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書籍詳細

消化器内視鏡治療ハンドブック

消化器内視鏡治療ハンドブック

多田正大 編著

B5判 280頁

定価14,300円(本体13,000円 + 税)

ISBN978-4-498-04158-5

1999年12月発行

在庫なし

消化器内視鏡治療は次々と新しい手技が開発され,適応も拡大してきているが,複雑な手技もあってこれらをマスターして行くことは必ずしも容易ではない.本書は今日,消化器臨床医として修得しておくべき内視鏡治療手技のコツ・裏技を,専門医が初心者のためにイラストを多用して具体的に解説したものである.現在のスタンダードを示したが,著者らが創案した工夫・改良点なども紹介しており,初学者はもとより既に日常行っている方々にも自己の治療法を見直すための最新内容を持った指導書である.


 内視鏡検査の進歩は診断面のみならず,治療面でも大きい展開をみせている.消化管出血に対する止血術,ポリペクトミーや粘膜切除術などの手技は,内視鏡医の誰もが修得しておかなければならない基本的テクニックであり,これなくして消化器科診療は成り立たない.そして内視鏡治療の分野の進歩はとどまるところを知らず,その適応はどんどん拡大されている.そこには独創的な手技を考案する先駆者達の卓越した功績,各種処置具の開発に負うところが大きい.同時にわが国では学会やセミナー,雑誌など,新しい技術情報を伝達する機会に恵まれていることも有難い.
 多くの患者は内視鏡治療の恩恵によって,開腹手術を受けることなく,より快適に治療を受けることができるものの,治療手技が複雑になるにしたがって,予期せぬ偶発症が発生する機会も増加している.そのため少なからぬ医師や病院が医療粉争に巻き込まれ,患者側も医者側も辛い思いをしている.診断面での誤診,治療面での偶発症の発生を極力防止しなければならない.そのためにはインフォームド・コンセントを充分にして,器具・器械の点検を怠らず,細心の注意を払いながら操作をする…,文章に記すのは簡単であるがその実行は余りにも難しい.
 より安全で合理的な内視鏡治療手技を普遍化するために,日本消化器内視鏡学会卒後教育委員会では卒後セミナーやガイドラインなどを通じて,学会会員への啓発を繰り返している.本書はこれらの努力をさらに進めて,安全な治療内視鏡手技を普及する目的で,多くのイラストを用いてわかりやすく解説することを企画した.執筆を依頼したのはその方面ではわが国の先駆者達であり,学会やセミナーなどで中心的な役割を果している気鋭の研究者ばかりである.わが国の内視鏡治療の最先端があますところなく記述されており,編者としても満足のゆく内容になったと自負している.本書によってより安全な内視鏡治療が普及することと期待するとともに,若い内視鏡医が本書からヒントを得て,斬新なアイディアで新しい治療手技を開拓するきっかけとなれば編集者冥利に尽きる.
 本書を上梓するに際して,中外医学社の荻野邦義部長の多大なるご尽力に対して深甚なる感謝を表す.

1999年秋
多田正大
幕内博康

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目 次

§1.安全な内視鏡治療のために
 A.インフォームド・コンセントの実際〈小越和栄〉
    a. インフォームド・コンセントはどのように行うべきか
    b. 内視鏡検査と治療におけるインフォームド・コンセントの内容
    c. インフォームド・コンセントの実際
 B.高周波,レーザー,マイクロ波の基礎知識〈井田和徳,奥田順一〉
    a. 高周波電流の基礎知識
    b. レーザーの基礎知識
    c. マイクロ波の基礎知識
 C.偶発症の発生頻度とその対応の実際〈金子榮藏〉
    a.偶発症頻度の推移
    b.機種別偶発症
    c.主な手技の偶発症の実態と対策
    d.安全な内視鏡を目指して
 D.医事紛争と医師賠償責任保険制度〈浦野正幸〉
    a.医師の民事責任の考え方
    b.消化器内視鏡に関する裁判例
    c.医師賠償責任保険制度

