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書籍詳細

脳脊髄MRAの読み方

脳脊髄MRAの読み方

興梠征典 編著

B5判 162頁

定価(本体5,800円 + 税)

ISBN978-4-498-02952-1

2000年10月発行

在庫なし

MRAの原理から,正常解剖,さらには頸動脈病変,脳動脈瘤,頭蓋内閉塞性病変,動静脈奇形,静脈系疾患,脊髄血管病変などの読影の実際までを写真を豊富に盛り込んでまとめたテキストブック.各種MRAをどう使い分けるか,特有のアーチファクトの解説,読影に際して初学者が陥りやすいピットフォールなど,臨床の現場での撮像や実際の読影に役立つ情報を懇切に解説した.



 熊本大学医学部放射線医学教室の興梠征典助教授が編集者となり,わが国の若手神経放射線科医らが協力して「脳脊髄MRAの読み方」という著書を著すことになったが,MRAが臨床に必須の検査法となりつつある現在,誠に時宜を得たものであり,日常診療上も有益な著書となったことを心から喜んでいる.興梠助教授は熊本大学放射線科では神経放射線と血管系のInterventional Radiologyを中心に診療・研究活動を行ってきた若手研究者の一人であるが,最も得意とする脳脊髄のMRAについての著書を世に送ることは誠に喜ばしいことである.
 中枢神経の画像診断で脳血管造影は最も重要な検査法の一つとされ,古くから広く実施されてきたが,検査に伴う合併症の頻度が高く,できれば非侵襲的な検査法に置き換えることが望まれてきた.MRAは血流からの信号を周囲の動きのない組織と較べて増強ないし低下させて血管を描出する方法として発展してきたものである.MRAの利点は非侵襲的で鮮明な画像が得られ,Time of Flight(TOF)法やPhase Contrast法では造影剤を使用せず,また,放射線被曝のない利点がある.このような多くの利点のためにMRAは広く臨床に用いられるようになり,全身の血管性病変のみならず中枢神経系では閉塞・狭窄性疾患,動静脈奇形,動脈瘤,もやもや病などをはじめとする多くの血管性病変に応用されるようになった.最近になり,水溶性造影剤Gd-DTPAを静注後に高速のMR撮像を行い,MR血管造影を行う方法が開発されてきた.本法ではTOF法に較べて飽和や乱流による画質低下がなく,空間分解能も優れている点が強調されているが,頭蓋内病変では動静脈が重なるという欠点がある.今後,非侵襲的血管造影法の将来を考える場合,CT血管造影,超音波ドップラー法とMRAをどのように使いわけるかが,重要となることが考えられる.
 今回,興梠助教授らが著した「脳脊髄MRAの読み方」ではMRAの原理から最近の進歩まで,正常解剖,各種血管性病変の読み方,神経血管圧迫病変,脳腫瘍におけるMR血管撮影の意義など文献を広く引用しながら詳しく解説している.中でも興梠助教授が得意とする頸部狭窄性病変,頭蓋内動脈瘤,静脈洞血栓症などの診断におけるMRAの役割,適応,実施法,読み方などについて詳しい記述を行っている.本書を通読することによって脳脊髄の血管性病変におけるMRAの臨床のすべてを理解することができる.
 最近,MRAの保険適応が認められるようになり,MRAの臨床応用についての関心が高まってきている.本書はMRIに携わる多くの関係者,医師,放射線技師,看護婦,検査技師などがMRAの理解を深め,日常診療の診断,技術向上を計るには最適の著書と考え,本書を広く推薦したいと思う.

