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書籍詳細

早期大腸癌内視鏡ハンドブック

早期大腸癌内視鏡ハンドブック

多田正大 編著

B5判 240頁

定価17,600円(本体16,000円 + 税)

ISBN978-4-498-04318-3

1997年05月発行

在庫あり

早期大腸癌を中心に大腸の内視鏡による最新の診断と治療法の実際を,これから学ぼうとする方々が充分に理解し,実施することが出来るようになるとともに,日頃本検査にあたる方々にも自己の診断,治療能力のブラシュアップに役立つハンドブックである.
 検査のコツ,注意点や内視鏡像のみかた,診断の考え方,内視鏡的治療手技,病理診断などを写真,シェーマを多用してビジュアルに解説したこの検査の実践のための今日におけるベストの指導書である.


 大腸腫瘍の種類は多いが,その内視鏡検査の手順はすこぶる単純である.スコープを自在に操り目的部位まで挿入し,病変を発見する.ついでそれが内視鏡治療の適応か否かを診断し,適応であるなら摘除する…・.このような手順でよい.炎症性腸疾患の診断手順と比較すると単純明快である.
 特に高周波電流を用いたポリペクトミーの開発によって,早期大腸癌や腺腫に対する私達の取り扱い方が大きく変貌してから久しい.しかし今日の大腸内視鏡学が確立されるまでの道程は,決して平垣なものではなかった.かつて先駆者達はスコープ挿入に工夫を凝らし,撮影フィルムが擦り切れるほど繰り返し眺めた.それこそ糞をなめる思いで内視鏡学を確立してきた.その結果,今日では内視鏡治療が普及し,その適応が飛躍的に拡大されていることは喜ばしいものの,その反面,私達は余りにも安易に診断・治療を行っていないか,反省点も少なくない.深達度診断を十分に行うことなく内視鏡治療した結果,あとで追加手術を必要とすること,逆に放置してもよいポリープまでが切除される現実,これらを憂慮するのは編者だけではないであろう.
 電子内視鏡,超音波内視鏡や画像解析法の開発によって,大腸内視鏡検査も第4世代に突入している.早期大腸癌に対する内視鏡検査もますます佳境に入っている.かつて編者は‘早期胃癌内視鏡ハンドブック’を上梓し,早期胃癌に対する内視鏡学を世に問うた.幸い同書は胃内視鏡診断の基本を追求すると共に,新しい診断学を確立する意味で好評を博した.二匹目のドジョウを狙うつもりではないが,同様の編集方針で大腸でも‘本当の内視鏡学’を確立・普及させる企画ができないものか,真摯に考えた結果が本書である.
 執筆者として,今日の大腸診断学をリードする新進気鋭の第一人者にお願いした. いずれも最新のデータを基礎に執筆しただけあって,現在,望みうる最高の知見が余すところなく記述されていると自負する.編者としてもこのような書籍を上梓できることは無上の喜びと感じる.
 本書の発行にあたっては,中外医学社の皆様の絶大なるご協力を仰いだ.一日も早い出版を目標に,休日返上で編集から校正,製作にご尽力いただいたことを付記して,感謝の言葉としたい.

