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書籍詳細

抗悪性腫瘍薬ハンドブック

抗悪性腫瘍薬ハンドブック

西條長宏 編著

B6判 580頁

定価7,920円(本体7,200円 + 税)

ISBN978-4-498-01750-4

2000年11月発行

在庫なし

前半で各臓器別腫瘍に対する標準的化学療法の実際を各々の第一人者がその基準となるEvidence Based Medicineに基づき,また最新のガイドラインに準拠して解説.後半で現在本邦で使用される各種抗悪性腫瘍薬の特徴,薬理作用,適用,投与法,副作用,併用療法を簡潔に記載した.抗悪性腫瘍薬の分類・効果判定・副作用対策・適正使用についても解説しており,本療法の今日のスタンダードを実践的に示した治療ハンドブックである.


 がんの治療法には局所療法としての手術療法,放射線療法と,全身療法としての薬物療法(化学療法,ホルモン療法など)がある.抗悪性腫瘍薬を用いた化学療法は,進行がんに対する根治・延命・症状の緩和を目指した治療として用いられている.また局所にとどまるがんに対しても術前のinduction therapy,術後のadjuvant therapy,放射線療法と併用して用いる集学的治療の目的で試みられている.また特殊な薬物療法としては動注療法や最近行われている局注療法(遺伝子治療など)もある.抗悪性腫瘍薬は抗腫瘍効果を示す薬剤の量と毒性(副作用)を示す薬剤の量が通常の薬と異なり近接していることが多く,場合によっては逆転している.したがって様々な副作用が経験されるとともに薬物による毒性死も念頭に置く必要がある.抗悪性腫瘍薬の効果や毒性の発現は遅く,有効無効の判断を正確に行い毒性に対する対応をきめ細かく準備する必要がある.
 また抗悪性腫瘍薬の場合,効果はあったとしても目覚ましいものでないことが多く,根治に至る例は稀である.このような観点から大半の固形がんに対し確実に抗腫瘍効果を示しうるregimenは多くない.1999〜2000年の新しいstate of the artとして大腸がんに対するCPT-11+5FU+LV,乳がんに対するTXT+ADM,卵巣がんに対するTXL+CPAなどをあげることができるが,臨床腫瘍学を学んだことのない医師がこれらの抗悪性腫瘍薬を処方し与薬することは良い結果をもたらさないと思える.一方,わが国では臨床腫瘍学の講座はきわめて少なく,抗悪性腫瘍薬を使いこなせる医師の数はきわめて少ない.今回の本の特徴が抗悪性腫瘍薬に関する総論,各臓器別腫瘍に対するstate of the artとそのもとになるエビデンスおよびエビデンスレベルを専門医に示していただいている.また抗悪性腫瘍薬の実際の使い方については各製薬メーカーの代表に執筆をお願いした.医師が書いた場合どうしても恣意的になることを避けるためである.厚生省の承認基準が明確に示され理解しやすいと信じるが,一方そこから踏み出せないジレンマも感じとることができる.この小冊子を一読され抗悪性腫瘍薬について専門的知識を得たいと思う若い医師が増加することを願っている.

2000年 秋
国立がんセンター
西條長宏

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目 次

$1.抗悪性腫瘍薬とは
  1.定 義〈勝俣範之,渡辺 亨〉
    a.化学療法の歴史
    b.cellular kinetics
    c.tumor kinetics
    d.Goldie-Coldmanの仮説とNorton-Simon理論
    e.dose intensive therapyからdose dense therapyへ
  2.分類(作用機序別)〈有吉 寛〉
    a.抗悪性腫瘍薬分類
    b.殺細胞効果を示す薬剤の作用機序
    c.新しい分子標的阻害剤の分類
    d.作用時期による抗がん剤の分類
  3.効果判定〈渋谷昌彦〉
    ■Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST criteria)
  4.副作用対策〈山本 昇〉
    a.副作用と有害事象
    b.副作用の概要
    c.副作用とインフォームド・コンセント
    d.副作用の評価方法
    e.血液毒性
    f.消化器毒性
  5.適正使用〈三宅 智〉
    a.適正使用とは何か
    b.適応外使用のどこが問題なのか
    c.なぜそのような状況が生まれてしまうのか
    d.この適応外処方について,どのような取り組みがなされているのか

