ここが知りたい
インクレチン関連薬
寺内康夫 編著
A5判 196頁
定価3,740円(本体3,400円 + 税)
ISBN978-4-498-01792-4
2013年06月発行
在庫なし
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ここが知りたい
インクレチン関連薬
寺内康夫 編著
A5判 196頁
定価3,740円(本体3,400円 + 税)
ISBN978-4-498-01792-4
2013年06月発行
在庫なし
インクレチン関連薬の特徴、適応、副作用や注意点、処方の実際と使いこなすためのコツなど「これだけは知っておきたい」ポイントについて必要知識をコンパクトにまとめた。
序
糖尿病の患者数は増加の一途を辿っており,糖尿病専門医だけですべての患者を診療することは到底できず,一般内科医による糖尿病診療が重要な課題となっている.最近,一般内科医から,糖尿病の診療が大きく変わってきた,との声をよく聞くようになった.
日本人糖尿病の90%以上を占める2型糖尿病治療の基本は,食事療法,運動療法,薬物療法の3本柱であるが,一般内科医がこれらすべてをマスターすることは難しく,現実的には薬物療法を適切に行えることが,糖尿病の良好なコントロールに重要である.その点で,DPP-4阻害薬という新しい作用機序の糖尿病治療薬が日常臨床にもたらした効果は絶大であった.新しい範疇の経口血糖降下薬は10年振りであったが,当初の予想をはるかに上回る勢いで,日常臨床で用いられるようになった.実際,日本人の糖尿病患者ではよく効き,認容性も高く評価されている.しかも,血糖を改善するだけではなく,糖尿病合併症や健康寿命に対しても好影響があるのではと期待されている.
糖尿病治療薬は,これまでは経口血糖降下薬とインスリン製剤だけであったが,これら薬剤と作用機序が異なる注射製材,GLP-1受容体作動薬が近年登場し,薬剤選択の幅がさらに広がった.DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬は,インクレチン関連薬と総称されるが,これら薬剤の登場で,一般内科医にも新たな知識と実践が要求されることとなった.
そこで,必ずしも専門的知識をもっていない医師全般を対象に,インクレチン関連薬の特徴,適応,副作用や注意点,処方の実際と使いこなすためのコツ,トラブルシューティングなど,「これだけは知っておきたい」というポイントについて必要知識をコンパクトにまとめ,Q&A形式で解説する書を企画することにした.そして完成したのが「ここが知りたい インクレチン関連薬」である.企画どおり,コンパクトで読みやすい書にまとまった.多忙な時間を割いて,執筆していただいた先生方に感謝したい.
本企画が,日常臨床でインクレチン関連薬を使われている先生方のお役に立ち,糖尿病患者の合併症や健康寿命に対して好影響をもたらすことを衷心から願い,序とする.
2013年4月
寺内康夫
目 次
§1 インクレチン,DPP-4,グルカゴン
1 インクレチンとは?〈原田範雄 稲垣暢也〉
インクレチン
インクレチンのインスリン分泌促進作用(インクレチン効果)
2型糖尿病におけるインクレチン効果
2 GIPとは?〈清水辰徳 山田祐一郎〉
GIPとは
GIPの分泌と代謝
GIPのインスリン分泌促進作用
GIPの膵外作用
3 GLP-1,GLP-2とは?〈清水辰徳 山田祐一郎〉
GLP-1,GLP-2とは
GLP-1,GLP-2の分泌と代謝
GLP-1のインスリン分泌促進作用
GLP-1の膵外作用
GLP-2の作用
4 DPP-4とその基質について教えてください〈古川麻美 石原寿光〉
DPP-4とは
DPP-4の基質
DPP-4とインクレチン
DPP-4と脂肪細胞
DPP-4と炎症,免疫
5 グルカゴンの生理作用について教えてください〈河盛 段〉
グルカゴンの働きとは
グルカゴンの肝臓への作用
グルカゴンの全身への作用
グルカゴン作用と糖尿病
6 グルカゴンの分泌制御について教えてください〈河盛 段〉
グルカゴンの分泌制御の生理的意義
栄養素によるグルカゴン分泌制御
神経系を介したグルカゴン分泌制御
膵島内作用を介したグルカゴン分泌制御
インクレチンによるグルカゴン分泌制御
7 インスリンとグルカゴンの相互作用について教えてください〈古川麻美 石原寿光〉
インスリン・グルカゴンの膵島内パラクリン作用
肝糖代謝におけるグルカゴン・インスリン
§2 糖尿病患者におけるインクレチン,DPP-4,グルカゴン
1 2型糖尿病患者における血中インクレチン濃度について知りたい〈卯木 智 前川 聡〉
2型糖尿病患者にみられるインクレチン作用不全
日本人2型糖尿病患者におけるインクレチン分泌
活性型濃度と総濃度
インクレチン関連薬投与による活性型GLP-1濃度
インクレチン測定に関する注意事項
2 2型糖尿病患者におけるインクレチンの障害について知りたい〈藤本 啓 宇都宮一典〉
3 2型糖尿病患者における血中DPP-4濃度について知りたい〈卯木 智 前川 聡〉
DPP-4の分布
血中濃度と活性
DPP-4は新たなアディポカインか?
