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書籍詳細

消化管出血内視鏡ハンドブック

消化管出血内視鏡ハンドブック

西元寺克禮 編

B5判 192頁

定価11,000円(本体10,000円 + 税)

ISBN978-4-498-04154-7

1997年10月発行

在庫なし

消化管出血に対する内視鏡による最新の診断と治療の実際を,これから学ぼうとする方々が充分に理解し,実施することが出来るように解説した具体的でわかり易い入門書である.検査のコツ,注意点や内視鏡像のみかた,診断の考え方,内視鏡的治療手技などを写真,シェーマを多用して解説したこの検査の実践のための指導書で,特に最近進歩著しい内視鏡治療の手技,方法については第一人者が夫々の方法,コツを示した.


 消化管出血は,腹痛などとともに最も重要な消化器症状の一つである.またその程度も潜血反応で初めて指摘されるものより,ショックを伴う大量出血までさまざまである.消化管出血は上部消化管からの出血と下部消化管からのものに大別され,痔核よりの出血などを含めると,下部消化管出血も決して少なくはないが,重症度から考えると,何といっても上部消化管出血が重要である.本書では食道静脈瘤と胃・十二指腸出血を主に取りあげているが,最も頻度も高く,また重症例が多いためである.著者らが内視鏡を始めたころは,出血例に対し早期に内視鏡を行うことは思いもよらない事であった.早期あるいは緊急内視鏡の施行は本文でも何回かふれられているPalmerの功績が大であるが,その後わが国でも川井らの努力により,短期間に全国に拡がった.もちろん,これはほぼ同時期の細径パンエンドスコープの普及とも密接に関連している.また従来は禁忌とされていた,食道静脈瘤出血例への内視鏡も安全に行える時代となってきたのみでなく,止血法も種々開発され,緊急手術例の激減という現象をもたらしたのは周知の事実である.さらに下部消化管出血に対しての緊急検査の普及は種々の急性疾患の病像を明らかにするなど,小腸の診断に問題を残すとはいえ,消化管出血の診療に内視鏡の果たしてきた役割は極めて大きい.この「消化管出血内視鏡ハンドブック」はこれまでの進歩を集大成するとともに,これから緊急内視鏡に取り組もうという若手内視鏡医の手引書となることを意図として編集したものである.執筆者は,これまで内視鏡診断と治療に取り組んでこられ,なおかつ第一線で活躍中の方々にお願いした.その結果今日のわが国での内視鏡的止血法の全てを網羅した魅力的な本ができあがったと自負している.本書が日常臨床に役に立ち,さらに意欲的な臨床研究が試みられることを希望する.

1997年9月
西元寺克禮

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目 次

§1.消化管出血の診断と治療  <西元寺克禮>
 1.出血源の診断
  1.病態の把握と処置
  2.診断へのアプローチ
 2.内視鏡的止血法
  1.止血法の選択
  2.手術の適応

§2.消化管出血の疫学  <岩崎有良>
 1.消化管出血の頻度
 2.上部消化管出血について
  1.消化管潰瘍,胃炎(AGML)からの出血
  2.胃癌,悪性腫瘍からの出血
  3.食道からの出血
 3.疾患別重症度
 4.下部消化管出血

§3.ショックとその対策  <稲川博司,前川和彦>
 1.なぜショックが重要なのか?
 2.ショックをどう捉えるか?
 3.ショックへ至る道
 4.出血性ショックの治療
   蘇生
 5.intervention
 6.intervention後の管理

§4.緊急内視鏡検査-施行上の注意と診断
A.上部消化管  <森山 聡,大原秀一,浅木 茂,豊田隆謙>
 1.上部消化管出血の原因と背景因子
 2.緊急内視鏡検査および内視鏡止血の実際
  1.内視鏡を挿入する前にやっておくこと
  2.緊急内視鏡検査
  3.出血性潰瘍に対する内視鏡的止血の実際
 3.当科における止血成績
  1.止血成績
 2.エタノール局注法の限界
B.下部消化管  <佐竹儀治>
 1.緊急下部内視鏡検査の適応
 2.緊急内視鏡の前処置
 3.緊急大腸内視鏡検査の実際
 4.緊急大腸内視鏡検査による鑑別診断
  1.虚血性大腸炎
  2.抗生物質起因性出血性大腸炎
  3.感染性大腸炎
  4.急性出血性直腸潰瘍
  5.憩室出血,angiodysplasiaからの出血
  6.大腸癌
  7.その他の疾患
  8.ポリペクトミー後の出血

