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書籍詳細

アトラス耳鼻咽喉科手術

アトラス耳鼻咽喉科手術

平出文久 著

B5判 480頁

定価(本体24,000円 + 税)

ISBN978-4-498-06223-8

1992年発行

在庫なし


 耳鼻咽喉科は外科系の診療科であり,手技の巧拙は資質を問われる一要因である.私は常々若い研修医諸君に「手術は手で行うのでなく,頭でやるものである」と説いてきたし,また自分自身にも毎回言い聞かせている.その意味するところは,「頭の中で常に一歩先のステップを考え,また起こり得る不測の事態に対しどのように対処するかを検討しながら手術を進めてゆく」である.
 しかしこれは実際にはなかなか難しい.というのは,第一に解剖学的に複雑で,頭の中に立体的に把握することが,二次元に表現された図での勉強では必ずしも容易ではない.第二に特に耳科学,鼻科学では視野が限られており,術者のみしか見えないことが多い.このため助手として何回も手術に加わってもなかなか術者のいわゆるコツを学ぶことが困難である.第三は,皮膚,粘膜,骨のすべてを扱う科であり,器具もきわめて多種多様である.したがって,それぞれの組織にいかにして手術侵襲を正しく加えるか,どのような器具を用いるかについて,覚えなくてはならないことが,あえて言えば多すぎることである.そしてこれらが教える者にも教わる者にも頭痛の種となっている.
 このたび,平出文久氏が研修医のために基本的手術書を上梓された.氏は耳科学,鼻科学,咽喉頭科学,頭頸部腫瘍学の手術にすべて通暁しておられる数少ない耳鼻咽喉科医の一人である.一覧してまず感じたことは,図がきわめて綺麗であることである.どの本でもそうだが,特に手術書は図が正確でしかも美しいと,ただ眺めているだけで楽しくなるものである.本書はまさにこれに相当する.さらに解説が簡にして要を得ており,しかも基本的事項が余さず記されている.初心者にとって親切さに溢れた本と言える.また,本書は手術解剖に重点が置かれている.冒頭に述べたように,手術は次のステップを考えながら行うべきであり,この思考の原点は手術解剖に帰する.この点で意を充分尽くしたものである.しかも要所要所に必要な項目が,あるいは図,表で,あるいは珠玉の文章で表現されている.これもまた初心者が自学自習するのに大いに役立つであろう.
 まえがきにも述べておられるが,氏はこの本の執筆に際し,偏見を避けるため文献をすべて渉猟した由である.したがって,この本に書かれたことはきわめて妥当性を持つもので,初心者にとっては良き入門書であり,中堅以上の耳鼻科医にとっては,自己を顧みる絶好の鏡と言えよう.
 以上,私の感想を述べて序とした.若き医師諸君が本書によって基本手技を体得し,その上で独創を目指し輝かしい未来を迎えることを祈って止まない.

1989年9月
舩坂宗太郎

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まえがき
 耳鼻咽喉科領域の疾患は外科的治療の対象となることが多く,耳鼻咽喉科は外科系の診療科に属します.耳鼻咽喉科領域の手術はその解剖学的特殊性から一般外科にない特殊な手術法が編み出されています.ここに耳鼻咽喉科研修医の研修用に手術アトラスを刊行する機会を得ました.取り上げました手術は耳鼻咽喉科専門医の研修目標でのすべて5年間の研修期間に自ら実施することができるもの,あるいは指導医の下で手術できるものに限りました.したがって,いわば外来手術に入るものばかりです.
 手術は自動車の運転と同じで,目的地に到達するまでにはいろいろな道順があります.またその難易度も様々です.したがって,スタートする前に予め己れの進むべき道順を地図(手術では解剖書)の上で検討する必要があります.そして最も安全で,かつ無駄のない道順を選び,確実に目的地に到達すべきです.少々廻り道をしても安全な道を進むべきでしょう.自動車の運転と同じに冒険は決してしないことで,危険を犯しつつ走るような進み方は禁忌です.進む際には絶えず目前に次々と展開される視野に気を配り,事故に合わないように努めます.また自分か現在どこにいるかを常に知っておく必要があります.そのためには地図(解剖)の知識が不可欠となります.行手に突然危険な事象があらわれたならばとっさに操作を止めて,直ちに処置を講じ,再び安全に運転が再開できるようにいたします.最終的には無事に目的地に達し,目的とする処置や操作を行い,手術を終えることになります.本書はいわば初心者コース運転用のガイドラインに過ぎません.
 古来一つの目的のために数多くの手術法が考案され,発表されてまいりました.しかし,これらの手術法の基本となるのは病変の除去にあります.ここでは最もオーソドックスな方法のみを記述いたしましたが,いろいろな変法が現実にはあちこちで行なわれていると思います.本書を執筆するにあたりここに記述いたしました手術法が果たして多くの先生方のコンセンサスを得たものであるかを本邦はもとより諸外国の手術書に照らし合わせ確認いたしております.したがって,それらはある程度普遍性を持ったものであると思います.本書が若い研修医諸氏の日常の臨床のご参考に少しでもなればと思う次第です.
 本書を執筆している間つくづく感じましたことは自分は今までいかに数多くの優秀な良き師,先輩,同僚,および後輩に恵まれ,いかに多大なお教え,ご指導,ご協力を賜ったかということです.ここに改めて深く感謝の意を表したいと思います.
 最後に本書を出版する機会をお与え下さいました中外医学社社長青木三千雄氏をはじめ,直接お世話になりました企画部課長高橋衛氏,編集部課長秀島悟氏ならびに本書の真髄となるべきイラストをご担当下さいました濱美由紀嬢に心から感謝申し上げます.

