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書籍詳細

パーキンソン病とともに楽しく生きる

パーキンソン病とともに楽しく生きる

水野美邦 著

A5判 216頁

定価3,300円(本体3,000円 + 税)

ISBN978-4-498-22810-8

2013年12月発行

在庫あり

「パーキンソン病は決して深刻な病気ではありません.これまで通りの生活を続ければよいのです.」 約50年にわたって診療に打ちこんできたパーキンソン病学の泰斗が,患者さんに向けてこの病気との付き合い方をわかりやすく説く.なぜこんな病気にかかるんですか? 旅行は出来ますか? 薬は数年で効かなくなるのでは? この本で,そんな数々の疑問も氷解.「まずは病気をよく知ることです.あとは,明るく楽しく過ごしましょう!」

 誰でも人生を楽しく生きたいという気持ちはもっていると思います.60歳前後のご夫婦,結婚以来30年時に喧嘩をすることがあっても,お互いにいたわりあいながら楽しく60年を過ごしてきました.ところが数年前から奥様は右手のふるえに気づき,ここしばらくは歩行障害もでてきて大学病院で調べてもらったらパーキンソン病とのこと.それ以来落ち込んで,毎日病気のことが気にかかり,体重も落ちてきました.それまでは年に1度はどこかへ旅行にも行っていたのに,ご主人が誘っても行く気になれないからとふさぎ込んでいます.病院の主治医はまだ軽いからそんなに心配しなくてもよいというのですが,どうしても将来寝たきりになることが頭を離れません.ご主人は定年を迎え,これからあと奥様と旅行に行ったり,これまでしたいと考えてできなかったことをやりながら楽しく老後を過ごそうと考えていた矢先,奥様の病気ですっかり予定が狂ってしまいました.

 本当にパーキンソン病とはそんなに深刻な病気なのでしょうか? この本では,パーキンソン病とはどのような病気なのかをわかりやすく説明し,最後にそんなに心配しなくても,従来通りの生活を続けるよう努力することがこれからの人生を楽しく生きる秘訣であることを理解していただければ大変ありがたく思います.一病息災,今の日本では3人に1人の方が癌で亡くなられるといわれます.その他に脳卒中や心臓発作に見舞われる方も少なくありません.認知症になられる方も沢山おられます.パーキンソン病になったということで,これらの他の病気がなくなるわけではありませんが,2つの病気を合併することは1つ病気があればずっと少なくなります.

 最初に大事なことはパーキンソン病とはどのような病気であるか正確な知識を得ることです.次に進行はきわめてゆっくりであること,この進行という言葉にひっかかる方が多くいらっしゃいます.体の機能というのは加齢とともに徐々に衰えてゆきます.パーキンソン病に伴う日常生活の不自由の一部は加齢によります.症状の全てが病気によるとは考えないようにしましょう.パーキンソン病の進行はきわめてゆっくりです.日常生活の中で進行を自覚することはあまりありません.

 パーキンソン病には個人差もあります,長年ほとんど症状の進行のない方もあります.またパーキンソン病で死ぬことはありません.パーキンソン病に関連して重篤な状態になる可能性としては,誤嚥による肺炎,湯船の中で滑って水の下にもぐってしまい立ち上がれない場合,家の中で転んで骨折をして寝込む場合などがあります.ですからこれらのことを起こさないように気をつけましょう.薬は始めたら続けるのが原則です.体に害を残すような副作用は存在しません.多少の副作用は色々対策があります.また日常生活でやってはいけないことはありません.国内旅行や海外旅行にも積極的に行きましょう.旅行にでると家の中よりもよく歩けます.食べていけないものはありません.何でも好きなものを沢山食べましょう.お酒を飲んでもかまいません.ただし酔っている間に転ばないように注意しましょう.このようにパーキンソン病ではしてはいけないことはありません.これまで通りの生活スタイルでよいのです.これからも十分人生を楽しむように心がけましょう.

 この本では最初にパーキンソン病の説明をして,後半ではパーキンソン病と鑑別しなければならない疾患について解説しました.なおこの本の前半は,平成20年横須賀でパーキンソン病の方々にお話しした内容が基本になっています.そのとき三浦半島のパーキンソン病の方々が私の講演をテープから起こしてくださいました.この方々に深甚の謝意を示します.このご苦労は大変であったと思います.ここに厚く御礼を申し上げます.

2013年10月
水野美邦

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目 次


第1章 パーキンソン病とは
 1.水野美邦先生の診察室
 2.講演会でよく受ける質問
 3.パーキンソン病の症状
 4.パーキンソン病の重症度,予後

第2章 パーキンソン病の原因
 1.パーキンソン病ではどこが悪くてこうなるのでしょうか?
 2.黒質が障害されるとどうなるのでしょうか?

