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書籍詳細

眼科治療薬ハンドブック

眼科治療薬ハンドブック

澤 充 編著

B6判 266頁

定価5,280円(本体4,800円 + 税)

ISBN978-4-498-06110-1

2001年04月発行

在庫なし

今日の眼科薬物療法のスタンダードを,治療薬編と症状・疾患編の2部構成で,具体的に示したハンディな手引き書である.治療薬編では眼科領域で使用される薬の特徴,作用,適応,用法・用量,使用上の注意,副作用等を記載,「症状・疾患編」では,各専門家が病態に応じていかに使用したらよいかを処方例を示して解説したものである.最新の眼科薬物治療を実践的に述べた便利なマニュアルである.

序文

 臨床医学において薬物療法が重要であることはあらためて述べる必要のないことであるが,薬物療法においては薬理効果に基づく適切な用法・用量の決定および薬物の副作用についての充分な知識が要求される.また,眼科臨床においては薬物処方に際し,経過観察,薬物療法と手術療法との選択が重要である.
 薬物が臨床の場で処方可能となるまでには薬理,基礎,毒性試験,臨床試験に関する膨大な資料に基づいて薬事・食品衛生審議会において承認されることが必要である.個々の薬剤についてこうした資料に精通することは不可能であるが,臨床に最低限必要な情報は添付文書で知ることができるし,製薬会社は必要な情報提供システムを整備しているのでこうしたシステムを活用すべきである.薬物療法においてはプラセボー効果がある一方で有効率100%の薬物はない.抗アレルギー薬について臨床試験における有効率は70%程度である.抗生物質においても感受性菌が対象であっても臨床試験での有効性は90%程度であり,これには菌株の最小発育阻止濃度(MIC)の高低,患者のコンプライアンスなどが関係する.感受性のない,またはMICの高い菌に対しては当然効果がないため,臨床の場では薬物療法の効果の見極めと他の薬剤または療法の選択を常に念頭においておく必要がある.
 近年,薬剤の承認は既存の薬剤に比較してより高い有効率を有する,既存の薬物にはない特徴を有する,患者のコンプライアンス向上につながるなどが基準になってきている.副作用については薬物の安全性面から評価されているが,既存薬との差別化が要求される新薬にあったては副作用も強くなる可能性がある.臨床試験では対象症例数がきわめて限られていること,薬剤そのものの有効性を評価するために可能な限り併用薬を排除して行われるので薬物の相互作用による副作用の評価は難しい.したがって,薬剤の承認に際しては市販後調査が申請製薬会社に義務づけられることが多くなっていることに加えて,臨床において薬物の不具合症状について報告する制度がとられている.個々の臨床医の数例の経験では,薬物による不具合症状であるのか否かが判定できないことが多いが,臨床医全体がこの報告制度の運用に参加することにより,データの集積ができ,いわゆる薬害の防止・拡大阻止ができることにも留意してゆく必要がある.
 本書では臨床の場で役にたつ薬物マニュアルをめざし,薬剤の薬効と副作用の解説,診断がついた症例に対して,その疾患分野に造詣の深い専門家に病態に応じた処方についての執筆をお願いした.
 以上の本書の刊行主旨を踏まえて本書は臨床の現場で使用しやすいように白衣のポケットに入れて持ち運びができる大きさとした.本書が日常臨床で有効に活用されることを祈念します.

2001年3月
編 者

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目 次

I 総論
 1.薬物の眼内移行・動態
   a.点眼薬の眼内移行
   b.点眼薬以外の局所的薬物投与法
   c.全身投与薬の眼内移行
 2.薬物の眼毒性
  A.点眼薬
  B.全身薬
   1)結膜
   2)角膜
   3)水晶体
   4)網膜,脈絡膜
   5)視神経
   6)眼圧
   7)その他
 3.薬物の全身的副作用
  A.接触性皮膚炎
  B.薬疹

II 各論 A.薬効別薬物
 1.人工涙液
 2.抗菌薬(点眼薬を中心に)
 3.抗ウイルス薬
 4.抗真菌薬
 5.抗アレルギー薬
 6.副腎皮質ステロイド薬
 7.非ステロイド性抗炎症薬
 8.緑内障治療薬
 9.白内障治療薬
 10.循環改善薬,血管拡張薬
 11.血管収縮薬
 12.血液凝固薬
 13.血液凝固阻害薬
  A.血栓溶解剤
  B.血小板凝集抑制薬
  C.抗凝固薬
 14.麻酔薬

II 各論 B.疾患別処方
 1.眼瞼緑炎
 2.眼瞼皮膚炎
 3.麦粒腫
 4.結膜炎
  A.細菌性
  B.クラミジア
  C.ウイルス性
  D.アレルギー性
 5.春季カタル
 6.フリクテン
 7.コンタクトレンズ角膜症
 8.遷延性角膜上皮欠損
 9.角膜感染症
  A.細菌性
  B.真菌性(アカントアメーバ)
  C.角膜ヘルペス
 10.眼内炎(真菌性)
 11.角膜辺縁潰瘍
 12.蚕蝕性角膜びらん
 13.再発性角膜びらん
 14.糸状角膜炎
 15.皮膚粘膜眼症候群
 16.強膜炎
 17.ドライアイ
 18.ぶどう膜炎
  A.Vogt-小柳-原田病
  B.Behcet病
  C.サルコイドーシス
  D.急性前部ぶどう膜炎
  E.Posner-Schlossmann症候群
  F.原因不明ぶどう膜炎
 19.緑内障
  A.原発開放隅角緑内障
  B.原発閉塞隅角緑内障
  C.続発緑内障
  D.正常眼圧緑内障
 20.硝子体出血
 21.網膜血管閉塞疾患
  A.静脈閉塞
  B.動脈閉塞
 22.中心性網脈絡膜症
 23.突発性脈絡膜新生血管
 24.加齢黄斑変性
 25.眼トキソカラ症
 26.急性網膜壊死(桐沢型ぶどう膜症)
 27.サイトメガロウイルス網膜炎
 28.梅毒性網脈絡膜炎
 29.抗リン脂質抗体症候群
 30.全身性エリテマトーデス
 31.網膜色素変性症
 32.糖尿病網膜症
 33.Eales病
 34.Coats病
 35.神経原性眼球運動麻痺
 36.側頭動脈炎
 37.多発性硬化症
 38.重症筋無力症
 39.Basedow病眼球運動障害
 40.眼瞼痙攣
 41.眼精疲労
 42.手術関連
  A.白内障
  B.粘弾性物質
 43.角膜移植
 44.拒絶反応
 45.緑内障
 46.網膜硝子体手術
 47.化学火傷
 48.鈍的外傷
  A.前房出血
  B.網脈絡膜出血・壊死

索引

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