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書籍詳細

ICU/CCUの急性血液浄化療法の考え方,使い方

ICU/CCUの急性血液浄化療法の考え方,使い方

大野博司 著

A5判 392頁

定価4,620円(本体4,200円 + 税)

ISBN978-4-498-06670-0

2014年04月発行

在庫なし

最新の版はこちら ⇒ 『ICU/CCUの急性血液浄化療法の考え方,使い方 ver.2』

かならず役立つ! ロジックに基づく急性血液浄化療法

「ICU/CCUの患者の病状・病態に応じ,適切なタイミングで急性血液浄化療法を行うにはどうすればよいか?」について,前著『ICU/CCUの薬の考え方、使い方』と同様,その思考プロセスの段階からロジカルに徹底解説! クリティカルケアの現場でこれから初めて急性血液浄化療法に携わるレジデントやクリティカルケアナースは勿論,日々現場で奮闘する医師,ナース,臨床工学士の皆さんにも大いに役立つ内容が満載です.

出版社からのコメント

本書の著者、大野博司先生がICU/CCUで頻用される薬剤の使い方についてまとめた『ICU/CCUの薬の考え方,使い方』もオススメです!

推薦文

まず始めに本書の推薦文を書かせて頂く光栄に預かったことを御礼申し上げると同時に,この労作を書き上げた大野博司先生を祝福したい.推薦文を書くにあたり,通読しない訳にはいかないのだが,正直,原稿を頂いた時には,原稿が積み上げられる高さに,これは大変なものを引き受けてしまったと半ば後悔もした.しかし,気を取り直して,じっくり読み進めてみると,これが非常に読みやすく,数日で読破することができた.私もこの領域にはそれなりに知識があるつもりであるが,それでも大いに勉強になるというオマケも頂くことができた.

 本書が何故,これほどの大作にもかかわらず,苦労せず読み進められたかを考えてみた.

 1 つにはイラストや写真が豊富であって,文章がイメージに変換されやすい構造になっていることがあげられるであろう.しかも,そのイメージはとてもシンプルでわかりやすいものである.文章も敢えて平易にされている印象を受けた.これは,本書が看護師や臨床工学技士の方との謂わば合作のようなものであったとする大野先生の緒言を読んで,至極納得できた.かといって,医師にも十分に読み応えがあることは保証したい.

 もう1 つ,この本を素晴らしい読み物としているのは,これは常に私が持っている印象なのだが,単著の本というのはその作者の世界観が常に広がっていて,単なる教科書的な記述に伴う平坦さが無く,一貫性,物語性があることで,小説かの如く,読みやすいものとしている気がする.

 とは言え,本書はかなりの大作であり,多忙な医師やコメディカルが通読するにはややハードルが高いかも知れない.まずのとっかかりとして,全くの初学者はまずは第0・1 章から,それなりの経験者であれば,まず第4〜6 章を読んでみるのも手であろう.参考書的な使い方も本書は可能である.
さらには集中治療医だけにCRRT に留まらず,輸液管理やAKI についても第2・3 章を中心に繰り返し述べられており,筆者のこだわりを感じた.

 いずれにしても,今までの教科書に物足りなさ,わかりにくさを感じる読者がいれば,是非,この本をお手にとって頂くことをお勧めしたい.


2014 年3 月
聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科 柴垣有吾

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はじめに

 本書では, 国内の一般市中病院で成人の急性腎傷害Acute kidney injury(AKI)を主な患者群として,急性血液浄化療法,持続的腎代替療法Continuous renal replacement therapy(CRRT)について,原理を理解した上で,各病態に合わせて処方できることを目指しています.

 何を除去するのか,どのタイミングで除水を行うのかについては特に強調して記載しています.前著『ICU/CCU の薬の考え方,使い方』は自分が予想していた以上の反響をいただきました.ICU/CCU で使用する薬剤にロジックがあるように,やはり患者の病状・病態に応じて適切なタイミングで,可能な限り思考プロセスを重視してCRRT を処方でき,処方されたCRRTが効果的かどうか患者をアセスメントできることが重要です.