4 2型糖尿病患者における血中グルカゴン濃度について知りたい〈藤本 啓 宇都宮一典〉
§3 インクレチン関連薬に関する基礎知識
1 DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の使い分けについて教えてください〈濱崎暁洋 稲垣暢也〉
DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬
臨床効果の違いと特徴
2型糖尿病患者における使い分け
2 DPP-4阻害薬にはどのようなものがありますか?〈青木一孝 寺内康夫〉
シタグリプチン
ビルダグリプチン
アログリプチン
リナグリプチン
テネリグリプチン
アナグリプチン
サクサグリプチン
SYR-472(トレラグリプチン)
MK-310252
3 DPP-4阻害薬間の使い分けについて知りたい〈青木一孝 寺内康夫〉
腎機能に関して
肝機能障害に関して
内服回数に関して
併用薬に関して
合剤に関して
4 GLP-1受容体作動薬にはどのようなものがありますか〈五十川陽洋〉
構造上の分類
作用時間からの分類
作用時間と薬剤特性について
5 GLP-1受容体作動薬間の使い分けの工夫は?〈五十川陽洋〉
作用時間によるGLP-1受容体作動薬の薬剤特性の違い
GLP-1受容体作動薬間の使い分けの工夫
6 GLP-1受容体作動薬の食欲抑制と体重減量効果について教えてください〈松久宗英〉
GLP-1の食欲抑制作用
GLP-1受容体作動薬の体重抑制効果
7 GLP-1タキフィラキシーとは?〈松久宗英〉
膵β細胞作用へのGLP-1タキフィラキシー
胃排泄能抑制作用に対するGLP-1タキフィラキシー
8 GLP-1受容体作動薬の安全性について教えてください〈田蒔基行 綿田裕孝〉
低血糖
急性膵炎
腸閉塞
腎不全
9 GLP-1受容体作動薬で懸念されている問題とは?〈田蒔基行 綿田裕孝〉
§4 インクレチン関連薬を使いこなす
1 第一選択薬としてDPP-4阻害薬を使いこなすポイントとは?〈久保田章〉
できるだけ早期からの介入
ファーストラインの経口治療薬の選択
ファーストラインの薬に求められるもの
病態に応じた選択
実臨床でシタグリプチンをファーストラインとして?
治療した症例データ(ASSET-K調査研究)
長期でのDPP-4阻害薬の安全性の確立
2 SU薬にDPP-4阻害薬を併用するメリットと留意点は?〈久保田章〉
併用療法のメリット
併用療法の留意点
併用療法の実臨床データ
3 ビグアナイド薬にDPP-4阻害薬を併用するメリットと留意点は?〈新井桂子 平尾紘一〉
4 チアゾリジン薬にDPP-4阻害薬を併用するメリットと留意点は?〈新井桂子 平尾紘一〉
5 αグルコシダーゼ阻害薬にDPP-4阻害薬を併用するメリットと留意点は?〈保泉 学 成田琢磨〉
αGI=インクレチン関連薬
αGIとDPP-4阻害薬の併用のメリット
αGIとDPP-4阻害薬の併用の留意点
6 インスリン注射にDPP-4阻害薬を併用するメリットと留意点は?〈保泉 学 成田琢磨〉
インスリン注射にDPP-4阻害薬を併用するメリット
インスリン注射にDPP-4阻害薬を併用する時の留意点
7 SU薬にGLP-1受容体作動薬を併用するメリットと留意点は?〈中神朋子 長谷川有希子〉
8 インスリン注射にGLP-1受容体作動薬を併用したらどうなりますか?〈中神朋子 長谷川有希子〉
§5 インクレチン関連薬の血糖降下作用
1 DPP-4薬はどのような患者に有効ですか?〈前田 一〉
2 DPP-4薬が短期的に効いても長期的に効かなくなる症例は?〈前田 一〉
3 GLP-1受容体作動薬はどのような患者に有効ですか?〈渡部ちづる 森 保道〉
どういうタイミングで,どういう症例に選択すべきか
肥満症例には第一選択としてliraglutideとexenatideの?
