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書籍詳細

血液内科 ただいま診断中!

血液内科 ただいま診断中!

渡邉純一 著

A5判 384頁

定価7,260円(本体6,600円 + 税)

ISBN978-4-498-22504-6

2017年04月発行

在庫なし

本書は血液内科を専門とはしないが,血液疾患を診る可能性のあるプライマリケア医,内科医,研修医などを対象に,血液疾患の基本的な知識と診断過程をわかりやすく解説することを目的にしている.まずは主訴や症候から始まる診断フローチャート的な目次で疾患の各論に導かれる.各論では診断に必要な基本的な知識や重要なポイントが提示され,その後で詳しい解説と会話形式で診断に至るまでの流れが理解しやすいように構成されている.

渡邉純一(わたなべ じゅんいち)

平成16年 防衛医科大学校卒業
陸上自衛隊幹部候補生学校卒業後,防衛医大研修医,部隊勤務,後期研修医,医学研究科などを経て,現在,陸上自衛隊 第5旅団 医務官
資格:医師,医学博士
内科学会認定内科医,総合内科専門医,血液内科専門医,輸血細胞治療学会認定医,造血細胞移植認定医,JMECCインストラクター,ICLSインストラクター,ICLSディレクター,Infection Control Doctor

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はじめまして.自衛隊医官で血液内科医をしております.血液内科医として医療や血液疾患に関するblogを書いて10年になります.もともと医師不足が顕著な埼玉県にいるためか,今の医療制度では将来的に医療は成り立たないだろうと考え,若手医師の目線から医療制度などに関する考えを発信し始めたのが最初になります.一時期は月に10万以上のアクセスをいただき,更新頻度が週1回以下になっている今でも月に6〜7万件ほどblogを見に来ていただいております.
血液専門医を取得してからは,患者さんにわかりやすく参考になる記事を,若手血液内科医が説明をする際に参考になるような記事を書くこともありました.その中で患者さんや家族からのご質問などへの受け答えなどをしておりましたところ,中外医学社から『血液内科 ただいま診断中!』という本を執筆させていただくことになりました.
この話をいただいた際に「医師13年目でしかない自分が教科書を書くなどとんでもない」と思いました.blogをそのまま本にするようなものでよいというお話をいただきましたが,患者さんを対象に書いているblogと医師向けではかなり内容が異なってきます.しかし,現場の中堅医師の目線で本を書くことは若手から中堅の血液内科医のメリットになると考えました.
まず,私自身若手であり,様々な患者さんを前にして疑問を調べながら診療をしております.調べてよかったと思う知識もいろいろあります.オピニオンリーダーの先生が作成する教科書と違うかもしれませんが,現場で役に立った知識を多く含んだ教科書も良いと考えました.
また,中堅医師ということで初期・後期研修医の先生と接する機会が多く,「何に迷っているのか.どういったことを考えているのか」を知る機会が多いことがあります.各病院の上級医の方々から若手医師が直接指導を受けるのは,カンファレンスなどの場が多いだろうと思います.その中では上級医も「これは知っているだろう」というような話は質問したり,教えたりされないかもしれません.経験値の高い医師が「可能性が低い」と判断する材料を若手の先生は持っていないことも多々あります(上級医の常識が若手の常識でないことも多い).今回は診断学に関してということでしたので,症状や疫学情報,1時間ほどで出る血液生化学検査・血算・凝固検査などから「可能性が高いか,低いか」を判断できるものをできるだけ集めております.
この教科書の目的は「血液内科専門医」ではない医師,血液内科を研修中の初期研修医,新内科専門医制度に伴いスーパーローテートをしている後期研修医,血液専門医を志望する医師,一般病院・クリニックで血液疾患が疑われる患者を診た医師,病院実習中の医学部学生が血液疾患の診断過程をイメージしやすくなり,診断までたどり着くことができるようにすることです.それに伴い,血液内科を志す医師が増えたり,紹介時の緊急性などを理解していただけたりするとありがたいと考えております.また,血液専門医を取得されている先生に「備忘録」的な本というものを作成したいと考えました.
この本の構成は主訴や症候から始まるフローチャートによる目次と総論・各論に分かれております.各論は各診断の疫学情報・論文などの生存曲線や結果をまとめた表を記載しました「Summary」のページ,各疾患の簡単な紹介と診断のポイントを述べた「Introduction」のページ,そして「若手の医師」がイメージしやすいように会話形式で診断までの過程を書いた「Case」のページで作られております.
「Summary」のページは若手の先生も含め,中堅以上の先生の備忘録的なものになれば幸いです.「Case」のページは実際の患者さんを参考にしておりますが,年齢・性別は疫学上おかしくならない程度に調整しております.また,個人データにならないように血液検査のデータは10%未満の範囲で数字を変えております(切りがいい数字が多いです).できるだけ典型的な患者さんを選んでおりますので,若手の先生の参考になればと考えております.
また,資料として血液難病リストと個人調査票等をつけました.申請に必要な検査の確認など,診療のお役に立てば幸いです.
この本を執筆中の2016年5月末にWHO ClassificationのUpdate(4th edition)がBlood誌に発表されました.今後のことを考え,この考えを「まとめ」のページに取り込んではおりますが,症例部分など大部分に関しては混乱を避けるため,また理解しやすいようにWHO 2008 4th edtionに準じております.Updateされたものが定着しましたら,それらを上書きしていただけますとうれしく存じます.
この教科書が若手の先生や血液学を専門とされていない先生を中心に,専門医を取得されている先生にもお役に立てば幸いです.
2017年3月
渡邉純一

