Annual Review 糖尿病・代謝・内分泌 2016
【編集】 編集 / 寺内康夫 横浜市立大学教授 編集 / 伊藤 裕 慶應義塾大学教授 編集
B5判 230頁
定価10,780円(本体9,800円 + 税)
ISBN978-4-498-12366-3
2016年01月発行
在庫なし
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Annual Review 糖尿病・代謝・内分泌 2016
【編集】 編集 / 寺内康夫 横浜市立大学教授 編集 / 伊藤 裕 慶應義塾大学教授 編集
B5判 230頁
定価10,780円(本体9,800円 + 税)
ISBN978-4-498-12366-3
2016年01月発行
在庫なし
注目すべきトピックを厳選し,その分野の第一人者が内外の文献を踏まえて最新の進歩を展望する.定評あるシリーズの最新年度版である.
序
2015年には医学分野で様々なことがあったが,大村智先生のノーベル医学生理学賞受賞は基礎研究から橋渡し研究,臨床応用に至る創薬の流れを考える上でも意義深いものであった.また,糖尿病治療薬が次々と登場し,治療選択肢が一層広がった年でもあった.一方,ヒトを対象とする医学系研究の倫理指針が改訂され,従来と比較し,臨床研究のハードルが高くなったと感じる医学研究者が増えた年でもあった.実際,UMINなどに新規登録される日本発の介入研究数は残念ながら減っている.
2013年に発表された厚生労働省「専門医の在り方に関する検討会」の最終報告を受けた専門医制度改革に伴い,新しい内科専門医について,日本内科学会と日本専門医機構が協議・検討を重ね,新制度の根幹となる「専門研修プログラム」の作成指針『専門研修プログラム整備基準(内科領域)』が2015年末に確定した.後期研修時の内科研修,地域医療プログラム,研究志向の若手医師の育成プログラム,卒後教育として専門医育成の行方次第で,医学研究や臨床現場にも大きな影響が出る可能性が高い.そんな状況下,この1年間に糖尿病・代謝・内分泌疾患に関する基礎研究・臨床研究は確実に進歩し,また新しい可能性を秘めた新薬が生活習慣病治療の現場に次々と登場し,これからも続くであろうことを,まずは素直に喜びたい.
薬物療法の進歩という点では,DPP-4阻害薬という新しい作用機序の糖尿病治療薬が日常臨床と医学研究への関心向上にもたらした効果は絶大であった.新しい範疇の経口血糖降下薬は10年振りであったが,当初の予想をはるかに上回る勢いで,日常臨床で用いられるようになった.実際,日本人の糖尿病患者では有効性,認容性ともに高く評価されている.今日までに報告された3つの心血管アウトカム試験成果は,DPP-4阻害薬の安全性を担保するものであろう.また,新しい作用機序の糖尿病治療薬SGLT2阻害薬が登場して間もないうちに,心血管アウトカム試験EMPA Reg Outcomeの成績が発表され,糖尿病治療のあり方に衝撃を与えた.こうした新薬登場の背景には,数多くの基礎研究が存在し,さらに臨床試験の高いハードルをクリアしたほんの一握りの薬物しか日常臨床の現場に登場してこないことを忘れてはならない.Annual Review 2016では,将来的に創薬に結びつく可能性のある話題もたくさん盛り込んだので,是非お読みいただきたい.
企画から校正にいたるまで万全を期したつもりではあるが,取り上げる内容の偏り,見落としている部分など,何でもお気づきの点があればお知らせいただきたい.本書が糖尿病・代謝・内分泌疾患に取り組む多くの先生方のお役に立つことを,心から願うものである.