どちらがより効果があるか
どんな背景の症例に使用されているか
期待した結果が得られない症例の特徴
4 GLP-1受容体作動薬が短期的には効いても長期的には効かなくなる症例は?〈渡部ちづる 森 保道〉
短期的に効果のある症例の特徴
短期的に効果を示していたにもかかわらず,長期的には?
再度悪化を示す症例の特徴
GLP-1受容体作動薬の種類による長期効果の違いについて
短期間で効果が減弱した場合の製剤変更
§6 インクレチン関連薬の血糖降下以外の作用
1 DPP-4阻害薬の血圧,脂質に対する効果は?〈窪田直人 門脇 孝〉
2 DPP-4阻害薬の肝臓に対する効果は?〈白川 純 寺内康夫〉
ヒトにおけるDPP-4阻害薬の肝臓への作用
基礎研究におけるDPP-4阻害薬の肝臓への作用
GIPと肝疾患
DPP-4と肝疾患
3 DPP-4阻害薬の大血管障害に対する効果は?〈窪田直人 門脇 孝〉
4 GLP-1受容体作動薬の血圧,脂質に対する効果は?〈羽田裕亮 山内敏正〉
血圧
脂質
5 GLP-1受容体作動薬の肝臓に対する効果は?〈白川 純 寺内康夫〉
ヒトにおけるGLP-1受容体作動薬の肝臓への作用
基礎研究におけるGLP-1受容体作動薬の肝臓への作用
肝臓におけるGLP-1受容体の発現の有無
GLP-1受容体作動薬の肝臓における作用機序
6 GLP-1受容体作動薬の大血管障害に対する効果は?〈羽田裕亮 山内敏正〉
§7 こんな症例・事態に遭遇したら
1 2型糖尿病患者で経口血糖降下薬を3剤使っていてもコントロール不良で,インスリン療法を拒絶している症例〈伊藤博史〉
DPP-4阻害薬を未使用の場合
DPP-4阻害薬を含む場合
2 2型糖尿病患者で経口血糖降下薬を使ってコントロール不良で,しかも腎機能も低下しているが,インスリン療法を拒絶している症例〈伊藤博史〉
3 インクレチン関連薬の治療中に高血糖ケトーシスを呈した症例〈西村理明〉
DPP-4阻害薬内服時
GLP-1受容体作動薬使用時
4 DPP-4阻害薬を内服中で低血糖を呈した症例〈税所芳史 島田 朗〉
症例
DPP-4阻害薬と低血糖
DPP-4阻害薬を内服中に低血糖を呈した場合
SU薬,インスリンの併用がある場合
グリニド薬の併用がある場合
それ以外の経口血糖降下薬の併用がある場合
DPP-4阻害薬単剤,または,インスリン分泌促進系薬剤?およびインスリンの非存在下で低血糖を呈する場合
5 GLP-1受容体作動薬治療中で低血糖を呈した症例〈税所芳史 島田 朗〉
症例
GLP-1受容体作動薬と低血糖
GLP-1受容体作動薬治療中に低血糖を呈した場合
GLP-1受容体作動薬開始時の注意
SU薬の併用がある場合
ビグアナイド薬,チアゾリジン薬の併用がある場合
GLP-1受容体作動薬単剤またはSU薬の非存在下で?低血糖を呈する場合
6 DPP-4阻害薬を大量に内服した症例〈小林結香 弘世貴久〉
7 GLP-1受容体作動薬を大量に注射した症例〈小林結香 弘世貴久〉
8 体調不良時のDPP-4阻害薬の使い方〈柳澤克之〉
シックデイとは?