2000年8月
熊本大学放射線科教授
高橋睦正

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序文

 MR angiography(MRA)は,血管を非侵襲的に検査できる優れた方法として急速な発展をとげてきた.生理的な血流情報である,血管以外の構造を評価できる,ボリュームデータが得られるといった通常のX線血管撮影にない利点も有している.空間分解能や末梢血管の描出能は通常のX線血管撮影に及ばないものの,MR装置の進歩,新しい撮像法や画像処理法の開発などにより,撮像時間の短縮や画質の著明な向上が得られてきている.躯幹部や四肢におけるMRAは現時点で臨床評価がまだ必ずしも定まっているとは言えないが,脳のMRAは臨床応用が開始されてすでに長い年月が経過しており,多くのデータが蓄積されている.現在では脳血管性病変のスクリーニングや経過観察に日常臨床上必須のものとなっている.本邦で広く普及している脳ドックにおいてもMRAが主要検査項目の一つとなっているが,スクリーニングにおけるMRAの診断精度に関しては現状では施設間あるいは読影者間での差がかなり大きい.よってMRAの特徴・限界の十分な理解,撮像法の適切な選択や読影のトレーニングなどが重要である.
 このような現状を考慮し本書の編集に当たっては,脳脊髄の血管性病変を一通り網羅しさらにMRA独自の適応についても触れる,撮像や読影の方法など基本がわかるようにする,写真を豊富に盛り込む,読影のポイントを具体的に解説する,最近の知見を織り込む,などに留意した.特に,各種MRAをどう使い分けるか,画像再構成における工夫および元画像をどう使うか,MRAに特有のアーチファクトの解説,読影に際して初学者が陥りやすいピットフォールなど,臨床の現場での撮像や実際の読影に役立つ情報を入れるように心がけた.また最低限知っておくべき臨床的事項,例えば脳動脈瘤の好発部位,未破裂脳動脈瘤の自然史,頸動脈分岐部病変の臨床的意義・治療方針などについて簡潔に記載し,本書を読むだけである程度の情報が得られるようにした.執筆を依頼した先生方はいずれも,脳脊髄領域のMRAの第一人者として現在活発に研究されている若手の放射線科医である.本書が脳脊髄領域のMRA検査に携わる方々のお役に立てば幸いである.

2000年8月
熊本大学医学部放射線医学教室助教授
興梠征典

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目 次

1章 MRAの基本的な原理  三木 均
 A.MRIにおける血流の影響
  1.flow artifact
  2.entry slice inflow効果
  3.flow void
  4.presaturation法
  5.flow compensation(流速補正)
 B.MRAの原理と撮像法
  1.time-of-fright効果
  2.inflow法(TOF法)
   a)2D TOF MRA
   b)3D TOF MRA
  3.phase shift効果
  4.phase contrast法
   a)2D PC MRA
   b)3D PC MRA
  5.画像処理
 C.まとめ
文 献

2章 最近の進歩  礒田治夫,稲川正一,阪原晴海
 A.神経系領域の造影MRA
  1.造影MRAの原理
  2.撮像のパラメータ
  3.後処理
  4.造影MRAの利点と欠点
  5.造影MRAの適応
  6.造影MRAの脊髄血管への応用
 B.SLINKY(sliding interleaved ky)法
  1.原理
  2.SLINKY法の頭部,頸部血管への応用
文 献

3章 頭部頸部動脈のMRA正常解剖  小玉隆男
 A.MRAの読影に際して注意すべき一般的事項
  1.撮像法による特異性およびartifactに伴う所見を理解する
  2.観察方法の工夫が必要
  3.空間分解能
 B.総頸・内頸動脈
 C.前大脳動脈
 D.中大脳動脈
 E.後大脳動脈,後交通動脈
 F.椎骨脳底動脈
 G.頸動脈-椎骨脳底動脈吻合遺残
  1.persistent trigeminal artery
  2.persistent otic(acoustic)artery
  3.persistent hypoglossal artery
  4.persistent proatlantic artery
 H.窓形成(fenestration)
 I.正常変異に伴う血行動態
文 献

4章 頸部MRA  青木茂樹
 A.適応・背景
 B.撮像法
 C.臨床応用
  1.内頸動脈近位部の動脈硬化
  2.その他の血管障害
   a)動脈解離
   b)subclavian steal syndrome
   c)動静脈瘻
   d)血管炎
  3.腫瘍
   a)悪性腫瘍の血管浸潤
   b)腫瘍のvascularityの評価
文 献

5章 脳動脈瘤  興梠征典
 A.脳動脈瘤の病理・疫学・臨床的事項
  1.病理
  2.好発部位と好発年齢
  3.脳動脈瘤によるSAHの予後
  4.SAHの年間発生率
  5.脳動脈瘤の頻度
  6.未破裂脳動脈瘤の破裂率(自然史)
 B.MRI/MRAによる診断
  1.MRI
  2.脳動脈瘤のMRA : 基本的な撮像法
  3.スクリーニングにおけるMRAの診断精度
   a)我々の研究の結果
   b)ハイリスク群のスクリーニング
   c)急性期のSAH症例
   d)磁場強度による差
  4.読影法と脳動脈瘤診断のピットフォール
   a)見逃しを防ぐには
   b)ピットフォールになりやすい部位
   c)偽陽性
   d)内頸動脈硬膜輪近傍の動脈瘤
  5.画像処理
  6.脳動脈瘤術後におけるMRA
 C.CTA,血管造影による診断
  1.CTA
  2.血管造影
 D.脳動脈瘤のスクリーニングにおける問題点と今後の課題
 E.椎骨・脳底動脈解離
 F.おわりに
文 献