§2.消化管出血に対する内視鏡治療
 A.食道静脈瘤出血
  1.内視鏡的硬化療法〈豊永 純,酒井照博,於保和彦〉
   適応と限界
    a.急性出血例
    b.待期,予防例
   準備・前処置
   手技の実際
    a.治療法
    b.注入法
    c.治療手技
   後処置
    a.経口投与
    b.経静脈投与
    c.検査
    d.食事
   治療成績
   治療効果判定
  2.内視鏡的静脈瘤結紮術〈山本 学,鈴木博昭,池田圭一〉
   適応と限界
   準備・前処置
    a.準備するもの
    b.前処置
   手技の実際
    a.EVLの基本手技
    b.EVL・AS併用療法
    c.EVLによる止血法の実際
   後処置
   治療成績と偶発症
    a.治療成績
    b.偶発症
    c.硬化療法との比較
   再発に対する対策と考え方
 B.消化性潰瘍出血
  1.局注法〈浅木 茂〉
   適応と限界
    a.潰瘍出血の占める割合
    b.内視鏡的止血の対象とした潰瘍出血の割合
   前処置
   手技の実際
    a.純エタノール法
    b.HSE法
   治療成績
  2.クリップ止血法〈小沢俊文,長南明道,望月福治〉
   適応と限界
    a.原理
    b.特性
    c.適応
    d.限界と禁忌
   準備
   手技の実際
    a.回転クリップ装置(HX-5LR-1)の構造
    b.クリップ装填の仕方
    c.クリッピングの実際
    d.手技上のポイント
    e.潰瘍の性状別クリッピング法
    f. クリッピング困難例における工夫
   合併症
  3.ヒータープローブ法〈清水誠治,川井啓市〉
    a.装置の概要
    b.ヒータープローブ法の特性
   適応と限界
   手技の実際
    a.出血点の確認
    b.焼灼の方法
    c.プローブに付着した組織の除去
    d.ヒータープローブ法の利点
   治療成績
  4.レーザー止血法〈中原 朗,樫村博正〉
   適応と限界
   準備・前処置
   手技の実際
   後処置および治療効果判定
   治療成績と偶発症の発生頻度
  5.高周波電流凝固法とアルゴンプラズマ凝固法〈平塚 卓,平塚秀雄〉
   適応と限界
   準備・前処置
    a. 電子内視鏡・ファイバースコープ
    b.高周波発生装置
    c.高周波凝固子
    d.対極板
    e.APC装置
    f.APCプローブ
    g.前処置
   手技の実際
    a.高周波凝固法
    b.APC
   後処置
   治療成績と偶発症の発生頻度

§3.ポリペクトミーと粘膜切除術
 A.早期食道癌の内視鏡治療〈幕内博康〉
   食道癌の治療方針からみたEMRの位置づけ
   EMRの適応
   食道EMRの方法,特殊性および手技
    a.食道のEMRの特殊性
    b.前処置と準備
    c.EEMR-tube法の手技
    d.後処置
   EMRの成績
 B.食道良性腫瘍の内視鏡治療〈幕内博康〉
   適応と限界
    a.leiomyoma
    b.papilloma
    c.granular cell tumor
    d.cyst
    e.hemangioma,lymphangioma
   準備・前処置
    a.準備するもの
    b.前処置
   手技の実際
    a. 1cm未満の粘膜下腫瘍に対するスネアポリペクトミー
    b. 粘膜下腫瘍に対するEMRの応用
    c.cutting polypectomy
    d.食道嚢腫に対する開窓術
   後処置
   偶発症と予防
    a.食道穿孔
    b.術中出血,術後出血
 C.早期胃癌,ポリープの内視鏡治療
  1.ポリペクトミー〈横山善文,大原弘隆,城 卓志〉
   適応
    a.臨床症状
    b.形態と組織型
   準備・前処置
    a.術前チェックと前処置
    b.内視鏡
    c.切除機器
    d.ペースメーカー装着者
   手技の実際
    a.内視鏡挿入,絞扼部位の選定
    b.スネアの操作
   留置スネア法
    a.装置の概要と操作手順
    b.留置スネア併用ポリペクトミー
   後処置
  2.EMR〈小泉浩一,竹腰隆男〉
   適応と限界
    a.絶対的適応
    b.相対的適応
   準備・前処置
   手技の実際
    a.endoscopic double snare poly-pectomy(EDSP)法
    b.endoscopic resection with local injection of HSE(ERHSE)法
    c.strip biopsy法
   後処置
   治療成績と偶発症の発生頻度
  3.キャップ法(EMRC法)〈井上晴洋〉
   適応と限界
   準備・前処置
   手技の実際
    a.キャップ法(EMRC法)
    b.EMRC法の実際の手順
   後処置
   治療成績と偶発症の発生頻度
   治療効果判定
  4.早期胃癌の内視鏡治療効果判定とサーベイランス〈多田正弘,山口研成〉
    a.完全切除の効果判定
    b.再発の早期発見のためのサーベイランス
    c.再発を発見したときの対応
 D.進行胃癌のレーザー治療〈中村哲也〉
   適応と限界
   準備・前処置
   手技の実際
   患者に対するケアおよび後処置
   治療成績と偶発症の発生頻度
   進行胃癌に対する内視鏡治療の展望
   治療効果判定
 E.早期大腸癌,ポリープの内視鏡治療
  1.ポリペクトミー〈多田正大,草場元樹,沖 映希〉
   適応と限界
    a.腫瘍径からの限界
    b.深達度からの限界
    c.組織型からの限界
    d.患者側の条件からの限界
   準備・前処置
   手技の実際
    a.高周波電流
    b.スネアをかける位置
    c.分割切除
    d.hot biopsy
    e.切除断端に対する処置
    f.切除腫瘍の回収
   後処置
   偶発症とその対策
    a.出血
    b.穿孔
    c.ガス爆発
    d.その他の偶発症
  2.EMR〈工藤進英,木暮悦子,山野泰穂〉
   適応と限界
    a.肉眼形態,腫瘍径からみた適応と限界
    b.pit pattern診断からみた適応と限界
    c.sm浸潤度分類からみた追加切除の条件
   準備・前処置
   手技の実際
    a.EMRの手技
    b.大きな病変に対する分割 : EMR(EPMR)の実際
   後処置
   治療成績と偶発症の発生頻度
    a.治療成績
    b.偶発症の発生頻度
   治療効果判定
  3.早期大腸癌,ポリープの内視鏡治療効果判定とサーベイランス〈五十嵐正広,小林清典,勝又伴栄〉
    a.治療後の経過
    b.治療後の判定とサーベイランス
    c.再発癌の取扱い

