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書籍詳細

臨床医のための漢方Q&A

臨床医のための漢方Q&A

稲木一元 著 / 杵渕 彰 著

B5判 226頁

定価5,280円(本体4,800円 + 税)

ISBN978-4-498-11700-6

2014年07月発行

在庫なし

漢方を臨床で生かそうとするときに,多くの医師が直面する様々な疑問や悩み.そんな数多くの質問に2人の著名な漢方専門医が懇切丁寧に回答する.漢方医学セミナーの受講生などから寄せられた沢山の質問の中から,100のQuestionを厳選して掲載した.具体的な処方から,漢方独特の理論,漢方学習のノウハウまで.一筋縄では行かない漢方の世界を具体的な質問を手掛かりにわかりやすくひもとく.(株)ツムラHP好評連載を元に編集.

稲木一元(いなき かずもと)
1978年 千葉大学医学部卒業
 同 年 日本赤十字社医療センター内科(主に循環器科)勤務
1987年 漢方専門で開業〔漢方は学生時代より叔父である松田邦夫(日本東洋医学会元会長・名誉会員 大塚敬節の直弟子)に指導を受けてきた〕
1993年 (財)日本漢方医学研究所付属渋谷診療所副所長
2003年 青山稲木クリニック開業,現在に至る

【著書】「臨床医のための漢方薬概論」(南山堂,2014,日本東洋医学会2014年学術賞受賞).「漢方治療のファーストステップ 改訂2版」(松田邦夫と共著,南山堂,2011).「女性のための漢方薬」(松田邦夫と共著,中外医学社,2010).など

■青山稲木クリニック ホームページhttp://www13.plala.or.jp/aoyama―inaki/


杵渕 彰(きねぶち あきら)
1972年 岩手医科大学医学部卒業
1973年 都立松沢病院医員
1981年 柏木診療所所長
1988年 (財)日本漢方医学研究所付属日中友好会館クリニック所長
2001年 青山杵渕クリニック開設,現在に至る

【著書】「臨床薬物治療学大系 第20巻 和漢医薬学」(共著,情報開発研究所).「新版 漢方医学」(編集・共著,日本漢方医学研究所).「今日の老年期痴呆治療」(共著,金剛出版).「漢方医学テキスト」(編集・共著,医学書院).「心に効く漢方」(筑摩書房).「症状でわかる漢方療法」(共著,主婦と生活社).「漢方内科学」(共著,メディカルユーコン).「睡眠学」(分担執筆,日本睡眠学会篇,朝倉書店).「百歳まで元気で過ごす漢方読本」(筑摩書房).

■青山杵渕クリニック ホームページhttp://www.kinebuchi.org/

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はじめに

 本書は,株式会社ツムラのWEBマガジン・漢方スクエアにおいて,2007年10月から2012年1月までの間に,筆者両名が交替で執筆した「臨床医のための漢方Q&A」100回分をもとに加筆改訂したものである.全体に,用語が不一致であったり,同じ漢方薬の使い方についての説明に差異があったり,内容が重複したりする部分があるが,あえて無理な統一は避けた.ともに大塚敬節先生流の漢方を学んできた筆者両名の間でも,漢方という複雑広大な場においては,その理解に若干の違いが生ずることをご理解ご了承いただきたい.

 かつて北里大学東洋医学総合研究所・前所長の故大塚恭男先生は,漢方の特質を説明するときに,『荘子』の「混沌に目鼻をつけたら死んでしまった」という言葉を好んで引用された.経験にもとづく漢方の世界には不確実で混沌とした部分があることを,まずはそのまま受け入れ,安易な理屈付けには慎重でなければならないということと理解できよう.その意味で,Q&Aという形式は,理路整然としていない分,かえって漢方の臨床をよりよく表現できるのではないかと思われる.漢方薬の使い方も,一見雑然としていても,誰もが同じ意味内容として理解できる具体的な症状や病名の組み合わせとして,症候群という形で表現されるほうが,臨床医には把握しやすいのではないだろうか.

 漢方薬と漢方の経験知を,現代医療において,いかに生かすことができるのか,筆者両名なりに考えてきた結果が本書である.様々な面から,不十分な点,誤った点も少なくない.読者諸兄のご叱正を賜れば誠に幸いである.