 はじめてクリティカルケアの現場で急性血液浄化療法に携わるレジデント,クリティカルケアナースの初心者にとっては導入として,そして日々かかわっているベテラン医師,ナース,臨床工学技士のみなさんには確認として本書が役に立てばと思います.

 世界的に行われている標準的なCRRT を日々の臨床現場に生かすために,国内の実情との間でのすり合わせを行いながら記載するように心がけました.処方する浄化量については国内での保険上限が世界標準の半分程度であり,死亡率・合併症率ともかかわる可能性がある部分でありこの浄化量については特に強調して書いてあります.

 急性血液浄化療法を必要とする最重症の多臓器不全の患者ケアにベッドサイドで8 時間3 交代制で24 時間365 日支え続ける当院のICU/CCU ナース向け,そして血液浄化療法中に常にベッドサイドで支える臨床工学技士向けに行ってきた月1,2 回の定期的な勉強会が本書の根幹となっています.

 臨床医としての13 年間とクリティカルケアの現場に飛び込んだ約9 年間の中で実践してきたこと,そして執筆中に考えたことを本文および一部脱線するもののコラムに書き綴ってみました.本書を手にしたあなたにとって,このささやかな本が日々のクリティカルケアでの急性血液浄化療法の現場で役に立ち,ひいては目の前の患者さんの改善につながることを祈って.

2014 年3 月 大野博司

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目次

第0章 CRRT超入門: どのようにRRT回路を理解するか
 1.step 1 患者からの脱血,送血(返血)ルートをまずは描きだそう!
 2.step 2 血液浄化のための血液浄化フィルターを加える!
 3.step 3 血流量を確保するための血液ポンプを加える!
 4.step 4 抗凝固薬投与のルートを加える!
 5.step 5 血液透析hemodialysis(HD)を行う場合,血液フィルターと逆向きに透析液を流す!
 6.step 6 血液濾過hemofiltration(HF)を行う場合,血液フィルターの前か後ろに置換液(補充液)を流す!
 7.step 7 血液濾過透析hemodiafiltration(HDF)を行う場合,血液フィルターと逆向きに透析液を流し,
      また血液フィルターの前か後ろに置換液(補充液)を流す!
 8.step 8 さらに“ 空気”をトラップする部分を追加します!

第1章 CRRT入門: 用語解説,CRRT 回路の概観,4 つの原理とその適応
 1.用語解説
 2.CRRTにはなにがあるか
 3.IRRTにはなにがあるか
 4.臨床現場でのCRRTとIRRTの違い
 5.ブラッドアクセス
 6.CRRT回路,血液浄化器
 7.血液浄化フィルター
 8.透析液・置換液(補充液)
 9.急性血液浄化療法を理解するための4 つの原理とその適応
 10.血液浄化療法の血液浄化フィルターのまとめ: 血液透析HD vs 血液濾過HF vs 血液濾過透析HDF
 11.間欠的腎代替療法IRRT でのHD,HF,HDFでの分子量に応じた物質のクリアランス

第2章 クリティカルケアでの輸液管理

第3章 急性腎不全ARFと急性腎傷害AKI
 1.腎臓の働きと急性腎不全ARF,急性腎傷害AKIの症状・徴候
 2.急性腎傷害acute kidney injury(AKI)の重症度―RIFLEとAKIN分類
 3.クリティカルケアセッティングでのAKIのリスクファクター
 4.クリティカルケアセッティングでは尿量と血清クレアチニン値のモニタリングは妥当か
 5.急性腎傷害AKIの新規バイオマーカー
 6.急性腎傷害AKIの鑑別
 7.クリティカルケアで問題となる急性腎傷害AKIの原因
 8.クリティカルケアでの急性腎傷害AKIへのアプローチ・アセスメント
 9.クリティカルケアでの急性腎傷害AKIのマネジメント
 10.急性腎傷害AKI の予防
 11.シナリオをふりかえって

