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書籍詳細

小児アレルギー疾患

最新の診療

小児アレルギー疾患

岩田 力 編著

A5判 292頁

定価6,270円(本体5,700円 + 税)

ISBN978-4-498-04592-7

2001年11月発行

在庫なし

小児の気管支喘息,花粉症,蕁麻疹,植物アレルギー,アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患をいかに理解し,検査・診断・治療したらよいかを,一般の小児科医やこれらの疾患の診療にあたる第一線の臨床医,研修医の方々のために実践的に解説した臨床の書である.成長期にある小児の診療に対する配慮・注意点・生活指導・予防法についても具体的に示すと共に各種の治療薬については特に章を設けて解説し,理解を図った.最新の適正な診療のスタンダード・ガイドラインを知ることの出来る実地臨床書である.



 小児のアレルギー疾患を総合的に解説する書物の作成を依頼されたのは,2000年春のことであった.本書は,私の恩師である小林 登,早川 浩,両先生編著になる「小児気管支喘息診療ガイド(1993年)」のあとを受ける形で,同じ中外医学社より依頼され,気管支喘息にとどまらず,アレルギー疾患全般に広げたものにすべく,企画されたものである.手元において必要時に参照できる,コンパクトであるが内容的には最新のものをそろえた専門家にとっても読みごたえのあるもの,という難しい条件の企画であった.東京大学本院ならびに分院でアレルギーグループとして診療を行ってきた気心の知れた,ということは診療に対する考え方がある程度似通った者で執筆できればと考えたが,項目立てをする中で,よりよい書物を生むために,特にその分野においての専門家である先生方にも何人か執筆をお願いをした.小児科医以外のエキスパートである先生方には,日頃から個人的にも御教示をいただき改めて感謝申し上げる次第である.また,「疾患修飾因子としての心理的背景,心理的修飾因子としての疾患」という妙な項目名でお願いをした,赤坂 徹先生には斯界第一人者として長年の蓄積を執筆していただき,特に感謝申し上げる.
 さて,21世紀に入り,子どもたちを取り巻く環境は,さらにどのように変化をしていくのであろうか.アレルギー疾患を抱えて,競争社会を生きていくには並大抵ではないことは自明である.小林 登先生に「21世紀の小児医療と子どものアレルギー疾患」という題で序説をいただき,さらに僭越ながら書かせていただいた§1でアレルギー疾患診療の際の理念的なものを,まだよくこなれていないことは承知のうえでお示しした.各論では,アレルギー疾患の病態生理の要約とそれに基づく治療法の解説と,実用書としての性格も強く意識をしたが,将来へつなぐ夢のある項目は,予防法である.現在はまだ,真の意味での一次予防(発症そのものの予防)は,そもそも発症機序そのものの理解がまだ不完全であるがゆえに不充分であるが,あと何年かの後にはかなり明確な予防法の提示が可能となるであろう.小児医療に携わる方々に本書がなにがしかのお役に立てれば幸いである.

