本書は世界初のコルポスコピー所見動画解説書である。これまで幾多のコルポスコピー図譜や解説書が国内外で発刊されてきたが、すべて静止画による記述であった。コルポスコピーは婦人科医のみが外来で行いうる臨床検査手技である。細胞診とともにきわめて重要な子宮頸部病変診断法として確立されているにもかかわらず、一般医家への普及はいまだ十分とはいえず、特に研修医や初心者にとっては取り組みにくい技術という印象がある。これは従来の成書では、コルポスコピー実施手技を動的な一連の流れとして視覚的に理解しにくいことが理由であったと思われる。昨今、腹腔鏡を中心とする婦人科内視鏡手術が急速に普及しているが、これは術者の目線でみた動的手術手技がDVDなどの電子メディアで明瞭に再現、視聴、学習できるからである。
筆者はオリンパス・コルポスコープ(OCS-500)に腹腔鏡撮像、記録システムを直接接続し、観察者目線でのコルポ診実施手技を高画質の動画として編集することに尽力してきた。今回、本システム導入後にコルポ診やコルポ下レーザー治療を行った約3,000症例のなかから56症例を厳選し、コルポスコピー新分類に沿ってその動画像を編集、解説した。各動画提示症例の典型所見を静止画としても掲載し解説を加えたので、図譜としても活用できる。動画は所見別に任意に症例を選択してWindows Media Playerで再生、あるいはPowerPointにまとめた一連のシリーズとして再生できる。また、停止、再生は随時可能であり、テロップの解説文とともにじっくり学習できるように構成した。さらに本書の全内容を電子書籍化し、Acrobat Readerとメディア再生PlayerでPDFファイル内に埋めこまれた動画をクリック再生できるように工夫した。本書が画期的なコルポスコピー動画解説入門書として、日常診療に役立つことを願う。
2016年4月
大阪がん循環器病予防センター 婦人科検診部 部長
植田政嗣
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動画閲覧の手引き
本書に掲載している動画再生アイコン()で示した、全56症例(症例1〜症例56)の動画(Windows Media Video:拡張子wmv)コンテンツをDVDに収載しています。