はじめに
2009年末のDPP-4阻害薬の登場以降,2型糖尿病の診療は大きな変換期を迎えています.
その一方で,多数の経口血糖降下薬,各種インスリン製剤,GLP-1アナログ製剤などがあり,その適応や使い分けに困ってしまう,というお声も耳にいたします.
そこで,「毎日の診療ですぐに役立つ実践的なハンドブック」として本書を企画いたしました.
本書の主な特徴は,以下のとおりです.
1)総論や病態生理はできるだけ省略し,各論,特に「薬物療法の実際」と「合併症の治療と管理」を中心に,最新の内容を具体的に記載しました.
2)基本となる「生活療法(食事療法,運動療法)」については,クリニックでも実践できる具体的な内容を記載しました.
3)全項目で,特に重要なポイントを「ここが重要!」として冒頭に箇条書きで簡潔に記載しました.
4)全項目で,特にしてはいけないこと・注意すべきことを「これはご法度!」として簡潔に記載しました.
5)各項目で,典型例や教訓的な事例を「症例呈示」としてあげ,わかりやすく記載しています.
6)執筆者は,全員臨床経験の豊富な第一線の臨床医たちです.
7)いつも持ち運べるハンディなサイズで,見やすい2色刷りとして図表も多くしました.
本書は,主な読者対象として糖尿病をご専門とされないかかりつけ医の先生を想定しておりますが,最新かつ具体的な内容ですので,勤務医,初期および後期研修医,CDE(糖尿病療養指導士)をはじめとしたメディカル・スタッフの方々にも,十分お役に立つ内容だと自負しております.
本書を明日からの日常診療でご活用していただき,患者さんの糖尿病コントロールを良好に保つ一助となれば,編著者として望外の喜びです.
最後に,ご多忙な中,迅速にご執筆していただいた分担執筆の先生方,企画の段階から刊行までずっとお世話になりました中外医学社企画部の宮崎雅弘さんに深く感謝いたします.
2012年11月
編著者を代表して
船橋市立医療センター代謝内科 岩岡秀明