がんの薬物療法マニュアル 2版
畠 清彦 編著
A5判 540頁
定価8,140円(本体7,400円 + 税)
ISBN978-4-498-02237-9
2014年12月発行
在庫なし
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がんの薬物療法マニュアル 2版
畠 清彦 編著
A5判 540頁
定価8,140円(本体7,400円 + 税)
ISBN978-4-498-02237-9
2014年12月発行
在庫なし
第2版の序
幸いなことに,初版から多くの抗がん剤が承認・発売となり,がんの薬物療法はますます奏効率の向上,無増悪期間の延長または生存期間の延長などをもたらしている.以前は学会などの市民参加パネルなどで,腫瘍内科は抗がん剤治療の成績向上を本当にもたらしているのか? などど厳しいことを言われたことがあった.
血液腫瘍領域は言うまでもなく,乳癌,消化器癌,肺癌など主な腫瘍では新薬の適切な導入が良好な成績をもたらしている.さらに遺伝子変異の有無によって,分子標的治療薬については利益のある患者群,ないまたは不利益となる患者群などがわかってきて,さらに標的治療が進んでいる.まれな肺癌などではALK阻害剤やCD30陽性再発ホジキンリンパ腫,Her2陽性乳癌,前立腺癌などでも新薬が出てきた.一方,全国的にみるとまだまだ専門医の数も体制も充分でないところもある.
本書第2版では,さらに安全にスピード感をもって,適切に患者さんに正しい薬剤を,有害事象を管理して治療にあたられることを祈って,内容を新たに追加した.ぜひ本書をご利用いただいて,治療にあたっていただければ幸いである.
2014年11月
畠 清彦
目 次
A 総論〈畠 清彦〉
1.Performance Status(PS)
2.抗がん薬の分類
3.定 義
4.効果の判定
5.有害事象対策について
a.支持療法
b.貧 血
c.血小板減少
d.制吐剤について
6.リスクマネジメント
B 外来治療研修の実際を学んで─後輩へのアドバイス─〈多田敬一郎〉
1.患者の把握
2.レジメの決定
3.有害事象の説明
4.投与指示票の作成
5.投与直前の確認
6.末梢ラインの確保
7.実際の投与にあたって
8.有害事象のモニターおよび出現時の対応
9.効果判定
C 外科医からみた化学療法の重要性〈大迫政彦〉
1.外科医が関与している化学療法
a.術前化学療法
b.術後補助化学療法
c.切除不能進行再発がんに対する化学療法
2.要点と工夫
a.確実な治療効果を得るために
b.チーム医療の確立
c.腫瘍内科医との連携
d.診療ネットワークの構築
3.今後の展望
D Oncologic emergency〈高橋俊二〉
1.代謝障害
a.高カルシウム血症
b.腫瘍崩壊症候群
c.低ナトリウム血症
d.過粘稠度症候群
2.構造的障害
a.頭蓋内圧亢進
b.脊髄圧迫
c.上大静脈症候群
d.心囊水貯留(心タンポナーデ)
3.化学療法に伴うemergency
a.血管外漏出
b.Hypersensitivity/infusion reaction
c.血栓症
d.間質性肺炎,間質性肺疾患
E 化学療法におけるリスクマジメント
E‐1 システム管理と処方鑑査〈庄司大悟,濱 敏弘〉
1.化学療法のシステム構築と安全対策
a.治療レジメンの院内登録制度
b.化学療法における安全対策
2.薬剤師による鑑査業務と調製業務
a.処方鑑査業務
b.薬剤の調剤(個人セット)と鑑査業務
c.注射抗がん薬の調製
