いまさら訊けない!透析患者薬剤の考えかた,使いかたQ&A
加藤明彦 編著
B6判 320頁
定価5,060円(本体4,600円 + 税)
ISBN978-4-498-22422-3
2015年06月発行
在庫なし
いまさら訊けない!透析患者薬剤の考えかた,使いかたQ&A
加藤明彦 編著
B6判 320頁
定価5,060円(本体4,600円 + 税)
ISBN978-4-498-22422-3
2015年06月発行
在庫なし
透析患者のベッドサイドや外来での具体的な場面を想定し,薬剤治療について生じる疑問点についてQ&A形式でまとめた.透析患者のcommon disease や合併症毎に,疾患の特徴・薬剤投与の必要性から,実際の薬剤選択・投与量・副作用等に至るまで,エキスパートがわかりやすく回答する.透析患者薬剤に関する疑問はこの1冊で氷解するであろう.『いまさら訊けない!透析患者検査値のみかた,考えかた』とあわせ,透析スタッフ必携の書!
序
透析患者さんの薬剤に関しては,これまでたくさんの書籍が出版されてきました.しかし,多くの本は,末期腎不全における薬物動態に加えて,それぞれの薬剤に関する投与量,投与間隔,透析性などが中心に書かれていました.しかし,実際の臨床場面では,1) 透析患者さんにおける疾患の特徴はどうなっているのか,2) 本当に薬剤を投与する必要があるのか,3) どの薬剤を第1選択にするべきか,4) 透析自体の影響は受けないのか,5) 注意すべき副作用や相互作用はないのか,などを十分に理解して,薬剤を投与する必要があります.
そこで,本書ではベッドサイドや外来の場面を想定し,その場においてコンサルトしたい薬剤治療について,Q&A形式でまとめることにしました.今回は,総論(3項目)に加え,透析患者さんが合併しやすい感染症(18項目),循環器・脳血管疾患(10項目),消化管疾患(9項目),糖尿病・代謝疾患・栄養(10項目),透析合併症(11項目)に関して,第一線で活躍される専門医の先生方に執筆していただきました.それぞれの質問に対して,1) 透析患者さんにおける疾患の特徴,2) 薬剤の適応,3) 薬剤の選択,4) 実際の投与量,5) 投与回数および投与期間の目安,6) 透析の影響,7) 注意すべき副作用や他剤との相互作用,などについて,回答する形式になっています.
本書の最大の特徴は,病態からみた薬剤の使いかたがわかりやすく書かれている点です.すなわち,各項のはじめには透析患者さんにおける疾患の特徴が書かれており,次いで薬剤治療の適応,実際の処方法,副作用や相互作用などが記載されています.したがって,本書を一読いただくと,透析患者さんのcommon diseaseや合併症の病態が理解でき,適切な薬物療法が実践できるようになっています.ぜひとも薬剤の使いかたに迷った時,使用経験の少ない薬物を使用する前には,本書を手に取っていただき,ハンドブックとして活用いただけると幸いです.
最後に,本書の作成にあたり,個人的に知己のある多くの先生方に協力をいただきました.この場を借りて心より深謝申し上げます.
2015年5月
浜松医科大学医学部附属病院血液浄化療法部 加藤明彦
目 次
I 総論
Q1.血液透析患者における薬物動態の特徴を教えてください〈川上純一 見野靖晃〉
Q2.腹膜透析患者における薬物動態の特徴を教えてください〈古久保 拓〉
Q3.持続的血液濾過透析を行う場合の薬物動態と薬剤の使い方について教えてください〈山本武人〉
II 感染症
Q1.透析患者における市中肺炎の特徴と治療法を教えてください〈加藤明彦〉
Q2.透析患者における尿路感染症の診断と治療はどうすればよいですか?〈塩岡天平 礒崎泰介〉
Q3.カテーテル関連感染症の診断と抗菌薬の使いかた,予防法を教えてください
〈伊藤健太 倉井華子 大曲貴夫〉
Q4.透析患者におけるMRSA感染症の特徴と抗MRSA薬の使い方を教えてください〈原田孝司〉
Q5.ESBL産生菌とは何ですか? 透析患者における特徴と現状を教えてください.