        2014年7月吉日

青山杵渕クリニック院長 杵渕 彰

青山稲木クリニック院長 稲木一元







【付記】記事の一部には,医療用漢方製剤の承認外の記載が含まれています.医療用漢方製剤の使用に

あたっては,各製剤の添付文書をご確認いただきたい.

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目 次

 1初めての漢方薬 〜使いやすい漢方薬と,その使用法〜

 2病名・症状による頻用漢方薬の選択

 3のど風邪に対する漢方処方の使い分け

 4風邪に対する葛根湯の使い方 〜体力を考慮した他処方の使い分けを含めて〜

  5乾咳に麦門冬湯が効かないときに,どう考えるか?

  6感冒後の長引く咳に対する漢方処方の使い分け 〜咳や喀痰の状態,体質,症状に合わせた処方選択〜

  7感冒後に続く微熱 〜漢方医学的視点から処方を選択〜

  8インフルエンザに麻黄湯を使うために 〜そのコツと注意点について〜

  9慢性気管支炎・肺気腫などと漢方治療

 10成人喘息の漢方治療について

 11小児の咳き込み・喘鳴 〜処方選択の使用目標とポイント〜

 12鼻炎に対する漢方処方の使い分けポイント 〜小青竜湯を中心として〜

 13慢性鼻炎と副鼻腔炎

 14咽喉頭異常感症と半夏厚朴湯 〜使い方のコツとその他の使用処方〜

 15唾液が溜まる 〜漢方医学的病態と対応処方について〜

 16「口が苦い」との訴えに対する処方選択について

 17口内炎の漢方治療 〜半夏瀉心湯を中心として〜

 18舌痛症の漢方治療 〜気血水の異常を考慮して処方選択〜

 19逆流性食道炎に対する漢方治療

 20「嘔気」「嘔吐」の処方選択 〜漢方治療の考え方を踏まえて〜

 21急性胃腸炎に対する漢方治療 〜各処方の使い分けの目標とポイント〜

 22機能性胃腸症(FD)に対する漢方処方の使い分け 〜六君子湯を中心として〜

 23機能性胃腸症・胃食道逆流症における半夏瀉心湯の使い方について

 24過敏性腸症候群(IBS)と漢方処方の使い分け

 25慢性下痢に用いる漢方薬 〜処方選択の留意点とポイント〜

 26便秘症に対する漢方薬の使い分け 〜大黄剤の使用可否を中心として〜

 27腹部膨満

 284つの病態が鍵となる‘吃逆’の漢方治療

 29痔核・脱肛に用いる漢方薬

 30小児の嘔吐・下痢・腹痛に対する漢方治療 〜漢方薬の味を知っておくことも重要なポイント〜

 31メンタルヘルスの中の漢方の役割

 32パニック障害と漢方薬治療 〜妊娠中の重要な選択肢の一つとして〜

 33不眠に対する漢方処方 〜その使い方と減量,服用中止のしかた〜

 34不眠に対する酸棗仁湯の効かせ方

 35認知症に対する抑肝散の有効性 〜使用時の注意点とその他の処方について〜

 36いらいら感 〜それぞれの原因と対応処方について〜

 37子供の夜啼き

 38胸脇苦満について 〜柴胡剤,そしてストレスとの関連は〜

 39めまいに対する漢方治療 〜症状別対応処方の使い分け〜

 40VDT症候群に用いる漢方処方

 41脳循環障害の処方選択のポイント 〜高齢者の頭重,めまい〜

 42立ちくらみ,起立性調節障害と漢方治療 〜各処方の使用目標とポイントを含めて〜

 43頭痛の原因別による漢方処方の使い方 〜呉茱萸湯の使い方を含めて〜

 44目の痛み,目の疲れ 〜眼精疲労に対する漢方薬の使い方〜

 45漢方の体力改善効果がもたらす福音 〜感冒を中心として〜

 46夏に疲れた胃腸に対する漢方処方

 47夏ばてと冷房病に対する漢方薬 〜症状によるその使い分け〜

 48二日酔いには五苓散 〜飲酒に関連して使用する他処方も含めて〜

 49「水太り」とは 〜その考え方と適応処方の使い方について〜

 50虚弱児の漢方治療 〜体質改善と処方選択のポイント〜

 51虚弱で疲れやすく,冷え症の高齢者の体質改善

 52高齢者に対する漢方治療 〜注意点と頻用処方について〜

