序
『消化管内視鏡エキスパートシリーズ』の第2巻(胃癌)の編集を担当させていただいた.私の力不足で第3巻の発刊から遅れること1年8カ月となり,早くに脱稿していただいた先生方,また中外医学社の方々にこの場をお借りしお詫びを述べたい.
また,編集中に日本消化器内視鏡学会の抗血栓薬のガイドラインの改訂に伴い,内容を変更していただいたような経緯もあり,大変申し訳なく思っている.
早期胃癌の内視鏡治療は近年ESDが主流となり,さまざまな研究会や学会でその技術を学ぶ機会も多くあり,日本全国に普及している.しかし,全国普及の影にはいろいろな偶発症があるが,報告されずに終わっているものもあり,セカンドオピニオンなどの形で明らかになることもあり,high volume centerでの治療が広く浸透しているとは言い難い.
本書はそのような現状を踏まえ,読者の先生方のかゆいところに手が届くQ and Aシリーズとなっており,日ごろの早期胃癌の診断から治療,困ったときの対応について,エキスパートの先生方の適切な意見が反映されている.質問事項は消化器内視鏡医としての初心者,中堅,ベテランから集積し,毎日の診療でよく遭遇する疑問点から,まれだが重要なポイントなどよく網羅されており,日常役立つ本であると自負している.
最後にお忙しいなかすばらしい内容の原稿をご執筆いただいた諸先生方に厚く御礼申し上げます.またこのような企画の機会を与えてくださった中外医学社の担当諸氏に感謝いたします.
2013年5月
がん研有明病院消化器センター 藤崎順子