第2版
はじめに
2011年「ICU/CCUの薬の使い方,考え方」初版が世に出て,多くの方々に読んでいただき,新たな出会いもあり自分自身たくさんの扉を開いてきました.
医師10年目,ICU 5年目として30代半ばのそのときの勢いだけで作った単著だったため,その後読み直してみると足りない部分や書き尽くされていない部分が気になっていました.そして2015年までの約5年間に,国内で使用可能となった新規薬剤が何種類かあります.また自分自身,心臓血管外科術後を含めた術後管理および内科系多臓器不全ケースのケアに多数関わるようになり,日々のクリティカルケアの現場で使い方が変わった薬剤があり,循環・呼吸を含めた全身管理の考え方も変わってきました.
第2版は全身アセスメントを含む全身管理全般(輸液・人工呼吸器・栄養など)においてすべての面で見直すとともに新規薬剤追加と新たに2章(第14章 内分泌・抗炎症薬,第15章 気管支拡張薬)を付け加え,薬物相互作用の表を追加し,参考文献を最新のものとしました.前著同様,国内の一般市中病院でのICU/CCUで使用する薬剤について呼吸・循環管理を中心とした全身管理の中で,可能な限り病態に合わせて使用できることを目標にしています.
レジデント,クリティカルケアナースの初心者にとってはクリティカルケアの導入として,そしてベテラン医師,ナース,コメディカルのみなさんには日々の臨床の確認として本書が役に立てばと思います.
この第2版も,日々の臨床現場でのプラクティスと,クリティカルケアでの重症患者ケアにベッドサイドで8時間3交代制で24時間365日支え続ける当院のICU/CCUナース向けに行ってきた月1,2回の定期的な勉強会が本書の根幹となっています.また,縁あって2013年から行っている大阪府看護協会救急看護認定看護師教育課程での臨床薬理学の講義でのナースからの多くの質問・疑問も本書改訂に大きな役割を果たしました.
臨床医としての15年間とクリティカルケアの現場に飛び込んだ10年間の中で実践してきたこと,そして執筆中に考えたことを本文および一部脱線するもののコラムに書き綴ってみました.前著同様,本書を手にしたあなたにとって,このささやかな本が今まで以上に日々のクリティカルケアでの診療に役に立ち,ひいては目の前の患者さんの改善につながることを祈って.
2015年11月
大野博司