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書籍詳細

糖尿病―専門医にきく最新の臨床

糖尿病―専門医にきく最新の臨床

岩本安彦 他編

B5判 300頁

定価6,160円(本体5,600円 + 税)

ISBN978-4-498-02382-6

1997年06月発行

在庫なし

本書は糖尿病の診療に必須の知識, 臨床の場で遭遇し得る疑問点, 問題点についてを, 教科書的でなく, Q&A によりプラクティカルに解説したものである. それぞれの質問に対して各専門医が自身の考え, 診療方針, 方法をもとに簡潔かつ具体的に述べた, 生きた知識が得られる臨床書である. また考え方, 方法に幅のある問題については, 解説者を2 名にし, 問題点が明確になるとともに,読者の応用の幅が拡がるよう図った. 近年, 糖尿病の臨床は進歩し, 変わってきているが, その最新の知識, 診断, 治療のポイントを理解し, 実践出来る書である.



 わが国の糖尿病患者数は,生活スタイルの欧米化,とくに食事内容の変化,車社会の発達や家電製品の普及などに伴う運動不足,ストレスの増大などがあいまって,近年増加の一途を辿っています.最近の厚生省糖尿病調査研究事業の報告によれば,40歳以上の10人に1人が糖尿病であり,全国では500〜600万人の糖尿病患者がいると推定されています.しかも,その内治療を受けているものは3分の1にすぎないといわれ,残りの莫大な数の糖尿病患者は適切な診療を受けることなく,放置されていることになります.

 「専門医にきく糖尿病の臨床」が前沢秀憲教授,水野美淳教授の編集によって,中外医学社から出版されたのは1976年4月であり,すでに21年の長い年月が経過しました.この間,糖尿病の成因や病型分類,インスリン分泌の分子機構の解明,インスリンの作用機序,とくにインスリン受容体の構造と機能,インスリンの細胞内情報伝達の機構,血糖コントロールの意義とさまざまなコントロール指標の登場,ヒトインスリン製剤の開発・普及やペン型インスリン注射器の登場,血糖自己測定の普及,作用機序の異なる経口糖尿病薬の開発,糖尿病の慢性合併症の成因に関する研究の進歩など糖尿病の基礎と臨床両面における研究の進歩にはまことにめざましいものがあります.

 この時期にあたって,「糖尿病-専門医にきく最新の臨床」と題する,新たな書物の出版を企画いたしました.すなわち,糖尿病の診断,管理,治療,合併症,成因・病態・疫学に分けて,日頃第一線の医療現場で糖尿病患者の診療にあたっていらっしゃる医師やコメディカルスタッフの方々が疑問に思っている項目を抽出し,それらについて1〜2人の専門の先生方にお聞きするという形式で,回答をご執筆いただくことにしました.診療・研究・教育にご多忙の中,本書の企画の趣旨をよくご理解いただき,限られた紙数の中で回答をお寄せいただきました専門家の先生方に心より厚く御礼申し上げます.

 糖尿病の診療においては,唯一絶対の考え方がない場合も稀ではなく,2人の専門家のご回答の微妙な違いの中に,それぞれの先生方の考え方の違いを読みとっていただくことは,むしろ本書の企画の目的にかなうものと考えております.

 前書が出版された当時に比べますと,糖尿病の基礎研究の面ばかりでなく,糖尿病患者の抱える問題もかなり異なってきております.新しく企画された本書が,第一線の医師,コメディカルの方々にとって,糖尿病への理解をより一層深め,明日からの診療に役立つものと確信しています.

 本書の出版にあたって,中外医学社の荻野邦義氏に御尽力いただきました.この場をお借りして併せて深く感謝いたします.

1997年4月
岩本安彦,山田信博

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目 次

A.診 断
    1.1型と2型/IDDMとNIDDM
    2.病型鑑別の指標
    3.診断の進め方とGTTの意義
    4.GTTにおけるインスリン反応(IRI測定の意義)
    5.スクリーニング検査としてのHbAlc, GA
    6.WHOの判定区分と日本糖尿病学会の診断基準
    7.境界型-その設定,分析と対応
    8.耐糖能障害(IGT)-その定義,非恒常性,臨床的意義と対応
    9.妊娠糖尿病と糖尿病妊婦
   10.maturity-onset diabetes in the young(MODY)
   11.内分泌疾患と糖尿病
   12.インスリン分泌不全の意義
   13.インスリン抵抗性の意義
   14.インスリン分泌の検査法
   15.インスリン抵抗性の検査法
   16.NIDDMの多様性
   17.血液および尿中ケトン体の意義
   18.slowly progressive IDDM