E‐2 病棟薬剤師が行うリスクマネジメント(服薬指導と有害事象モニタリング)〈川上和宜,濱 敏弘〉
1.病棟薬剤師が行う業務
a.入院時初回服薬指導
b.持参薬管理業務
c.がん化学療法導入時の服薬指導
d.有害事象モニタリング
2.薬剤師が行うリスクマネジメントの実例
a.血液病棟において,リツキサンⓇのinfusion reaction重篤化回避に向けた取り組み
b.整形外科病棟でがん化学療法の支持療法を薬剤師が提案した事例
E‐3 外来治療センターにおける看護と血管確保〈横井麻珠美,榮木実枝〉
1.外来治療センターの概要
2.がん研有明病院における「看護師の静脈注射実施に関する基準」
3.安全に血管確保を実施するために必要なこと
4.投与前・中の看護─血管外漏出時の早期発見と早期対応(対処とケア)
a.血管外漏出時の早期発見
b.血管外漏出時の早期対応(対処とケア):基本的な対処法を知る
c.漏出部位の観察と記録
5.看護師が静脈穿刺をすることで大切なこと
F 代表的な薬剤
1.リツキシマブ,イブリツモマブチウキセタン〈横山雅大〉
A.リツキシマブ
B.イブリツモマブチウキセタン
2.トラスツズマブ 〈深田一平,伊藤良則〉
3.ベバシズマブ 〈末永光邦〉
4.セツキシマブ,パニツムマブ 〈篠崎英司〉
5.イマチニブ 〈薄井紀子〉
6.ダサチニブ,ニロチニブ〈木村晋也〉111
I.第2世代ABL TKIへの切り替え
II.第2世代ABL TKIs
A.ダサチニブ
B.ニロチニブ
III.First lineとしての第2世代ABL TKI
7.スニチニブ,ソラフェニブ 〈仲野兼司〉
8.エベロリムス,テムシロリムス 〈仲野兼司〉
9.ベンダムスチン 〈上田響子〉
10.ボルテゾミブ 〈鈴木一史〉
11.レナリドマイド 〈西村倫子〉
12.サリドマイド 〈西村倫子〉
13.カペシタビン 〈三阪高春〉
14.オキサリプラチン 〈宇良 敬〉
15.テガフール,ギメラシル,オテラシルカリウム 〈大場 大〉
16.メルファラン(L‐PAM) 〈増田昌人〉
17.パクリタキセル 〈伊藤良則〉
18.ドセタキセル 〈伊藤良則〉
19.エリブリン 〈堤 千寿子〉
20.ダカルバジン 〈田原 信〉
21.ミトキサントロン 〈佐野公司〉
22.シスプラチン,カルボプラチン 〈酒井 洋〉
A.シスプラチン(CDDP)
B.カルボプラチン(CBDCA)
23.リポソーム化ドキソルビシン 〈野村秀高〉
24.ゲムシタビン 〈石井 浩〉
25.ビノレルビン 〈伊藤良則〉
26.フルダラビンリン酸エステル 〈増田昌人〉
27.イリノテカン塩酸塩水和物(CPT‐11) 〈水沼信之〉
28.ドキソルビシン塩酸塩(アドリアマイシン) 〈和泉 透〉
29.トレチノイン,亜ヒ酸 〈三嶋裕子〉
A.all‐trans retinoic acid(ATRA)
B.亜ヒ酸
30.シタラビン(Ara-C) 〈佐野公司〉
31.イダルビシン塩酸塩,ダウノルビシン塩酸塩 〈佐野公司〉
A.イダルビシン塩酸塩
B.ダウノルビシン塩酸塩
32.アザシチジン,ボリノスタット 〈坂尻さくら〉
A.アザシチジン
B.ボリノスタット
33.エトポシド(VP-16) 〈畠 清彦〉
34.ゲフィチニブ,エルロチニブ 〈齋藤良太,西尾誠人〉
A.ゲフィチニブ
B.エルロチニブ
35.アプレピタント,ホスアプレピタント 〈小倉真理子〉
36.パロノセトロン 〈小倉真理子〉
37.高カルシウム血症の薬剤 〈高橋俊二〉
