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Annual Review 免疫 2004
奥村 康 他編
B5判 316頁
定価9,680円(本体8,800円 + 税)
ISBN978-4-498-00668-3
2004年01月発行
在庫なし
序 今年も多くの方々のご協力により,Annual Review 免疫 2004が刊行された.すばらしいレビューにより構成されており,各執筆者に心より感謝申し上げる. 本書は1年に一度のレビュー誌であるため,免疫学の進歩をできるだけ多くの領域からとりあげるのが基本で,そのためレビュー数は今年も36に達した.しかし,この1年間の免疫学の進歩がすべて本書にもりこまれたわけではもちろんない.海外滞在中あるいは海外から最近帰国された研究者にも原稿を依頼し,留学先での先端研究もレビューしてもらっているが,基本的には国内研究者が中心になり各自の関連領域の進歩を記しているわけであり,従ってわが国で比較的盛んな研究に片寄りがちであるのは否めない.海外では,たとえばNKをはじめとするキラー細胞上のKIRの研究は自然免疫の潮流が加わり相当に進んでいるし,メモリーT細胞もわが国は研究ポピュレーションも決して多くはなく,一部を除き進んでいる領域とはいえない.細胞内での抗原プロセシングの研究も日本では勝負あったかのような錯覚を起こすほど免疫学会総会でも演題は少なくなっている.しかし,海外では大きなヒットが次々ととばされている.SLEをDC病ととらえる動きも斬新である.編者のひとりの専門領域は腫瘍免疫であるが,胎盤の免疫エスケープ機構がヒト腫瘍免疫不応答性にも関係する鮮やかな研究がなされた. いずれにしても,後追いでない,斬新なアイデアの研究を高く推奨し,グラントをつけ,評価するシステムをわが国でも確固なものとしないと,アジアだけでも中国や韓国が猛追してきている.本書にはこの1年間のわが国の免疫学の斬新な研究成果が多数紹介されているが,来年以降もそのような新たなパラダイムを免疫学にもたらしたレビューを多数紹介していきたいと考えている. 2003年11月 編者一同
目 次 I.T細胞 1.innate T cellsの免疫生物学<岩渕和也> 2.Th1/Th2細胞分化とポリコーム群遺伝子<木村元子 中山俊憲> 3.ST2遺伝子産物のTh2細胞を介する免疫機構との関わり<富永眞一> 4.T細胞初期分化とNotch<穂積勝人> II.B細胞 1.PKC-δ遺伝子欠損マウスにおけるB細胞の過剰増殖と自己免疫疾患<押川清孝 中山敬一> 2.ポリアミン(スペルミジン)によるRNA/DNA結合の形成と免疫グロブリンクラススイッチ<水田龍信> III.MHC,抗原処理提示機構 1.MHC class I拘束性抗原提示機構における細胞質内プロセッシングと小胞体内プロセッシング<國澤 純> 2.MHC class IIによる内在性抗原処理提示機構<佐原弘益> IV.自然免疫,マクロファージ・抗原提示細胞 1.アダプター分子により多様性を付与されたTLRシグナル伝達機構 −TIRAPとTRIFのTLRシグナルにおける役割について−<山本雅裕 竹田 潔 審良静男> 2.DCによるT細胞免疫応答の制御<稲葉カヨ 稲葉宗夫> 3.スカベンジャー受容体活性を有するケモカインSR-PSOX/CXCL16と免疫系<島岡猛士 米原 伸> 4.MAIRファミリー分子と正と負の自然免疫制御<大越 靖 四本克己 渋谷 彰> 5.腸管上皮に発現するPRRs(pattern-recognition receptors)と炎症性腸疾患<鈴木 学 久松理一 Daniel K. Podolsky> V.NK,NKT 1.NK細胞レセプターによるサイトメガロウイルス感染細胞の認識機構<白鳥行大 荒瀬 尚> 2.iNKT細胞による自然免疫および獲得免疫応答の制御<清野研一郎 谷口 克> VI.サイトカイン 1.IL-21受容体と免疫応答・調節機構<浅尾裕信> 2.RANKLによる破骨細胞分化制御<高柳 広> 3.SOCS1,SOCS3による炎症性シグナルの制御<吉村昭彦 花田俊勝 盛 裕之 金城市子> VII.接着,共刺激分子,トラフィッキング,ホーミング 1.癌免疫治療と補助刺激分子<神村洋介 東 みゆき> 2.抑制性共刺激分子PD-L1による免疫回避機構<岩井佳子> VIII.免疫組織 腸管上皮細胞におけるIL-7産生と粘膜免疫制御<中村哲也 山崎元美 大島 茂 渡辺 守> IX.免疫記憶,免疫調節,寛容 1.免疫記憶リンパ球分化におけるBcl6機能の新知見<徳久剛史> 2.ヒトCD4メモリーT細胞サブセットとその機能<京泉誠之 楠 洋一郎 大原高秋> 3.CD244とCD8記憶T細胞機能的分化<笠原善仁> 4.IL-15とCD8記憶T細胞の分化増殖<樗木俊聡> X.感染と免疫 1.BCG細胞壁骨格(CWS)による樹状細胞活性化の分子機構<瀬谷 司 上堀淳二 赤澤 隆 松本美佐子> 2.listeriolysinによるTh1サイトカイン産生誘導<光山正雄> 3.Ag85分子DNAワクチンによる抗結核細胞性免疫の誘導<小出幸夫 永田 年> XI.腫瘍免疫,移植免疫 1.癌の免疫エスケープメカニズム<鳥越俊彦 明田克之> 2.癌免疫調節機構<珠玖 洋 西川博嘉 俵 功> 3.抗体によるヒト癌免疫治療の現状と課題<佐々木 茂 中山一郎 今井浩三> 4.HSPによる自然免疫−獲得免疫のリンクと癌ワクチン<田村保明 今井章仁 佐藤昇志> XII.免疫疾患 1.フォスファチジルセリン露出と補体−抗リン脂質抗体とアポトーシス−<和田芳直> 2.アトピー性皮膚炎とサイトカイン<善本知広 中西憲司> 3.上・下気道のアレルギーと抗原ペプチドによる免疫療法<山中 昇 戸川彰久> 4.アトピー関連遺伝子の新しい展開<西山千春> 索 引
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