6章 頭蓋内閉塞性病変  土屋一洋
 A.MRAの適応と検査法
  1.MRAの適応
  2.MRAの検査法
   a)撮像法の選択
   b)補助的手法
 B.各種病態のMRA所見と読影のポイント
  1.脳血栓症
  2.脳塞栓症
  3.頭蓋内動脈解離
  4.もやもや病
  5.血管攣縮
  6.動脈炎
文 献

7章 動静脈奇形,動静脈瘻  興梠征典
 A.動静脈奇形・動静脈瘻のMRA : 基本的な撮像法
  1.time of flight(TOF)法
  2.phase contrast(PC)法
  3.その他の方法
   a)presaturation pulse
   b)高速造影MRA
   c)造影MP RAGE法
 B.脳動静脈奇形
  1.脳動静脈奇形の病理
  2.脳動静脈奇形の臨床
  3.出血のリスク
  4.脳動静脈奇形の画像診断とMRAの役割
   a)流入動脈
   b)流出静脈
   c)ナイダス
  5.脳動静脈奇形の放射線治療(radiosurgery)におけるMRA
 C.硬膜動静脈瘻dural arteriovenous fistula(dural AVF)
  1.硬膜動静脈瘻の成因
  2.硬膜動静脈瘻の臨床的事項
  3.臨床症状と血管解剖
   a)海綿静脈洞部dural AVF
   b)海綿静脈洞部を除くdural AVF
  4.硬膜動静脈瘻の画像診断
  5.硬膜動静脈瘻のMRA
 D.おわりに
文 献

8章 静脈系疾患静脈洞血栓症を中心に  梁 露霞,興梠征典
 A.頭蓋内MR venographyの撮像方法
  1.二次元time of flight(TOF)法
  2.phase contrast(PC)法
  3.造影三次元time of flight(TOF)法
  4.造影3D MP RAGE法
 B.硬膜静脈洞血栓症の診断
  1.硬膜静脈洞血栓症の臨床
  2.硬膜静脈洞血栓症の病態と病期分類
  3.静脈洞血栓症の画像診断
   a)硬膜静脈洞の解剖学的なバリエーション
   b)硬膜静脈洞内の正常構造
   c)MR venographyの正常所見
   d)静脈洞内血栓のMRI所見
   e)各MRVにおける所見とピットフォール
   f)造影MP RAGE法における所見とピットフォール
 C.まとめ
文 献

9章 脊髄血管病変脊髄動静脈奇形・動静脈瘻を中心に  重松良典,興梠征典
 A.脊髄血管の正常解剖
  1.動脈系
  2.静脈系
 B.脊髄動静脈奇形・動静脈瘻(AVM/AVF)の分類
  1.硬膜内AVM
   a)脊髄内AVM
   b)硬膜内髄外AVF
  2.硬膜AVF(dural AVF)
 C.一般的なMRI所見
  1.硬膜内AVM/AVF
  2.硬膜AVF
 D.MRAの撮像法と所見
  1.造影turbo MRA
   a)脊髄領域における撮像法
   b)正常像
   c)脊髄AVM/AVFの所見
  2.造影後3D FISP法
  3.その他のMRA撮像法
 E.おわりに
文 献

10章 神経血管圧迫および脳腫瘍に対するMRA血管と周囲組織の評価における応用 北島美香,興梠征典
 A.神経血管圧迫
  1.神経血管圧迫の概略
  2.椎骨脳底動脈およびその分枝と脳神経の関係
  3.神経血管圧迫におけるMRA
   a)MRAの役割
   b)MRA撮像時の注意点
   c)三叉神経痛の読影のポイント
   d)片側顔面痙攣の読影のポイント
   e)舌咽神経痛の読影のポイント
 B.腫瘍性病変におけるMRA
  1.周囲の血管との関係
  2.脳表の血管像の描出
  3.腫瘍血管の評価
 C.まとめ
文 献

索 引

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