38.アキシチニブ 〈湯浅 健〉
39.パゾパニブ 〈湯浅 健〉
40.レゴラフェニブ 〈松阪 諭〉
41.クリゾチニブ 〈北園 聡,西尾誠人〉
42.フルベストラント 〈小林隆之〉
43.デガレリクス 〈湯浅 健〉
44.ブレンツキシマブベドチン 〈福原規子〉
45.ペルツズマブ 〈小林 心〉
46.トラスツズマブ エムタンシン(T‐DM1)〈深田一平,伊藤良則〉
G 疾患別標準治療
1.頭頸部がん 〈仲野兼司〉
a.疫学
b.頭頸部がんにおける化学療法の位置づけ
c.エビデンス
d.実際の治療と管理
2.肺がん 〈?谷典子,西尾誠人〉
a.小細胞肺がんに対する化学療法
b.非小細胞肺がんに対する化学療法
c.化学療法の実際─方法および留意点
3.乳がん 〈伊藤良則〉
a.術後化学療法
b.術前化学療法
c.転移乳がんに対する薬物療法
d.分子標的薬剤
A.ラパチニブ 〈小林 心〉
a.ラパチニブの臨床成績
b.投与方法と注意点
c.有害事象とその対策
B.ナブ・パクリタキセル(Nab‐PAC) 〈中山美恵〉
a.特徴と効果
b.適応
c.投与法
d.有害事象
e.注意点
4.食道がん 〈陳 勁松〉
a.疫学
b.組織型・部位
c.食道癌のステージ分類と予後
d.治療法別の概要とエビデンス
e.治療選択の実際
f.各レジメンの解説
5.胃がん 〈陳 勁松〉
a.転移進行胃癌の化学療法
b.補助化学療法
c.日常診療での実際と今後
6.大腸がん 〈水沼信之〉
a.1次治療
b.2次治療
c.3次治療
d.4次治療
e.5次治療
7.肝臓がん,胆道がん,膵臓がん〈坂田宏樹,大場 大,國土典宏〉
a.肝細胞がん
b.胆道がん
c.膵臓がん
8.婦人科がん 〈今野 良〉
a.卵巣がん(上皮性悪性腫瘍)
b.胚細胞腫瘍
c.子宮頸がん
d.子宮体がん
9.泌尿器がん 〈米瀬淳二〉
a.尿路上皮がん
b.前立腺がん
c.精巣腫瘍
d.腎細胞がん
10.骨肉腫 〈阿江啓介,松本誠一〉
a.総論
b.薬剤と投与法
c.代表的プロトコール
d.有害事象対策
e.補助化学療法に抗して転移が現れた時の治療法
f.外来での治療
11.急性白血病 〈三嶋裕子〉
a.急性骨髄性白血病(M3以外)
b.急性前骨髄球性白血病
c.急性リンパ性白血病
d.各薬剤の有害事象
e.各治療プロトコール
12.慢性白血病 〈薄井紀子〉
a.慢性骨髄性白血病
b.慢性リンパ性白血病
13.悪性リンパ腫 〈照井康仁〉
a.ホジキンリンパ腫
b.低悪性度非ホジキンリンパ腫の治療:エビデンスとその解釈
c.Aggressive non‐Hodgkin lymphomaに対する化学療法:
エビデンスとその解釈(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を中心に)
14.成人T細胞白血病・リンパ腫 〈増田昌人〉
a.ATLの診断と病型分類
b.Indolent ATLに対する治療
c.70歳未満のaggressive ATLに対する初期治療
d.70歳未満のaggressive ATLに対するサルベージ療法
e.70歳以上のaggressive ATLに対する治療
f.緩和医療と緩和的化学療法
g.個別療法の解説
15.T細胞性リンパ腫 〈横山雅大〉
a.疾患についての基本的考え方
b.治療
c.主な有害事象とその対策
16.多発性骨髄腫 〈西村倫子〉
a.疫学
b.診断
c.分類
d.治療
e.支持療法
17.皮膚がん 〈菊池かな子〉
a.有棘細胞がん