$2.各臓器別腫瘍に対する標準的化学療法
   --方法の実際とその基礎となるデータのエビデンス--
  1.脳腫瘍〈杉山一彦,くりす 薫,有田和徳〉
    a.頭蓋内胚細胞性腫瘍
    b.中枢神経系悪性リンパ腫
    c.悪性神経膠腫
     1.悪性星細胞腫,膠芽腫
     2.乏突起膠細胞腫に対するPCV療法
  2.頭頚部がん〈犬山征夫〉
    a.neo-adjuvant chemotherapy(NAC)
    b.化学療法と放射線治療の同時併用
    c.adjuvant chemotherapyの有用性について
    d.姑息的治療としての化学療法
  3.肺がん
   A.非小細胞肺がん〈山本信之〉
    a.治療戦略
    b.標準的化学療法とその基礎となるデータのエビデンス
    c.治療効果判定とフォローアップ
   B.小細胞肺がん〈関根郁夫〉
    a.SCLC-ED
    b.SCLC-LD
  4.食道がん〈吉田元樹,大津 敦〉
    a.治療戦略
    b.標準的化学療法
    c.放射線化学療法
    d.治療成績と基礎となるデータのエビデンス
    e.放射線化学療法施行時の注意点
    f.治療効果判定とフォローアップ
  5.胃がん〈佐々木常雄,前田義治,小林健彦,岡元るみ子〉
    a.化学療法による延命効果
    b.標準化学療法の選択(第III相試験)
    c.日本における胃がん化学療法の現状とFP療法
    d.low dose FP療法の評価
    e.治療効果判定における問題点
  6.大腸がん〈関本貢嗣,大植雅之,山本浩文,門田守人〉
    a.全身化学療法
    b.局所化学療法
    c.経口抗がん剤
  7.肝・胆・膵がん〈荒井保明〉
    a.治療戦略
    b.標準的化学療法
    c.併用療法
    d.治療成績とそのエビデンス
    e.治療効果判定
  8.乳がん〈佐伯俊昭,高嶋成光〉
    a.予防治療
    b.補助療法
    c.転移性乳がんの治療法
    d.術前補助療法
    e.強化化学療法
    f.ハーセプチンを用いた薬物療法
  9.婦人科がん〈落合和徳〉
    a.卵巣がん
    b.子宮体がん
    c.子宮頚がん
    d.外陰がん
  10.泌尿器がん〈宮永直人,河合弘二,赤座英之〉
    a.精巣腫瘍
    b.膀胱がん(尿路上皮がん)
     1.表在がん
     2.浸潤がん
    c.前立腺がん
    d.腎がん
  11.骨肉腫〈中馬広一〉
    a.治療戦略
    b.術前化学療法と術後補助化学療法との関係
    c.導入化学療法の強化について
    d.各薬剤の使用方法
    e.経過観察と再発時の治療
    f.長期成績の結果と晩期副作用
  12.白血病,リンパ腫〈竹内隆浩,小椋美知則,上田龍三〉
    a.白血病
    b.悪性リンパ腫
    c.多発性骨髄腫
  13.皮膚メラノーマ,有棘細胞がん,基底細胞がん〈倉持 朗,池田重雄〉
    a.メラノーマ(悪性黒色腫)
    b.有棘細胞がん
    c.基底細胞がん
  14.小児がん〈廣田貴久,藤本孟男〉
    a.急性リンパ性白血病
    b.急性骨髄性白血病
    c.非Hodgkinリンパ腫
    d.神経芽腫
    e.Wilms腫瘍
    f.晩期障害,二次がん

$3.抗悪性腫瘍薬の使い方
   --種類,適応,投与法,投与量,併用方法,副作用--
  1.メルファラン(L-PAM)
  2.シクロホスファミド(CP,CPA,CPM)
  3.イホスファミド(IFM,IFX,IFO)
  4.ブスルファン(BUS)
  5.カルボコン(CQ)
  6.チオテパ(TESPA)
  7.塩酸ニムスチン(ACNU)
  8.ラニムスチン(MCNU)
  9.メトトレキサート(MTX)
  10.フルオロウラシル(5-FU)
  11.カルモフール(HCFU)
  12.テガフール(FT207)
  13.テガフール・ウラシル(UFT)
  14.ドキシフルリジン(5′-DFUR)
  15.テガフール・ギメスタット・オタスタットカリウム
  16.シタラビン(Ara-C)
  17.エノシタビン(BH-AC)
  18.メルカプトプリン(6-MP)
  19.塩酸ドキソルビシン(DXR,ADM,ADR)
  20.塩酸ダウノルビシン(DNR)
  21.塩酸アクラルビシン(ACR)
  22.塩酸エピルビシン(EPI)
  23.ピラルビシン(THP-ADM)
  24.ブレオマイシン(BLM)
  25.ペプロマイシン(PLM)
  26.マイトマイシンC(MMC)
  27.アクチノマイシンD(Act-D)
  28.ネオカルチノスタチン(NCS)
  29.硫酸ビンブラスチン(VLB)
  30.硫酸ビンクリスチン(VCR)
  31.硫酸ビンデシン(VDS)
  32.酒石酸ビノレルビン(VNR,NVB)
  33.エトポシド(VP-16)
  34.L-アスパラギナーゼ(L-Asp)
  35.ダカルバジン(DTIC,DIC)
  36.塩酸ミトキサントロン(MIT)
  37.シスプラチン(CDDP)
  38.カルボプラチン(CBDCA,JM-8)
  39.ネダプラチン(254-S)
  40.塩酸イリノテカン(CPT-11)
  41.パクリタキセル(PTL)
  42.ドセタキセル
  43.塩酸ゲムシタビン(GEM)

  事項索引
  薬物索引

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