2001年9月
岩田 力

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目 次

序説:21世紀の小児医療と子どものアレルギー疾患〈小林 登〉

§1.小児科医のアレルギー疾患へのアプローチの仕方〈岩田 力〉
  1.アレルギー疾患
    a.概 念
    b.小児のアレルギー疾患の特徴
  2.アレルギー疾患へのアプローチ
§2.小児アレルギー疾患の疫学〈早川 浩〉
  1.疫学調査の方法とその問題点
  2.調査用紙による有病率の研究
  3.わが国の主な小児アレルギー疾患の有病率
    a.気管支喘息
    b.アレルギー性鼻炎,花粉症,アレルギー性結膜炎
    c.アトピー性皮膚炎
  4.小児のアレルギー疾患の頻度の国際比較
§3.免疫学的にみたアレルギー疾患〈小林茂俊〉
  1.IgEとアレルギー
  2.肥満細胞
  3.好酸球
  4.アレルギーに関わるサイトカイン
  5.低親和性Fceレセプター(FceRII,CD23)
  6.2つのヘルパーT細胞サブセット
    a.Th1細胞とTh2細胞
    b.Th1/Th2に発現する表面抗原と細胞の組織移行
    c.Th1/Th2細胞の分化
    d.Th1/Th2不均衡とアレルギー疾患
    e.T regulatory cell
    f.Th1/Th2のパラドックス
  7.アレルギー疾患と遺伝子
  8.アレルギー疾患と環境
§4.アレルギー疾患の一次予防について--特に気管支喘息--〈高見沢勝〉
  1.遺伝子要因
  2.環境要因
    a.室内アレルゲン
    b.屋外アレルゲン
    c.寄与因子
    d.一次予防の実際
§5.アレルギー疾患に対する検査〈渋谷紀子〉
  1.アレルギー素因の検査
    a.好酸球
    b.血清総IgE値
  2.アレルゲン決定検査
    a.皮膚試験
    b.血液検査
    c.除去負荷試験
  3.呼吸機能検査,気道過敏性検査
    a.フローボリューム曲線
    b.ピークフローモニタリング
    c.気道過敏性検査
    d.動脈血ガス分析
§6.アトピー性皮膚炎
  1.病態生理〈中川秀己〉
    a.皮膚バリア機能異常
    b.アトピー性皮膚炎でのアレルギー炎症
  2.診 断〈中川秀己〉
    a.臨床所見
    b.検査について
  3.治 療〈中川秀己〉
    a.薬物療法
    b.スキンケア
    c.悪化増悪因子の除去
  4.乳幼児のアトピー性皮膚炎〈岩田 力〉
    a.特 徴
    b.食物アレルギーとの関わり
    c.治 療
§7.食物アレルギー〈伊東 繁〉
  1.病態生理
  2.臨床診断
    a.二重盲検法の概略
    b.負荷試験とRAST法の検査結果の比較
    c.負荷試験の反復施行例
    d.オープンチャレンジおよびシングルブラインド試験
    e.除去試験
    f.食物アレルギー日記の利用
  3.治 療
    a.除去食療法
    b.対症療法
§8.気管支喘息〈高増哲也,岩田 力〉
  1.病態生理
    a.アトピー素因
    b.気道過敏性
    c.呼吸器感染症
    d.アレルギー性炎症
    e.神経原性炎症
    f.心理的因子
    g.運動誘発喘息
    h.アラキドン酸代謝系とアスピリン喘息
    i.アルコール誘発喘息
    j.汚染した空気の影響
  2.診 断
    a.病歴の問診
    b.診 察
    c.検 査
    d.発作の程度と重症度分類
    e.喘息手帳(喘息・ピークフロー日記)
    f.気管支喘息の亜型・鑑別診断
  3.治 療
    a.発作時の治療
    b.予防治療
§9.アレルギー性鼻炎〈市村恵一〉
  1.病態生理
  2.診 断
  3.治 療
§10.アナフィラキシー〈薦田房子〉
  1.病因,病態
  2.症 状
  3.診 断
  4.治 療
    a.気道確保と酸素吸入
    b.薬物治療
  5.予後,予防
§11.アレルギー疾患をもつ子ども
 A.疾患修飾因子としての心理的背景,心理的修飾因子としての疾患〈赤坂 徹〉
  1.小児気管支喘息の修飾因子としての心理的背景
    a.発達心理の面から
    b.ライフイベントの面から
    c.家族の構造と機能
    d.親子関係の問題点
  2.心身症としての小児気管支喘息の診断
    a.心因を考えて検索を進める手がかり
    b.小児気管支喘息における心身症の診断基準
    c.QOLからみた小児気管支喘息
  3.小児気管支喘息の治療における心身医学的アプローチ
    a.心理療法
    b.患者が複雑な心理・社会的問題をもつときに連携できる機関
 B.日常生活の送り方〈十字文子〉
  1.アレルギー疾患の発症因子
    a.吸入アレルゲン
    b.食物アレルゲン
    c.食品汚染化学物質
  2.複合化学汚染としてのアレルギー・アトピー
  3.アレルギー患者のQOL(quality of life)--21世紀への展望
 C.気管支喘息児と水泳〈原 英喜〉
  1.喘息児に好ましい水泳の特性
  2.水泳のプログラム
    a.呼吸特性
    b.運動強度
    c.運動の種類
  3.水泳教室の管理と運営
 D.気管支喘息患児とキャンプ〈高増哲也〉
  1.喘息児キャンプの目的
  2.キャンプの概要
  3.参加スタッフ
  4.実施までの準備
  5.喘息児キャンプの効果
  6.今後の方向性
§12.開業医からみたアレルギー疾患〈太神和廣〉
  1.気管支喘息
    a.急性発作の治療
    b.小児気管支喘息の長期管理
    c.小児気管支喘息の患者指導
  2.アトピー性皮膚炎
    a.スキンケアについて
    b.原因・誘因の除去について
    c.薬物療法--特に外用ステロイド薬についての考え方
    d.小児科医としてアトピー性皮膚炎をみていくにあたって
 補)アレルギー疾患に用いる薬物とその使い方
  1.抗アレルギー薬〈狩野博嗣〉
    a.名称と種類
    b.特徴と作用機序
    c.適 応
    d.用法・用量
    e.副作用・禁忌
  2.抗炎症薬〈吉村千登世〉
    a.副腎皮質ステロイド薬
    b.徐放性テオフィリン薬
    c.メトトレキサート(MTX)
    d.シクロスポリン
  3.気管支拡張薬〈生井良幸〉
    a.気管支拡張薬とは
    b.気管支拡張薬の種類
    c.気管支喘息に主に用いられる気管支拡張薬の用法・用量
    d.気管支喘息に主に用いられる気管支拡張薬の禁忌・相互作用
  4.漢方薬〈大滝千佐子〉
    a.漢方の診断法・考え方
    b.漢方の診察法
    c.漢方の適応・不適応
    d.漢方薬の抗アレルギー作用
    e.アレルギー疾患の漢方薬
    f.漢方薬(エキス剤)の用法・用量
    g.副作用について

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