第3章 パーキンソン病の治療に使用される薬物とその副作用
 1.L―ドーパ製剤
 2.ドパミンアゴニスト
 3.モノアミン酸化酵素B(MAOB)阻害薬
 4.カテコール―O―メチル転移酵素(COMT)阻害薬
 5.ゾニサミド
 6.アデノシンA2A受容体遮断薬
 7.アマンタジン
 8.抗コリン薬
 9.ドロキシドパ(ドプスR)

第4章 将来の治療
 1.細胞治療
 2.遺伝子治療
 3.神経細胞保護療法
 4.免疫療法
 5.RNA干渉
 
第5章 治療の実際
 1.初期の患者さんの治療の進め方
 2.初期に使われる薬物
 3.ドパミンアゴニストの使用
 4.L―ドーパの使用
 5.初期の処方の実例
 6.初期の治療でよくなったら
 7.初期の処方で十分にはよくならない場合
 8.最初の治療でよくならない場合―他の薬物の追加―
 9.L―ドーパに対する患者さんの反応の変化
 10.ウェアリングオフの臨床症状
 11.ウェアリングオフの対処法
 12.ノーオン・ディレイドオン
 13.オフ時のジストニア
 14.オフ時の非運動症状
 15.オン時のジスキネジア
 16.ダイフェイジックジスキネジア
 17.オン時のジストニア

第6章 治療の経過中起きるかもしれない諸問題
 1.L―ドーパ製剤の効果が減弱
 2.すくみ足,小走り歩行
 3.ふらつき
 4.転倒
 5.姿勢異常,腰折れ,ピサ症候群,首下がり
 6.骨折
 7.肺炎
 8.イレウス
 9.悪性症候群

第7章 パーキンソン病の非運動症状
 1.食欲低下,吐き気,嘔吐
 2.便秘
 3.頻尿
 4.性機能障害
 5.動悸,胸苦しさ
 6.むくみ
 7.低血圧
 8.起立性低血圧
 9.食餌性低血圧
 10.発汗異常
 11.流涎
 12.アレルギー症状
 13.痛み,しびれ
 14.嗅覚低下
 15.不眠
 16.ムズムズ脚症候群
 17.レム睡眠行動異常
 18.日中過度の眠気・突然の眠り込み
 19.不安状態
 20.うつ状態
 21.アパシー
 22.アネドニア
 23.疲労
 24.幻覚
 25.妄想
 26.興奮・乱暴行為
 27.衝動調節障害とドパミン調節障害
 28.性衝動の亢進
 29.賭博癖の亢進
 30.病的な買い物
 31.大食い
 32.薬の濫用
 33.プンディング(Punding)
 34.認知症
 35.レビー小体型認知症

第8章 検査所見
 1.脳MRI
 2. 心筋シンチグラフィー
 3. 脳の超音波検査
 4. 脳血流検査

第9章 日常生活はどのように送ったらよいでしょうか?
 1.運動は必要でしょうか?
 2.睡眠は?
 3.食事は? 体重は?
 4.家事は? 仕事は? 労働は?
 5.サークル活動などは?
 6.ダンス
 7.旅行は? 海外旅行は?
 8.生活の質の改善
 9.パーキンソン病の方が受けられる保険
 10.配偶者の心得,家族の心得

第10章 パーキンソン病についてもっと知りたい方へ
 1.パーキンソン病の歴史
 2.パーキンソン病の患者さんは
   どのくらいおられるのでしょうか?
 3.パーキンソン病の発症機序

第11章 家族性パーキンソン病(遺伝性パーキンソン病)
 1.PARK1
 2.PARK2
 3.PARK3
 4.PARK4
 5.PARK5
 6.PARK6
 7.PARK7
 8.PARK8
 9.PARK9
 10.PARK10
 11.PARK11
 12.PARK12
 13.PARK13
 14.PARK14
 15.PARK15
 16.PARK16
 17.PARK17
 18.PARK18
 19.ペリー症候群
 20.ゴーシェ病

第12章 二次性パーキンソニズム
 1.多系統萎縮症
 2.進行性核上性麻痺
 3.大脳皮質基底核変性症

第13章 症候性パーキンソニズム
 1.血管障害性パーキンソニズム
 2.正常圧水頭症
 3.薬物性パーキンソニズム
 4.中毒性パーキンソニズム
 5.感染性パーキンソニズム
 6.脳腫瘍
 7.頭部外傷

おわりに

付図1 黒質はどこにあるのでしょう?
付図2 パーキンソン病の黒質,右上と右下は正常対照
付図3 黒質と線条体の関係
付図4 抗パーキンソン病薬写真

索引

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水野美邦 順天堂大学名誉教授 著

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   2014年10月発行
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