b.悪性黒色腫
c.皮膚附属器がん
d.悪性内皮細胞腫
e.隆起性皮膚線維肉腫
f.イミキモド
18.原発不明がん 〈公平 誠〉
a.疫学
b.臨床像
c.診断・検査
d.治療
e.最近の動向
事項索引
薬剤名索引
執筆者一覧
畠 清彦 がん研有明病院血液腫瘍科部長/輸血部長 編著
多田敬一郎 東京大学医学部附属病院乳腺内分泌外科講師
大迫政彦 鹿児島医師会病院外科診療部長
高橋俊二 がん研有明病院総合腫瘍科部長
庄司大悟 がん研有明病院薬剤部
濱 敏弘 がん研有明病院薬剤部長
川上和宜 がん研有明病院薬剤部主任
横井麻珠美 がん研有明病院看護師長
榮木実枝 がん研有明病院看護部長
横山雅大 がん研有明病院血液腫瘍科副医長
深田一平 がん研有明病院乳腺センター乳腺内科副医長
伊藤良則 がん研有明病院乳腺センター乳腺内科部長
末永光邦 がん研有明病院消化器センター化学療法科医長
篠崎英司 がん研有明病院消化器センター化学療法科医長
薄井紀子 東京慈恵会医科大学第三病院輸血部教授
木村晋也 佐賀大学医学部血液・呼吸器・腫瘍内科教授
仲野兼司 がん研有明病院総合腫瘍科
上田響子 がん研有明病院血液腫瘍科
鈴木一史 東京慈恵会医科大学附属病院腫瘍・血液内科
西村倫子 がん研有明病院血液腫瘍科副医長
三阪高春 霧島市立医師会医療センター内科・消化器内科地域医療部長/外来がん化学療法センター長
宇良 敬 愛知県がんセンター薬物療法部医長
大場 大 東京大学医学部附属病院肝胆膵外科
増田昌人 琉球大学医学部附属病院がんセンター長/診療教授
堤千寿子 湘南記念病院腫瘍内科
田原 信 国立がん研究センター東病院頭頸部内科長
佐野公司 東京慈恵会医科大学柏病院腫瘍・血液内科
酒井 洋 埼玉県立がんセンター呼吸器内科部長
野村秀高 がん研有明病院婦人科副医長
石井 浩 がん研有明病院消化器センター肝・胆・膵化学療法担当副部長
水沼信之 がん研有明病院消化器センター消化器内科化学療法担当部長
和泉 透 栃木県立がんセンター血液内科化学療法部長
三嶋裕子 がん研有明病院血液腫瘍科副医長
坂尻さくら 元がん研有明病院血液腫瘍科
齋藤良太 東北大学病院呼吸器内科
西尾誠人 がん研有明病院呼吸器センター呼吸器内科部長
小倉真理子 がん研有明病院総合腫瘍科
湯浅 健 がん研有明病院泌尿器科担当副部長
松阪 諭 がん研有明病院消化器センター化学療法科医長
北園 聡 がん研有明病院呼吸器センター呼吸器内科副医長
小林隆之 がん研有明病院総合腫瘍科副医長
福原規子 東北大学病院血液免疫科
小林 心 がん研有明病院乳腺センター乳腺内科副医長
?谷典子 がん研有明病院呼吸器センター呼吸器内科医長
中山美恵 大阪赤十字病院消化器外科・乳腺外科
陳 勁松 がん研有明病院消化器センター化学療法科医長
坂田宏樹 東京山手メディカルセンター一般外科
國土典宏 東京大学医学部肝胆膵外科学教授
今野 良 自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科教授
米瀬淳二 がん研有明病院泌尿器科部長
阿江啓介 がん研有明病院整形外科医長
松本誠一 がん研有明病院整形外科部長
照井康仁 がん研有明病院血液腫瘍担当部長
菊池かな子 三井記念病院皮膚科部長
公平 誠 国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科
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