また抗菌薬をどう使えばよいですか?〈辻 孝之〉
Q6.透析患者に対するアミノグリコシド系抗菌薬の使い方と注意点を教えてください
〈糟野裕子 福永 惠〉
Q7.透析患者における結核,非結核性抗酸菌症の特徴,抗菌薬の使いかたを教えてください
〈横村光司 須田隆文〉
Q8.透析患者における深在性真菌症の特徴と抗真菌薬の使い方を教えてください
〈坂尾幸俊〉
Q9.透析患者のヘルペス感染症の特徴と治療法について教えてください〈松本芳博〉
Q10.透析患者・腎移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の臨床像と治療法を教えてください
〈藤垣嘉秀〉
Q11.免疫抑制薬を使っている透析患者では,感染予防はどうすればよいですか?
〈岩倉考政 安田日出夫〉
Q12.透析患者におけるHIV感染症の診断法と治療を教えてもらえますか?〈柴田 怜〉
Q13.インフルエンザの診断法と,治療薬の使い方について教えてください〈山本龍夫〉
Q14.透析患者に対するワクチン接種法を教えてください〈成瀬正浩〉
Q15.B型肝炎について透析患者における現状と治療法を教えてください〈大石和久〉
Q16.C型肝炎について透析患者における現状と治療法を教えてください〈安藤亮一〉
Q17.透析患者においてピロリ菌の診断,治療,効果判定はどうすればよいですか?〈杉本光繁〉
Q18.多発性嚢胞腎の透析患者に対する腎臓および肝臓の嚢胞感染の治療法を教えてください
〈諏訪部達也 乳原善文〉
III 循環器・脳血管
Q1.透析患者の不整脈はどう診断し,どう治療すればよいですか?〈佐藤 洋〉
Q2.透析患者における発作性心房細動や上室性不整脈の特徴と治療法について教えてください〈夛田 浩〉
Q3.透析患者における強心配糖体の適応と使いかたを教えてください〈高橋紘子 渋谷祐子〉
Q4.透析患者に対する降圧薬の選びかた,使いかたを教えてください〈大竹剛靖〉
Q5.透析中の低血圧の原因と対処法を教えてください〈深澤洋敬〉
Q6.頻脈性心房細動に対するレートコントロール治療の仕方を教えてください〈大橋 温〉
Q7.末梢動脈疾患(PAD)には抗血栓薬や抗血小板薬の適応はありますか?
また,どのように使えばよいですか?〈日高寿美 小林修三〉
Q8.透析患者の急性期脳梗塞の特徴と薬剤の使い方を教えてください〈宮嶋裕明〉
Q9.頭部MRI・MRAで脳動脈の狭窄がみつかった場合や,頸動脈エコーで頸動脈狭窄がみつかった場合は,
抗血栓療法は行うべきですか?〈酒井直樹〉
Q10.透析患者におけるワルファリンの導入期と維持期の調整のコツを教えてください
〈杉山崇史 内山 剛 清水貴子〉
IV 消化管
Q1.逆流性食道炎に対するプロトンポンプ阻害薬,H 2遮断薬と粘膜保護薬の使い方を教えてください
〈杉本 健〉
Q2.NSAIDを処方しているとき,上部消化管の粘膜病変への対応はどうしたらよいですか?〈古田隆久〉
Q3.透析患者の便秘について対処法を教えてください〈鎌田一寿 宇田 晋〉
Q4.透析患者が大腸憩室炎,虚血性腸炎を発症したときの対処と,薬の使い方を教えてください
〈松島秀樹〉
Q5.抗血栓薬の内服中に内視鏡的処置を行う場合の休薬期間とヘパリン置換法を教えてもらえますか?
〈大澤 恵〉
Q6.リン吸着薬の便通への影響を教えてください〈戸川 証〉
Q7.シナカルセトによる胃腸障害はどう対処すればよいですか?〈野垣文昭〉
Q8.高カリウム血症治療薬(イオン交換樹脂)による便通への影響と対策を教えてください
〈光武明彦 池谷直樹〉
Q9.透析患者にCT,MRIや眼底検査が必要な場合,造影剤の使いかたと注意点を教えてください
〈井上秀樹〉
V 糖尿病・代謝・栄養
Q1.透析患者における経口血糖降下薬の適応と使いかたを教えてください〈中山裕史〉
Q2.透析患者ではインスリン製剤の適応はどうなっていますか? また,どのように使えばよいですか?
