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書籍詳細

精神科レジデントハンドブック 2版

精神科レジデントハンドブック 2版

平安良雄 編集

B6変型判 276頁

定価4,180円(本体3,800円 + 税)

ISBN978-4-498-12929-0

2014年06月発行

在庫なし

精神科診療に携わるうえで必要な基礎的かつ実践的な知識を簡明に記載.関連知識をも盛り込み,本書1冊で精神科の後期臨床研修に十分に対応できるマニュアルとなっている.

2版の序

 近年,地域や社会が精神科医に求める基本的技量は拡大し,また,精神科医に対する期待も大きくなっている.精神科医が対象とする年齢は児童思春期から老年期まで,人の生涯のすべてにわたる.また,統合失調症,うつ病,躁うつ病などの古典的な精神科疾患に対する臨床能力に加え,一般の総合病院診療における,がんなどの重篤な身体疾患へのかかわりやせん妄への対応能力などが要求されている.自殺予防対策の中でも,自傷行為や過量服薬など救急医療現場での精神科的な介入は極めて重要である.さらに,高齢化社会において認知症を含む,器質性疾患の鑑別能力や地域社会との連携能力も不可欠である.このように幅広く質の高い能力が期待されているにもかかわらず,先進国と比較すると我が国の精神科レジデントの体系的・組織的な養成制度は整備されていない.専門医を目指すためには,一つの施設ではなく,複数の施設を3から4年かけてローテートし,十分な臨床経験と資格を持つ指導医の下で研修を行う必要がある.臨床経験を積む場所としては,大学病院,総合病院,単科精神科病院など精神科病床を持つ病院を中心に行うべきである.

 精神科レジデントの当面の目標は精神科専門医の取得にあると考える.実務的には精神保健指定医の資格取得は重要であるが,あくまでも法の理解と遂行を担保するものであり,幅広い臨床経験,知識,質などを証明する資格ではない.本書が精神科専門医を目指すレジデントにとって有用な書籍となれば幸いである.

 2014年4月
平安良雄

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目次

I.総論
 1.精神科面接    〈平安良雄〉 
  1.面接の重要性    
  2.面接に必要な技量    
  3.面接前に確認できること    
  4.面接の進め方    
  5.場所    
  6.態度・言葉遣い    
  7.初回面接の着目点    
  8.質問のしかた    

 2.状態像の把握    〈小田原俊成〉 
  1.外見     
  2.行動     
  3.話し方     
  4.感情     
  5.思考内容     
  6.思考過程     
  7.知覚     
  8.知性     
  9.洞察     

 3.診療録の書きかた    〈岸田郁子〉 
  1.そもそも診療録とは     
  2.よい診療録を書くための基本     
  3.何をどのように書けばよいのか     
  4.その他の重要事項     
  5.診療録の記載例     

 4.症状評価尺度    〈青山久美〉 
  1.統合失調症の評価尺度     
  2.うつ病の評価尺度     
  3.躁病     
  4.不安障害     

 5.診断―操作的診断と従来診断について    〈小田原俊成〉 
  1.従来診断と操作的診断     
  2.個々の疾患における従来診断と操作的診断     
  3.初診時の診断と診断の見直しについて     

 6.治療計画と手順    〈勝瀬大海〉 
  1.診断の確実性はどうか?     
  2.標準的な治療法は何か?     
  3.治療計画を組み立てる     
  4.インフォームドコンセントをとる     
  5.入院について判断する     

