脳卒中レジデントマニュアル
峰松一夫 監
B6変 288頁
定価5,280円(本体4,800円 + 税)
ISBN978-4-498-12873-6
2013年04月発行
在庫なし
脳卒中レジデントマニュアル
峰松一夫 監
B6変 288頁
定価5,280円(本体4,800円 + 税)
ISBN978-4-498-12873-6
2013年04月発行
在庫なし
急性期から慢性期まで,実際の臨床で必要となる知識,検査・診断,処置・治療,リハビリテーションなど “脳卒中診療のノウハウを,国循スタッフとOBが”ギュ“とコンパクト収載したマニュアル.初版以降の最新の知見と情報を反映させた改訂2版.
第2版の序
「脳卒中レジデントマニュアル」を2010年4月に発行してから2年ほど経過した頃に,発行元の中外医学社から「売れ行き好調なので,在庫が近々無くなる.増刷したいが,改訂作業の必要はないか?」との相談を受けた.「脳卒中診療の現場から生まれた本書」が,現場のレジデント,その他の医療従事者から熱い支持を受けていることを知り,大変ありがたいことと喜んだ.と同時に,「2010年版のまま増刷するのでは,現場の熱い期待に応えられなくなるだろう」という気持ちになった.発行予定は,2013年3月に設定されたが,この時点で2010年版は役立たずになっている可能性があると思われたからである.
事実,2012年8月には,rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法の治療可能時間がそれまでの3時間以内から4.5時間以内に延長され,同年10月には本療法に関わる適正治療指針の第2版が発表された.全面改定である.rt-PA静注療法の禁忌例,あるいは無効例を対象にした血管内治療デバイス,Merciリトリーバーが2010年4月に,Penumbraシステムが2011年6月に国内承認され,超急性期血行再開療法も大きく様変わりしつつある.心房細動患者の塞栓症予防を目的とした新規抗凝固薬(ダビガトラン,リバロキサバン,アピキサバン)が相次いで承認・発売され,心原性脳塞栓症予防法もほぼ半世紀ぶりの大変革期を迎えている.頸動脈ステント術と頸動脈内膜剥離術との成績を比較したCREST(Carotid Revascularization Endarterectomy versus Stenting Trial)研究の結果が発表されたのも2010年であった.これも,2010年版には記載されていない.脳卒中診療はまさに革命の時代のまっただ中にある.
編集者の横田千晶医長と相談したが,執筆陣は原則そのままで,しかしこの3年間の脳卒中診療の劇的な進歩をできるだけ反映した改訂版を出す方針とした.担当部分によっては,全面書き換えに近い過酷な執筆作業,改訂作業となったが,ご協力頂いた執筆陣,さらに中外医学社の編集部の皆さんには,この紙面を借りてお礼を申し上げたい.この「脳卒中レジデントマニュアル第2版」が,2010年初版本以上に愛されて,脳卒中診療現場でのお役に立つことを,切に願っている.
2013年3月
独立行政法人国立循環器病研究センター副院長
峰松一夫
目次
1章 急性期患者への対応
1 緊急患者の受け入れ [横田千晶,山本晴子]
A.脳卒中とは
B.緊急患者受診時の対応
C.脳卒中の診かた
1.まず病歴を聞く
2.意識を診る
3.呼吸を診る
4.脳神経系を診る
5.運動系を診る
6.感覚系を診る
7.運動失調を診る
8.不随意運動を診る
9.高次脳機能を診る
D.頭痛,めまい,失神の診かた
1.頭痛
2.めまい
3.失神
2 超急性期脳梗塞の治療
A.rt‐PA静注療法
1.適正治療指針に沿った患者の選択 [豊田一則]
2.患者選択のための診断の進め方 [豊田一則]
3.患者選択のための頭部・頸部の画像診断 [豊田一則]
4.治療の実際 [中島隆宏]
5.現場での注意点 [中島隆宏]
6.禁忌,慎重投与項目 [中島隆宏]
B.急性期脳梗塞に対する血管内治療 [山上 宏]
C.その他の超急性期治療 [中島隆宏]
3 急性期脳卒中の診断と治療
1.脳梗塞・TIAの臨床病型診断・治療
A.検査からのアプローチ [上原敏志]
1.脳梗塞の病型分類
2.病型診断のアルゴリズム(検査からのアプローチ)
3.その他の脳梗塞について
B.一過性脳虚血発作(TIA) [上原敏志]
C.脳梗塞
1.アテローム血栓性脳梗塞 [祢津智久]
2.ラクナ梗塞 [三好正浩]
3.心原性脳塞栓症 [前田亘一郎]
4.その他の脳梗塞
(1)原因がわかっているもの [松岡秀樹]