§5.食道・胃静脈瘤
A.診断・治療のストラテジー  <幕内博康>
 1.診断のストラテジー
  1.循環動態の安定を図る
  2.診断的Sengstaken-Blakemore tubeの使用
  3.緊急内視鏡による出血源の検索
 2.治療のストラテジー
  1.治療法の特徴
  2.静脈瘤消去効果と侵襲
  3.治療法施行の難易と普及
  4.治療法の選択
B.治療法の選択
 1.食道静脈瘤  <北野正剛,板東登志雄,吉田隆典>
  1.治療適応
  2.硬化療法の実際
  3.結紮療法(EVL)
  4.治療法の選択
 2.胃静脈瘤  <豊永 純,於保和彦>
  1.胃静脈瘤治療の変遷
  2.胃静脈瘤治療の基本的事項
  3.各種治療法の特徴
  4.治療法の選択
C.病態と治療法
 1.緊急出血時の対応  <村島直哉,熊田博光>
  1.静脈瘤出血と他の出血との鑑別
  2.静脈瘤出血での理学的所見
  3.緊急検査,輸血,SBチューブ
  4.緊急出血の内科的治療
  5.緊急出血で起こり得る事態
  6.出血の定義(門脈圧亢進症取扱い規約にしたがって)
 2.待期的・予防的治療  <小原勝敏,粕川禮司>
  1.食道・胃静脈瘤の治療方針
  2.病態からみた静脈瘤治療
D.治療法の実際
 1.内視鏡的硬化療法  <國分茂博,橋詰清江,高田雅博>
  1.EISの目的・到達目標
  2.食道・胃静脈瘤の内視鏡所見
  3.硬化療法に必要な門脈血行動態の理解
  4.硬化療法の禁忌と適応
  5.内視鏡的硬化療法; 手技の実際
  6.内視鏡的効果判定と再治療
  7.難治例・再発例への対策
  8.EISとEVLとの兼ね合い
  9.内視鏡的硬化療法-今後の展開
 2.内視鏡的静脈瘤結紮術-EVL-  <山本 学,鈴木博昭>
  1.静脈瘤出血に対するEVLの意義
  2.適応
  3.器具(デバイス)
  4.デバイスの装着法
  5.止血手技の実際
  6.EVLによる止血後の処置
  7.成績
  8.胃静脈瘤に対するEVLの実際

