序
NICUでの治療法は日々進歩している.その結果,重症新生児の予後も改善している.しかし,日々進歩するNICUでの治療法について,すべてに精通することは決して容易ではない.また,NICUでの治療はチーム医療であるので,医療スタッフが共通の認識でハイリスク児の治療に当たる必要がある.このように,最新の知識を正確にしかも短時間で確認するために,また医療スタッフの知識を共通化して一定の診療レベルを保つためにマニュアルと呼ばれる書物が必要である.そこで今回は,東京女子医科大学母子総合医療センターNICUで,日々第一線で診療に従事する医療スタッフに,NICUでの診療内容を正確に記録することを依頼した.そしてその記載を集めたものがこの「NICU必携マニュアル」である.必携のタイトルに相応しく,内容は最新であるとともに,実践に即役立つものばかりである.したがって,NICUで働く研修医,看護師,助産師,理学療法士,医療工学士,心理士などの医療スタッフのみならず,上級医にも必携の内容である.すなわち,一刻を争う治療現場で知識を確認する場面だけでなく,時間をかけて読むことで,最新の知識を補充できる内容である.ぜひ本書をNICU内で十分に活用していただきたい.ただ,本書の内容は当NICUでの治療法を基本にしているので,一部は施設の実情に合わせて変更する必要がある.そのような場合にも,基本的な考え方は同じであるので,ぜひ参考にしていただきたい.
今回本書を発行するに際して,忙しい日々の診療の合間に原稿を作成してくださった医療スタッフ,企画を進めてくださった出版社に感謝を表します.また,このマニュアルの内容がハイリスク児の予後のさらなる改善に繋がることを祈念します.
2012年10月
楠田 聡