I.大動脈原性脳塞栓症
II.Branch atheromatous disease
III.肺動静脈瘻に伴う奇異性脳塞栓症
IV.脳動脈解離
V.抗リン脂質抗体症候群
(2)原因不明の脳梗塞 [天野達雄]
〔脳卒中急性期の各種病態〕 [松岡秀樹]
1.脳浮腫と脳ヘルニア
2.出血性梗塞
3.脳血管障害と頭痛
2.脳内出血の診断・治療
A.高血圧性脳内出血 [板橋 亮]
B.高血圧性以外の原因による脳内出血
1.脳アミロイドアンギオパチー [板橋 亮]
2.脳動静脈奇形 [増岡 淳]
3.硬膜動静脈瘻 [増岡 淳]
4.海綿状血管腫 [増岡 淳]
5.静脈性血管腫 [増岡 淳]
6.脳動脈瘤 [増岡 淳]
7.もやもや病 [増岡 淳]
8.脳腫瘍 [増岡 淳]
3.くも膜下出血の診断・治療 [中嶌教夫]
4.その他の脳血管障害・脳障害の診断・治療
A.もやもや病 [大西宏之]
B.静脈血栓症 [山尾幸広]
C.脊髄血管障害(脊髄動静脈奇形) [岡崎貴仁]
D.慢性硬膜下血腫 [山内圭太]
E.一過性全健忘 [佐藤祥一郎]
F.Reversible posterior leukoencephalopathy
syndrome(RPLS) [佐藤祥一郎]
G.Reversible cerebral vasoconstriction syndrome
(RCVS) [佐藤祥一郎]
H.Mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis,
and strokelike episodes(MELAS) [佐藤祥一郎]
4 注意すべき合併症の診断とその対応
1.中枢神経 [尾原知行]
1.Early onset seizure
2.不穏・せん妄
2.心臓 [吉村壮平]
1.重症心不全
2.感染性心内膜炎
3.虚血性心疾患
4.重症不整脈
3.消化器 [永沢 光]
1.消化管出血
2.下痢
3.イレウス
4.肝・胆道系酵素の異常
4.他臓器塞栓症および血液凝固異常
A.他臓器塞栓症 [河野浩之]
1.急性肺血栓塞栓症
2.腎梗塞
3.四肢の急性動脈閉塞症
4.コレステロール塞栓症
5.上腸間膜動脈血栓塞栓症
B.深部静脈血栓症(DVT) [石原佳代子]
C.ヘパリン起因性血小板減少症(HIT) [河野浩之]
D.播種性血管内凝固症候群(DIC) [河野浩之]
5.感染症 [伊藤敦史]
1.肺炎
2.尿路感染症
6.その他の合併症 [石原佳代子]
A.血糖コントロール
1.高血糖
2.低血糖
B.電解質異常
1.高Na血症
2.低Na血症
3.高K血症
4.低K血症
C.偽痛風
5 嚥下評価,誤嚥対策と栄養管理 [冨井康宏]
A.嚥下評価,摂食・嚥下リハビリテーション
B.栄養管理
C.褥瘡
6 急性期リハビリテーション
1.急性期リハビリテーションの重要性 [尾谷寛隆]
2.リハビリテーションの役割 [尾谷寛隆]
3.処方の留意点および急性期リハビリテーションの実際 [尾谷寛隆]
4.言語聴覚療法 [大畠明子]
7 脳卒中ユニット(SU),脳卒中ケアユニット(SCU)
[長谷川泰弘]
1.脳卒中ユニットの定義
2.脳卒中(ケア)ユニットの運営
3.諸外国の脳卒中診療体制
2章 慢性期患者への対応
1 医学的管理
A.内科的治療
1.抗血小板療法 [矢坂正弘]
2.抗凝固療法 [矢坂正弘]
3.高血圧症 [生野雄二]
4.糖尿病 [生野雄二]
5.脂質異常症 [生野雄二]
B.外科的治療
1.頸動脈内膜剥離術(CEA)
[丸山大輔,賀来泰之,飯原弘二]
2.頸動脈ステント留置術(CAS) [西川祐介,佐藤 徹]
3.頭蓋内外(EC‐IC)バイパス [福田健治]
2 社会的調整 [長束一行]
3 回復期リハビリテーション
1.回復期リハビリテーション病棟 [尾谷寛隆]
2.生活能力評価 [尾谷寛隆]
3.理学療法 [尾谷寛隆]
4.作業療法 [尾谷寛隆]
5.言語聴覚療法 [大畠明子]
3章 無症候性病変およびハイリスク患者の評価
1.無症候性頸動脈狭窄
2.無症候性頭蓋内動脈狭窄
3.無症候性脳梗塞
4.無症候性脳出血,微小脳出血
5.ハイリスク患者の評価:全身の血管病変の検索
4章 脳卒中の検査
1 生理機能 [古賀政利]
A.心電図,心電図モニター,24時間Holter心電図
B.胸部X線写真
C.脳波検査
D.聴性脳幹反応(ABR)
2 エコー検査
A.頸部血管エコー [坂井健一郎,木村和美]
B.Transcranial Doppler(TCD)/transcranial color‐flow