第4章 CRRT 基本設定と合併症
 1.腎代替療法RRTの重要な原理―特に濾過convectionと拡散diffusion
 2.急性血液浄化療法・腎代替療法にはなにがあるか
 3.動脈脱血→静脈送血(返血)A―Vと静脈脱血→静脈送血(返血)V―V
 4.CRRT 基本設定―回路とCRRTでの4 つの流量
 5.CRRT 基本設定―各論(1) SCUF
 6.CRRT 基本設定―各論(2) CVVH
 7.CRRT 基本設定―各論(3) CVVHD
 8.CRRT 基本設定―各論(4) CVVHDF
 9.体液量コントロールでのIRRT:IHD とCRRTの違い
 10.血液透析と血液濾過の循環に与える影響はどちらが大きいか
 11.CRRT 中の合併症

第5章 CRRT理解のための基本事項:クリアランス,浄化量
 1.溶媒と溶質とはなにか
 2.クリアランスとはなにか
 3.血液透析(I)HDとCRRTでの溶質除去の求め方がどうして異なるか
 4.ふるい係数とはなにか
 5.最も重要な2 つの原理(1):拡散diffusionを用いた持続的腎代替療法CRRT:CVVHDとCVVHDFでの浄化量
 6.最も重要な2 つの原理(2): 濾過convection を用いた持続的腎代替療法CRRT:CVVHでの浄化量
 7.後希釈postdilutionでの濾過率filtration fraction(FF)
 8.持続的腎代替療法CRRTでの浄化量dose とはなにか
 9.持続的腎代替療法CRRTでの理想的な浄化量doseをどのように処方したらよいか
 10.腎代替療法RRTでの浄化量の違い:血液透析HD vs 緩徐低効率血液透析SLED vs 持続的血液濾過CVVH
 11.浄化量をめぐる最近の流れ〜最新の大規模スタディを通して:RENAL StudyとATN Study〜
 12.日本国内での浄化量について―世界標準の浄化量と比較して―

第6章 クリティカルケアでの急性血液浄化療法の適応と離脱
 1.クリティカルケアでの急性腎傷害acute kidney injury(AKI)
 2.クリティカルケアでの腎代替療法RRT の適応―renal indicationとnon―renal indication
 3.RRT導入のアプローチ
 4.RRT適応のときCRRTとIRRTのどちらを選択すべきか
 5.RRTの離脱

第7章 CRRTの基本構成(1):ブラッドアクセス
 1.カテーテルの種類
 2.ブラッドアクセス部位
 3.バスキュラーカテーテルの合併症

第8章 CRRTの基本構成(2):抗凝固薬
 1.凝固カスケード
 2.抗凝固薬の種類
 3.世界的に行われている抗凝固療法
 4.抗凝固薬以外でのCRRT回路の凝固予防法
 5.シナリオをふりかえって

第9章 CRRTの基本構成(3):血液浄化フィルター
 1.血液浄化フィルターの構成
 2.膜素材の種類と特徴
 3.非対称膜構造について
 4.国内で使用されるCRRT用血液浄化フィルターの種類と特徴
 5.逆濾過backfiltrationについて
 6.CRRTでの血液浄化フィルターの実践的な選び方
 7.CRRTでの血液浄化フィルター効率を維持させるために―secondary membrane formation

第10章 CRRTでの全身アセスメントと輸液管理
 1.CRRT自体のアセスメント
 2.CRRT中の輸液管理
 3.持続的腎代替療法CRRT中のinput―outputバランスの考え方
 4.CRRT での透析液・置換液(補充液)の確認事項 

第11章 CRRT中のトラブルシューティング
 1.CRRT中のトラブルシューティングの際の考え方:“PACE”アプローチ
 2.CRRT回路の凝血・閉塞を早期に発見・予防するために
 3.CRRT中の実際のトラブルシューティング