§4.消化管狭窄に対する内視鏡治療
 A.切開,レーザー治療,ステント留置術など〈嶋尾 仁,森瀬昌樹,比企能樹〉
   適応と限界
    a.治療の対象
    b.適応と限界
   準備・前処置
    a.スタッフ
    b.準備機器・設備
    c.前処置
   手技の実際
    a.良性狭窄の拡張
    b.悪性狭窄の拡張とステント挿入術
   後処置
    a.術当日
    b.術後第1日目
    c.術後第2日目以降
    d.退院後の経過観察
   食道噴門部悪性狭窄に対するステントの治療成績
    a.食事摂取改善効果
    b.食事摂取持続期間
    c.在宅期間
   偶発症とその対策
    a.穿孔
    b.食道潰瘍
    c.ステントの位置変位,脱落
    d.tumor ingrowth
    e.tumor overgrowth
   予後
  B.幽門狭窄に対する内視鏡的胃瘻造設術〈上野文昭〉
   適応と限界
   準備・前処置
    a.人員,設備,機器,器具
    b.術前評価とインフォームド・コンセント
    c.前処置
   PEGの方式と手技の実際
    a.プル法
    b.プッシュ法
    c.イントロデューサー法
   後処置
    a.ドレナージチューブとしての使用
    b.胃瘻チューブと造設部位の管理
    c.胃瘻チューブの交換
   治療成績と偶発症の発生頻度
    a.治療成績
    b.偶発症
    c.治療効果判定
  C.炎症性腸疾患の狭窄拡張術〈松井敏幸〉
   適応と限界
    a.目的と原理
    b.適応
    c.限界
   拡張術に要する器具
   手技の実際
    a.TTSバルーン拡張
    b.OTWバルーン拡張
   上部消化管と下部消化管の違い
   合併症
   成績
    a.短期成功率
    b.長期成功率
    c.再拡張

§5.胆道疾患の内視鏡治療
 A.内視鏡的乳頭括約筋切開術〈池田靖洋〉
   適応と禁忌
   準備・前処置
   手技の実際
   EST後の切石法
   合併症と対策
    a.出血
    b.穿孔
    c.急性膵炎
    d.急性胆管炎
    e.バスケット嵌頓
   後処置
   経過観察
 B.内視鏡的乳頭バルーン拡張術〈峯 徹哉〉
   適応と禁忌
    a.適応
    b.禁忌
   方法
   前処置
   手技の実際
   採石・砕石
   合併症
    a.早期合併症
    b.後期合併症
   問題点
 C.胆道結石除去術
  1.経乳頭的砕石術〈平田信人,藤田力也〉
   適応と限界
    a.結石の存在部位からみた適応
    b.結石の数,存在様式からみた適応
   準備・前処置
    a.治療に関するもの
    b.患者監視に関するもの
    c.薬剤
    d.前処置
   手技の実際
    a.静脈麻酔
    b.胆汁培養
    c.様械式砕石バスケット(EML)による採石
    d.バスケット鉗子による採石
    e.エンドトリプターによる嵌頓解除
    f.バルーンカテーテルによる採石
    g.α型経鼻胆管ドレナージ(NB)チューブの留置方法
    h.経口胆道鏡による砕石
   後処置
   治療成績と偶発症の発生頻度
    a.治療成績
    b.偶発症
   治療効果判定と長期予後
    a.治療効果判定
    b.長期予後
  2.経皮経肝的結石除去術〈乾 和郎,中澤三郎〉
   適応と限界
    a.PTCS
    b.PTCCS
   準備・前処置
   手技の実際
    a.瘻孔形成
    b.胆道鏡下切石術
   後処置
    a.瘻孔形成術
    b.胆道鏡下切石術
   治療成績と偶発症の発生頻度
   治療効果判定
 D.内視鏡的減黄術(内視鏡的逆行性胆管ドレナージ術)〈望月直美,中島正継〉
   適応と限界
   準備・前処置
    a.前処置
    b.器具
   手技の実際
   後処置
   治療成績と偶発症の頻度
   治療効果判定
   ERBDの意義

§6.One Day Surgeryとしての内視鏡治療
 ■ One Day Surgeryの実際〈神保勝一〉
    a.外来での内視鏡治療の適応
    b.外来での内視鏡治療の限界
    c.偶発症防止対策
    d.内視鏡治療の偶発症を防ぐための工夫
    e.偶発症と病診連携

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