imaging(TCC‐FI) [井口保之,木村和美]
C.経胸壁心エコー/経食道心エコー [岩永 健,木村和美]
D.下肢静脈エコー [小林和人]
3 画像検査
A.CT [平野照之]
B.MRI,MRA [平野照之]
C.CT angiography(CTA) [平野照之]
D.DSA [松岡秀樹]
4 脳循環・代謝 [永沼雅基]
A.SPECT
B.PET
5 特殊な病態を疑った時の検査─血液・髄液 [鈴木理恵子]
付録
I.脳卒中スケール [福田真弓,横田千晶]
1.意識障害の判定
Japan Coma Scale
Glasgow Coma Scale
2.脳卒中神経障害(重症度)の判定
NIH Stroke Scale
3.機能障害の判定
modified Rankin Scale
Barthel Index
Functional Independence Measure
4.脳卒中スコア
CHADS2スコア
CHA2DS2‐VAScスコア
HAS‐BLEDスコア
ABCD2スコア
ASPECTS
II.脳血管障害(前方循環)の神経症状 [山本晴子]
III.脳血管障害(後方循環)の症候群 [向井智哉]
IV.抗血小板薬および経口抗凝固薬の早見表 [古田興之介]
索引
執筆者一覧
峰松一夫 独立行政法人国立循環器病研究センター副院長 監
横田千晶 国立循環器病研究センター脳血管内科医長 編
山本晴子 国立循環器病研究センター臨床研究開発部室長
豊田一則 国立循環器病研究センター脳血管内科部長
中島隆宏 国立病院機構鹿児島医療センター脳血管内科医長
山上 宏 国立循環器病研究センター脳神経内科医長
上原敏志 国立循環器病研究センター脳血管内科医長
祢津智久 広島大学大学院医歯薬保健学研究院脳神経内科学
三好正浩 関西リハビリテーション病院
前田亘一郎 国立病院機構九州医療センター脳血管・神経内科
松岡秀樹 国立病院機構鹿児島医療センター脳血管内科医長
天野達雄 虎の門病院脳神経血管内治療科
板橋 亮 広南病院脳血管内科医長
増岡 淳 佐賀大学医学部脳神経外科講師
中嶌教夫 春秋会城山病院脳・脊髄・神経センター副センター長
大西宏之 大阪医科大学脳神経外科学
山尾幸広 京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座脳神経外科学
岡崎貴仁 広島大学大学院医歯薬保健学研究院脳神経外科学
山内圭太 国立循環器病研究センター脳神経外科
佐藤祥一郎 国立循環器病研究センター脳血管内科
尾原知行 国立循環器病研究センター脳血管内科
吉村壮平 福岡赤十字病院脳血管内科
永沢 光 山形県立中央病院神経内科医長
河野浩之 済生会熊本病院脳卒中センター神経内科
石原佳代子 広島大学大学院医歯薬保健学研究院脳神経内科学
伊藤敦史 静岡市立清水病院神経内科科長
冨井康宏 公立南丹病院神経内科
尾谷寛隆 国立循環器病研究センター脳血管リハビリテーション科理学療法士長
大畠明子 国立循環器病研究センター脳血管リハビリテーション科言語聴覚士
長谷川泰弘 聖マリアンナ医科大学神経内科教授
矢坂正弘 国立病院機構九州医療センター脳血管・神経内科科長
生野雄二 九州大学大学院医学研究院病態機能内科学
丸山大輔 国立循環器病研究センター脳神経外科
賀来泰之 済生会熊本病院脳卒中センター脳神経外科
飯原弘二 国立循環器病研究センター脳神経外科部長
西川祐介 名古屋市立大学大学院医学研究科脳神経外科学
佐藤 徹 国立循環器病研究センター脳神経外科医長
福田健治 福岡大学医学部脳神経外科学
長束一行 国立循環器病研究センター脳神経内科部長
福田真弓 国立循環器病研究センター脳血管内科
古賀政利 国立循環器病研究センター脳卒中集中治療科医長
坂井健一郎 川崎医科大学脳卒中医学
木村和美 川崎医科大学脳卒中医学教授
井口保之 東京慈恵会医科大学神経内科教授
岩永 健 岡山赤十字病院脳卒中科部長
小林和人 神戸市立医療センター中央市民病院神経内科副医長
平野照之 大分大学医学部総合内科学第三講座准教授
永沼雅基 済生会熊本病院脳卒中センター神経内科
鈴木理恵子 国立循環器病研究センター脳血管内科
向井智哉 広島大学大学院医歯薬保健学研究院脳神経内科学
古田興之介 小倉記念病院脳卒中センター神経内科副部長
株式会社中外医学社 〒162-0805 東京都新宿区矢来町62 TEL 03-3268-2701/FAX 03-3268-2722
Copyright (C) CHUGAI-IGAKUSHA. All rights reserved.