シックデイの病態
シックデイ対応の原則
DPP-4阻害薬を使用中の患者への対処
9 体調不良時のGLP-1受容体作動薬の使い方〈柳澤克之〉
体調不良時の対応の原則
GLP-1受容体作動薬を使用中の患者への対処
医療機関の受診と入院を考慮する場合
シックデイ対応についての教育の重要性
10 造影剤使用時のDPP-4阻害薬の使い方〈仲村英昭 中山良朗 益崎裕章〉
腎障害の面で服用を中止すべきか
欠食の際服用を中止すべきか
11 造影剤使用時のGLP-1受容体作動薬の使い方〈仲村英昭 中山良朗 益崎裕章〉
12 緊急手術が必要になった時のDPP-4阻害薬の使い方〈上野宏樹 細井雅之〉
DPP-4阻害薬の特徴
緊急手術が必要になった時の対応
DPP-4阻害薬が手術前後で活躍する可能性
手術前後のDPP-4阻害薬使用の現状
13 緊急手術が必要になった時のGLP-1作動薬の使い方〈上野宏樹 細井雅之〉
GLP-1作動薬の特徴
緊急手術が必要になった時の対応
GLP-1作動薬が手術前後で活躍する可能性
手術前後のGLP-1作動薬使用の現状
索 引
執筆者一覧
寺内康夫 横浜市立大学院医学研究科分泌内分泌・糖尿病内科学教授 編著
原田範雄 京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学
稲垣暢也 京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学教授
清水辰徳 秋田大学大学院医学系研究科内分泌・代謝・老年内科学
山田祐一郎 秋田大学大学院医学系研究科内分泌・代謝・老年内科学教授
古川麻美 日本大学医学部糖尿病・代謝内科
石原寿光 日本大学医学部糖尿病・代謝内科教授
河盛 段 大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
卯木 智 滋賀医科大学糖尿病腎臓神経内科
前川 聡 滋賀医科大学糖尿病腎臓神経内科教授
藤本 啓 東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科講師
宇都宮一典 東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授
濱崎暁洋 京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学
青木一孝 横浜市立大学附属病院臨床統計学講師
寺内康夫 横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学教授
五十川陽洋 三井記念病院糖尿病代謝内科部長
松久宗英 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター特任教授
田蒔基行 順天堂大学大学院代謝内分泌内科
綿田裕孝 順天堂大学大学院代謝内分泌内科
久保田章 向ヶ丘久保田内科院長
新井桂子 あらいクリニック院長
平尾紘一 HEC サイエンスクリニック
保泉 学 秋田大学大学院医学研究科内分泌・代謝・老年内科学
成田琢磨 秋田大学大学院医学研究科内分泌・代謝・老年内科学准教授
中神朋子 東京女子医科大学糖尿病センター講師
長谷川有希子 東京女子医科大学糖尿病センター
前田 一 HEC サイエンスクリニック院長
渡部ちづる 虎の門病院分院糖尿病代謝科医長
森 保道 虎の門病院分院糖尿病代謝科部長
窪田直人 東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科
門脇 孝 東京大学大学院医学系研究科代謝・栄養病態学教授
白川 純 横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学
羽田裕亮 東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科
山内敏正 東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科講師
伊藤博史 オホーツク海病院院長
西村理明 東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授
税所芳史 慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科
島田 朗 東京都済生会中央病院糖尿病・内分泌内科担当部長
小林結香 東邦大学医学部内科学糖尿病・代謝・内分泌学分野
弘世貴久 東邦大学医学部内科学糖尿病・代謝・内分泌学分野
柳澤克之 市立札幌病院糖尿病・内分泌内科部長
仲村英昭 琉球大学大学院医学研究科内分泌代謝・血液・膠原病内科学
中山良朗 琉球大学大学院医学研究科内分泌代謝・血液・膠原病内科学
益崎裕章 琉球大学大学院医学研究科内分泌代謝・血液・膠原病内科学教授
上野宏樹 大阪市立総合医療センター糖尿病センター代謝・内分泌内科医長
細井雅之 大阪市立総合医療センター糖尿病センター部長
株式会社中外医学社 〒162-0805 東京都新宿区矢来町62 TEL 03-3268-2701/FAX 03-3268-2722
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