§6.胃・十二指腸出血
A.診断・治療のストラテジー  <三橋利温,田辺 聡,西元寺克禮>
 1.頻度
  1.出血源の部位別頻度
  2.上部消化管出血の疾患別頻度
 2.上部消化管出血と下部消化管出血
 3.初期治療
  1.バイタルサインのチェック
  2.身体所見
  3.問診
  4.検査
  5.胃洗浄
 4.緊急内視鏡
  1.出血源
  2.活動性出血
  3.血管露出
 5.治療
  1.胃・十二指腸潰瘍
  2.腫瘍性疾患
 6.止血処置後の管理
 7.内視鏡的止血の限界と手術の時期
B.各種出血例への対応
 1.消化性潰瘍  <田辺 聡,西元寺克禮>
  1.出血性潰瘍の誘因
  2.症状,診断
  3.緊急内視鏡検査および内視鏡的止血法
  4.止血術後の処置
  5.外科的治療のタイミング
 2.急性胃粘膜病変(AGML)  <房本英之>
  1.AGML出血例の特徴と対応の注意点
  2.止血の実際
 3.Mallory-Weiss症候群に対する内視鏡的止血方法-クリップ止血術-<山田英夫,蜂巣 忠>
  1.Mallory-Weiss症候群とは
  2.粘膜裂創の発生機序と誘因
  3.症状
  4.頻度
  5.検査
  6.内視鏡的止血術
  7.術後管理
 4.腫瘍出血<熊井浩一郎,大谷吉秀,相浦浩一,岩男 泰,木村裕之>
  1.上部消化管出血の出血源と腫瘍出血
  2.腫瘍出血の特徴
  3.腫瘍出血の治療方針
C.各種止血法の実際
 1.純エタノール局注法  <白井孝之,木村典夫,三輪 剛,椎名泰文>
  1.概念
  2.適応と禁忌
  3.作用機序
  4.緊急内視鏡検査の準備と前処置
  5.使用機器の準備
  6.止血法の実際
  7.術後処置
  8.純エタノール局注法による止血の限界
  9.他法との併用
  10.偶発症
 2.高張NaCl-エピネフリン液(HSE)局注法  <平尾雅紀,今井希一,山口修史>
  1.全身管理
  2.緊急内視鏡
  3.診断
  4.内視鏡的止血
  5.HSEの止血の理論
  6.内視鏡的止血に対する考え方
  7.止血の手技とこつ
  8.止血効果判定基準
  9.症例
  10.HSE局注療法の成績
 3.ヒータープローブ法  <井上義博>
  1.ヒータープローブ装置の概要
  2.ヒータープローブの特徴
  3.ヒータープローブ法による止血の実際
  4.止血成績と実例
 4.内視鏡的クリップ止血法  <高橋 寛>
  1.クリップ装置の種類と構造
  2.適応
  3.止血の実際
  4.合併症
D.止血後の処置と経過観察  <喜多泰文>
 1.施設の現況
  1.治療方針
  2.緊急内視鏡症例および止血成績
  3.再出血に関する検討
  4.初回止血非適応症例の予後
 2.止血後の処置と経過観察
  1.再検時期
  2.再検時の留意点
  3.再出血の問題
  4.投薬内容および栄養管理
  5.退院後の指導
E.内視鏡的止血法の適応と限界  <柏木秀幸,石橋由朗,青木照明>
 1.胃・十二指腸出血に対する治療と内視鏡的止血法
 2.胃・十二指腸出血に対する外科治療の特性
 3.出血の原因疾患から見た外科治療
  1.消化性潰瘍
  2.AGML
  3.Mallory-Weiss tear
  4.腫瘍性出血
 4.内視鏡的止血法の適応とその限界

§7.小腸出血とその対応  <多田正大,藤田直子>
 1.緊急内視鏡検査の立場からみた消化管出血の実態
 2.小腸出血に対する各種検査法の特徴
 3.小腸出血の原因疾患とその診断過程
 4.小腸出血に対する各種検査法の診断能
 5.緊急小腸内視鏡検査の手技
 6.緊急内視鏡検査が有用であった症例

§8.大腸出血
A.大腸出血への対応(1)  <酒井義浩>
 1.緊急内視鏡の条件
 2.出血腸管への内視鏡
 3.炎症性出血と内視鏡的止血
 4.血管異常と内視鏡的止血
 5.腫瘍からの出血と内視鏡的止血
 6.その他の疾患からの出血と内視鏡的止血
B.大腸出血への対応(2)<五十嵐正広,勝又伴栄,小林清典,西元寺克禮>
 1.大腸出血の頻度
  1.全消化管に対する頻度
  2.大腸の疾患別頻度
 2.緊急大腸鏡検査の有用性
  1.緊急大腸鏡検査の定義
  2.緊急大腸鏡検査の頻度
  3.緊急大腸鏡検査で診断される疾患
  4.緊急大腸鏡検査における診断率
  5.緊急大腸鏡検査で診断不明例の対応
  6.下部消化管大量出血例
 3.各症例に対する対応
  1.虚血性大腸炎
  2.潰瘍性大腸炎
  3.薬剤性大腸炎
  4.感染性腸炎
  5.ポリペクトミー後出血
  6.大腸憩室
  7.angiodysplasia
  8.出血性直腸潰瘍
 4.内視鏡的止血術

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