 7.精神療法    〈平安良雄〉 
  1.意義     
  2.分類     
  3.支持的精神療法     
  4.認知行動療法     

 8.薬物療法     
  a.抗不安薬・睡眠薬    〈浅見 剛〉 
   A.抗不安薬     
    1.代表的な薬剤,分類     
    2.用法用量,標的症状,副作用,副作用時の対策     
    3.処方する際に患者への説明,伝えておくべきこと     
    4.処方例     
    5.切り替え方法     
    6.妊娠・授乳中の注意     
   B.睡眠薬     
    1.代表的な薬剤,分類     
    2.用法用量,標的症状,副作用,副作用時の対策     
    3.処方する際に患者への説明,伝えておくべきこと     
    4.処方例・切り替え方法     
    5.妊娠・授乳中の注意     
  b.抗うつ薬    〈岸田郁子〉 
   1.抗うつ薬の種類と特徴     
   2.抗うつ薬治療の要点と注意点     
   3.副作用とその対策     
  c.抗精神病薬    〈須田 顕〉 
   1.非定型抗精神病薬(第2世代抗精神病薬)     
   2.定型抗精神病薬(第1世代抗精神病薬)     
   3.薬剤の選択     
   4.クロザピンclozapine(クロザリル)について     
   5.抗精神病薬の副作用     
   6.併用薬・合併症・妊娠がある患者への使用     
   7.減量・中止について     
  d.気分安定薬    〈斎藤知之〉 
   1.代表的な気分安定薬     
   2.双極性障害以外の疾患に対する有効性     
   3.双極性障害に対する気分安定薬の有効性     


II.各論
 1.統合失調症     
  a.急性期    〈平安良雄〉
   1.疫学     
   2.病態の把握   
   3.診断     
   4.治療     
   5.治療環境の選択基準     
   6.家族・本人への説明     
   7.予後     
   8.医師による治療以外の資源の活用     
  b.慢性期・リハビリテーション    〈加藤大慈〉 
   1.疫学   
   2.病態の把握     
   3.診断   
   4.治療     
   5.治療環境の選択基準   
   6.家族・本人への説明   
   7.予後   
   8.医師による治療以外の資源の活用   

 2.うつ病   
  a.診断と治療    〈岸田郁子〉
   1.疫学と成因   
   2.診断   
   3.治療   
   4.治療の選択   
   5.経過と予後   
   6.家族への心理教育と医療以外の支援   
  b.社会復帰・職場復帰    〈白石洋子〉
   1.基本的な考え方   
   2.復帰までの手順1:生活面での指導   
   3.復帰までの手順2:職場との調整   
   4.復帰までの手順3:精神療法・薬物療法   
   5.復帰後の調整   
   6.慣らし勤務から本勤務に移行した後のケア   
   7.その他の重要事項(1):リワークプログラムの利用方法について   
   8.その他の重要事項(2)   

 3.双極性障害    〈須田 顕〉
  1.疫学   
  2.病態の把握と診断   
  3.鑑別診断と他の精神疾患の合併   
  4.治療   
  5.家族・本人への説明および心理社会的治療   
  6.予後   

 4.不安障害    〈浅見 剛〉
  A.パニック障害   
   1.病態の把握   
   2.診断,鑑別診断   
   3.治療   
  B.社交不安障害   
   1.病態の把握   
   2.診断,鑑別診断   
   3.治療   
  C.全般性不安障害   
   1.病態の把握   
   2.診断,鑑別診断   
   3.治療   
  D.強迫性障害   
   1.病態の把握   
   2.診断,鑑別診断   
   3.治療   
  E.外傷後ストレス障害   
   1.病態の把握   
   2.診断,鑑別診断   
   3.治療   

 5.アルコール・薬物依存    〈青山久美〉
  1.疫学   
  2.面接の基本   
  3.病態の把握   
  4.診断   
  5.精神疾患の合併   
  6.治療   
  7.医療以外の資源の活用   
  8.治療環境の選択基準   
  9.届出義務   
  10.予後   

 6.境界性パーソナリティ障害    〈松本俊彦〉
  1.疫学   
  2.病態の把握   
  3.診断   
  4.治療   
  5.治療環境の選択基準   
  6.家族・本人への説明   
  7.予後   
  8.医師による治療以外の資源の活用   

 7.摂食障害    〈栗山 薫〉
  1.疫学   
  2.病態の把握   
  3.診断   
  4.治療   
  5.治療環境の選択基準   
  6.家族・本人への説明   
  7.予後   
  8.医師による治療以外の資源の活用   
  9.診療上「してはいけないこと」   

 8.認知症    〈勝瀬大海〉
  1.定義   
  2.疫学   
  3.病態の把握   
  4.診断   
  5.治療   
  6.治療環境の選択基準   
  7.家族・本人への説明   
  8.予後   
  9.医師による治療以外の資源の活用   

 9.脳器質性精神障害    〈千葉悠平〉
  1.定義   
  2.診療にあたっての基本的な考え方   
  3.分類   
  4.疫学   
  5.診断についての考え方   
  6.検査の考え方   
  7.治療の考え方   
  8.患者および家族への説明について   