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Contents

Flowchart:
  貧血
  多血症
  白血球減少
  白血球増加
  リンパ節腫脹
  免疫グロブリン異常
  血小板減少
  血小板増加
  凝固異常

総 論:「血液疾患を診る」ということ
  Chat:夜陰の閑談
  Outpatient:はじめての血液外来

  Column❶ 内科専門医,血液専門医などのサマリー作成

第1章:赤血球系(貧血を伴う疾患)
 1-1 小球性貧血
  Summary
  Introduction
  Case:鉄欠乏性貧血
  Case:その他の小球性貧血
 1-2 大球性貧血
  Summary
  Introduction
  Case:巨赤芽球性貧血
 1-3 造血不全
  Summary
  Introduction
 1-3-A 赤芽球癆(PRCA)
  Summary
  Introduction
  Case
 1-3-B 再生不良性貧血(AA)
  Summary
  Introduction
  Case
 1-3-C 骨髄異形成症候群(MDS)
  Summary
  Introduction
  Case

  Column❷ 患者さんを見捨てないという意思を示す

 1-4 溶血性貧血
  Summary
  Introduction
 1-4-A 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)
  Summary
  Introduction
  Case
 1-4-B 非免疫性溶血性貧血:発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)と 遺伝性球状赤血球症(HS)
  Summary
  Introduction
  Case

  Column❸ 口頭発表とポスター発表のスライド作成

 1-5 ウイルス性・薬剤性血球減少
  Summary
  Introduction
  Case:ウイルス感染後血球減少
  Case:薬剤性血球減少

第2章:白血球系疾患
 2-1 急性白血病と慢性白血病
  Summary
  Introduction
 2-1-A 急性骨髄性白血病(AML)
  Summary
  Introduction
  Case
 2-1-B 急性リンパ性白血病(ALL)
  Summary
  Introduction
  Case

  Column❹ 呼吸緩和のオピオイド

 2-2 慢性骨髄性白血病(CML)
  Summary
  Introduction
  Case
 2-3 慢性リンパ性白血病(CLL)と類縁疾患
  Summary
  Introduction
  Case
 2-4 多血症
  Summary
  Introduction
  Case
 2-5 本態性血小板血症(ET)
  Summary
  Introduction
  Case
 2-6 骨髄線維症
  Summary
  Introduction
  Case

  Column❺ はっきりとした「余命」を言わない

 2-7 骨髄異形成症候群/骨髄増殖性腫瘍(MDS/MPN)
  Summary
  Introduction
  Case
 2-8 Hodgkinリンパ腫と非Hodgkinリンパ腫
  Summary
  Introduction
 2-8-A 低悪性度リンパ腫
  Summary
  Introduction
  Case
 2-8-B Aggressive lymphoma
  Summary
  Introduction
  Case

  Column❻ 各化学療法における性腺機能への影響

 2-8-C 高悪性度リンパ腫
  Summary
  Introduction
  Case
 2-8-D T細胞リンパ腫
  Summary
  Introduction
  Case

  Column❼ HTLV-1 抗体陽性の方が外来受診されたときの対応

 2-8-E Hodgkinリンパ腫
  Summary
  Introduction
  Case
 2-9 血球貪食症候群(HLH)
  Summary
  Introduction
  Case
 2-10 多発性骨髄腫
  Summary
  Introduction
  Case

  Column❽ 悪性疾患の経過観察の方法
  Column❾ PET-CTでの治療後の経過観察は原則として行わない

 2-11 好酸球増加症
  Summary
  Introduction
  Case
 2-12 白血球系良性疾患:Castleman病とIgG4関連疾患など
  Summary
  Introduction
  Case

 第3章:出血・凝固系疾患
 3-1 血小板減少症:ITP,DIC,TTPを中心に
  Summary
  Introduction
 3-1-A 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)(免疫性血小板減少性紫斑病)
  Summary
  Introduction
  Case
 3-1-B 播種性血管内凝固(DIC)
  Summary
  Introduction
  Case
 3-1-C 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)/溶血性尿毒症症候群(HUS)
  Summary
  Introduction
  Case

  Column❿ 内科救急(JMECC)に関して

 3-2 凝固異常症
  Summary
  Introduction
  Case:抗リン脂質抗体症候群(APS)
  Case:血友病,von Willebrand病(vWD)

資料
文献
索引

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渡邉純一 防衛医科大学校血液内科 著

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