第12章 特殊なモード(1):SLED-f
 1.IRRTとCRRT
 2.SLEDとは
 3.SLEDに関わる用語解説
 4.SLEDの設定
 5.SLED設定時の注意点
 6.SLEDはCRRTとHDの中間的な治療モード
 7.IRRT(HD,SLED)で使用する透析液はどのように作られるか
 8.クリティカルケアの場面でhybrid therapy であるSLED,SLED―fをどのように選択するか

第13章 特殊なモード(2):血漿交換
 1.血漿交換の概略
 2.遠心分離法
 3.膜分離法
 4.血漿交換TPE での血漿処理量の考え方
 5.血漿交換TPE の適応
 6.血漿交換TPE の実際の施行法
 7.血漿交換TPE で用いる置換液の種類と特徴
 8.血漿交換TPE の副作用・合併症
 9.二重濾過血漿交換double filtration plasmapheresis(DFPP)
 10.血漿濾過透析plasma diafiltration(PDF),
  持続的緩徐血漿交換continuous slow plasma exchange(CSPE)

第14章 特殊なモード(3):敗血症とCRRT(血液透析,血液濾過,血液吸着,血漿交換)
 1.重症敗血症・敗血症性ショックと急性腎傷害AKI の病態生理
 2.炎症性サイトカイン,炎症性メディエータにはなにがあるか
 3.敗血症における“peak―concentration hypothesis”
 4.敗血症とCRRT 総論
 5.敗血症とCRRT 各論(1):血液透析HD―high―flux 膜によるCHD
 6.敗血症とCRRT 各論(2):血液濾過HF―高用量CVVH,吸着型CVVH
 7.敗血症とCRRT 各論(3):血液吸着HA―CPFA(coupled plasma
             filtration adsorption),エンドトキシン吸着
 8.敗血症とCRRT 各論(4):血漿交換plasma exchange,血漿分離smapheresis
 9.CRRT のnon―renal indication が目指すところ―MOST(multiple organ support therapy)

第15章 特殊なモード(4):そのほかの血液浄化療法(薬物中毒,MARS)
 1.急性薬物中毒の治療
 2.急性薬物中毒での急性血液浄化療法: 血液透析,血液濾過,血液吸着
 3.急性薬物中毒の急性血液浄化療法を行う上での薬物動態学・薬力学からみた注意点
 4.急性薬物中毒への血液浄化療法(1)―血液透析 hemodi al ysi s(HD)
 5.急性薬物中毒への血液浄化療法(2)―血液吸着 hemoperfusion(HP)
 6.急性薬物中毒への血液浄化療法(3)―持続的血液濾過 continuous veno―venous hemofiltration(CVVH)
 7.アルブミンを用いた血液浄化療法―分子吸着剤再循環システム
                  molecular adsorbent ecirculating system(MARS)

第16 章CRRTまとめと実際の処方
 1.急性血液浄化療法・腎代替療法処方にあたっての基本事項の確認
 2.急性血液浄化療法・腎代替療法処方のアプローチ
 3.CRRT 処方のロジックがわかると日常臨床でなにが変わるか

付録 CRRT中の薬物投与の考え方

1.CRRT 中の薬剤投与に影響を与える因子(1)―患者特性
2.CRRT 中の薬剤投与に影響を与える因子(2)―血液浄化法の種類
3.CRRT 中の薬剤投与に影響を与える因子(3)―薬剤特性
4.CRRT 中の薬剤の投与法の実践的な考え方
5.緩徐低効率透析SLEDでの薬剤の投与法
6.腎機能低下時の抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬の投与量・投与間隔

あとがき

コラム(1) この10 年を支えたことば.
コラム(2) Never, never, never, never give up
コラム(3) 家族の絆

索 引

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執筆者一覧

大野博司 洛和会音羽病院ICU/CCU 著

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   2014年04月発行
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