2015年12月
編集者一同
I.糖尿病
Overview 〈寺内康夫〉 |
1. | 膵島アミロイドと膵β細胞 〈藤谷与士夫 綿田裕孝〉 |
2. | ヒト膵島研究の世界的動向 〈白川 純 寺内康夫〉 |
3. | 肝での糖新生制御機構と薬物治療標的 〈松本道宏 酒井真志人 八木 孝〉 |
4. | SGLT2阻害薬による糖脂質代謝変化とその分子機構 〈窪田直人 門脇 孝〉 |
5. | 糖尿病治療標的としてのGタンパク質共役脂肪酸受容体 〈三小田亜希子 原田範雄 稲垣暢也〉 |
1. | 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の概要 〈堀川千嘉 曽根博仁〉 |
2. | DPP4阻害薬の大規模臨床研究成果 〈竹田孔明 谷澤幸生〉 |
3. | GLP-1受容体作動薬の臨床効果 〈絵本正憲 森岡与明 稲葉雅章〉 |
4. | 災害後における糖尿病患者の臨床像: 東日本大震災研究 〈今井淳太 田中満実子 片桐秀樹〉 |
5. | 糖尿病関連骨粗鬆症 〈鈴木敦詞〉 |
Overview 〈石橋 俊〉 |
1. | 体温の中枢制御機構 〈中村和弘〉 |
2. | 自律神経系の概日リズムとオレキシン 〈笹岡利安 恒枝宏史〉 |
3. | ホスホリパーゼA2と肥満 〈佐藤弘泰 村上 誠〉 |
4. | 肥満に伴う脂肪組織炎症・免疫細胞・ENPP2 〈西村 智〉 |
5. | 代謝異常に伴う小胞体ストレスと動脈硬化 〈石垣 泰〉 |
1. | 肝臓疾患とオキシステロール 〈本多 彰 池上 正〉 |
2. | リポタンパク関連臨床指標の進歩と課題 〈吉田 博〉 |
3. | 生活習慣と糖尿病合併症 〈松永佐澄志 田中司朗 曽根博仁〉 |
4. | 適正な脂質摂取量 〈江𥔎 治〉 |
5. | ACC/AHAコレステロールガイドラインを巡る論争 〈塚本和久〉 |
Overview 〈伊藤 裕〉 |
1. | 甲状腺刺激ホルモンが一人二役を演じる仕組み(組織特異的TSH糖鎖修飾) 〈吉村 崇〉 |
2. | ACTH非依存性クッシング症候群の分子病態 〈小川誠司〉 |
3. | FGF21研究の新展開 〈稲垣 毅〉 |
4. | クッシング病の原因遺伝子と発症機構 〈川口紘平 駒田雅之〉 |
5. | 網膜血管―神経連関とVEGF 〈久保田義顕〉 |
6. | 核内受容体による解糖系の制御 〈諸橋憲一郎 馬場 崇〉 |
1. | 睡眠障害とオレキシン拮抗薬 〈三枝理博 櫻井 武〉 |
2. | 自閉スペクトラム症とオキシトシン 〈山末英典〉 |
3. | 腸内環境と糖脂質エネルギー代謝 〈入江潤一郎 伊藤 裕〉 |
4. | ヒトにおける概日リズムとインスリン感受性制御機構のクロストーク 〈山口慎太郎 吉野 純〉 |
執筆者一覧
【編集】 編集
寺内康夫 横浜市立大学教授 編集
伊藤 裕 慶應義塾大学教授 編集
石橋 俊 自治医科大学教授
【著者】
寺内康夫 藤谷与士夫 綿田裕孝
白川 純 松本道宏 酒井真志人
八木 孝 窪田直人 門脇 孝
三小田亜希子 原田範雄 稲垣暢也
堀川千嘉 曽根博仁 竹田孔明
谷澤幸生 絵本正憲 森岡与明
稲葉雅章 今井淳太 田中満実子
片桐秀樹 鈴木敦詞 石橋 俊
中村和弘 笹岡利安 恒枝宏史
佐藤弘泰 村上 誠 西村 智
石垣 泰 本多 彰 池上 正
吉田 博 松永佐澄志 田中司朗
江𥔎 治 塚本和久 伊藤 裕
吉村 崇 小川誠司 稲垣 毅
川口紘平 駒田雅之 久保田義顕
諸橋憲一郎 馬場 崇 三枝理博
櫻井 武 山末英典 入江潤一郎
山口慎太郎 吉野 純
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