〈阿部雅紀〉
Q3.透析患者におけるGLP―1アナログ製剤の適応と使い方を教えてください〈森田 浩〉
Q4.血糖値に対する透析液ブドウ糖濃度の影響を教えてください〈森 典子〉
Q5.透析患者の脂質異常症に対する薬剤の使いかたを教えてください〈嶋 英昭 庄司哲雄〉
Q6.透析患者でしばしば高尿酸血症を認めますが,どうすればよいですか?
〈米村克彦 三輪真史 榊間昌哲〉
Q7.透析患者ではビタミン類の補充はどういうときに必要ですか? またどうやって補うのがよいですか?
〈和田憲和 菅野義彦〉
Q8.どういうときにカルニチン欠乏症を疑いますか? どうやって補充すればよいですか?〈伊丹儀友〉
Q9.透析患者に対する透析中の高カロリー輸液および経口栄養剤の適応とメニューを教えてください
〈熊谷裕通 吉田卓矢〉
Q10.透析患者における抗リウマチ薬の適応と使い方について教えてください〈大浦正晴〉
VI 透析合併症
Q1.透析患者に対するリン吸着薬の使いかたを教えてください〈笠井健司〉
Q2.CKD―MBDに対するビタミンD製剤とシナカルセトの適応と使い方を教えてください
〈菅野靖司 角田隆俊〉
Q3.透析患者における透析液の使い分けについて教えてください〈稲熊大城〉
Q4.ESA製剤治療の適応,薬剤の特徴とその使い分けについて教えてください
〈浅利佳奈 平林千尋 小林賛光 山本裕康〉
Q5.鉄補充の適応はどうなっていますか? またどのように治療するのがよいですか?
〈山本清子 中西 健〉
Q6.透析患者における睡眠障害・不眠は多いですか?
また,どういった薬をどのように使えばよいですか?〈小野孝彦〉
Q7.むずむず脚症候群とはどういう病気ですか? また,どういった薬剤が有効ですか?〈小池茂文〉
Q8.透析患者の痒みの現状と薬の使い方について教えてください〈佐藤貴浩〉
Q9.透析患者における関節痛の現状と薬の使い方を教えてください〈宮地武彦〉
Q10.認知機能の評価方法および現状と薬の使い方について教えてください
〈松浦 亮 日高寿美 小林修三〉
Q11.男性透析患者における性機能障害と治療について教えてください〈太田信隆〉
索 引
執筆者一覧
加藤明彦 浜松医科大学附属病院血液浄化療法部病院教授 編著
川上純一 浜松医科大学教授・附属病院薬剤部長
見野靖晃 浜松医科大学附属病院薬剤部主任
古久保 拓 白鷺病院薬剤科科長
山本武人 東京大学大学院薬学系研究科医療薬学教育センター講師
塩岡天平 聖隷浜松病院腎臓内科
磯崎泰介 聖隷浜松病院腎センター長
伊藤健太 名古屋第二赤十字病院移植内分泌外科
倉井華子 静岡県立静岡がんセンター感染症内科部長
大曲貴夫 国立国際医療研究センター病院国際感染症センター長
原田孝司 長崎腎病院院長/腎臓内科
辻 孝之 浜松医科大学第1内科
糟野裕子 豊中緑ヶ丘病院腎臓内科
福永 惠 豊中けいじん会クリニック院長/腎臓内科
横村光司 聖隷三方原病院呼吸器内科部長
須田隆文 浜松医科大学第2内科教授
坂尾幸俊 浜名クリニック副院長/腎臓内科
松本芳博 静岡市立静岡病院腎臓内科科長
藤垣嘉秀 帝京大学医学部内科学講座病院教授
岩倉考政 浜松医科大学第1内科
安田日出夫 浜松医科大学第1内科講師
柴田 怜 国立国際医療研究センター病院エイズ治療・研究開発センター
山本龍夫 藤枝市立総合病院副院長/腎臓内科長