1997年4月
春爛漫の京都にて 多田正大

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目 次

§1.大腸内視鏡検査の基本手技
 A.大腸の解剖 〈小山茂樹〉
  1.大腸各部と位置関係
  2.大腸の構造
  3.直腸肛門筋層
  4.大腸の血管系
  5.大腸のリンパ系
  6.大腸の神経系
 B.大腸内視鏡器種および関連機材の種類と取り扱い方 〈田中信治〉
  1.大腸内視鏡器種
   1.硬性鏡(肛門鏡,直腸鏡)
   2.軟性鏡(ファイバースコープ,電子スコープ)
  2.スコープの取り扱い
  3.関連機材とその取り扱い
   1.検査・記録のための機材
   2.処置具
 C.前処置と前投薬 〈上野文昭〉
  1.腸管前処置
   1.前処置が大腸内視鏡に及ぼす影響
   2.理想的な前処置
   3.前処置の種類と特徴
   4.前処置の選択
  2.大腸内視鏡の前投薬
   1.前投薬の種類と効果
   2.前投薬の適応と実際
   3.鎮静薬・鎮痛薬使用の注意点
 D.アフターケアと内視鏡器材の消毒 〈平田一郎〉
  1.検査終了後のアフターケア
  2.スコープの洗浄・消毒
  3.関連器材の消毒
  4.スコープおよび関連器材の保管・保守
 E.大腸内視鏡挿入・観察手段
  1.proctoscopy 〈正木忠彦〉
   1.体位ならびに前処置
   2.挿入・観察の手技
   3.診断可能な疾患
   4.合併症
  2.sigmoidoscopy 〈松永厚生・藤田直孝・富永 現・野村美樹子〉
   1.内視鏡検査の基本的事柄
   2.検査を開始する前に
   3.挿入の基本
   4.sigmoidoscopyの実際と観察
  3.total colonoscopy 〈大川清孝・青木哲哉・北野厚生〉
   1.機種の選定
   2.挿入法の原則
   3.一人法による挿入
   4.二人法による挿入
 F.色素・拡大内視鏡検査
  1.色素内視鏡検査の目的と手段 〈三戸岡英樹〉
   1.種類
   2.目的
   3.手段
   4.適応
  2.拡大内視鏡検査 〈多田正大・清水誠治〉
   1.拡大内視鏡検査の歴史的背景
   2.拡大内視鏡の原理
   3.拡大内視鏡によるpit patternの診断
   4.表面陥凹型大腸腫瘍の拡大観察

§2.早期大腸癌内視鏡検査
 A.早期大腸癌のX線診断 〈帆足俊男・松井敏幸〉
  1.注腸X線検査の基本手技
   1.前処置
   2.造影剤の濃度と量
   3.前投薬
   4.器具
   5.バリウム注入
   6.撮影順序
   7.前壁造影
   8.圧迫撮影
   9.下部直腸の撮影
  2.早期大腸癌のX線診断
   1.存在診断
   2 深達度診断
 B.隆起型早期大腸癌の内視鏡診断 〈横田敏弘〉
  1.隆起型腺腫・早期癌の臨床病理学的特徴
   1.早期大腸癌の定義
   2.隆起型腺腫・早期癌の頻度
   3.肉眼形態
   4.占居部位
   5.腫瘍の大きさおよび病理組織所見
   6.粘膜下深部浸潤癌の頻度
  2.隆起型早期癌の深達度診断
   1.大腸sm癌のリンパ節転移の頻度
   2.早期癌の内視鏡所見
   3.内視鏡所見の統計学的解析からみた隆起型早期癌の深達度
 C.表面型早期大腸癌の内視鏡診断
  1.pit patternからみた診断(1) 〈田村 智・工藤進英〉
   1.表面型早期癌において何が重要か?
   2.内視鏡診断
   3.大腸腺腫,早期癌に対する治療方針
  2.pit patternからみた診断(2) 〈河南智晴・千葉 勉〉
   1.pit pattern診断
   2.表面型腫瘍
   3.表面型腫瘍の表面構造
  3.表面型大腸腫瘍の自然史 〈渡 二郎・斉藤裕輔・折居 裕・高後 裕〉
   1.内視鏡経過観察の方法
   2.肉眼形態別の腫瘍径の変化
   3.表面型大腸腫瘍の肉眼形態の変化
   4.表面型大腸腫瘍の自然史
 D.結節集簇様病変の内視鏡診断 〈小林広幸・渕上忠彦〉
  1.定義
  2.臨床像
  3.病理像
  4.診断
  5.治療
 E.超音波内視鏡による早期大腸癌の深達度診断
  1.超音波内視鏡の種類と基本画像 〈安藤正夫・望月福治・長南明道〉
   1.超音波内視鏡の種類
   2.超音波内視鏡の基本画像
  2.内視鏡的超音波検査による早期大腸癌深達度診断の実際〈安藤正夫・望月福治・松永厚生〉
   1.深達度診断の指標
   2.層構造の描出
   3.深達度診断の実際
  3.超音波細径プローブによる早期大腸癌の鑑別診断-粘膜下腫瘍を中心に-〈斉藤裕輔・渡 二郎・高後 裕〉
   1.症例の内訳および使用機種
   2.粘膜下腫瘍の超音波内視鏡像
   3.SMT治療上のEUSの意義
  4.内視鏡的三次元超音波断層法 〈吉本一哉〉
   1.診断装置ならびに描出方法
   2.EUS診断
   3.利点と問題点
   4.3-DEUSの今後
 F.画像解析による早期大腸癌の診断
  1.構造強調処理 〈多田正大・大塚弘友〉
   1.電子内視鏡の画像処理の原理
   2.pit形態の定量的診断の試み
   3.蛍光内視鏡を応用した早期癌画像解析
   4.適応型構造強調処理による実用的な画像解析の開発
  2.赤外線内視鏡 〈成宮徳親〉
   1 赤外光による観察
   2.赤外線電子内視鏡で描出される血管像
   3.赤外線電子内視鏡の臨床への応用