 53逆上せ,手足の火照り 〜漢方医学的病態解析と頻用処方解説〜

 54冷え症の漢方治療のポイント 〜温熱薬を含む漢方処方の使い分け〜

 55月経前症候群に対する第一選択の処方とは 〜処方選択の際の留意点を含めて〜

 56機能性月経困難症の漢方治療 〜瘀血の考え方を中心に〜

 57女性の更年期障害と漢方処方 〜加味逍遙散と他処方との鑑別を含めて〜

 58肩凝り 〜他症状との関係,部位を考慮した処方選択〜

 59急性期の腰痛,慢性化した腰痛

 60腰部脊柱管狭窄症によい漢方薬は?

 61腰痛に用いる漢方薬について 〜芍薬甘草湯の使い方〜

 62変形性膝関節症に対する第一選択‘防已黄耆湯’と他処方の使い分け

 63膀胱炎に対する処方の使い分け 〜猪苓湯を中心として〜

 64尿失禁 〜漢方医学的見地からの処方の使い分け〜

 65勃起障害(Erectile Dysfunction:ED)の漢方治療

 66止血作用のある漢方薬 〜それぞれの使い分けについて〜

 67じんま疹に対する漢方薬 〜処方選択のポイントを中心に〜

 68ニキビ(ざ瘡)に対する漢方治療 〜症状のポイント把握と併用の工夫が治療の要〜

 69柴胡桂枝湯の使い方

 70柴胡桂枝乾姜湯の処方考察 〜その広範な適応症候と使い方〜

 71黄連解毒湯の使い方

 72補剤「補中益気湯」と「十全大補湯」の使い分け 〜構成生薬の観点から〜

 73六君子湯と補中益気湯の鑑別 〜構成生薬からの考察〜

 74疎経活血湯の使い方

 75温清飲を核とした処方解説

 76甘麦大棗湯の使い方

 77竹筎温胆湯の効かせ方

 78大建中湯の適応 〜臨床的視点から〜

 79当帰湯は狭心症に効くか?

 80附子の使い方

 81気血水という考え方について

 82「腹診」について<前編> 〜その重要度,学び方などについて〜

 83「腹診」について<後編> 〜腹診の目的や手技〜

 84腹診所見「振水音」のとり方 〜その手技と臨床的意味〜

 85多彩な愁訴に対する漢方治療の進め方 〜処方選択のコツと考え方〜

 86複数処方併用の際の基本的な考え方と運用の留意点

 87医療用漢方製剤の複数処方併用の留意点

 88漢方薬と現代医薬との併用 〜その注意点と有用な組み合わせ〜

 89漢方治療がうまくいかないときの考え方

 90漢方薬の服用法と服用量について

 91漢方薬の服用時間 〜食前と食後の使い分けとその理由〜

 92薬の美味しさと証 〜味と匂いと効き目〜

 93漢方薬の効果判定までの期間 〜処方による違いも含めて〜

 94「めんげん」(瞑眩)と副作用の鑑別

 95甘草による副作用について

 96漢方薬と民間薬についての考察

 97漢方薬服用の古典解説 〜漢方薬の服用時・服用後に摂取するとよいもの〜

 98生薬に関する勉強方法

 99漢方の勉強方法

100漢方古典の勉強法

索引





〈執筆項目No〉

稲木一元:
1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,12,13,17,19,22,23,25,29,30,41,
42,46,48,50,51,52,54,56,60,61,66,67,68,69,72,73,74,75,78,79,
81,84,87,88,89,93,94,95,97,100

杵渕 彰:
1,4,14,15,16,18,20,21,24,26,27,28,31,32,33,34,35,36,37,38,
39,42,43,44,45,47,49,53,55,57,58,59,62,63,64,65,70,71,76,77,
80,82,83,85,86,90,91,92,96,98,99

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執筆者一覧

稲木一元 青山稲木クリニック院長 著
杵渕 彰 青山杵渕クリニック院長 著

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