成瀬正浩 玉名第一クリニック院長/腎臓内科
大石和久 浜松医療センター腎臓内科科長
安藤亮一 武蔵野赤十字病院腎臓内科部長
杉本光繁 滋賀医科大学附属病院光学医療診療部准教授
諏訪部達也 虎の門病院分院腎センター内科
乳原善文 虎の門病院分院腎センター内科部長
佐藤 洋 浜松医科大学第3内科講師
夛田 浩 福井大学医学部病態制御医学講座循環器内科学教授
高橋紘子 NTT東日本関東病院高血圧・腎臓内科
渋谷祐子 NTT東日本関東病院高血圧・腎臓内科部長
大竹剛靖 湘南鎌倉総合病院腎臓病総合医療センター腎免疫血管内科主任部長
深澤洋敬 磐田市立総合病院腎臓内科部長
大橋 温 浜松医科大学第1内科
日高寿美 湘南鎌倉総合病院腎臓病総合医療センター腎免疫血管内科部長
小林修三 湘南鎌倉総合病院副院長/腎臓病総合医療センター長
宮嶋裕明 浜松医科大学第1内科教授
酒井直樹 焼津市立総合病院神経内科長
杉山崇史 聖隷浜松病院神経内科
内山 剛 聖隷浜松病院神経内科部長
清水貴子 聖隷浜松病院神経内科
杉本 健 浜松医科大学第1内科准教授
古田隆久 浜松医科大学臨床研究管理センター・病院教授
鎌田一寿 関東労災病院腎臓内科
宇田 晋 関東労災病院腎臓内科部長
松島秀樹 聖隷三方原病院腎臓内科部長
大澤 恵 浜松医科大学附属病院光学医療診療部講師
戸川 証 静岡済生会総合病院腎臓内科部長
野垣文昭 市立島田市民病院腎臓内科主任部長
光武明彦 焼津市立総合病院総合診療内科
池谷直樹 焼津市立総合病院総合診療内科長
井上秀樹 熊本大学医学部附属病院地域専門医療推進学寄付講座特任准教授
中山裕史 熊本大学医学部附属病院腎臓内科講師
阿部雅紀 日本大学医学部腎臓高血圧内分泌内科准教授
森田 浩 浜松医科大学第2内科
森 典子 静岡県立総合病院副院長/腎臓内科部長
嶋 英昭 大阪医科大学内科学III腎臓内科
庄司哲雄 大阪市立大学大学院医学研究科老年血管病態学准教授
米村克彦 富士宮市立病院院長/内科
三輪真史 富士宮市立病院内科医長
榊間昌哲 富士宮市立病院内科科長
和田憲和 東京医科大学腎臓内科学分野
菅野義彦 東京医科大学腎臓内科学分野主任教授
伊丹儀友 日鋼記念病院腎センター
熊谷裕通 静岡県立大学臨床栄養学教授
吉田卓矢 静岡県立大学臨床栄養学
大浦正晴 焼津市立総合病院腎臓内科長
笠井健司 富士市立中央病院副院長/腎内科部長
菅野靖司 東海大学医学部付属八王子病院腎内分泌代謝内科,北八王子クリニック院長
角田隆俊 東海大学医学部付属八王子病院腎内分泌代謝内科教授
稲熊大城 名古屋第二赤十字病院腎臓内科・血液浄化療法部長
浅利佳奈 厚木市立病院腎臓・高血圧内科
平林千尋 厚木市立病院腎臓・高血圧内科
小林賛光 厚木市立病院腎臓・高血圧内科
山本裕康 厚木市立病院院長/腎臓・高血圧内科
山本清子 兵庫医科大学腎・透析内科
中西 健 兵庫医科大学腎・透析内科主任教授
小野孝彦 国際医療福祉大学熱海病院腎臓内科教授
小池茂文 豊橋メイツ睡眠障害治療クリニック院長
佐藤貴浩 防衛医科大学校皮膚科教授
宮地武彦 しみず巴クリニック院長/腎臓内科
松浦 亮 東京大学医学部附属病院腎臓内分泌内科
太田信隆 焼津市立総合病院病院事業管理者/泌尿器科
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