序
この数年の神経内科領域の進歩はめまぐるしく,疾患概念が変わってしまう領域があったり,新たな疾患が提唱されたり等,日々進歩しています.このような状況下において,出来るだけ最新の事項を取り入れた「神経内科症例集」のようなものがないかと以前から考えておりました.
そこで,筆者が病棟を受け持っていた時期や病棟医長として勤務していた時に経験した貴重な症例を,このたび「神経内科診療Case Book」として一冊にまとめて刊行する運びとなりました.東京慈恵会医科大学 神経内科初代教授である井上聖啓先生,前教授である持尾聰一郎先生の教えのもとに作製しております.経験した症例一つ一つが私たちの財産です.
本書の特徴として,症例を読み進めながら共に考えていく構成になっております.疾患について概説はしておりますが,不足分は掲載した文献をご参照していただければと思います.
本書では,できるだけ最新の知見を取り入れるよう努力しましたが,至らない点もあるかと思います.その際にはご容赦ください.
本書が実臨床で働いていらっしゃる先生方に少しでもお役に立つことができれば,という思いで作製いたしました.また,現病歴も少し難渋した内容を赤裸々に載せております.「そうだよね」と共感していただければ幸いです.
とにかく,本書が神経内科医の先生方にとって,実際の臨床の場で役に立てることができれば筆者にとってこの上ない喜びです.
最後に,東京慈恵会医科大学 神経内科の先生方に感謝の意を表するとともに,中外医学社の久保田恭史,鈴木真美子両氏の多大なるご尽力に対して心から感謝の意を表したいと思います.
2013年11月
仙石錬平