§3.典型症例から学ぶ早期大腸癌内視鏡診断学
 症例1 Is型 盲腸 高分化腺癌 深達度sm3〈小林広幸〉
 症例2 Isp型 直腸 高分化腺癌 深達度m〈内田善仁〉
 症例3 Ip型 上行結腸 中分化腺癌 深達度sm2 〈田坂勝視・青山伸郎〉
 症例4 特異な形態(penis like appearance)を呈するIp型 S状結腸 高分化腺癌 深達度sm〈赤松泰次・前山浩信〉
 症例5 IIa型 横行結腸 高分化腺癌 深達度sm2〈小林清典〉
 症例6 IIa型 S状結腸 高分化腺癌 深達度sm1〈三戸岡英樹〉
 症例7 IIa+IIc型 S状結腸 高分化腺癌 深達度m〈小林清典〉
 症例8 IIa+IIc型 直腸(Ra) 中分化腺癌 深達度sm2〈田中信治〉
 症例9 IIa+IIc型 直腸(Ra) 高分化腺癌 深達度sm3〈田中信治〉
 症例10 IIa+IIc型 S状結腸 低分化腺癌 深達度sm3〈小林清典〉
 症例11 IIc型 結腸肝弯曲部 高分化腺癌 深達度m〈前村憲太朗・平田一郎〉
 症例12 IIc+IIa型 横行結腸 高分化腺癌 深達度sm1a〈田村 智・工藤進英〉
 症例13 有茎性IIc+IIa型 S状結腸 高分化腺癌 深達度sm3〈柏木亮一〉
 症例14 IIc型 横行結腸 低分化腺癌と印環細胞癌の混在 深達度sm3〈多田正大・菅田信之〉
 症例15 LST 結腸脾弯曲部 高分化腺癌 深達度m〈田中信治〉
 症例16 結節集簇様病変 上行結腸 高分化腺癌 深達度m〈浜本順博〉
 症例17 LST 下行結腸 高分化腺癌 深達度sm2〈前村憲太朗・平田一郎〉
 症例18 IIa+dep型 横行結腸 tubular adenoma〈田村 智・工藤進英〉
 症例19 IIc型 下行結腸 tubular adenoma 〈森川浩志・平田一郎〉
 症例20 serrated adenoma〈斎藤彰一〉
 症例21 Ip型 上行結腸 若年性ポリープ〈菅田信之・多田正大〉
 症例22 悪性リンパ腫(multiple lymphomatous polyposis)〈大塚弘友・多田正大〉
 症例23 cap polyposis  〈赤松泰次〉

