 便秘薬とコスト その他の身体症状の治療薬 ⓯高カルシウム血症の治療薬 ▶高カルシウム血症の治療 Column 高カルシウム血症治療薬のコスト ⓰浮腫・腹水の治療薬 ▶浮腫・腹水の治療 Column 利尿系薬剤とコスト ⓱めまいの治療薬 ▶めまいの治療薬 Column めまいの薬剤とコスト ⓲口腔カンジダ症の治療薬 ▶口腔カンジダ・食道カンジダの治療薬 Column 口腔カンジダ治療薬とコスト ⓳抗菌薬と皮下点滴 ■皮下点滴をご存じですか? その歴史 ▶在宅での抗菌薬使用例 Column 抗菌薬とコスト ⓴皮膚転移の悪臭に ■おまけ 褥瘡治療の処方 Column メトロニダゾール軟膏のコスト おわりに 索引
執筆者一覧
大津秀一 東邦大学医療センター大森病院 緩和ケアセンターセンター長 著
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