 10.発達障害    〈中川牧子〉
  1.発達障害鑑別   
  2.主な疾患について   
  3.成人期の発達障害について   

 11.精神科救急の対応   
  a.興奮・激越の鎮静    〈加納亜希子〉
   1.アセスメント   
   2.心理的介入   
   3.チームによる対応   
   4.行動制限   
   5.薬物による対処法   
  b.自殺企図・希死念慮    〈日野耕介〉
   1.近年の動向   
   2.自傷行為と自殺企図について   
   3.希死念慮を抱える患者への対応   
   4.自殺未遂者への対応   
   5.薬物過量内服をめぐる問題について   

 12.コンサルテーション・リエゾン・緩和ケア    〈鎌田鮎子〉
  1.有効なコンサルテーションのために   
  2.機能障害時の薬剤投与について   
  3.その他の理由での注意点   
  4.せん妄   
  5.緩和ケア   

 13.児童・思春期患者への対応    〈高橋雄一〉
  1.子どもの精神障害   
  2.子どもの精神科診察のポイント   
  3.子どもの心因性精神障害の診療のポイント   
  4.主な子どもの状態像と対応   

 14.社会資源の活用    〈泉 桃子〉
  1.在宅生活を支える制度   
  2.施設入所の活用   
  3.入院による医療   
  4.経済面を支える制度   
  5.精神障害者保健福祉手帳   
  6.日中活動の場   

 15.脳波検査    〈堀 岳人〉
  1.脳波の定義と臨床的意義   
  2.精神科診療における脳波検査   
  3.脳波判読の基本   
  4.実際の脳波   

 16.心理検査    〈小林 陵〉
  1.心理検査の種類と代表的な検査   
  2.心理検査の導入   
  3.結果のフィードバック   
  4.心理検査の限界   

 17.精神保健福祉法    〈小田原俊成〉
  1.入院治療のポイント   

 18.病棟看護師との連携    〈川島千明〉
  1.知っておきたい病棟内のルール   
  2.情報共有と協働   
  3.指示の出し方   
  4.チーム医療   


付録
1.学会・カンファレンスでのプレゼンテーション    〈中川牧子〉
 1.学会でのプレゼンテーション   
 2.カンファレンスでのプレゼンテーション   

2.指定医・専門医の取得    〈中島智美〉
 A.精神保健指定医   
  1.精神保健指定医とは   
  2.申請資格   
  3.申請の流れ   
  4.提出書類   
  5.ケースレポート   
 B.精神科専門医   
  1.精神科専門医とは   
  2.申請資格   
  3.認定試験の流れ   
  4.提出書類   
  5.受験(研修修了)資格の認定   
  6.症例報告   
  7.二次試験(筆記試験・口頭試問)   

3.有用な書籍およびサイト    〈井上佳祐〉
 1.書籍   
 2.サイト   

索引   

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執筆者一覧

平安良雄 横浜市立大学大学院医学研究科医学研究科長/精神医学部門主任教授 編集
小田原俊成 横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター准教授 
岸田郁子 横浜市立大学附属病院精神科講師 
青山久美 横浜市立大学附属病院児童精神科 
勝瀬大海 横浜市立大学医学部精神医学講師 
浅見 剛 横浜市立大学医学部精神医学 
須田 顕 横浜市立大学医学部精神医学 
斎藤知之 横浜舞岡病院 
加藤大慈 戸塚西口りんどうクリニック 
白石洋子 横浜市立大学附属病院臨床検査部脳波室 
松本俊彦 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所自殺予防総合対策センター副センター長/薬物依存研究部室長 
栗山 薫 横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター 
千葉悠平 横浜市立大学附属病院 
中川牧子 横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター 
加納亜希子 藤沢病院 
日野耕介 横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター 
鎌田鮎子 横浜市立大学大学院医学研究科 
高橋雄一 横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター講師 
泉 桃子 横浜市立大学附属市民総合医療センター地域連携相談部 
堀 岳人 横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター 
小林 陵 横浜市立大学附属病院精神科心理室 
川島千明 横浜市立大学附属市民総合医療センター看護部 
中島智美 横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター 
井上佳祐 神奈川県立精神医療センターせりがや病院 

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