はじめに
本書の執筆の機会を与えてくださいました中外医学社の方々に心より御礼申し上げます。
2014年4月より1年間米国ヒューストンのベイラー医科大学に留学し、疫学研究、統計を学ぶことができました。ヒューストンにはベイラー医科大学を含む巨大なメディカルセンターがあります。それらの行き来は容易であり、人的交流も盛んでした。El-Serag教授の勧めもあり、テキサス大学ヒューストンメディカルスクールのClinical Research Curriculumの Biostatistics for Clinical Investigatorsコースを受講することができました。本来はMPH(Master of Public Health)の資格を獲得するためには2年間のカリキュラムを修了する必要があるのですが、1年のみの留学予定であったため、最も興味のあったBiostatisticsコースを受講させていただきました。
このコースでは週に1回、夕方に90分の講義が行われました。4か月で全14回の講義で、それぞれの講義の後には宿題が出され、期限までに提出しないといけません。さらに3回のテストもあり、合計で80%以上の正答率を求められました。
今回私がここで記載させていただいた臨床統計に関する内容は、この講義内容を参考にして書かせていただいております。その他にも重回帰分析、ロジスティック回帰分析などの講義もあったのですが、それらは複雑であるため、本書では基本的な内容の部分のみにさせていただきました。また、本書の例題の一部には宿題で出された問題をアレンジして作成させていただいたものもあります。私の理解の限りで記載させていただいたので間違った記載もあるかもしれません。本書をきっかけに、さらに知識を深めたい方は講義での指定図書であったDawson B, Trapp RG. Basic and clinical biostatistics. 4th edition. Lange Medical Books/McGraw Hill, 2004.を参照していただければ幸いです。またコースではSTATA 13が指定解析ソフトでしたので、本書でも使用させていただきました。
わずか1年の米国留学でしたが、El-Serag教授には週1回のマンツーマンのミーティングを通して臨床研究について多くのことを教えていただきました。Thrift先生、Xiaoying先生、Ramsey先生には統計を教えていただきました。そしてテキサス大学のKennedy教授、Green先生、Pedroza先生にはBiostatisticsコースで教えていただきました。ヒューストンに留学されていた先生方とその家族のおかげで私の留学生活は充実していました。この場を借りて御礼申し上げます。
I thank Prof. Hashem B. El-Serag, Dr. Aaron Thrift, Dr. Yu Xiaoying, Dr. David Ramsey, Prof. Kathleen Kennedy, Dr. Charles Green, and Dr. Claudia Pedroza for excellent lectures and technical assistance.
I recommend Biostatistics for Clinical Investigators in Clinical Research Curriculum at The University of Texas Health Science Center at Houston medical school for every researchers.
2016年3月
塩田 星児
Seiji Shiota