§4.内視鏡治療の最前線 151
 A.早期大腸癌の内視鏡治療の適応と限界〈鶴田 修・藤田三丈・豊永 純〉
  1.内視鏡治療の適応
  2.内視鏡治療の限界
   1.ホットバイオプシー(hot biopsy)
   2.ポリペクトミー(polypectomy)
   3.内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection: EMR)
   4.ピースミールポリペクトミー(piecemeal polypectomy)
   5.レーザー治療
 B.内視鏡治療の方法
  1.スネアポリペクトミー 〈宇野良治〉
   1.ポリペクトミー
   2.早期大腸癌におけるポリペクトミーの意義
   3.ポリペクトミーの基本
   4.snaring
   5.transection
   6.回収
  2.粘膜切除術
   1.平坦・陥凹型病変の治療 〈芦原 亨・趙 栄済・中島正継〉
   2.結節集簇様大腸病変の治療〈斉藤裕輔・折居 裕・高後 裕〉
  3.内視鏡的切除標本の回収-新しい処置具の開発-〈内田善仁〉
   1.一般的な回収方法
   2.多発するポリープの回収方法
 C.偶発症の予防と対策 〈飯塚文瑛・塚田真子・本間直子〉
  1.偶発症の発生
  2.内視鏡治療における偶発症の種類
  3.予防と対処の第一歩
  4.出血の予防と対策
   1.早期出血と晩期出血
   2.出血の予防
   3.直後に起こる出血の予防
   4.直後の出血時の対処
   5.止血方法
  5.挿入,麻酔下の穿孔防止
  6.切除粘膜局所の穿孔防止
  7.偶発症防止のためのポリペクトミーとEMR
  8.大腸内ガス爆発
 D.内視鏡治療後のサーベイランス〈五十嵐正広・勝又伴栄・小林清典・高橋裕之〉
  1.内視鏡的摘除後サーベイランスの必要性と意義
  2.各因子における再発見率
   1.サーベイランス期間と再発見率
   2.年齢と再発見率
   3.初回腫瘍の数と再発見率
   4.大きさと再発見率
  3.再発見病変が発見されるまでの期間
   1.腺腫発見までの期間
   2.癌発見までの期間
  4.サーベイランスで発見された病変の特徴
   1.腺腫
   2.癌
  5.内視鏡治療後の癌の局所再発
   1.m癌
   2.sm癌
  6.サーベイランスの方法
 E.早期大腸癌における腹腔鏡下手術の応用〈渡邊昌彦・大上正裕・寺本龍生・北島政樹〉
  1.適応
  2.腹腔鏡下手術の方法
   1.腹腔鏡下局所切除,腹腔鏡併用(補助下)局所切除
   2.腹腔鏡併用部分(腸管)切除
   3.腹腔鏡下前方切除
  3.成績

§5.早期大腸癌の病理診断
 A.組織標本の取り扱い方 〈有馬良一〉
  1.内視鏡治療標本の取り扱い方
   1.生検組織の取り扱い方
   2.内視鏡摘除標本の取り扱い
  2.外科的腸切除標本の扱い方
   1.新鮮標本の取り扱い
   2.腸切除材料の伸展と固定
   3.肉眼観察と記載事項
   4.半固定標本
   5.固定標本の切り出し
  3.摘出標本の写真撮影
 B.早期大腸癌の肉眼病理
  1.大腸癌の分類に関する基本的事項〈坂根正芳・柏木亮一・小野祐子・藤盛孝博〉
  2.新鮮標本ならびに固定標本の観察
  3.実体顕微鏡による観察-AH法(alcian blue and hematoxylin染色)による表面構造の観察-
  4.早期大腸癌の診断
   1.組織型と肉眼分類
   2.実体顕微鏡による表面構造観察
   3.癌局在部位の診断と深達度診断-特にm・sm癌の鑑別
  5.隆起型の早期大腸癌(Ip,Is,Isp,IIa)
   1.癌の局在診断
   2.深達度診断
  6.平坦・陥凹型の早期大腸癌(IIb,IIc+IIa,IIc)
   1.癌の局在診断
   2.深達度診断
  7.癌遺伝子と大腸腫瘍の診断 〈青山伸郎・里中和廣・吉田 寛〉
   1.大腸腫瘍とVogelsteinモデル
   2.大腸癌の遺伝素因とDNA修復遺伝子
   3.大腸癌の診断に遺伝子解析はどのように用いられるか?

索 引

●コラム●
新しいsigmoidoscopeの開発〈多田正大〉
色素剤の毒性について〈多田正大〉
ラジアル式とリニア式の長所と短所〈多田正大〉
小さいポリープの回収のためのtrap〈多田正大〉
内視鏡治療後の食事制限〈多田正大〉

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多田正大  編著

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