B.管理(マネージメントとコントロール)
    1.糖尿病のコントロール:代謝的指標は
    2.糖尿病のコントロール:身体的指標は
    3.糖尿病のコントロール:合併症の関係は
    4.アルコールの許容量は
    5.小児糖尿病(NIDDMとIDDM)
    6.妊娠糖尿病の管理
    7.糖尿病妊婦の管理
    8.高齢者の糖尿病(コントロール基準)
    9.血糖自己測定-実際と意義
   10.インスリン依存性糖尿病のハネムーン
   11.入院させるべき病態,症状は
   12.患者教育・教育入院・糖尿病教室とは

C.治 療
I.食事療法
    1.交換表の意義
    2.糖尿病食事療法における主食と副食の重み
    3.動物性脂肪,コレステロールの考え方
    4.食物繊維とは
    5.カルシウムや果物の摂り方
    6.glycemic index(GI)とは
    7.VLCD療法とは
II.運動療法
    1.運動療法の実際
    2.運動療法の意義と評価
III.インスリン療法
    1.適 応
    2.禁 忌
    3.実 際
    4.注意点
    5.経口剤との併用
    6.インスリン製剤について
    7.インスリン非依存型糖尿病に対して
    8.強化インスリン療法とは
    9.インスリン持続皮下注入療法の実際
   10.新しいインスリン製剤-超速効型インスリン
   11.インスリンの非注射製剤の展望
   12.インスリン療法の副作用
   13.GLP-1の臨床応用について
   14.IGF-1の臨床応用について
IV.薬物療法
    1.経口血糖降下剤
    2.経口血糖降下剤の副作用
    3.薬物療法の使い分け
    4.sulfonylurea剤
    5.SU剤の二次無効とメカニズム
    6.biguanide剤
    7.α-グルコシダーゼ阻害剤
    8.インスリン抵抗性改善剤
    9.肥満NIDDMの薬物療法
   10.肥満に対する薬物療法
   11.経口剤からインスリンへの切り換え
   12.インスリンから経口剤への切り換え
   13.新しい薬物療法-展望(合併症治療薬は除く)
   14.ステロイド糖尿病
   15.肝疾患の合併

D.合併症
I.眼・網膜症
    1.病態・病期
    2.内科的治療
    3.眼科的治療
    4.急激なコントロール改善の影響
    5.follow upのこつ
    6.腎症と網膜症の解離
    7.白内障への対応
II.腎 症
    1.評価法
    2.分類と予後
    3.蛋白制限食
    4.ACE inhibitor
    5.腎透析への導入
    6.腎症: 腎透析後の管理
    7.腎移植の現状
    8.膵移植の現状
III.神経障害
    1.評価法(検査・診断)
    2.Posttreatment neuropathy
    3.治療薬
    4.自律神経の合併症
IV.壊 疽
    1.神経症と血管合併症(成因)
    2.foot careとその治療
    3.感染への対策
V.大血管症
    1.特 徴
    2.閉塞性動脈硬化症
    3.脳血管障害
    4.心疾患
VI.脂 質
    1.高コレステロール血症
    2.高トリグリセリド血症
    3.高Lp(a)血症
    4.低HDL血症
    5.Syndrome X
    6.食事療法
VII.糖尿病性昏睡
    1.種 類
    2.治療法
    3.対策,治療の合併症
VIII.高血圧
    1.高血圧と糖尿病
    2.高血圧時の治療薬の特殊性
IX.その他の合併症
    1.起立性低血圧症
    2.感染症
    3.AGE
    4.インポテンスの診断と治療
    5.DCCT
    6.抗血小板療法
   
E.成因・病態・疫学
    1.糖尿病の実態
    2.日本人の糖尿病と世界の糖尿病
    3.糖尿病の遺伝子異常と病態は
    4.インスリン分泌不全が先か,インスリン抵抗性が先か
    5.MRDMとは
    6.血糖調節:肝の役割は
    7.血糖調節:筋肉の役割は
    8.Brittle型糖尿病
    9.ドーンフェノメノンとソモジー効果
   10.glucose toxicityとは
   11.IDDMの成因
   12.遺伝子診断
 
 
索 引

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