1989年9月
平出文久

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目 次


1.耳せつ切開術
2.耳介血腫穿刺・切開術
3.耳介軟骨膜炎切開術
4.耳垢栓塞除去術
5.外耳道異物除去術
6.先天性耳瘻孔摘出術
7.副耳(介)切除術
8.耳茸切除術
9.外耳道骨増生切除術
10.耳介良性腫瘍摘出術
11.外耳道良性腫瘍摘出術
12.袋耳形成術
13.鼓膜穿刺術
14.鼓膜切開術
15.鼓膜チューブ挿入術
16.保存的鼓膜穿孔閉鎖術
17.乳突削開術・乳突洞削開術
18.鼓室形成術
19.中耳根本手術


1.上顎洞穿刺術
2.鼻出血止血術
3.ベロック(BELLOCQ)止血術
4.鼻骨骨折整復術
5.鼻中隔膿瘍切開術
6.鼻中隔血腫切開術
7.鼻中隔結節切除術
8.鼻中隔矯正術
9.鼻中隔部分的矯正術
10.下鼻甲介切除術
11.粘膜下下鼻甲介骨切除術
12.鼻内異物摘出術
13.鼻茸切除術
14.後鼻孔ポリープ切除術
15.鼻前庭嚢胞摘出術
16.鼻内前頭洞手術
17.前頭洞根本手術
18.上顎洞根本手術
19.鼻内篩骨洞手術
20.鼻外篩骨洞手術
21.上顎洞・篩骨洞根本手術
22.前頭洞・篩骨洞根本手術
23.上顎洞・篩骨洞・前頭洞根本手術
24.上顎洞開窓手術
25.副鼻腔組織試験採取術
26.術後性上顎嚢胞摘出術
27.浅側頭動脈カテーテル挿入術

口腔
1.口腔出血止血術
2.口腔底蜂窩織炎切開術
3.歯肉膿瘍切開術
4.顎下腺唾石摘出術
5.耳下腺唾石摘出術
6.ガマ腫切開術
7.ガマ腫摘出術
8.顎下腺摘出術
9.舌小帯短縮切除術
10.舌・口腔試験切除術
11.舌・口腔良性腫瘍摘出術
12.上顎歯根嚢胞摘出術
13.顎関節脱臼整復術

咽頭
喉頭
1.扁桃周囲膿瘍穿刺・切開術
2.咽後膿瘍穿刺・切開術
3.副咽頭間隙膿瘍切開術
4.咽頭異物摘出術
5.上咽頭組織試験採取術
6.アデノイド切除術
7.口蓋扁桃切除術
8.口蓋扁桃摘出術
9.扁桃手術後の後出血止血術
10.舌扁桃切除術
11.声帯結節・ポリープ切除術
12.喉頭異物摘出術
13.喉頭組織試験採取術

気管
食道
1.気管切開術
2.気管・気管支異物摘出術
3.気管・気管組織試験採取術
4.食道狭窄拡張術
5.食道異物摘出術

頸部
1.頸部膿瘍切開術
2.頸部良性膿瘍摘出術
3.顔面・頸部組織の試験切除術
4.正中頸嚢胞摘出術
5.側頸嚢胞摘出術
6.外頸部動脈結紮術


1.手術にあたって
2.局所麻酔剤
3.ショックとその対策

参考文献
索引

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執筆者一覧

平出文久  著

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